HubSpotの「Breezeに依頼」の機能解説|実現できる実務のユースケース(要約・チケット分類・ネクストアクション提示など)

  • 2025年6月15日
  • AI
HubSpotの「Breezeに依頼」

ブログ目次

 

HubSpot Breeze は、HubSpotが提供する最新のAI機能群で、マーケティング、営業、カスタマーサービスなど、あらゆる業務領域を横断的に支援し、日々のルーチンワークを自動化・高速化します。具体的には、レコード要約などを行うBreeze Copilot、顧客・企業データを外部情報で補完するBreeze Intelligence、そして各部門ごとのAIエージェントBreeze Agentsなどが含まれます。

本記事で紹介する主要な機能はワークフローの中で活用可能な「Breezeに依頼」になります。Breezeを使うと「登録されたレコードのデータを分析、要約、分類」できるため、その出力をワークフローの分岐条件やレコード編集に活用できるとされています。本記事では、中小企業経営者やHubSpot担当者、営業戦略部長向けに、特にワークフロー内でBreezeに依頼できる具体的な業務を分かりやすく紹介します。

Breezeワークフローアクションの基本

参考:Breezeを使用してワークフローのデータを管理する(ベータ版)

Breezeをワークフローで使うには、HubSpotのワークフローエディターで「Breezeに尋ねる」(Ask Breeze)アクションを追加します。このアクションでは、プロンプト(指示文)を入力して、登録済みレコードや関連レコードのデータをAIに送ります。

すると、Breezeがその内容を分析・要約・分類し、応答(出力)を返してくれます。

例えば、プロパティをプロンプトに含め、

  • 「このレコードを要約してください」
  • 「顧客の問い合わせ内容を『技術サポート』か『販売関連』に分類してください」


と依頼できます。( 下記の画面では問い合わせの分類を整理するような内容で作っております。)

生成された応答は、ワークフロー内で後続の【レコードの編集】アクションや【分岐】アクションに渡すことができ、処理結果に応じて自動でレコード更新や経路振り分けが可能です。

なお、Breezeアクションには月間利用回数の上限3,000回(Proプランの場合)など制限があります。テスト実行は制限にカウントされないため、本番前によく確認しましょう。

※ 新しくHubSpotクレジットという考え方も導入されているので、料金形態についてはHubSpotにお問い合わせいただくと正しい情報が得られるかと思います。

 

HubSpot Breezeで劇的に効率化!ワークフローで自動化できる業務例

FireShot Capture 338 - HubSpotのAIツールBreezeでハードルの高い成長目標を簡単に達成|HubSpot(ハブスポット) - [www-hubspot-jp]

では実際に、「Breezeに依頼できる業務」とは具体的にどんなものがあるでしょうか。以下に代表的な例を挙げます。各例では、ワークフロー内で「Breezeに尋ねる」アクションを使い、レコードのプロパティーをプロンプトに与えます。その結果を受けて【分岐】や【レコード編集】で自動処理します。

問い合わせ内容の自動分類

メールやチャットで受け取った顧客からの問い合わせを、「製品関連」「サポート依頼」「価格相談」などに自動分類します。

例えば、Breezeに「以下のお問い合わせ内容を技術問い合わせ/価格問い合わせ/その他に分類してください」と依頼すると、内容を解析して適切なカテゴリを返します。この結果を元に、【分岐】アクションで担当部署を振り分けたり、【レコード編集】で「カテゴリ」プロパティを設定したりできます。

レコード内容の自動要約

長い商談履歴やサポートチケット、議事録などのレコード内容を要約します。

Breeze Copilotは「選択した取引先や商談の概要を自動生成」する能力を持ちます。ワークフローで「この商談の詳細を100文字以内で要約してください」といったプロンプトを与えれば、要約文が返ってきます。返された要約は案内メールやレポート作成に活用できますし、【レコード編集】でノート欄に設定することも可能です。簡単なサマリー作成でも、営業担当者が重要情報を素早く把握できるようになります。

顧客セグメントの自動分類(従業員数・役職など)

取引先企業の従業員数に応じてレコードをグループ分けしたり、コンタクトの役職や肩書きに基づき、「経営層」「管理職」「担当者」などのカテゴリーに分類したりします。

例えば、「従業員数が1000人以上なら『大手企業』、1000人未満なら『中小企業』と分類してください」や「役職欄から社長や取締役が含まれる場合は『経営層』、部長やマネージャーは『管理職』、それ以外は『担当者』と判断してください」とBreezeに指示します。

これにより各企業やコンタクトを自動でカテゴライズでき、【分岐】でフォローアップの手法を変えたり、セグメント別の通知メールを出し分けたりする設定ができます。人手では難しい大量レコードの分類も、AIが一気に処理してくれます。

次の営業アクションの自動提案

問い合わせ内容や商談フェーズ、顧客の過去の行動履歴などをBreezeに渡し、次に取るべき最適な営業アクションを提案させます。

例えば、「この問い合わせ内容と過去の購買履歴から、最適な次の営業アクション(例:追加情報提供、デモ提案、資料送付など)を具体的に提案してください」というプロンプトを設定します。Breezeが応答した次のアクションは、【レコード編集】で「次のアクション」プロパティに更新したり、タスクとして自動で作成したりすることができます。これにより、営業担当者は常に最適なアプローチを把握し、顧客への対応を迅速かつ効果的に進めることが可能になります。

