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「MAツールのシナリオ機能を使いたいが、何から設計すればよいかわからない」「シナリオを作ったが、期待した成果が出ない」——MAシナリオの設計は、多くのBtoB企業が最も苦戦するポイントです。ツールの操作方法は学べても、「何をどう自動化するか」の設計が曖昧なままでは成果につながりません。
MAシナリオの設計には「型」があります。BtoBで成果が実証されている鉄板パターンを知り、それを自社に合わせてカスタマイズするのが最も確実なアプローチです。ゼロから考えるのではなく、成功パターンを起点にすることで、設計の精度とスピードが格段に向上します。
本記事では、BtoBで効果の高い5つの鉄板シナリオ(新規リード育成、商談化促進、失注復活、休眠掘り起こし、CS/アップセル)の設計パターンと、シナリオ設計の具体的な手順フレームワークを解説します。
この記事でわかること
- BtoBで効果の高い5つの鉄板MAシナリオの全体設計
- 各シナリオのトリガー、条件分岐、アクションの具体的な設定方法
- シナリオ設計の手順フレームワーク(6ステップ)
- シナリオの優先順位の決め方
- 効果測定と改善のポイント
- よくある設計ミスと回避方法
MAシナリオ設計の基本フレームワーク
シナリオの3要素
すべてのMAシナリオは、以下の3要素で構成されます。
| 要素 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| トリガー | シナリオを開始するきっかけ | フォーム送信、スコア到達、日付条件 |
| 条件分岐 | リードの状態に応じて処理を分ける | 開封有無、クリック有無、属性条件 |
| アクション | 実行する処理 | メール送信、通知、プロパティ変更、リスト追加 |
シナリオ設計の6ステップ
- ゴールの定義: シナリオで達成したい成果を明確にする
- ターゲットの特定: 対象となるリードの条件を決める
- トリガーの設定: 何をきっかけにシナリオを開始するか
- ステップの設計: メールの内容・順序・間隔を決める
- 分岐条件の設計: リードの反応に応じた分岐を設ける
- 効果測定の設計: 何を指標にシナリオの成果を判断するか
鉄板シナリオ1: 新規リード育成シナリオ
概要
新たに獲得したリードに対して、段階的に情報を提供し、検討段階を進めるシナリオです。MAシナリオの中で最も基本的かつ重要なパターンです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トリガー | 資料DL、ウェビナー参加、ブログCTA経由の登録 |
| ゴール | MQL化(一定スコア到達)→ 営業への引き渡し |
| 期間 | 30日間 |
| 通数 | 5〜7通 |
| 対象 | 新規リード全般 |
シナリオフロー
[トリガー: フォーム送信]
↓
[即時] お礼メール+追加コンテンツ
↓ 3日後
[条件分岐] メール開封した?
├── YES → 課題深掘りコンテンツを送信
└── NO → 件名を変えて再送(2日後)
↓ 7日後
[導入事例メール]
↓
[条件分岐] 料金ページ閲覧した?
├── YES → 即座に営業通知+商談案内メール
└── NO → 続きのシナリオへ
↓ 14日後
[比較・選定ガイドメール]
↓ 21日後
[ウェビナー/相談会の案内]
↓ 30日後
[条件分岐] スコアが閾値に到達?
├── YES → MQL化、営業に引き渡し
└── NO → 休眠シナリオに移行
設計のポイント
- 最初の3通は価値提供100%。売り込みは後半から
- 料金ページの閲覧は強い購買意欲シグナル。検知したら即座に営業に通知
- 30日で反応がなければ無理に追わず、休眠シナリオに移行
鉄板シナリオ2: 商談化促進シナリオ
概要
MQLに到達したリードに対して、商談(デモ・相談)の申込を促進するシナリオです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トリガー | MQL基準到達(スコア閾値超え or 特定行動) |
| ゴール | 商談(デモ・相談)の申込 |
| 期間 | 14日間 |
| 通数 | 4通 |
| 対象 | MQL到達リード |
シナリオフロー
[トリガー: MQL到達]
↓
[即時] 営業担当者からのパーソナルメール
+ 営業担当者にSlack/CRM通知
↓ 2日後
[条件分岐] 商談予約した?
├── YES → シナリオ終了 → オンボーディングシナリオへ
└── NO → 同業種の事例メール送信
↓ 5日後
[条件分岐] メール反応あり?
├── YES → ROI試算/比較資料メール
└── NO → 営業に電話フォロー依頼
↓ 14日後
[最終案内] 期間限定の特別相談会案内
↓
[条件分岐] 商談予約した?
├── YES → シナリオ終了
└── NO → ナーチャリングシナリオに戻す
設計のポイント
- MQL到達時の営業担当者への即時通知が最重要
- メールの差出人をマーケティングから営業担当者個人に切り替える
- 商談化しなかった場合はナーチャリングに戻し、再度MQL到達を待つ
鉄板シナリオ3: 失注復活シナリオ
概要
商談まで進んだが受注に至らなかった(失注した)案件に対して、一定期間後に再アプローチするシナリオです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トリガー | 商談ステータスが「失注」に変更 |
| ゴール | 再商談の獲得 |
| 期間 | 90日間 |
| 通数 | 4〜5通 |
| 対象 | 失注案件の担当者 |
シナリオフロー
[トリガー: 商談ステータス → 失注]
↓
[即時] お礼+今後も情報提供する旨のメール
↓ 30日後
[条件分岐] 失注理由による分岐
├── 価格 → 新プラン/キャンペーン情報
├── 機能不足 → 新機能/アップデート情報
├── タイミング → 業界トレンド+再検討のきっかけ
└── 競合選定 → 差別化ポイント+新事例
↓ 60日後
[新着事例・ケーススタディ]
↓ 75日後
[業界レポート/調査データ]
↓ 90日後
[再提案の案内]
「状況が変わっていましたら、改めてお話できれば幸いです」
設計のポイント
- 失注直後の売り込みは逆効果。30日間のクーリング期間を設ける
- 失注理由ごとに異なるコンテンツを送ることで、再検討のきっかけを作る
- 最終メールは押し売りにならない、軽い問いかけにとどめる
鉄板シナリオ4: 休眠リード掘り起こしシナリオ
概要
一定期間(90日以上)アクションがないリードに対して、再エンゲージメントを図るシナリオです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トリガー | 90日以上メール開封/サイト訪問なし |
| ゴール | メール開封 or サイト訪問(再エンゲージメント) |
| 期間 | 30日間 |
| 通数 | 3〜4通 |
| 対象 | 休眠リード |
シナリオフロー
[トリガー: 90日間アクションなし]
↓
[即時] 件名を工夫した再接触メール
「{姓}様、ご無沙汰しております。{業界}の最新動向をまとめました」
↓ 7日後
[条件分岐] 開封した?
