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「海外展開を始めたいが、多言語サイトの制作コストが高い」「現地法人ごとにバラバラのツールを使っていて、顧客データが統合できない」——グローバル展開を進める企業にとって、多言語対応と海外営業のCRM管理は大きな課題です。
HubSpotの多言語サイト機能とは、1つのドメイン上でContent Hubを使って複数言語のWebページ・ブログ・ランディングページを一元管理し、AI自動翻訳(Breeze/DeepL)で効率的にコンテンツをローカライズできる仕組みです。 さらに、HubSpot CRMを活用すれば、各国の営業活動やリード管理も統合的に運用できます。
この記事では、以下のポイントを解説します。
- HubSpotの多言語コンテンツ管理の仕組み
- AI自動翻訳機能(Breeze/DeepL)の活用法
- 多言語ブログ・フォーム・メールの設定方法
- 海外営業のCRM管理と権限設計
- グローバル展開時の注意点
HubSpotの多言語サイト機能とは
HubSpot Content Hubには、多言語コンテンツを効率的に管理するための機能が標準搭載されています。1つのページに対して複数の言語バリエーションを作成でき、訪問者のブラウザ言語設定やURLに基づいて適切な言語のページを表示します。
多言語管理の基本構造
| 要素 | 仕組み |
|---|---|
| URL構造 | サブディレクトリ型(例: /ja/, /en/, /zh/) |
| 言語切り替え | 自動検出(ブラウザ言語)+ 手動切替モジュール |
| hreflang タグ | 自動生成(SEO対応) |
| コンテンツ管理 | 元ページと言語バリエーションが紐づく |
| 対応言語数 | 最大約60言語 |
対応するコンテンツタイプ
- Webサイトページ
- ランディングページ
- ブログ記事
- フォーム
- マーケティングメール
- CTAボタン
AI自動翻訳機能の活用
Breeze AI翻訳
HubSpotに搭載されているAI機能「Breeze」を使えば、ページやブログ記事のコンテンツをボタン一つで他の言語に自動翻訳できます。これが結構すごい機能で、多言語サイトの制作工程を大幅に効率化できます。
利用条件: Content Hub Professional または Enterprise プラン
AI翻訳の設定手順
ステップ1: 多言語設定の有効化
HubSpotの設定画面から「コンテンツ」→「多言語」に移動し、サイトで使用する言語を追加します。プライマリー言語(メイン言語)と追加言語を設定してください。
ステップ2: 言語バリエーションの作成
既存のページのエディターを開き、「言語バリエーション」から翻訳先の言語を選択します。新しい言語バリエーションが作成されます。
ステップ3: AI自動翻訳の実行
言語バリエーションの作成時に「コンテンツを自動翻訳」オプションを選択すると、BreezeのAIが元のコンテンツを翻訳して新しいバリエーションに自動入力します。
ステップ4: 翻訳内容の確認・修正
AI翻訳の結果を確認し、必要に応じて修正します。AIが生成する翻訳はあくまで叩き台として活用するのがおすすめです。特にビジネス文書では、業界固有の用語やニュアンスを人間がレビューすることが重要です。
DeepLとの連携
HubSpotはDeepLの技術も翻訳品質の向上に活用しています。DeepLは翻訳精度に定評のあるAI翻訳サービスで、特にヨーロッパ言語での翻訳品質が高く評価されています。
多言語ブログの運用
多言語ブログの設定
HubSpotでは、ブログも多言語で運用できます。言語ごとにブログを作成し、それぞれの言語で記事を公開する仕組みです。
設定手順
- HubSpotの設定画面で「コンテンツ」→「ブログ」に移動
- 既存のブログの言語バリエーションを追加
- 言語ごとのブログURL(例:
/ja/blog/,/en/blog/)が自動生成 - 各言語のブログに記事を作成・公開
AI翻訳を活用したブログ運用フロー
- まずプライマリー言語で記事を作成
- AI自動翻訳で他言語のバリエーションを生成
- ネイティブスピーカーまたは現地チームがレビュー・修正
- 各言語版を公開
通常こういったローカライズ作業を業者さんに頼むと高かったりすると思いますが、AI翻訳を活用することで内製化が可能になります。
多言語フォーム・メールの設定
多言語フォーム
HubSpotのフォームは、訪問者の言語に応じてラベルやボタンテキストを自動切り替えできます。
- フォームのフィールドラベルを各言語で設定
- 送信ボタンのテキストを言語ごとに変更
- サンキューメッセージを言語別に設定
- GDPR同意文言を言語別に管理
多言語マーケティングメール
メール配信も言語ごとにパーソナライズできます。コンタクトの「優先言語」プロパティに基づいて、適切な言語のメールを自動配信する仕組みが構築可能です。
海外営業のCRM管理
多国籍チームの権限設計
グローバル展開では、国や地域ごとに営業チームが分かれることが一般的です。HubSpotのチーム機能と権限設定を活用して、以下のような設計が可能です。
