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SHANONは、株式会社シャノンが提供する国産マーケティングオートメーション(MA)ツールで、特にセミナー・イベント管理に強みを持つプラットフォームです。しかし、CRMとの統合やインバウンドマーケティングの拡張を見据えて、HubSpotへの移行を検討する企業が増えています。本記事では、SHANONの主要機能をHubSpotでどう再現するか、移行の具体的な手順と再設計のポイントを解説します。
SHANONとHubSpotの機能比較・選定判断については「HubSpot vs SHANON比較|日本市場で最適なMAはどちらか」を参照してください。本記事では、SHANONからHubSpotへの移行を決めた後の具体的な実行手順に特化して解説します。
SHANONは日本企業のイベントマーケティング、特に展示会やセミナーの来場者管理に特化した機能群を持ち、BtoB企業のリード獲得を支えてきました。一方で、MA単体ではなくCRM・SFA・MA一体型のプラットフォームを求める声が高まるなか、HubSpotのMarketing Hub・Sales Hub・CRMを統合的に活用する選択肢が注目されています。
本記事では、SHANONの主要機能(イベント管理、リードスコアリング、メール配信、フォーム)をHubSpotでどう再現・再設計するかを、実務レベルで具体的に解説します。
本記事はStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。
この記事でわかること
- SHANONのイベント管理機能をHubSpotのフォーム・ワークフローで再現する方法
- セミナー管理のデータ構造をHubSpotに移行する手順
- リードスコアリングの再設計とHubSpotスコアリング機能の活用法
- メールテンプレート・シナリオメールの移行方法
- 移行プロジェクトの進め方とタイムライン
SHANONとHubSpotのMA機能比較
SHANONの強みと特徴
SHANONは、イベント管理を軸に設計されたMAツールです。シャノンの公開情報によると、以下の機能が差別化ポイントとされています。
- イベント・セミナー管理:申込フォーム、受付管理、来場者チェックイン、アンケート配信までを一気通貫で管理
- 展示会リード管理:バーコードリーダーやQRコードによる名刺情報のデジタル化
- リードスコアリング:行動スコアと属性スコアの組み合わせによるリード評価
- メール配信:セグメント配信、ステップメール、HTMLメールテンプレート
HubSpotのMA機能(Marketing Hub)
HubSpotのMarketing Hubは、インバウンドマーケティングを軸に設計されたMAプラットフォームです。SHANONの機能との対応関係は以下のとおりです。
- イベント管理:フォーム + ワークフロー + カスタムオブジェクトで構築
- リードスコアリング:HubSpotスコアリング機能(行動+属性の複合スコア対応)
- メール配信:マーケティングメール、シーケンス、ワークフローによる自動メール
- フォーム:HubSpotフォーム(埋め込み・ポップアップ・スタンドアロンページ対応)
- 分析:コンタクトのライフサイクルステージ分析、アトリビューションレポート
SHANONがイベント起点の設計であるのに対し、HubSpotはWebサイト訪問やコンテンツ接触を含む全チャネルのリード行動を統合的に管理する設計です。この設計思想の違いを理解したうえで移行計画を立てることが重要です。
イベント・セミナー管理の移行
SHANONのイベント管理構造
SHANONでは、イベント(セミナー、展示会、ウェビナーなど)を「キャンペーン」として管理し、各キャンペーンに紐づく申込フォーム、参加者リスト、メール配信、アンケートを一元管理します。キャンペーン単位でリードの流入経路を追跡できる点が特徴です。
HubSpotでのイベント管理再構築
HubSpotでイベント管理を再構築する方法は、大きく2つのアプローチがあります。
アプローチ1:フォーム + リスト + ワークフローによる構築
最もシンプルなアプローチです。イベントごとに専用のHubSpotフォームを作成し、フォーム送信をトリガーにワークフローで確認メール送信、リストへの追加、プロパティ更新を自動化します。
具体的な構成は以下のとおりです。
- イベント申込フォーム(HubSpotフォーム)を作成し、ランディングページに埋め込む
