HubSpot社内定着・トレーニング完全ガイド|チームに使いこなしてもらうための施策

  • 1970年1月1日

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「HubSpotを導入したのに、営業チームがExcelに戻ってしまった」

「高機能なツールを入れたのに、基本的な入力すらされていない」

——CRMの導入後に最も多く聞かれる悩みが「社内定着」の課題です。

HubSpotの社内定着とは、導入したHubSpotが単なる「入れただけのツール」ではなく、日常業務に組み込まれ、チーム全員がデータを入力・活用し、意思決定に活かしている状態を指します。ツールを導入しただけでは成果は出ません。現場に「使い続けてもらう」ための仕組みづくりがポイントになってくるかなと思います。

本記事では、HubSpot導入支援の実務経験をもとに、社内定着を実現するためのトレーニング方法・仕組み化のノウハウ・学習リソースを体系的に解説します。

この記事でわかること:

  • HubSpotが社内に定着しない3つの根本原因
  • 部門・役割別の効果的なトレーニング方法
  • 「人」ではなく「仕組み」で定着させるシステム設計
  • 無料で使えるHubSpot学習リソースの活用法
  • 定着度を測定するKPIと改善サイクル

HubSpotが社内に定着しない3つの根本原因

原因1: 「なぜ使うのか」が伝わっていない

最もよくある原因は、導入の目的やメリットが現場に十分に伝わっていないことです。経営層やIT部門が選定したツールを「明日から使って」と言われても、現場の営業担当者には「今までのやり方で問題ないのに、なぜ変えるのか」という抵抗感が生まれます。

原因2: トレーニングが「機能説明」で終わっている

「この画面でコンタクトを登録します」「ここからレポートが見られます」という機能説明だけのトレーニングでは、現場は「で、私の業務にどう関係するの?」となってしまいます。操作方法ではなく、自分の業務がどう楽になるかを伝えることが結構ミソになってくるポイントです。

原因3: 「入力しなくても困らない」環境になっている

HubSpotに入力してもしなくても業務が回る状態では、忙しい営業担当者がわざわざデータを入力する動機がありません。入力しないとステージ移行できない、入力したら自動でレポートに反映されるという「仕組み」がなければ、定着は進みません。


部門・役割別トレーニング設計

HubSpotのトレーニングは、全員に同じ内容を教えるのではなく、部門・役割ごとに必要な知識と操作を切り分けて設計することが重要です。

経営層・管理職向け(所要時間: 1〜2時間)

項目 内容
目的 ダッシュボード・レポートの見方を理解し、データに基づく意思決定ができるようになる
必要な操作 ダッシュボード閲覧、レポートのフィルタリング、定期配信メールの設定
シート種別 表示のみシート(無料)で十分
ポイント 代表や副社長もレポートだけ見ていればいいという場合は無料で利用可能

営業チーム向け(所要時間: 3〜4時間 + OJT)

項目 内容
目的 日常の営業活動をHubSpot上で完結できるようになる
必要な操作 コンタクト・会社・取引の登録・更新、パイプライン管理、メール送信・記録、タスク管理、シーケンス
シート種別 Sales Hub有償シート
ポイント 「入力すると何が楽になるか」を具体的にデモ。1000万の案件がアポ取得段階なら受注見込みは10%=100万、という加重金額の仕組みを見せると腹落ちしやすい

マーケティングチーム向け(所要時間: 4〜6時間 + OJT)

項目 内容
目的 リード獲得からナーチャリングまでのMA運用ができるようになる
必要な操作 フォーム作成、メール配信、ワークフロー設定、リードスコアリング、キャンペーン管理
シート種別 コアシート(Marketing Hub)
ポイント MAを入れるとGoogle広告のコンバージョンが「誰だったのか」まで追跡できる点が価値。スプレッドシートでの手動集計から脱却できる

カスタマーサポート向け(所要時間: 2〜3時間 + OJT)

項目 内容
目的 チケット管理とナレッジベースの運用ができるようになる
必要な操作 チケット登録・対応、ナレッジベース記事の作成、ヘルプデスクの操作
シート種別 Service Hub有償シート
ポイント 顧客が20社程度ならスプレッドシートでも管理できるが、100社〜200社超になると追い切れなくなる。その規模感に合わせて導入時期を判断

