HubSpotとSalesforce連携・データ同期ガイド|併用時の設定方法とベストプラクティス

  • 1970年1月1日

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「Salesforceは営業で使っているけど、マーケティング施策はHubSpotでやりたい」「両方のツールに同じデータを二重入力するのが面倒」——こうした課題は、SalesforceとHubSpotの併用を検討・実践している企業でよく聞かれます。

HubSpotとSalesforce連携とは、HubSpotが提供する公式連携コネクターを使って、両プラットフォーム間でコンタクト・会社・取引などのCRMデータを自動同期する仕組みです。MAはHubSpot、SFAはSalesforceという役割分担で運用しつつ、データの一元管理を実現できます。

この記事では、HubSpot-Salesforce連携の設定方法から、同期ルールの設計、フィールドマッピング、よくあるトラブルとベストプラクティスまでを解説します。


この記事でわかること

  • HubSpot-Salesforce連携の全体像と同期の仕組み
  • 連携の設定手順(インストールからフィールドマッピングまで)
  • 同期ルールの設計方法(双方向・片方向・選択型同期)
  • フィールドマッピングの注意点
  • 運用上のベストプラクティスとよくあるトラブル対処法

HubSpotとSalesforce連携の全体像

Salesforce CRM 日本語サイト

出典: Salesforce (salesforce.com/jp)

なぜ連携が必要か

BtoB企業では「マーケティングはHubSpot、営業はSalesforce」という併用パターンが増えています。しかしツールが分断されていると、以下の課題が発生します。

  • リード情報の二重入力が必要
  • マーケ施策の成果が営業側で見えない
  • 営業の商談進捗がマーケ側で把握できない
  • データの差分が発生して正しいレポートが作れない

スプレッドシートで両ツールのデータを手動突合している企業様もいらっしゃるかと思いますが、データ量が増えるとこの作業はなかなかにしんどいわけです。HubSpotの公式Salesforceコネクターを使えば、こうした課題を自動同期で解決できます。

連携で同期できるオブジェクト

HubSpot Salesforce 同期の方向
コンタクト リード / 取引先責任者 双方向
会社 アカウント(取引先) 双方向
取引 商談 双方向
チケット ケース HubSpot → Salesforce
アクティビティ タスク / 活動 双方向
カスタムオブジェクト カスタムオブジェクト 双方向(Enterprise)

連携に必要なプラン

HubSpot側はProfessionalプラン以上が推奨されます。Salesforceコネクター自体はMarketing Hub、Sales Hub、Service Hub、Operations Hub、Content HubのいずれかのProfessionalまたはEnterpriseで利用可能です。


連携の設定手順

連携アプリ一覧

ステップ1:Salesforceコネクターのインストール

  1. HubSpotにログインし、マーケットプレイス → アプリマーケットプレイスに進む
  2. 検索バーで「Salesforce」を検索
  3. 「HubSpot-Salesforce連携」を選択し、「アプリをインストール」をクリック
  4. Salesforceのログイン画面が表示されるので、管理者権限のあるアカウントで認証

Salesforce側ではAPI利用が有効なエディション(Enterprise Edition以上、またはAPI利用が追加されたProfessional Edition)が必要です。

ステップ2:セットアップウィザード

インストール後、セットアップウィザードが表示されます。「推奨されるセットアップ」と「詳細セットアップ」から選択できますが、初回は推奨セットアップで始めて、後から詳細設定を調整するのがおすすめです。

ステップ3:コンタクト同期の設定

コンタクト同期では以下を設定します。

  • 同期対象の選択:すべてのコンタクトを同期するか、特定のリスト(セグメント)のみを同期するか
  • 同期方向:HubSpot → Salesforce、Salesforce → HubSpot、または双方向
  • Salesforce側のオブジェクト:リードとして同期するか、取引先責任者として同期するか

ここがポイントになってくるのですが、すべてのコンタクトをSalesforceに同期すると、Salesforceのストレージやライセンスコストに影響する場合があります。選択型同期を使って、MQL以上のコンタクトのみをSalesforceに渡す設計が一般的です。