- フォーム送信をトリガーにしたワークフローで、確認メール送信+コンタクトプロパティ「参加イベント」の更新を実行
- イベント参加者をスタティックリストで管理し、イベント後のフォローメールに活用
- HubSpotのキャンペーン機能でイベント関連のアセット(LP、メール、フォーム、SNS投稿)を紐づけてROI測定
アプローチ2:カスタムオブジェクトによる本格的なイベント管理
イベントの開催頻度が高く、参加履歴を詳細に管理したい場合は、HubSpotのカスタムオブジェクトで「イベント」オブジェクトを作成する方法が有効です。
- カスタムオブジェクト「イベント」:イベント名、開催日、会場、定員、カテゴリなどのプロパティを設定
- コンタクトと「イベント」オブジェクトを関連付けることで、各コンタクトの参加イベント履歴を管理
- レポート機能で「イベント参加回数が3回以上のコンタクト」などのセグメントを作成可能
Marketing Hub Enterpriseプランではカスタムオブジェクトの作成が可能です。ProfessionalプランではAPI経由での作成・管理が必要になります。
セミナー管理データの移行手順
SHANONに蓄積されたセミナー参加履歴をHubSpotに移行する手順は以下のとおりです。
ステップ1:SHANONからのデータエクスポート
SHANONの管理画面からキャンペーン(イベント)ごとの参加者リストをCSV形式でエクスポートします。含める項目は、メールアドレス、氏名、会社名、参加ステータス(申込済・出席・欠席)、申込日、参加日です。
ステップ2:HubSpotのプロパティ設計
イベント参加履歴を格納するためのカスタムプロパティを作成します。推奨するプロパティ構成は以下です。
- 「最新参加イベント名」(テキスト)
- 「最新参加イベント日」(日付)
- 「参加イベント数」(数値)
- 「イベント参加履歴」(複数チェックボックス、各イベント名を選択肢として設定)
ステップ3:CSVインポート
クレンジング済みのCSVファイルをHubSpotにインポートし、メールアドレスをキーにしてコンタクトレコードを更新します。
リードスコアリングの再設計
SHANONのスコアリングモデル
SHANONのリードスコアリングは、行動スコア(Webページ閲覧、メール開封、セミナー参加など)と属性スコア(業種、企業規模、役職など)の2軸で構成されるのが一般的です。シャノンの公開情報によると、スコアリングのルールはGUIで柔軟に設定でき、閾値を超えたリードを営業に自動通知する機能があります。
HubSpotでのスコアリング再設計
HubSpotのスコアリング機能は、SHANONと同様に行動スコアと属性スコアを組み合わせた複合スコアリングが可能です。Marketing Hub ProfessionalまたはEnterpriseで利用できる「HubSpotスコア」プロパティを使用します。
行動スコアの設計例
- ページ閲覧(料金ページ):+10点
- ページ閲覧(事例ページ):+5点
- フォーム送信(資料ダウンロード):+15点
- フォーム送信(お問い合わせ):+30点
- メール開封:+1点
- メールクリック:+3点
- 30日間アクションなし:-10点
属性スコアの設計例
- 従業員数100名以上:+15点
- 役職に「部長」「マネージャー」「取締役」を含む:+20点
- 業種がターゲット業種に該当:+10点
- フリーメールアドレス(gmail.com等):-10点
SHANONからの移行ポイント
SHANONで使用していたスコアリングルールをそのままHubSpotに移植するのではなく、以下の観点で再設計することを推奨します。
- SHANONではイベント参加に高いスコアを付与していた場合、HubSpotではWebサイト行動(料金ページの閲覧、複数回の訪問)にも適切なスコアを配分する
- HubSpotのライフサイクルステージ(Subscriber → Lead → MQL → SQL)とスコアリングを連動させ、スコアが閾値を超えたらMQLに自動変更するワークフローを設定する
- 移行直後はスコアが蓄積されていないため、SHANONでの最新スコアをHubSpotのカスタムプロパティに格納し、移行期間中の参考値として活用する
メールテンプレートとシナリオメールの移行
メールテンプレートの移行
SHANONで作成したHTMLメールテンプレートは、そのままHubSpotに移行することはできません。以下のアプローチで再構築します。
HubSpotのドラッグ&ドロップエディタで再構築