「仕組み」で定着させるシステム設計

カスタムレポート一覧

トレーニングだけでは定着しません。人に頼らず、システムで「使わざるを得ない」環境を作ることが結構ミソになってくるかなと思います。

仕組み1: 必須入力プロパティの設定

パイプラインのステージ移行時に、必ず入力すべき項目を強制します。

ステージ 必須プロパティ例
アポ取得 → 初回提案 提案予定日、主要ニーズ
見積もり提示 → 受注内示 金額、クローズ予定日
受注 受注理由(選択式)
失注 失注理由(選択式)

この設計には副次的なメリットもあります。新人営業が「このステージで何を確認・入力すべきか」を知るツールにもなるため、人材育成にもつながります。

仕組み2: ワークフローによる自動化

手動作業を減らすことで「HubSpotを使う方が楽」という体験を作ります。

  • リード通知: フォーム送信→Slackに自動通知→営業担当者に自動割り当て
  • ライフサイクルステージ自動更新: スコアが50点を超えたらMQL化
  • マーケティングコンタクト管理: 90日間メール未開封→自動で対象外化(課金最適化)
  • フォローアップタスク自動作成: 取引ステージ変更→次のアクションをタスクとして自動作成

毎回チェックボックスを作ってワークフローで処理していると、ワークフローの数が増えすぎてうまく動作しなくなることがあるので、計算プロパティで代替できるものはワークフローを使わないことも大切です。

仕組み3: ダッシュボードの活用

ダッシュボードを会議シーン別に分けて運用することで、「HubSpotを見る理由」を作ります。

ダッシュボード 用途 更新頻度
営業会議用 パイプライン状況、今月の受注見込み、活動量 毎週
経営会議用 売上推移、KPI達成率、マーケROI 毎月
タスク管理用 各担当者の未対応タスク、期限切れ案件 毎日
マーケ分析用 リード獲得数、チャネル別成果、メール効果 毎週

ダッシュボードを定期配信(例: 毎週水曜朝8時にPowerPoint形式で送信)すると、HubSpotにログインしなくてもデータが届くため、経営層のレポート活用が進みます。

仕組み4: 権限設計でガバナンスを確保

プロパティ設定を管理者のみ変更できるようにしたり、受注後に金額・日付を変更できないようにパイプラインルールを設定することで、データの信頼性を担保します。


効果的なトレーニングの進め方

ステップ1: キックオフ(Why の共有)

全社向けに30分程度のキックオフを実施し、「なぜHubSpotを導入するのか」「導入後にどんな成果を目指すのか」を共有します。ここでは機能説明は最小限にし、ビジネス上のメリットにフォーカスします。

ステップ2: 部門別ハンズオントレーニング

各部門の業務に合わせた実践型トレーニングを実施します。画面を見せるだけでなく、実際にデータを入力してもらう「ハンズオン形式」が効果的です。

トレーニングのコツ:

  • デモアカウントではなく、自社の実データ(またはテストデータ)を使う
  • 「この操作をすると、あのレポートにこう反映される」という因果関係を見せる
  • 1回で詰め込まず、基本操作→応用操作の2回に分ける

ステップ3: OJT期間(2〜4週間)

トレーニング後すぐに「完璧に使いこなす」ことは難しいため、2〜4週間のOJT期間を設けます。この期間中は以下を実施します。

  • 各部門のチャンピオン(推進者)が日常的に質問を受け付ける
  • 週1回の「使い方相談会」(15分)を開催
  • よくある質問をFAQ化してナレッジベースに蓄積

ステップ4: 定着度チェックと改善

1ヶ月後にデータ入力率・ログイン率を確認し、定着が進んでいない部門には追加のフォローアップトレーニングを実施します。


無料で使えるHubSpot学習リソース

HubSpot Academy トレーニングポータル

出典: HubSpot Academy (academy.hubspot.com)

HubSpot Academy

HubSpotが公式に提供する無料の学習プラットフォームです。動画レッスン・クイズ・認定資格試験が用意されています。

おすすめコース 対象者 所要時間目安
HubSpot CRM認定コース 全ユーザー 2〜3時間
インバウンドマーケティング認定 マーケ担当 4〜5時間
HubSpot Sales Software認定 営業担当 3〜4時間
HubSpot Marketing Software認定 マーケ担当 5〜6時間