| 設定項目 | 内容 |
|---|---|
| チーム分け | 国・地域ごとにチームを作成(例: Japan, APAC, EMEA) |
| レコード権限 | チームごとにアクセスできるコンタクト・取引を制限 |
| ビュー設定 | 地域別のカスタムビューでフィルタリング |
| パイプライン | 国・地域ごとにパイプラインを分けることも可能 |
| 通貨設定 | 複数通貨での取引金額管理 |
複数通貨の管理
HubSpotでは複数の通貨を設定でき、取引レコードに通貨を指定できます。レポートやダッシュボードでは、基軸通貨に換算した集計も可能です。企業様によってパイプラインや通貨の設計は異なりますので、自社に最適な形を検討いただくのがポイントになってきます。
タイムゾーン対応
グローバルチームでは、ワークフローの実行タイミングやメール配信時間をタイムゾーンに合わせて設定することが重要です。HubSpotではコンタクトのタイムゾーンプロパティに基づいて配信時間を最適化できます。
グローバル展開時のSEO対策
hreflangタグの自動設定
HubSpotの多言語機能を使えば、hreflangタグが自動的に生成されます。hreflangタグは、検索エンジンに対して「このページには別言語のバージョンがある」ことを伝えるタグで、適切な言語のページが検索結果に表示されるようになります。
多言語SEOのベストプラクティス
- サブディレクトリ構造を推奨:
/ja/、/en/のようなURLパスで言語を分ける - 各言語でキーワードリサーチ: 直訳ではなく、現地で実際に検索されるキーワードを調査
- ローカルコンテンツの作成: AI翻訳だけでなく、現地市場に特化したオリジナルコンテンツも制作
最近AIでの検索が増えてきているので、各言語でAIO対応(明確な定義、構造化データ、FAQ)を意識することも重要になっています。
注意点・限界
1. AI翻訳の品質限界
AI翻訳は日々進化していますが、業界固有の専門用語やニュアンスの翻訳には限界があります。英語ドリブンの企業様だと活用可能性は高いですが、日本語を含むアジア言語ではまだ人間のレビューが必要な場面が多いのが現状です。
2. プラン要件
AI自動翻訳機能はContent Hub Professionalプラン以上が必要です。Starterプランでも手動での多言語ページ作成は可能ですが、AI翻訳は利用できません。
3. コンテンツの同期管理
元のページを更新した際に、他言語バリエーションも更新が必要になります。言語数が増えるほど管理工数が増えるため、更新頻度の高いコンテンツは優先順位をつけて管理することを推奨します。
4. 法的要件の違い
国・地域によってプライバシーポリシー、Cookie同意、GDPR対応などの法的要件が異なります。多言語サイトでは各国の法的要件に準拠したフォームや同意文言の設定が必要です。
まとめ
HubSpotの多言語機能とAI自動翻訳を活用すれば、グローバル展開に必要な多言語サイト構築と海外営業のCRM管理を、一つのプラットフォームで効率的に実現できます。
- Content Hubの多言語機能で複数言語のサイト・ブログを一元管理
- Breeze AI翻訳で制作コストを大幅削減(ただし人間のレビューは必須)
- CRMの権限設計と複数通貨管理で海外営業を統合管理
- hreflangタグの自動生成でグローバルSEOに対応
まずは主要な2〜3言語から始めて、段階的に対応言語を拡大していくのがおすすめです。AI翻訳を叩き台にして現地チームがレビューする運用フローを構築すれば、コストを抑えながら品質の高い多言語コンテンツを展開できるようになります。
よくある質問(FAQ)
Q. HubSpotの多言語サイト機能を使うために必要なプランは?
多言語ページの手動作成はStarterプラン以上で可能です。AI自動翻訳機能を利用するにはContent Hub ProfessionalまたはEnterpriseプランが必要になります。
Q. HubSpotで対応できる言語数に上限はありますか?
HubSpotでは約60言語に対応しています。主要なビジネス言語(英語、日本語、中国語、韓国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語など)はすべてカバーされています。
Q. AI翻訳の精度はどの程度ですか?
BreezeのAI翻訳とDeepLの技術により、特に英語とヨーロッパ言語間の翻訳は高い精度を実現しています。ただし、業界固有の専門用語やビジネスニュアンスについてはネイティブスピーカーのレビューを推奨します。日本語翻訳も実用レベルですが、最終的な品質確保には人間のチェックが重要です。
Q. 既存の日本語サイトをHubSpotに移行して多言語化できますか?
はい、既存のコンテンツをHubSpot Content Hubに移行し、そこから多言語バリエーションを追加する形で対応可能です。移行の際は、ドメイン戦略(サブドメインにするかサブディレクトリにするか)を事前にしっかり精査いただいてから接続することを推奨します。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。