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「営業トークが担当者によってバラバラで、成果にムラがある」「新人営業が何を聞けばいいかわからず、商談の質が安定しない」——こうした課題を抱えている営業組織は少なくありません。
HubSpotのセールスプレイブックとは、営業活動で必要なトークスクリプト・ヒアリング項目・競合比較資料・価格ガイドなどのナレッジをHubSpot上に一元管理し、商談中にワンクリックで呼び出せる営業支援機能です。Sales Hub ProfessionalまたはEnterprise以上のプランで利用できます。
この記事では、以下の内容を解説します。
- プレイブック機能の概要と主要な活用シーン
- プレイブックの種類と作成方法
- ヒアリングシートとしてのプレイブック活用
- トークスクリプト・競合比較資料の管理方法
- プレイブック活用のベストプラクティス
プレイブック機能とは?
HubSpotのプレイブック機能は、営業担当者が顧客対応中に必要な情報やガイドラインを、CRMの画面上から即座に参照・入力できるようにする機能です。
プレイブックには大きく以下の3タイプがあります。
| タイプ | 用途 | 具体例 |
|---|---|---|
| ヒアリングプレイブック | 商談時のヒアリング項目を定型化し、回答を記録する | BANT確認シート、課題ヒアリングシート |
| コンテンツプレイブック | 営業に必要な参考情報を整理して共有する | 競合比較表、製品FAQ、価格ガイド |
| トークスクリプト | 電話やミーティングでの会話の「型」を共有する | 初回商談スクリプト、アップセル提案スクリプト |
ここが結構ポイントになってくるのですが、プレイブックはただのドキュメント共有ではなく、CRMのレコード画面から直接呼び出してその場で入力できるという点が大きな強みです。ヒアリング内容がそのままCRMデータとして記録されるので、情報の二重入力が不要になります。
なぜプレイブックが営業組織に重要なのか
営業の属人化を防ぐ「仕組み化」
営業活動の品質がトップ営業マンに依存している状態では、組織全体のパフォーマンスが安定しません。プレイブックを活用することで、トップ営業マンのノウハウを「型」として全メンバーに共有できます。
例えば、パイプライン設計の際に必須入力プロパティを設定するのと同じ考え方です。ステージ移行時にプレイブックに沿ったヒアリングを必須にすることで、新人でもベテランと同じ情報を漏れなく収集できるようになります。
新人のオンボーディング加速
新人営業の方がなかなかSFAを使いこなせなかったり、ヒアリングの「勘所」がわからなかったりするケースは多いです。プレイブックで「何を聞くべきか」「どう伝えるべきか」を明確にすることで、新人の立ち上がりを加速できます。
データ品質の向上
フリーテキストだけの活動記録では、後からデータを集計・分析するのが困難です。プレイブックで選択式の回答項目を設定しておくと、ヒアリング結果を構造化されたデータとしてCRMに蓄積でき、レポートでの分析がしやすくなります。
プレイブックの作成方法
ステップ1: プレイブック作成画面にアクセスする
- HubSpotにログインし、「ライブラリー」>「プレイブック」 にアクセスします
- 右上の 「プレイブックを作成」 ボタンをクリックします
- テンプレートを選択するか、「空白のプレイブック」から新規作成します
ステップ2: プレイブックの基本情報を設定する
- タイトル: わかりやすい名前を付けます(例:「初回商談ヒアリングシート」)
- 説明文: このプレイブックの目的や使用シーンを記載します
- カテゴリ: 分類タグを設定し、検索しやすくします
ステップ3: コンテンツを作成する
プレイブックのエディターでは、以下の要素を組み合わせてコンテンツを作成できます。
| 要素 | 用途 |
|---|---|
| リッチテキスト | 説明文、ガイドライン、トークスクリプトなどの自由記述 |
| テキスト入力フィールド | フリーテキストの回答欄(短文・長文) |
| セレクトボックス | 選択肢から1つを選ぶ回答欄 |
| チェックボックス | 複数選択可能な回答欄 |
| 数値フィールド | 予算金額など数値の入力欄 |
ステップ4: プロパティとの連携を設定する
プレイブックの入力フィールドをHubSpotのコンタクト・会社・取引のプロパティに紐づけることができます。これにより、プレイブックへの入力内容が自動的にCRMレコードに反映されます。
例えば、ヒアリングで「予算規模」を聞いた場合、取引オブジェクトの「金額」プロパティに自動連携させることで、手動でのデータ転記が不要になります。
活用パターン別のプレイブック設計例
パターン1: BANT確認ヒアリングシート
BtoB営業の基本であるBANT(Budget・Authority・Need・Timeline)を確認するためのプレイブックです。
| 項目 | フィールドタイプ | 選択肢の例 |
|---|---|---|
| 予算(Budget) | セレクトボックス | 100万円未満 / 100-500万円 / 500-1000万円 / 1000万円以上 |
| 決裁者(Authority) | テキスト入力 | 決裁者名・役職を記入 |
| 課題(Need) | チェックボックス | リード管理 / 営業効率化 / レポート / MA / カスタマーサポート |
| 導入時期(Timeline) | セレクトボックス | 1か月以内 / 3か月以内 / 半年以内 / 未定 |
パターン2: 競合比較ガイド
商談中に競合製品との違いを聞かれた際に、即座に参照できる比較資料です。