動画レッスンは短時間で区切られているため、仕事の合間や移動時間に学習しやすく、同僚とのディスカッションを通じて業務に落とし込むことで定着度が高まります。

HubSpot コミュニティ

日本語コミュニティで他のユーザーに質問したり、ベストプラクティスを共有したりできます。「同じ悩みを持った企業がどう解決したか」の事例が参考になります。

HubSpotナレッジベース

機能ごとの詳細な操作手順が日本語で公開されています。社内マニュアルを自作する前に、まずナレッジベースの該当ページを共有するのが効率的です。


Salesforce経験者がHubSpotに移行する際のポイント

Salesforceを使っていたチームがHubSpotに移行する場合、以下の違いを理解しておくとトレーニングがスムーズになります。

Salesforce HubSpot 移行時の注意点
オブジェクト オブジェクト 基本構造は類似。カスタムオブジェクトはEnterprise以上
ページレイアウト レコードカスタマイズ カスタマイズの粒度はSalesforceの方が細かい
Apex / Visualforce カスタムコード(Node.js/Python) 開発言語が異なる。ワークフロー内で実行可能
レポートビルダー カスタムレポートビルダー 式フィールドのグルーピングはSalesforceとかなり近いUXに
プロファイル / 権限セット チーム / 権限セット 概念は類似しているが設定方法が異なる

HubSpotは「よりシンプルなUI」「MA一体型」という強みがあります。Salesforceで複雑化していた設定をHubSpot移行時にシンプル化することで、現場の定着が進むケースもあります。


定着度を測定するKPIと改善サイクル

ユーザーとチーム管理

定着度KPI

KPI 目標値(目安) 測定方法
ログイン率 週5日以上: 対象ユーザーの80%以上 HubSpot管理画面のアクティビティログ
データ入力率 取引の必須プロパティ入力率: 90%以上 プロパティのフィルレートレポート
パイプライン更新頻度 全取引の50%以上が週1回以上更新 取引の最終更新日レポート
レポート閲覧率 ダッシュボードのアクティブ閲覧者: 対象の70%以上 ダッシュボードの閲覧ログ

改善サイクル

  1. 月次レビュー: 定着度KPIを確認し、低い部門を特定
  2. ヒアリング: 使わない理由を直接聞く(「操作がわからない」「メリットが感じられない」等)
  3. 対策実施: 追加トレーニング / 設定改善 / ワークフロー追加
  4. 効果測定: 翌月のKPIで改善を確認

まとめ

HubSpotの社内定着は、トレーニングだけでなく「仕組み化」と「継続的な改善」の3つが揃って初めて実現します。

定着成功のポイント:

  • 「なぜ使うのか」をビジネスメリットとして全社に共有
  • 部門・役割ごとに必要な操作に絞ったトレーニングを実施
  • 必須入力・自動化・ダッシュボードで「使わざるを得ない」仕組みを構築
  • HubSpot Academyなどの無料リソースを積極的に活用
  • 定着度KPIを定期的に測定し、改善サイクルを回す

まずはHubSpotの基本操作ガイドで基本を押さえ、パイプライン設計で自社に最適な業務フローを構築した上で、ワークフロー設定で自動化を進めていきましょう。CRMにデータが蓄積されるほど、レポート・ダッシュボードの精度が上がり、データドリブンな意思決定が可能になります。


よくある質問(FAQ)

Q1. HubSpotのトレーニングにどのくらいの期間を見込むべきですか?

A. 基本操作のトレーニングは1〜2日、OJT期間を含めると1ヶ月程度で基本的な定着が見込めます。MAやワークフローなどの高度な機能は、3〜6ヶ月かけて段階的に習得していくのが現実的です。

Q2. 全社トレーニングと部門別トレーニング、どちらを先にやるべきですか?

A. まず全社向けのキックオフ(30分程度)で「なぜ導入するのか」を共有し、その後に部門別のハンズオントレーニングを実施する2段階がおすすめです。

Q3. HubSpot Academyの認定資格は業務に役立ちますか?

A. はい、特にCRM認定コースとインバウンドマーケティング認定は実務に直結する内容です。チーム内で認定取得を推奨することで、学習のモチベーション向上にもつながります。

Q4. 現場から「使いにくい」と言われた場合、どう対処すべきですか?

A. まず具体的に「何が使いにくいのか」をヒアリングします。多くの場合、(1)操作方法がわからない、(2)自社の業務フローに合っていない、(3)入力項目が多すぎる、のいずれかです。操作方法は追加トレーニングで、業務フローの不一致はパイプラインやプロパティの再設計で、入力項目の多さは不要項目の削除で対応できます。

Q5. 外部のトレーニングサービスを利用すべきですか?

A. CRM導入が初めてで社内にHubSpotの知見がない場合は、HubSpot認定パートナーのトレーニングサービスを利用することで、立ち上げ工数と学習コストを大幅に削減できます。通常、業者に頼むと高かったりしますが、長期的に見れば「内製化」できる状態を早く作れるため、投資対効果は高いかなと思います。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。