├── YES → 人気コンテンツTOP3のまとめメール
│ → 通常のナーチャリングシナリオに復帰
└── NO → 別角度の件名で再トライ
「{会社名}様の{業界}で注目される3つの変化」
↓ 14日後
[条件分岐] いずれかのメールに反応あり?
├── YES → ナーチャリングシナリオに復帰
└── NO → 最終メール: 配信継続確認
↓ 30日後
[配信継続の確認メール]
「引き続きメールをお届けしてよろしいですか?」
→ 反応なし → サプレッションリストに移動(配信停止)
設計のポイント
- 休眠リードへの最初のメールは件名が命。通常より工夫が必要
- 3〜4通反応がない場合は配信停止する。リストの健全性を保つことが優先
- 復帰したリードは通常のナーチャリングシナリオに合流させる
鉄板シナリオ5: CS/アップセルシナリオ
概要
既存顧客に対して、利用促進(カスタマーサクセス)とアップセル/クロスセルを図るシナリオです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| トリガー | 契約後の経過日数 or 利用状況のマイルストーン |
| ゴール | 上位プラン/追加サービスの検討開始 |
| 期間 | 契約期間に応じて継続 |
| 通数 | 月1〜2通(継続的) |
| 対象 | 既存顧客 |
シナリオフロー
[トリガー: 契約開始]
↓ 30日後
[活用状況レポート+Tips]
↓ 60日後
[活用度診断+改善提案]
↓ 90日後
[条件分岐] 活用度は高い?
├── 高い → 上位プランの事例紹介
│ → アップセル提案メール
└── 低い → 活用促進コンテンツ
→ CSチームに通知(解約リスク)
↓ 契約更新2ヶ月前
[更新案内+上位プランの提案]
↓ 契約更新1ヶ月前
[最終確認+特典案内]
設計のポイント
- 活用度の低い顧客にアップセルを仕掛けるのは逆効果。まず活用支援を優先
- 契約更新のタイミングに合わせたシナリオ設計が重要
- CSチームとの連携を設計に組み込む(解約リスクの早期検知)
シナリオの優先順位の決め方
判断基準マトリクス
| シナリオ | 設計難易度 | 期待効果 | 優先順位 |
|---|---|---|---|
| 新規リード育成 | 中 | 高 | 最優先 |
| 商談化促進 | 中 | 高 | 2番目 |
| 失注復活 | 中 | 中〜高 | 3番目 |
| 休眠掘り起こし | 低 | 中 | 4番目 |
| CS/アップセル | 高 | 中〜高 | 5番目 |
推奨する実装順序
- まず: 新規リード育成シナリオ(最も汎用的で効果が見えやすい)
- 次に: 商談化促進シナリオ(営業との連携を確立)
- その後: 失注復活と休眠掘り起こし(既存資産の有効活用)
- 最後に: CS/アップセル(既存顧客データの蓄積が前提)
よくある設計ミスと回避方法
| ミス | 問題 | 回避方法 |
|---|---|---|
| 分岐が多すぎる | 複雑すぎて管理できない | 最初は分岐2〜3つまでに抑える |
| 配信間隔が短すぎる | 配信停止率が上昇 | 最低3日以上空ける |
| ゴールが曖昧 | 効果測定ができない | シナリオごとに1つの明確なゴールを設定 |
| 全員に同じシナリオ | 関連性が低い | 最低限の属性セグメントで分ける |
| 終了条件がない | いつまでもメールが届く | 必ず終了条件(ゴール達成 or 期間終了)を設定 |
| テストなしで本番稼働 | 不具合や誤配信のリスク | 社内メンバーでテスト配信を必ず実施 |
まとめ
MAシナリオの設計は「鉄板パターン」を起点にすることで、効率的かつ確実に成果につながる仕組みを構築できます。
- 5つの鉄板シナリオ(新規育成・商談化促進・失注復活・休眠掘り起こし・CS/アップセル)がBtoBの基本
- 設計は6ステップのフレームワーク(ゴール→ターゲット→トリガー→ステップ→分岐→効果測定)に沿って進める
- 最優先は新規リード育成シナリオ。ここで成功体験を作る
- 最初はシンプルに設計し、データを見ながら段階的に分岐を追加する
- よくある設計ミスを事前に把握し、回避策を講じる
次のアクション:
- 5つのシナリオから最優先の1本を選ぶ(推奨: 新規リード育成)
- 6ステップのフレームワークに沿って設計書を作成する
- MAツール上に実装し、社内テストを実施する
- 本番稼働後、2週間で初回の効果測定を行う
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。