HubSpotのマーケティングメールエディタはドラッグ&ドロップ対応で、コーディング不要でテンプレートを作成できます。SHANONで使用していたテンプレートのデザインを参考に、HubSpotのエディタで新規作成するのが最も効率的です。
- ヘッダー画像、フッターの会社情報、配色などのブランド要素を統一
- HubSpotのパーソナライゼーショントークン(宛名の自動差し込み)を設定
- A/Bテスト機能を活用して件名の最適化を行う
HTMLメールの直接インポート
デザインの再現性を重視する場合は、SHANONのHTMLメールのソースコードをコピーし、HubSpotの「コード化されたメール」テンプレートに貼り付ける方法もあります。ただし、HubSpot固有のパーソナライゼーショントークンやトラッキングコードへの差し替えが必要です。
シナリオメール(ステップメール)の移行
SHANONのシナリオメール(特定のトリガーに基づいて段階的にメールを送信する機能)は、HubSpotのワークフローで再現します。
移行手順
- SHANONで使用しているシナリオ(トリガー条件、送信タイミング、メール内容)を一覧化する
- 各シナリオに対応するHubSpotワークフローを設計する
- ワークフローのトリガー条件(フォーム送信、リスト追加、プロパティ変更など)を設定
- ワークフロー内に「メール送信」アクションを配置し、送信間隔(日数・時間)を設定
- 分岐条件(メール開封有無、クリック有無)を追加して、リードの反応に応じたシナリオ分岐を構築
SHANONとHubSpotの違いに注意
SHANONのシナリオメールでは、イベント参加をトリガーにしたフォローシーケンスが多用されます。HubSpotでこれを再現する場合、イベント参加フォームの送信をトリガーにしたワークフローを作成し、参加のお礼メール → 関連資料の案内 → 個別相談の提案、といった段階的なナーチャリングフローを構築します。
フォームの移行
SHANONのフォーム機能
SHANONでは、イベント申込フォーム、資料請求フォーム、アンケートフォームなどをキャンペーンに紐づけて管理します。フォームの入力項目にはカスタム項目を追加でき、条件分岐による動的なフォーム表示も可能です。
HubSpotフォームへの移行
HubSpotのフォーム機能は、SHANONのフォーム機能をカバーする十分な機能を持っています。移行のポイントは以下のとおりです。
フォームの再作成
SHANONで使用しているフォームの一覧を作成し、各フォームの入力項目をHubSpotのコンタクトプロパティにマッピングします。SHANONのカスタム項目に対応するプロパティがHubSpotにない場合は、カスタムプロパティを事前に作成します。
プログレッシブプロファイリングの活用
HubSpotのフォームでは、既知のコンタクトに対して異なる入力項目を表示する「プログレッシブプロファイリング」機能が利用できます。初回訪問時は基本情報(名前・メール・会社名)を取得し、2回目以降は追加情報(部署・役職・課題)を段階的に取得することで、フォームの入力負荷を軽減しつつリード情報を充実させられます。
フォーム埋め込みコードの差し替え
外部サイトやWordPressにSHANONのフォーム埋め込みコードを設置している場合は、HubSpotのフォーム埋め込みコードに差し替える作業が必要です。移行日を決めて一斉に切り替えるか、段階的に切り替えるかを計画しておきます。
移行プロジェクトのタイムライン
推奨スケジュール(8〜12週間)
SHANONからHubSpotへの移行プロジェクトの推奨スケジュールは以下のとおりです。
第1〜2週:要件定義・設計
- SHANONで使用している機能の棚卸し(イベント、メール、フォーム、スコアリング)
- HubSpotでの再現方法の設計
- プロパティマッピングシートの作成
- 移行対象データの範囲を確定
第3〜4週:HubSpot環境構築
- HubSpotの初期設定(ドメイン接続、メール認証、ユーザー作成)
- カスタムプロパティの作成
- パイプライン・ライフサイクルステージの設定
- メールテンプレートの再構築
第5〜6週:データ移行・テスト
- SHANONからのデータエクスポート
- データクレンジング
- テストインポート(10%のデータ)
- スコアリング・ワークフローの設定とテスト
第7〜8週:本番移行・トレーニング
- 本番データのインポート
- フォーム埋め込みコードの切り替え
- ユーザートレーニング(マーケティング担当者、営業担当者)
