「HubSpotで受注管理をしているが、見積書・請求書は別のツールで作成しているため、データが二重管理になっている」「営業が受注した案件の請求状況がリアルタイムで把握できない」——CRMと見積・請求管理の分断は、営業とバックオフィスの連携を阻害する大きな要因です。
HubSpot × board連携とは、クラウド型見積・請求管理サービス「board」とHubSpotのCRMを連携させ、営業の取引データと見積書・請求書の作成・管理を一気通貫で行える仕組みです。受注から請求・入金管理までのプロセスをシームレスに接続することで、営業とバックオフィスの情報格差を解消します。
本記事では、boardの基本機能、HubSpotとの連携方法、具体的な業務フロー、設計上のポイントを解説します。
この記事でわかること
- boardの基本機能とHubSpotとの連携メリット
- 連携の技術的な方法とiPaaS活用
- 受注→見積→請求→入金の一気通貫フロー設計
- HubSpotの取引パイプラインとboardの見積管理を統合する方法
- 運用上の注意点と正直な限界
boardとは
boardは、見積書・納品書・請求書・領収書の作成から、売上管理・案件管理までを一元管理できるクラウドサービスです。日本の商習慣に合わせた帳票フォーマットに対応しており、インボイス制度(適格請求書等保存方式)にも対応しています。
boardの主要機能
| 機能 |
概要 |
| 見積書作成 |
テンプレートベースで見積書を作成・送付 |
| 請求書作成 |
見積書から1クリックで請求書に変換 |
| 納品書・領収書 |
見積書データを基に自動生成 |
| 売上管理 |
月次・年次の売上レポート |
| 案件管理 |
案件ごとの進捗・原価管理 |
| インボイス対応 |
適格請求書の要件を満たすフォーマット |
HubSpot × board連携のメリット
1. 二重入力の解消
HubSpotの取引データ(会社名、金額、商品明細等)をboardに自動連携することで、見積書・請求書作成時の手動入力を削減できます。
2. 営業 → バックオフィスの引き継ぎ自動化
取引が「受注」ステージに移行したタイミングで、boardでの請求書作成をトリガーするフローを組めば、営業からバックオフィスへの「請求書お願いします」という口頭依頼が不要になります。
3. 請求・入金状況のCRM一元管理
boardでの請求書発行状況や入金状況をHubSpotの取引レコードに反映させることで、営業チームが請求の進捗をリアルタイムで把握できます。「受注日をちょっと受注した後にずらすとか金額を少し減らしちゃうとかそういったことをされるとレポート上であれ先月閉まった数値と違うんじゃない?」——こうした問題も、boardとの連携で受注データと請求データを照合できるため、早期に発見できます。
連携の技術的方法
iPaaSを使った連携
HubSpotとboardの連携は、iPaaS(Yoom)を使う方法が最もシンプルです。boardはYoomで対応しているため、ノーコードで連携フローを構築できます。
連携フローの例:
- HubSpotの取引ステージが「見積もり提示」に移行(トリガー)
- Yoomが取引データ(会社名、金額、品目等)を取得
- boardに見積書を自動作成
- 見積書のURLをHubSpotの取引レコードにメモとして記録
HubSpot Commerce Hub × boardの役割分担
HubSpotにはCommerce Hub(見積もり機能)が標準搭載されていますが、日本の商習慣(印鑑、インボイス制度、独自の帳票フォーマット等)への対応にはまだ限界があります。
| 機能 |
HubSpot Commerce Hub |
board |
| 見積書フォーマット |
欧米標準 |
日本商習慣対応 |
| インボイス制度 |
非対応 |
対応 |
| 印鑑・社印 |
非対応 |
対応 |
| 請求書 → 入金管理 |
限定的 |
充実 |
| CRM連携 |
ネイティブ |
iPaaS経由 |
「セキュリティリスク的なところで言うとリンクが公開されてしまったりする部分と承認機能があまり強くない」——HubSpotの見積もり機能の正直な限界を踏まえると、日本市場向けのBtoBビジネスではboardとの併用が現実的な選択肢です。
一気通貫フローの設計
