マーケティング戦略の立て方|フレームワーク活用で失敗しない7ステップ

  • 2026年3月3日

ブログ目次


「マーケティング戦略を立ててほしい」と言われたものの、何をどの順番で考えればいいかわからない——そんな経験をしたことがある方は少なくないでしょう。戦略の教科書を読んでも抽象的で実務に落とし込みにくく、結局は「とりあえず施策を実行する」という場当たり的なアプローチになってしまうケースが多く見られます。

マーケティング戦略の策定には「正しい順番」があります。環境分析から始まり、戦略の方向性を決め、具体的な施策に落とし込むという一連のプロセスを、適切なフレームワークを使いながら進めることで、誰でも実践的な戦略を作ることができます。

本記事では、マーケティング戦略の立て方を7つのステップに分解し、各ステップで使うべきフレームワークの実践的な活用法を解説します。テンプレートに沿って埋めていくだけで、自社のマーケティング戦略が形になるよう構成しています。

この記事でわかること

  • マーケティング戦略策定の全体像と7つのステップ
  • 各ステップで活用すべきフレームワークとその使い方
  • フレームワークを実務に落とし込む具体的な方法
  • 戦略を実行計画に変換するロードマップの作り方
  • よくある失敗パターンと回避策
  • 戦略策定に必要な期間とリソースの目安

マーケティング戦略とは

マーケティング戦略の立て方

マーケティング戦略とは、「誰に(Who)」「どんな価値を(What)」「どうやって届けるか(How)」を体系的に設計した計画のことです。

要素 質問 アウトプット
Who(誰に) ターゲット顧客は誰か? ペルソナ、セグメント定義
What(何を) どんな価値を提供するか? バリュープロポジション、ポジショニング
How(どうやって) どの手段で届けるか? マーケティングミックス(4P/4C)

戦略なしに施策を実行するのは、地図なしに旅をするようなものです。方向が合っていなければ、どれだけ走っても目的地にはたどり着けません。

ステップ1:目的・ゴールを明確にする

戦略策定の最初のステップは、マーケティングのゴールを定義することです。ゴールが曖昧なままでは、正しい戦略を立てることは不可能です。

SMARTゴールの設定

マーケティングゴールは「SMART」の基準で設定します。

基準 説明 良い例 悪い例
Specific(具体的) 何を達成するか明確 月間リード数を100件にする リードを増やす
Measurable(測定可能) 数値で測れる CVRを2%に改善 CVRを上げる
Achievable(達成可能) 現実的に実現可能 前年比130%の売上 前年比500%の売上
Relevant(関連性) 事業目標と整合 新規顧客からの売上30%増 フォロワー数1万人
Time-bound(期限付き) 達成期限が明確 2026年12月末までに いつか

ゴールの階層構造

事業目標:年間売上5億円(前年比120%)
  └ マーケティング目標:新規顧客からの売上2億円
    └ リード目標:月間MQL 100件
      └ 集客目標:月間サイト訪問 20,000セッション

ステップ2:外部環境を分析する(PEST分析)

自社を取り巻くマクロ環境を理解するために、PEST分析を行います。

PEST要素 分析のポイント BtoBでの具体例
Political(政治) 法規制、政府方針、補助金 DX推進補助金、個人情報保護法改正
Economic(経済) 景気動向、為替、金利 IT投資予算の増減、人件費の上昇
Social(社会) 働き方の変化、価値観 リモートワーク普及、サステナビリティ
Technological(技術) 技術トレンド、イノベーション AI活用、クラウド移行、ノーコード

PEST分析のポイントは、単にトレンドを列挙するのではなく「自社のビジネスにどう影響するか」まで考察することです。

ステップ3:競合と自社を分析する(3C分析・SWOT分析)

3C分析

3C要素 分析項目 情報源
Customer(市場・顧客) 市場規模、成長率、顧客ニーズ、購買行動 業界レポート、顧客アンケート、営業ヒアリング
Competitor(競合) 競合のシェア、強み・弱み、価格帯、施策 競合サイト、レビューサイト、展示会
Company(自社) 自社の強み・弱み、リソース、実績 社内データ、顧客の声、営業の肌感覚

SWOT分析とクロスSWOT

3C分析の結果をSWOTに落とし込み、4象限で戦略の方向性を導きます。

好影響 悪影響
内部要因 強み(Strengths) 弱み(Weaknesses)
外部要因 機会(Opportunities) 脅威(Threats)

クロスSWOTで戦略オプションを抽出:

  • SO戦略(強み×機会):積極的に攻める戦略 → 最優先
  • WO戦略(弱み×機会):弱みを克服して機会を活かす → 投資判断
  • ST戦略(強み×脅威):強みで脅威を回避する → 差別化
  • WT戦略(弱み×脅威):リスクを最小化する → 撤退判断

ステップ4:ターゲットを定義する(STP分析)

セグメンテーション

市場を細分化し、同質なニーズを持つ顧客群を特定します。BtoBでは以下の切り口で分けます。

  • デモグラフィック:業界、企業規模、所在地、設立年数
  • ニーズベース:解決したい課題、求める価値
  • 行動ベース:情報収集チャネル、購買頻度、利用ツール

ターゲティング

複数のセグメントの中から、自社が注力するセグメントを選定します。

ターゲティングの評価基準:

基準 重み セグメントA セグメントB セグメントC
市場規模 25%
成長性 20%
競合状況 20% 激しい 適度 少ない
自社適合性 25%
アクセス可能性 10%
総合評価 B A A

ポジショニング

選定したターゲットに対して、競合とは異なる独自のポジションを確立します。ポジショニングマップ(2軸のマトリクス)を使って可視化すると効果的です。

軸の例:

  • 価格帯(高価格←→低価格)× サポート品質(手厚い←→セルフサービス)
  • 機能の広さ(オールインワン←→特化型)× 導入の容易さ(簡単←→カスタマイズ必要)

ステップ5:バリュープロポジションを設計する

バリュープロポジションキャンバス

ターゲット顧客の「ジョブ(やりたいこと)」「ペイン(困っていること)」「ゲイン(望んでいること)」と、自社の製品・サービスが提供する価値をマッピングします。

顧客側 自社側
ジョブ(やりたいこと) 製品・サービスの機能
ペイン(困っていること) ペインを解消する仕組み
ゲイン(望んでいること) ゲインを実現する仕組み

メッセージングフレームワーク

バリュープロポジションを元に、マーケティングで使うメッセージ体系を設計します。

ワンメッセージ(一言で表す価値)
 └ 3つの柱(主要な価値を3つに分解)
   └ 各柱のサポートポイント(具体的な証拠・数値)
     └ ターゲット別の表現バリエーション

ステップ6:マーケティングミックスを設計する(4P/4C)

4Pと4Cの対応

4P(企業視点) 4C(顧客視点) BtoBでの設計ポイント
Product(製品) Customer Value(顧客価値) 課題解決力、導入支援、カスタマーサクセス
Price(価格) Cost(コスト) ROIの提示、価格体系(月額/年額/従量)
Place(流通) Convenience(利便性) 直販/パートナー/オンライン
Promotion(販促) Communication(対話) コンテンツ、広告、セミナー、展示会

施策ポートフォリオの設計

限られた予算とリソースを最適に配分するために、施策の優先順位を決めます。

予算配分の考え方:

施策カテゴリ 配分目安 役割
コンテンツ制作 30〜40% 中長期の集客基盤構築
広告運用 20〜30% 短期のリード獲得
ツール・インフラ 15〜25% MA/CRM等のテクノロジー
イベント 10〜20% 認知拡大・関係構築

ステップ7:KPI設計と実行計画の策定

KPIの設計

ファネルの各段階にKPIを設定し、進捗を可視化します。

ファネル段階 KPI例 目標値の設定方法
認知 サイト訪問数、インプレッション ゴールから逆算(CVR×目標リード数)
リード獲得 リード数、CVR、CPL 過去実績 or 業界ベンチマーク
育成 MQL数、メール開封率・クリック率 リード数×MQL化率で逆算
商談化 SQL数、商談化率 MQL数×商談化率で逆算
受注 受注数、受注率、受注金額 SQL数×受注率で逆算

実行計画(90日プラン)

戦略を実行に移すために、最初の90日間の具体的なアクションプランを作成します。

期間 重点テーマ 具体的アクション
1〜30日 基盤整備 ペルソナ確定、コンテンツ計画策定、ツール選定
31〜60日 仕組み構築 Webサイト改修、初期コンテンツ制作、MA設定
61〜90日 運用開始 コンテンツ公開、広告運用開始、ナーチャリング開始

よくある失敗パターンと回避策

失敗パターン 原因 回避策
分析に時間をかけすぎる 完璧を求めて実行が遅れる 分析は2〜3週間で区切り、仮説ベースで進める
ターゲットが広すぎる 「全部狙いたい」という欲求 最初は1つのセグメントに絞り、成功後に拡大
戦略と施策が乖離する 戦略の共有・浸透不足 戦略を1枚のシートに要約し、全員が参照
KPIが最終成果だけ 途中のプロセスが管理できない ファネル全体のKPIを設計し、先行指標を追う
一度作って放置する 環境変化への対応不足 四半期ごとに戦略をレビュー・アップデート

まとめ

マーケティング戦略は、7つのステップを順番に進めることで体系的に策定できます。

  1. ゴール設定:SMARTな目標を定義する
  2. 外部環境分析:PEST分析でマクロ環境を把握する
  3. 3C・SWOT分析:競合と自社のポジションを理解する
  4. STP分析:ターゲットを絞り、ポジショニングを決める
  5. バリュープロポジション:提供する独自の価値を明確化する
  6. 4P設計:具体的なマーケティングミックスを設計する
  7. KPI・実行計画:数値目標と90日プランに落とし込む

戦略策定で最も重要なのは「完璧を目指さないこと」です。80点の戦略を素早く作り、実行しながら改善していくアプローチが、最も確実に成果につながります。

各フレームワークの詳しい使い方については、マーケティングフレームワーク15選|目的別の使い方と活用順序を解説もあわせてご覧ください。

マーケティング戦略の策定や見直しをご検討の方は、StartLinkにお気軽にご相談ください。HubSpotを活用した戦略設計と実行を一気通貫でご支援いたします。


株式会社StartLinkは、事業を推進するためのHubSpot導入、また生成AIの社内業務への反映などのHubSpot×AI活用のご相談を受け付けております。 最近では、HubSpotを外部から操作するAIエージェント活用や、HubSpot内で使えるAI機能などのご相談をいただくことも増えてきており、サービスのプランについてご相談/お見積もり依頼があればお気軽にお問い合わせくださいませ。 無料のお問い合わせページより、お気軽にご連絡いただけます。

その他、HubSpot の設計の考え方や構築方法などをご紹介した YouTube チャンネルも運営しておりますので、社内の HubSpot 研修や HubSpot をこれから導入され、導入を検討されている企業様は、ぜひ一度ご確認いただいて、イメージをつかんでいただければなと思います。 すべて無料で公開しておりますので、こちらのYoutubeチャンネルを、ぜひチェックしてみてください!

関連キーワード:

サービス資料を無料DL

著者情報

7-1

今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。