ステップ4:会社・取引の同期設定

会社(→アカウント)と取引(→商談)の同期も同様に設定します。

歯車マーク → 連携 → 接続されたアプリ → Salesforce から各タブで設定を管理できます。

ステップ5:フィールドマッピング

HubSpotのプロパティとSalesforceのフィールドをマッピングします。

  • 標準マッピング:メールアドレス、姓名、会社名などは自動でマッピングされる
  • カスタムマッピング:カスタムプロパティ/フィールドは手動でマッピング設定

フィールドマッピングで特に注意が必要なのはフィールドタイプの一致です。HubSpot側が「テキスト」でSalesforce側が「選択リスト」のようにタイプが異なると、「互換性がありません」というエラーが表示されます。


同期ルールの設計

双方向同期 vs 片方向同期

同期方向 適するケース 注意点
双方向 両ツールでデータを更新する場合 競合時のルール設定が必要
HubSpot → Salesforce HubSpotをマスターにする場合 Salesforce側の変更は反映されない
Salesforce → HubSpot Salesforceをマスターにする場合 HubSpot側の変更は反映されない

双方向同期の場合、同じフィールドが両方で更新されたとき(競合発生時)にどちらを優先するかを設定できます。一般的にはマーケティング系のプロパティはHubSpot優先、営業系のプロパティはSalesforce優先にする設計が多いです。

選択型同期の活用

すべてのデータを同期するのではなく、条件を満たしたレコードのみを同期する設計が推奨されます。

例えば以下のようなルールです。

  • HubSpot → Salesforce:ライフサイクルステージがMQL以上のコンタクトのみ同期
  • Salesforce → HubSpot:過去90日以内にアクティビティのあるリードのみ同期

これにより、Salesforce側の不要なレコード増加を防ぎ、ストレージコストやライセンスコストを最適化できます。HubSpotのマーケティングコンタクトの課金管理と同様に、同期対象のコントロールは結構ミソになってくる部分です。


フィールドマッピングの設計ポイント

データインポート画面

マッピング設計の基本

フィールドマッピングを設計する際は、以下のステップで進めます。

  1. 両システムのフィールド一覧を棚卸しする
  2. 対応するフィールドをマッピングする(型の互換性を確認)
  3. 同期方向(片方向/双方向)をフィールドごとに設定する
  4. マスターデータの定義(どちらのデータを正とするか)を決める

マッピング時の注意点

注意点 詳細
フィールドタイプの一致 テキスト↔テキスト、数値↔数値で型を合わせる
選択リストの値 両システムで選択肢の文字列を完全一致させる
必須フィールド Salesforce側の必須フィールドにマッピングがない場合エラー
数式フィールド Salesforceの数式フィールドは読み取り専用のためSalesforce→HubSpotの片方向のみ
ライフサイクルステージ HubSpotのライフサイクルステージとSalesforceのリード/商談ステータスの対応を慎重に設計

ライフサイクルステージのマッピング

HubSpotのライフサイクルステージとSalesforceのリードステータス/商談ステージの対応を設計するのは、連携設計で最も慎重になるべきポイントです。

例えば以下のような対応を検討します。

HubSpot ライフサイクルステージ Salesforce 側
リード リード(ステータス:新規)
MQL リード(ステータス:マーケ認定)
SQL リード(ステータス:営業認定)or 取引先責任者に変換
商談 商談(ステージ:提案中)
顧客 商談(ステージ:受注)

企業様によって商談プロセスは異なりますので、自社の運用に合わせたマッピングを設計いただくのがいいかなと思います。


運用上のベストプラクティス

1. 同期前にデータクレンジングを実施する

連携を開始する前に、両システムのデータをクリーニングしておくことが重要です。

  • 重複レコードの統合
  • 不要なレコードの削除またはアーカイブ
  • フィールド値の表記揺れ修正(会社名、住所など)

クリーニングせずに同期を開始すると、ゴミデータが相互に流れ込んで後から修正するのが大変になります。

2. テスト環境で検証してから本番適用

Salesforce側にサンドボックス環境がある場合は、まずサンドボックスで連携テストを行うのが安全です。既存で使っているワークフローやデータに対してアクセス・更新する場合は、本番環境での直接テストはリスクがあります。

3. マーケティングコンタクトの管理

HubSpotの課金対象である「マーケティングコンタクト」と、Salesforceから同期されるリードの関係を意識しておく必要があります。Salesforceから大量のリードが流入すると、マーケティングコンタクト数が増えてHubSpotの課金に影響する場合があります。