Phase 1: 商談 → 見積
- HubSpotの取引パイプラインで商談を管理
- 「見積もり提示」ステージに移行
- 取引データをboardに連携し、見積書を自動作成
- boardで見積書のPDFを生成・送付
Phase 2: 見積承認 → 受注
- 顧客が見積を承認
- HubSpotの取引を「受注内示」→「受注」に更新
- boardの見積書ステータスを「承認済み」に更新
Phase 3: 受注 → 請求
- boardで見積書から請求書を自動作成(1クリック)
- 請求書番号・発行日をHubSpotの取引レコードに記録
- インボイス制度対応の適格請求書として発行
Phase 4: 請求 → 入金
- boardで入金消込を実施
- 入金状況をHubSpotの取引プロパティに反映
- 全額入金後、取引ステージを「入金完了」に自動更新
設計上のポイント
1. データマッピングの整理
HubSpotとboardのフィールド対応を事前に整理しておくことが成功の鍵です。
| HubSpotプロパティ |
boardフィールド |
| 取引名 |
案件名 |
| 関連会社名 |
取引先名 |
| 金額 |
見積金額 |
| 取引ステージ |
ステータス |
| 品目(商品明細) |
明細行 |
2. 金額の整合性チェック
HubSpotの取引金額とboardの見積金額に差異が生じないよう、定期的な照合プロセスを組み込みましょう。税抜・税込の計算方法の違いにも注意が必要です。
3. 自社に合わせたカスタマイズ
「企業様によって最適な形は異なります」——受注後の請求フロー(月末締め翌月払い、都度請求、分割請求など)に応じて、連携フローをカスタマイズしましょう。
注意点と正直な限界
iPaaS連携のタイムラグ
iPaaS経由の連携にはタイムラグ(数秒〜数分)が発生します。即座に見積書が必要な場合は、手動でboardを操作する運用も残しておきましょう。
データの不整合リスク
HubSpotとboardの両方で金額やステータスを更新する場合、データの不整合が発生するリスクがあります。「どちらをマスターとするか」を明確に決めておくことが重要です。
board以外の選択肢
見積・請求管理ツールはboard以外にも、freee請求書、マネーフォワードクラウド請求書、Misocaなどがあります。自社の会計ソフトとの親和性も考慮して選定しましょう。当社ではHubSpotとfreeeの連携アプリ「Sync」も提供しています。
まとめ
HubSpot × board連携により、営業の商談管理から見積書・請求書の作成・入金管理までを一気通貫で管理できます。まずは「取引受注 → board見積書作成」のシンプルなフローから始めて、段階的に請求・入金管理まで拡張していきましょう。
営業とバックオフィスの情報が一元化されることで、「あの案件の請求書、もう出した?」という確認作業がなくなり、組織全体の業務効率が向上します。
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よくある質問(FAQ)
Q1. boardを使わずにHubSpotだけで見積・請求管理はできますか?
HubSpotのCommerce Hub(見積もり機能)で基本的な見積書作成は可能です。ただし、インボイス制度への完全対応や日本式の帳票フォーマットには制約があるため、日本のBtoBビジネスではboardとの併用をおすすめします。
Q2. board以外の見積・請求ツールとも同様の連携はできますか?
はい、iPaaSを使えばfreee請求書やマネーフォワードクラウド請求書などとも連携可能です。当社ではHubSpot × freee連携の専用アプリ「Sync」も開発・提供しています。
Q3. 連携の初期設定にどのくらいの時間がかかりますか?
シンプルな連携(取引 → 見積書自動作成)であれば、Yoomを使って1〜2日で設定可能です。請求・入金管理まで含めた一気通貫フローの場合は、業務フローの整理を含めて1〜2週間程度を見込んでおきましょう。
Q4. SaaS企業のMRR管理にもこの連携は使えますか?
はい、MRR管理にも活用できます。HubSpotの取引にサブスクリプション情報を持たせ、boardで月次の請求書を自動生成するフローを構築できます。HubSpotでのMRR管理についてはMRR管理ガイドもご参照ください。