マーケティングと営業の連携を強化する方法|SLA設計からツール活用まで

  • 2026年3月3日

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「マーケが獲得したリードを営業がフォローしない」「営業から見るとマーケのリードは質が低い」――BtoB企業で最も頻繁に聞かれる部門間の軋轢です。マーケティングと営業の連携不全は、リードの無駄、商談機会の損失、そして売上目標の未達に直結します。

この問題の根本原因は、両部門の間に「共通言語」と「明確なルール」がないことにあります。MQLの定義が曖昧なまま、リードを営業に引き渡しても、営業は優先度を判断できません。逆に、営業がフォロー結果をマーケにフィードバックしなければ、リードの質は改善されません。

本記事では、マーケティングと営業の連携を構造的に強化するためのSLA(サービスレベルアグリーメント)設計の方法、MQL定義の合意形成プロセス、情報共有の仕組み、そしてCRM/MAツールを活用した連携基盤の構築まで、実践的なステップを解説します。

この記事でわかること

  • マーケティングと営業の連携が崩れる5つの根本原因
  • SLA(サービスレベルアグリーメント)の設計フレームワーク
  • MQL/SQLの定義を両部門で合意する具体的な手順
  • リード引き渡しからフォローまでの業務フローの設計方法
  • CRM/MAツールを活用した情報共有の仕組み
  • 連携を持続させるための定例会議の運用方法

マーケティングと営業の連携が崩れる5つの原因

マーケティングと営業の連携を強化する方法

よくある対立構造

マーケティング側の不満 営業側の不満
せっかく獲得したリードがフォローされない マーケのリードは質が低く、時間の無駄
営業からのフィードバックがない MQLの定義が曖昧で優先順位がつけられない
成果がパイプラインに反映されない マーケは数ばかり追いかけて売上を見ていない
営業の顧客情報がCRMに入力されない マーケはリードを投げるだけで伴走しない

5つの根本原因

  1. MQL/SQLの定義が曖昧: 何をもって「マーケティングが認定したリード」とするかが不明確
  2. SLAが存在しない: リード引き渡し後のフォロー期限や方法が決まっていない
  3. KPIが分断されている: マーケは「リード数」、営業は「売上」と別々のゴールを追っている
  4. 情報共有の仕組みがない: CRMにデータが集約されておらず、双方が別のツールで管理している
  5. 定期的なコミュニケーションの場がない: 月次の振り返りや改善協議の場が設けられていない

SLA設計のフレームワーク

SLAとは

SLA(Service Level Agreement)とは、マーケティング部門と営業部門の間で交わす「サービス品質の約束」です。具体的には、マーケティングが営業に提供するリードの質と量、営業がリードをフォローする速度と方法を明文化した合意書です。

SLAに含めるべき項目

項目 マーケティングのコミットメント 営業のコミットメント
リード量 月間○件のMQLを提供する 受け取ったMQLの100%をフォローする
リード品質 定義されたスコアリング基準を満たすリードのみ引き渡す フォロー結果を5営業日以内にCRMに記録する
フォロー速度 リード情報を即時にCRMに登録する MQL受領後24〜48時間以内に初回コンタクトする
フィードバック 四半期ごとにMQL品質レポートを提出する 不適格リードの理由をCRMに記録する
共通KPI パイプライン貢献金額を報告する マーケ起点案件の受注率を報告する

SLA策定の5ステップ

ステップ1: 現状データの収集

過去6〜12ヶ月のリードデータを分析し、現在のMQL→SQL転換率、フォロー率、受注率を把握します。

ステップ2: 共通目標の設定

売上目標から逆算し、マーケティングが提供すべきMQL数と、営業が達成すべき受注数を算出します。

ステップ3: MQL/SQLの定義合意

後述するMQL定義の合意プロセスを実施します。

ステップ4: SLA文書の作成

上記の各項目について、具体的な数値目標と運用ルールを文書化します。

ステップ5: 運用開始と定期レビュー

月次でSLAの達成状況を確認し、四半期ごとに基準の見直しを行います。

MQL/SQLの定義を合意する手順

リードステージの整理

まず、リードのライフサイクルステージを定義します。

ステージ 定義 管理責任
Raw Lead 情報を取得しただけの未分類リード マーケティング
MQL(Marketing Qualified Lead) マーケティングが設定した基準を満たしたリード マーケティング
SAL(Sales Accepted Lead) 営業が受け取り、フォロー対象として受け入れたリード 営業
SQL(Sales Qualified Lead) 営業がヒアリングの結果、商談化の見込みがあると判断したリード 営業
Opportunity 具体的な商談として進行中の案件 営業

