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ABM(アカウントベースドマーケティング)を実践するには、ターゲット企業の選定からエンゲージメント管理、効果測定まで、専用のツールが不可欠です。しかし、ABMツールは種類が多く、機能や価格帯もさまざまなため、「どのツールを選べばいいのか分からない」という声を多く耳にします。
ABMツールは大きく「データ・インテリジェンス型」「エンゲージメント型」「統合プラットフォーム型」の3つに分類できます。自社のABMの成熟度や既存のマーケティングスタック、予算に応じて最適なツールは異なります。
本記事では、日本のBtoB企業が導入を検討すべきABMツール10製品を取り上げ、機能・価格・特徴を網羅的に比較します。ツール選定の判断基準もお伝えしますので、自社に最適なツール選びの参考にしてください。
この記事でわかること
- ABMツールの3つの分類と選び方の基本
- 主要ABMツール10製品の機能・価格比較
- FORCAS・ユーソナー・HubSpotの詳細な特徴
- 自社に最適なツールを選ぶための5つの判断基準
- ABMツール導入時の注意点と成功のコツ
- CRM/MAとABMツールの連携パターン
ABMツールの3つの分類
ABMツールは機能の軸で3つのカテゴリに分類できます。
| カテゴリ | 主な機能 | 代表的なツール |
|---|---|---|
| データ・インテリジェンス型 | ターゲット企業の選定、企業データ分析、インテントデータ | FORCAS、ユーソナー、Sales Marker |
| エンゲージメント型 | ターゲット企業へのパーソナライズド広告・コンテンツ配信 | Demandbase、6sense |
| 統合プラットフォーム型 | CRM/MAにABM機能を統合、データ管理から実行まで一気通貫 | HubSpot、Salesforce(+Pardot) |
多くの企業では「データ・インテリジェンス型」+「統合プラットフォーム型」の組み合わせでABMを実践しています。
ABMツール10製品の比較一覧
| ツール名 | カテゴリ | 主な機能 | 価格帯(月額) | 日本語対応 |
|---|---|---|---|---|
| FORCAS | データ | 企業データベース、ターゲットリスト作成 | 20万円〜 | ◎ |
| ユーソナー(uSonar) | データ | 法人データベース、名寄せ、企業分析 | 15万円〜 | ◎ |
| Sales Marker | データ+インテント | インテントデータ、セールスシグナル | 30万円〜 | ◎ |
| HubSpot | 統合プラットフォーム | CRM/MA+ABM機能(標準搭載) | 0円〜(ABM機能はPro以上) | ◎ |
| Salesforce + Pardot | 統合プラットフォーム | CRM+MA+ABM機能 | 15万円〜 | ◎ |
| Demandbase | エンゲージメント | ABM広告、インテントデータ、パーソナライゼーション | 要問い合わせ | △ |
| 6sense | エンゲージメント | AIによるバイヤー行動予測、ABMオーケストレーション | 要問い合わせ | × |
| Terminus | エンゲージメント | マルチチャネルABM、ABM広告 | 要問い合わせ | × |
| RollWorks | エンゲージメント | ABM広告、ターゲットアカウント管理 | 要問い合わせ | × |
| Marketo Engage | 統合プラットフォーム | MA+ABM機能、Salesforce連携 | 15万円〜 | ◎ |
主要3ツールの詳細比較
FORCAS
概要: 日本最大級のBtoB企業データベースを持つABMツールです。150万社以上の企業データをもとに、自社のICPに合致するターゲット企業を効率的に特定できます。
主な機能:
- 150万社以上の企業データベースから条件検索
- 受注傾向分析によるICP自動算出
- ターゲットリストの自動スコアリング
- CRM/MA連携(HubSpot、Salesforce等)
- 業界・企業の最新ニュースアラート
強み:
- 日本企業のデータ品質が高い
- ICP設計の自動化でリスト作成が効率的
- 直感的なUIで導入ハードルが低い
適した企業:
- エンタープライズ向けのBtoB企業
- ターゲットリスト作成に課題を抱える企業
- 日本市場中心のビジネス
ユーソナー(uSonar)
概要: 法人データの名寄せ・統合に強みを持つデータプラットフォームです。自社が持つ顧客データと外部の法人データを統合し、正確なターゲットリストを構築できます。
主な機能:
- 820万拠点以上の法人データベース
- 顧客データの名寄せ・クレンジング
- 企業属性データの付与(業種、従業員数、売上高等)
- ABMターゲットリストの作成・管理
- CRM/MA連携
強み:
- 名寄せ精度が業界トップクラス
- 拠点単位でのデータ管理が可能
- 既存CRMデータの品質改善にも活用可能
適した企業:
- 顧客データの重複・不整合に課題がある企業
- 拠点単位でのターゲティングが必要な企業