- 並行運用開始
第9〜12週:並行運用・最適化
- SHANONとHubSpotの並行運用
- レポート・ダッシュボードの最適化
- スコアリング閾値の調整
- SHANON解約に向けた最終確認
移行時の注意点
リード情報の重複管理
SHANONとHubSpotで同じリードが重複して登録されるリスクがあります。移行前にSHANONのリードデータをメールアドレスで名寄せし、重複を排除してからインポートしてください。
オプトアウト情報の引き継ぎ
SHANONでメール配信をオプトアウトしたリードの情報は、HubSpotに確実に引き継ぐ必要があります。SHANONからオプトアウトリストをエクスポートし、HubSpotのインポート時に「マーケティングメールのオプトアウト」プロパティを設定します。オプトアウト情報の引き継ぎ漏れは、特定電子メール法に違反するリスクがあるため、最も注意が必要なポイントです。
配信ドメインの移管
SHANONで使用していたメール配信ドメイン(SPF/DKIM設定)をHubSpotに切り替える作業が必要です。DNS設定の変更には反映までに時間がかかるため、移行スケジュールに組み込んでおきます。HubSpotのメール認証設定(SPFレコードの追加、DKIMレコードの追加)を完了してから、メール配信を開始してください。
まとめ
SHANONからHubSpotへの移行は、イベント管理中心のMAからCRM統合型のインバウンドマーケティングプラットフォームへの進化です。SHANONのイベント管理機能はHubSpotのフォーム・ワークフロー・カスタムオブジェクトで再現でき、リードスコアリングはHubSpotの標準機能で同等以上の複合スコアリングが構築できます。
移行成功の鍵は、SHANONのスコアリングルールをそのまま移植するのではなく、HubSpotの特性(Webサイト行動の追跡、CRMとの統合、ライフサイクルステージ管理)を活かした再設計を行うことです。メールテンプレートやフォームの再構築には工数がかかりますが、HubSpotのエディタとワークフローを活用すれば、より柔軟で効果測定しやすいマーケティング基盤を構築できます。
よくある質問(FAQ)
SHANONのイベント管理機能はHubSpotで再現できますか?
HubSpotのフォーム・ワークフロー・リスト機能を組み合わせることで、イベント申込からフォローメールまでの一連の流れを再現できます。イベント開催頻度が高い場合は、カスタムオブジェクトで「イベント」オブジェクトを作成し、参加履歴を詳細に管理する方法も有効です(Marketing Hub Enterprise以上)。
SHANONのリードスコアリングはHubSpotにそのまま移行できますか?
スコアリングルールの自動移行はできませんが、HubSpotのスコアリング機能(Marketing Hub Professional以上)で同等以上の複合スコアリングが構築可能です。SHANONのルールをそのまま移植するのではなく、HubSpotのWebサイト行動追跡やCRM統合を活かした再設計を推奨します。
メール配信のオプトアウト情報は移行が必要ですか?
必須です。SHANONでオプトアウトしたリードの情報をHubSpotに引き継がないと、特定電子メール法に違反するリスクがあります。SHANONからオプトアウトリストをエクスポートし、HubSpotのインポート時に「マーケティングメールのオプトアウト」プロパティを確実に設定してください。
SHANONのHTMLメールテンプレートはHubSpotに移行できますか?
テンプレートの自動移行はできませんが、2つの方法で再構築が可能です。(1) HubSpotのドラッグ&ドロップエディタで新規作成する方法(最も効率的)、(2) SHANONのHTMLソースコードをHubSpotの「コード化されたメール」テンプレートに貼り付ける方法です。後者の場合はHubSpot固有のパーソナライゼーショントークンへの差し替えが必要です。
CRM移行のご相談はお気軽にどうぞ
SHANONからHubSpotへの移行は、イベント管理中心のMAからCRM統合型のインバウンドマーケティングプラットフォームへの進化です。スコアリングの再設計、メールテンプレートの再構築、フォームの移行まで、MAプラットフォーム移行の全工程をサポートしています。
移行計画の策定やお見積もりについて、まずはお気軽にご相談ください。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。