その他のデータ分析・タグ付け

上記以外にも、レコードに含まれるテキストを分析して自然言語で要約したり、業種・地域といった情報を推定してタグ付けすることも可能です。たとえば、製品に関する説明文から「この製品は電子機器向け」「難易度の高い技術が必要」といったキーワードを抽出し、適切なプロパティにセットする、といった使い方もアイデア次第です。

Breezeワークフロー活用のヒントと注意点

ワークフローでBreezeを使うときは、プロンプトに含めるデータ(登録レコードのプロパティーや関連アクティビティー)を確実に追加しましょう。AIは入力データ以外の情報にはアクセスできないため、要約させたい内容や分類基準の根拠となる項目をすべてプロンプトに含める必要があります(逆に言えば、余計なデータは一切含まれないので、誤解を防げます)。

※ またAI自体はワークフローを通しては学習されないため、余分なデータが蓄積していくということもなく、安心してご利用いただけます。

現在のBreezeの日本語対応における注意点

現在、Breezeには、

  • Breeze Intelligenceによる会社情報やコンタクト情報の外部情報での補完(エンリッチメント)
  • 会社のニュース調査

といった機能も含まれています。これらの機能は非常に強力ですが、現時点では主に英語のデータソースに基づいており、日本語の企業情報やニュースを正確に取得・分析することにはまだ課題があることをご留意ください。今後のアップデートにより、日本語対応が強化されることが期待されます。

Breeze活用のための実践ステップ

HubSpot Breezeを活用することで、これまで手作業で行っていた多くの定型業務を自動化し、チーム全体の生産性を向上させることが可能です。ぜひBreezeのワークフロー機能を活用し、貴社の業務効率化を実現してください。

Breezeを効果的に導入するための具体的なステップは以下の通りです。

HubSpotのBreeze機能活用ガイド

HubSpotのBreeze機能は、CRMデータを活用した高度な自動化を実現します。効果的に利用するためのステップを以下にご案内します。

1. Breeze機能の有効化



まず、お使いのHubSpotアカウントでBreeze機能が有効になっているかを確認してください。Breezeは現在ベータ版として提供されているため、設定画面から手動での有効化が必要な場合があります。

2. ワークフローの目的設定

Breezeで何を自動化したいのか、その具体的な目的を明確にしましょう。

  • 顧客からの問い合わせを自動で分類する
  • 商談のサマリーを自動生成する
  • リードの行動に基づいてパーソナライズされたメールを送信する

具体的な目標を設定することで、後続のステップがスムーズに進みます。

3. プロパティの準備

Breezeで分析・処理させたい情報が、HubSpot内の適切なプロパティに格納されているかを確認します。もし必要な情報が既存のプロパティにない場合は、新たにカスタムプロパティを作成することも検討してください。正確な情報が適切に準備されていることが、Breezeの精度を高める上で重要です。

4. 「Breezeに尋ねる」アクションの追加とプロンプトの設計

ワークフローエディターで、「Breezeに尋ねる」アクションを追加します。このアクションでは、Breezeにどのような分析や処理を行ってほしいのかを指示するプロンプトを入力します。プロンプトには、分析させたいレコードのプロパティを必ず含めるようにしましょう。プロンプトが明確で具体的なほど、Breezeは期待通りの出力を生成します。

 

5. 応答の利用方法の設計

Breezeから返される応答(出力)をどのように活用するかを設計します。例えば、以下のような利用方法が考えられます。

  • レコード編集: 特定のプロパティをBreezeの出力で更新する
  • 分岐: Breezeの出力に基づいてワークフローの経路を振り分ける
  • タスク作成: 特定の条件を満たした場合にタスクを自動生成する

応答の利用方法を事前に設計することで、ワークフロー全体の自動化効果を最大化できます。

6. テスト実行と調整

ワークフローを公開する前に、必ずテスト実行を行いましょう。テスト実行は制限カウントに影響しないため、安心して試すことができます。期待通りの結果が得られるかを確認し、必要に応じてプロンプトやワークフローの条件を調整してください。この段階での thorough なテストが、後の運用におけるトラブルを防ぎます。

7. 結果のモニタリングと改善

ワークフローを実際に運用開始した後も、定期的に結果をモニタリングしましょう。Breezeの出力精度やワークフローの効率性を評価し、継続的な改善を図ることで、より高い効果を得ることができます。市場や顧客の状況変化に合わせて、ワークフローを最適化していくことが重要です。


HubSpot Breezeを使い始めることで、日々の業務が大きく変わるはずです。ぜひ今日からその可能性を体験してみてください。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLink(スタートリンク)の代表取締役。
学生時代に地域活性化事業のスタートアップを共同創業し事業立ち上げを経験。 広告戦略支援会社にてSEO設計/Web広告戦略・運用等の総合マーケティング支援に従事。 その後、DX/CRM戦略支援会社の株式会社H&Kにて、HubSpot(世界的CRMプラットフォーム)のCRM戦略/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
現在はパーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM戦略/人材法人営業・AI戦略の業務に従事しつつ、 株式会社StartLinkでCRMを軸にした経営基盤DXのコンサルティング/AIを活用した戦略設計を支援。