- データ基盤の整備から着手したい企業
HubSpot ABM機能
概要: CRM/MAプラットフォームにABM機能が標準搭載されています。追加ツール不要でABMを開始でき、広告・メール・コンテンツ・営業活動のデータが一つのプラットフォームに集約されるのが最大の強みです。
主な機能:
- ターゲットアカウントの設定・管理
- アカウントエンゲージメントスコアの自動計算
- ABMダッシュボード(概要レポート)
- LinkedIn広告との直接連携
- ワークフローによる自動化(営業通知、リードスコアリング)
- アカウントベースのレポーティング
強み:
- 追加コスト不要でABMを開始可能(Marketing Hub Pro以上)
- CRM・MA・営業ツールとの完全統合
- 広告→リード獲得→ナーチャリング→商談の全体ROIを一元管理
- 学習コストが低い(既存HubSpotユーザー)
適した企業:
- HubSpotを既に導入済み、またはCRM/MAの導入を検討中
- ABMをこれから始めたい(シンプルに始めたい)企業
- 営業とマーケの連携基盤を一つのツールで構築したい企業
3ツールの機能比較表
| 機能 | FORCAS | ユーソナー | HubSpot |
|---|---|---|---|
| 企業データベース | ◎(150万社) | ◎(820万拠点) | △(外部連携) |
| ICP自動算出 | ◎ | ○ | ○ |
| 名寄せ・クレンジング | ○ | ◎ | △ |
| エンゲージメント管理 | △ | △ | ◎ |
| 広告連携 | △ | △ | ◎(LinkedIn等) |
| メール・ナーチャリング | × | × | ◎ |
| 営業ツール連携 | ○ | ○ | ◎(内蔵) |
| レポーティング | ○ | ○ | ◎ |
| 価格 | 高 | 中〜高 | 中(Pro以上) |
ABMツール選定の5つの判断基準
基準1: 自社のABM成熟度
| 成熟度 | 推奨アプローチ |
|---|---|
| 初期(これから始める) | HubSpotなどの統合プラットフォームで小さく始める |
| 成長期(リスト精度を上げたい) | FORCAS/ユーソナーでデータ基盤を強化 |
| 成熟期(フルスケールABM) | データツール+統合プラットフォームの組み合わせ |
基準2: 既存のマーケティングスタック
すでにCRM/MAを導入済みの場合、そのプラットフォームとの連携性を最優先に考えます。HubSpotユーザーならHubSpotのABM機能をまず試し、データの精度を高めたい段階でFORCASやユーソナーを追加するのが効率的です。
基準3: ターゲット市場
日本市場中心ならFORCAS・ユーソナー、グローバル展開ならDemandbase・6senseが適しています。
基準4: 予算
月額15〜30万円が確保できない場合は、HubSpot Marketing Hub Professionalのみでスタートし、成果が出てから専用ツールに投資するアプローチが堅実です。
基準5: 運用リソース
専任のABM担当者がいない場合は、運用がシンプルなツールを選びましょう。高機能なツールも使いこなせなければ投資が無駄になります。
ABMツール導入の成功パターン
パターン1: HubSpot一本でスタート(推奨)
HubSpotのABM機能でターゲットアカウント管理を開始し、LinkedIn広告連携でアカウントベースの広告配信を行います。データの精度を上げたくなった段階でFORCAS等を追加します。
パターン2: FORCAS + HubSpotの組み合わせ
FORCASでICPに基づくターゲットリストを精緻に作成し、HubSpotでエンゲージメント管理・ナーチャリング・営業連携を行います。データの質と実行力の両方を高いレベルで確保できます。
パターン3: ユーソナー + CRM/MAの組み合わせ
まずユーソナーで既存のCRMデータをクレンジング・名寄せし、データ基盤を整備した上でABMを展開します。CRMデータの品質に課題がある企業に特に有効です。
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まとめ
ABMツール選定のポイントを整理します。
- 3つの分類を理解する: データ型・エンゲージメント型・統合型の違いを押さえ、自社に必要な機能を特定する
- 成熟度に合わせて選ぶ: ABM初期は統合プラットフォーム1本で始め、段階的にツールを追加する
- 既存スタックとの連携を重視: CRM/MAとの連携がスムーズなツールを選ぶことで、データの分断を防ぐ
- 日本市場にはFORCAS・ユーソナー: 日本企業のデータ品質が高い国内ツールは、日本市場中心のABMに強い
- HubSpotはコストパフォーマンス最良: CRM/MA+ABM機能が一体で、追加コストなくABMを始められる
ABMツールの選定やCRM/MAとの連携設計にお悩みの方は、StartLinkにご相談ください。貴社のABM成熟度と事業規模に最適なツール構成をご提案いたします。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。