対策として、Salesforceから同期されたコンタクトを一律マーケティングコンタクトにするのではなく、ワークフローで条件に合うものだけをマーケティング対象にする設計がおすすめです。

4. レポートの設計

両システムにデータが存在するため、「どちらのレポートを正とするか」を事前に決めておきます。

  • マーケティングKPI(リード数、MQL数、スコアリング等)→ HubSpotのレポートを使用
  • 営業KPI(商談金額、フォーキャスト、受注率等)→ Salesforceのレポートを使用
  • 全体ファネル(リード→MQL→SQL→商談→受注)→ 一方に統一するか、BIツールで統合

5. 変更管理のプロセスを設ける

連携設定を変更する際は、以下のプロセスを設けると安全です。

  • フィールドマッピングの追加・変更は承認制にする
  • 同期ルールの変更前に影響範囲を確認する
  • 変更履歴を記録する

よくあるトラブルと対処法

同期エラーが発生する

原因:フィールドタイプの不一致、Salesforce側の必須フィールド未入力、API制限の超過など。

対処:HubSpotの設定画面 → 連携 → Salesforce → 「同期エラー」タブでエラー内容を確認し、個別に対処します。

重複レコードが作成される

原因:メールアドレスが異なる同一人物、会社名の表記揺れなど。

対処:同期前のデータクレンジングと、HubSpotの重複管理機能での定期的なチェックが有効です。Salesforceの重複ルールと合わせて両システムで対策します。

ライフサイクルステージが意図しない値に変わる

原因:同期によるプロパティ更新がワークフローをトリガーし、ステージが変更されるケース。

対処:ワークフローの条件に「データソースがAPI/連携ではない場合」というフィルターを追加する、または同期方向を片方向に変更します。


まとめ

HubSpotとSalesforceの連携は、マーケティングと営業のデータを一元化し、部門間連携を強化するための有効な手段です。

  1. 全体設計:同期対象のオブジェクト・フィールド・方向を事前に設計する
  2. データクレンジング:同期前に両システムのデータを整備する
  3. 選択型同期:必要なデータのみを同期して最適化する
  4. フィールドマッピング:型の一致とマスターデータの定義を慎重に設計する
  5. 運用ルール:変更管理プロセスとレポートの責任分担を明確にする

まずは同期対象のデータ範囲とフィールドマッピングの設計から始めて、段階的に同期範囲を広げていきましょう。データの分断が解消されるほど、マーケ→セールスの一気通貫のレポートが可能になり、より精度の高い戦略判断ができるようになります。


よくある質問(FAQ)

Q1. HubSpotとSalesforceの連携にはどちらのプランが必要ですか?

HubSpot側はMarketing Hub、Sales Hub、Service Hub、Operations Hub、Content HubいずれかのProfessionalまたはEnterpriseが必要です。Salesforce側はAPI利用が有効なエディション(Enterprise Edition以上)が推奨されます。Professional EditionではAPI利用の追加が必要な場合があります。

Q2. 連携を設定したら、既存データは自動で同期されますか?

初回同期時に既存データも同期されます。ただし大量のレコードがある場合、初回同期には時間がかかることがあります。また、同期ルール(選択型同期)を設定している場合は、条件を満たすレコードのみが同期されます。

Q3. Salesforceを使いながらHubSpotのMAだけ導入することはできますか?

はい、可能です。SalesforceをSFA(営業管理)として使いつつ、HubSpotのMarketing HubをMA(マーケティングオートメーション)として導入するのは一般的な併用パターンです。コネクターによるデータ連携で、リード情報を双方向に同期できます。

Q4. 同期の頻度はどのくらいですか?

HubSpot-Salesforceコネクターはリアルタイムに近い同期を行います。データの変更があると数分以内に同期が実行されます。ただし大量の変更が同時に発生した場合は、キューに入って順次処理されるため多少遅延する場合があります。

Q5. 連携を解除した場合、データはどうなりますか?

連携を解除しても、すでに同期されたデータは両システムに残ります。ただし、それ以降の変更は同期されなくなります。連携を一時的に停止する場合は、解除ではなく同期の一時停止機能を使用いただくのがおすすめです。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。