リッチテキストで「vs Salesforce」「vs kintone」「vs Zoho CRM」といった競合ごとの比較ポイントをまとめておき、営業担当者が必要な情報にすぐアクセスできるようにします。
パターン3: 初回商談トークスクリプト
初回商談の流れを「型」として標準化するスクリプトです。
- アイスブレイク: 自己紹介と会社紹介のテンプレート
- 課題ヒアリング: 現在の業務フローと課題を引き出す質問リスト
- ソリューション提案: 課題に対応するHubSpotの機能マッピング
- ネクストアクション: 次回ミーティングの設定・資料送付の確認
シーケンス機能と組み合わせると、商談後のフォローメールも自動化できます。テンプレートの品質を上げれば、新人でもベテラン並みのアプローチが可能になるというのが、プレイブックとシーケンスを組み合わせた営業標準化の大きなメリットです。
プレイブックの使い方(営業担当者向け)
コンタクト・取引レコードからの呼び出し
- 対象のコンタクトまたは取引レコードを開きます
- 右側パネルの 「プレイブック」 タブをクリックします
- 使用するプレイブックを選択します
- ヒアリング内容を入力し、「ログに記録」 をクリックします
記録された内容はアクティビティタイムラインに保存され、チームメンバー全員が閲覧できます。
プレイブックの検索・フィルタリング
プレイブックが増えてきた場合は、カテゴリやキーワードで検索できます。営業プロセスのステージごとにカテゴリを分けておくと、必要なプレイブックをすぐに見つけられます。
プレイブック活用のベストプラクティス
1. プレイブックは必要最小限の項目に絞る
よくあるSFAのあるあるで、全然使っていない項目が大量にあるケースがあります。プレイブックも同様で、項目が多すぎると営業担当者の負担が増え、入力率が下がります。本当に必要な項目だけに絞ることが結構ミソになってきます。
2. 定期的に内容をアップデートする
市場環境や競合の状況は常に変化します。プレイブックの内容は四半期ごとなど定期的に見直し、最新の情報に更新しましょう。特に競合比較資料は陳腐化しやすいので注意が必要です。
3. トッププレイヤーのノウハウを取り入れる
パイプライン設計と同じように、マネージャーやトッププレイヤーの知見をプレイブックに落とし込むのが効果的です。成果を出している営業担当者のヒアリング方法やトーク内容を分析し、プレイブックに反映させましょう。
4. レポートで活用状況を可視化する
プレイブックの使用状況をレポートで確認し、活用度が低いプレイブックは改善または統合を検討しましょう。使われていないプレイブックは、内容が現場のニーズに合っていない可能性があります。
注意点・利用上の制限
プレイブック機能はSales Hub ProfessionalまたはEnterprise以上のプランで利用可能です。無料プランやStarterプランでは利用できません。
| プラン | 作成可能なプレイブック数 |
|---|---|
| Sales Hub Professional | 最大5,000件 |
| Sales Hub Enterprise | 最大5,000件 |
また、プレイブックの入力フィールドとCRMプロパティの連携は、プロパティの設計とセットで考える必要があります。プロパティのユニーク化設定や権限管理と合わせて、管理者が設計することをおすすめします。
まとめ
HubSpotのセールスプレイブック機能は、営業活動の「型」を組織全体で共有し、商談品質の標準化とデータ品質の向上を同時に実現できる強力なツールです。
活用のポイントを整理すると以下の通りです。
- ヒアリングプレイブックでBANTなどの確認項目を標準化し、データをCRMに自動記録する
- コンテンツプレイブックで競合比較資料や価格ガイドを商談中に即座に参照できるようにする
- トークスクリプトで初回商談の流れを「型」として共有し、新人の立ち上がりを加速する
- CRMプロパティとの連携で入力データを構造化し、レポートでの分析に活用する
まずは最もよく使うヒアリングシート1つをプレイブックとして作成し、チームで試してみるところから始めてください。営業のナレッジが蓄積されるほど、組織全体の営業力が底上げされていきます。
よくある質問(FAQ)
Q1. プレイブック機能はどのプランで利用できますか?
プレイブック機能はSales Hub Professional以上、またはService Hub Professional以上のプランで利用可能です。無料プランやStarterプランでは利用できません。
Q2. プレイブックの入力内容はどこに記録されますか?
プレイブックの入力内容は、対象レコード(コンタクト・会社・取引)のアクティビティタイムラインに記録されます。また、プロパティとの連携を設定している場合は、入力内容が対応するプロパティにも反映されます。
Q3. プレイブックはスマートフォンからも利用できますか?
はい、HubSpotのモバイルアプリからもプレイブックを呼び出して使用できます。外出先での商談でも、プレイブックに沿ったヒアリングが可能です。
Q4. Salesforceのプレイブック機能との違いは何ですか?
HubSpotのプレイブックは、CRMレコードから直接呼び出してその場で入力・記録できる点が特徴です。Salesforceにも同様のセールスイネーブルメント機能がありますが、HubSpotはUIがシンプルで直感的に操作できる点が強みです。営業担当者のITリテラシーに依存せず、導入しやすい設計になっています。
Q5. プレイブックの利用状況をレポートで確認できますか?
はい、プレイブックの使用回数や入力率をレポートで確認できます。どのプレイブックがよく使われているか、どの営業担当者が活用しているかを可視化することで、営業ナレッジの浸透度を把握できます。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。