MQL定義の合意プロセス

ステップ1: ワークショップの開催

マーケティング責任者と営業責任者(+現場の代表者)が参加するワークショップを開催します。

ステップ2: 過去の成約顧客の分析

過去12ヶ月の成約顧客を分析し、共通する属性と行動パターンを抽出します。

ステップ3: スコアリング基準の策定

スコアリング要素 配点例 判定基準
企業規模(従業員数) 0〜20点 100名以上: 20点 / 50〜99名: 10点 / 49名以下: 0点
役職 0〜20点 部長以上: 20点 / 課長: 10点 / 一般: 5点
業種 0〜15点 ターゲット業種: 15点 / 準ターゲット: 8点
Web行動(ページ閲覧) 0〜20点 料金ページ: 20点 / 事例ページ: 10点
コンテンツDL 0〜15点 導入ガイド: 15点 / ホワイトペーパー: 8点
イベント参加 0〜10点 製品デモ: 10点 / ウェビナー: 5点

MQL閾値の設定例: 合計スコア60点以上をMQLとする

ステップ4: テスト運用と調整

2〜3ヶ月のテスト運用を行い、営業のフィードバックを基にスコアリング基準を調整します。

リード引き渡しフローの設計

理想的なフロー

  1. リードがMQLスコアに到達する
  2. CRM/MAツールが自動で営業にアラート通知を送信する
  3. 営業が24時間以内にCRMでリード情報を確認する
  4. 営業が48時間以内に初回コンタクト(メールまたは電話)を実施する
  5. 営業がフォロー結果をCRMに記録する(SAL承認 or リサイクル)
  6. SAL承認後、ヒアリングを実施しSQL判定を行う
  7. 不適格の場合は「リサイクル」としてマーケティングのナーチャリングリストに戻す

リサイクルの仕組み

営業が「今すぐではない」と判断したリードを捨てるのではなく、マーケティングのナーチャリングリストに戻す仕組みが重要です。

リサイクル理由 マーケティングのアクション
タイミングが合わない 定期的なメールナーチャリングを継続
予算がない ROI事例のコンテンツを配信
決裁者ではない 決裁者向けコンテンツに誘導
情報収集段階 教育コンテンツで育成を継続

CRM/MAツールを活用した連携基盤

ツールに求められる機能

機能 用途 連携のポイント
リードスコアリング MQL判定の自動化 マーケ・営業で基準を共同設定
ライフサイクルステージ管理 リードの進捗可視化 ステージ変更を自動で通知
タスク自動割り当て フォロー漏れの防止 MQL到達時に営業に自動タスク生成
共通ダッシュボード ファネル全体の可視化 マーケ・営業が同じ画面を見る
フィードバック記録 リサイクル・不適格の記録 構造化された入力フォーム

HubSpotでの連携設計のポイント

HubSpotを利用すると、CRM・MA・営業支援が一つのプラットフォームで統合されているため、マーケと営業のデータが自然に繋がります。リードスコアリング、ライフサイクルステージ、ワークフローによる自動通知、共通ダッシュボードなど、連携に必要な機能が標準で備わっています。

連携を持続させるための定例会議

推奨ミーティング体制

会議 頻度 参加者 アジェンダ
ファネルレビュー 週次 マーケ担当+営業担当 今週のMQL/SQL数、フォロー状況
SLAレビュー 月次 マーケ責任者+営業責任者 SLA達成状況、MQL品質の評価
戦略すり合わせ 四半期 経営+マーケ+営業 KPI見直し、MQL定義の調整

月次SLAレビューのチェック項目

  • MQL提供数はSLA目標を達成したか
  • 営業のフォロー率は100%か
  • 初回コンタクトは48時間以内に実施されたか
  • MQL→SQL転換率は目標を達成しているか
  • リサイクルリードの理由に偏りはないか
  • SLAの基準に修正が必要な項目はないか

まとめ

マーケティングと営業の連携強化は、SLAの策定、MQL/SQLの定義合意、リード引き渡しフローの設計、そして定期的なコミュニケーションの4つの柱で成り立ちます。どれか一つが欠けても、連携は形骸化してしまいます。

特に重要なのは、両部門が「パイプライン金額」と「受注率」という共通KPIを持ち、同じダッシュボードで進捗を確認する体制を作ることです。個別のKPI(マーケはリード数、営業は受注数)だけでなく、共通のゴールを持つことで、部門間の利害対立を構造的に解消できます。

HubSpotのようなCRM/MAプラットフォームを活用すれば、リードスコアリングからSLA管理、共通ダッシュボードまで一つのツールで完結できます。StartLinkでは、SLA設計やMQL定義のワークショップから、HubSpotを活用した連携基盤の構築まで、マーケ・営業連携の強化を一貫して支援しています。お気軽にご相談ください


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
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