HubSpotでMRRの可視化はここまでできる!月次収益の分析から請求データ連携まで紹介
- 2026年2月22日
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SaaS事業やコンサルティング事業において、MRR(月次経常収益)の管理は経営判断に直結する重要な指標です。しかし、多くの企業ではスプレッドシートで手動管理しているのが実態で、リアルタイムな可視化や解約分析が追いつかないケースが少なくありません。
HubSpotでは、標準の収益アナリティクス機能とカスタムオブジェクトを組み合わせることで、新規MRR・既存MRR・解約MRR(チャーン)までを自動で可視化できます。本記事では、HubSpotでMRR管理を実現する2つの方法と、請求データの自動生成・会計連携まで、実際の画面操作を交えて解説します。
HubSpotで契約データを適切に設定すると、月次の経常収益をレポート上でグラフ化して管理できます。毎月いくらのMRRが発生しているか、いつのタイミングで収益が増加し、いつ減少したのかが時系列で一目瞭然です。
この情報はフォーキャスト(収益予測)の根拠にもなるため、今後の事業計画を立てる際に極めて有用です。HubSpotでMRR管理を実現するには大きく分けて2つの方法があります。それぞれの特徴と適したユースケースを順に解説していきます。
HubSpotの収益アナリティクス(Revenue Analytics)は、取引データに紐づくリカーリングレベニュー(経常収益)を自動で分析・レポート化する機能です。HubSpotのメニューから「レポート」→「アナリティクスツール」→「収益アナリティクス」と進むことでアクセスできます。
この機能を使うと、新規の経常収益(New MRR)、既存の経常収益(Existing MRR)、喪失した経常収益(Churned MRR)をそれぞれ分けて確認できます。いつのタイミングでいくらの契約が増え、それがいつまで継続し、どのタイミングで解約が発生してマイナスに転じたのかをグラフィカルに把握できるのが大きな特徴です。
収益アナリティクスを活用するために設定が必要なのは、取引オブジェクトのリカーリングレベニュー関連プロパティです。具体的には、取引タイプ(新規なのか更新なのか)を示すDeal Type、月額のMRR金額、そして解約(inactive)となったタイミングを示すプロパティを入力します。
既にレポートのテンプレートが用意されているため、プロパティを正しく設定するだけで、収益レポートが自動的に生成されます。例えば12月に24万円のMRRがあった場合、その金額がどの企業の、どの取引に紐づいているかも即座に確認できます。
収益アナリティクスは設定が簡易的で導入のハードルが低いのが最大のメリットです。プロパティにデータを入れるだけで、すぐにMRRの可視化ができるため、「まずは全体感をざっくり把握したい」というフェーズの企業には最適です。
一方で、細かい管理には限界があります。従量課金の処理、商材分類ごとのMRR分析、事業形態別の集計など、より詳細な分析が必要な場合はこの方法だけではカバーしきれません。そこで登場するのが、2つ目の方法であるカスタムオブジェクトの活用です。
なお、収益アナリティクスを利用するにはSales Hub ProfessionalまたはEnterpriseのサブスクリプションが必要です。
より高度なMRR管理を実現するために、HubSpotのカスタムオブジェクト機能を活用する方法があります。具体的には、「請求」(または「計上」)というカスタムオブジェクトを新規に作成し、どの企業に対して何月にいくらの請求(MRR)が発生しているかを個別レコードとして管理するアプローチです。
このカスタムオブジェクトには、各月の請求金額に加えて、契約が継続しているか解約されたかを示すフラグを持たせます。これにより、どのタイミングで契約が開始され、どのタイミングで解約が発生したのかという契約のライフサイクルを正確にトラッキングできます。
カスタムオブジェクトの請求レコードを手動で作成するのは現実的ではありません。ここでHubSpotのワークフローとデータハブ(カスタムコード)を組み合わせて、請求レコードの自動生成を実現します。
仕組みとしては、取引のステージが「検収」(受注確定)に移動した時点をトリガーとして、ワークフローが起動します。例えばある案件が見積もり提示の段階から検収ステージに移行すると、自動的に12ヶ月分の請求レコードが生成されます。
11月21日にクローズした案件であれば、11月30日(月末)から翌年10月まで、毎月の請求レコードが自動的に作成されます。この自動化を実現しているのが、ワークフロー内のカスタムコード(データハブ)です。
標準のワークフロー機能だけでは「12ヶ月分のレコードを分割して作成し、それぞれに月末の日付を設定して取引に関連付ける」という処理が難しいため、カスタムコードを使ってこの処理を実装しています。一度設定すれば、以降の案件はすべて自動的に請求データが生成されるため、運用の手間はほぼゼロになります。
カスタムオブジェクトの請求データに商品項目(サービス分類)を持たせることで、事業カテゴリごとのMRR分析が可能になります。
例えば「コンサルティング」と「システム開発」というサービスラインがある場合、それぞれの月次収益がいくらずつなのかをグラフで分けて表示できます。事業部単位でのMRR推移を把握できるため、経営判断に必要な粒度での分析が実現します。
さらに、取引の詳細画面にMRRのレポートをCRMカードとして埋め込むことも可能です。これにより、個別の案件を確認する際にも「この案件からのMRRがいくらか」が画面を切り替えることなく一目で分かります。
カスタムオブジェクトに契約開始・解約のフラグを持たせておくことで、チャーン(解約)分析も可視化できます。
件数ベースでも金額ベースでも分析が可能で、例えば「4件→5件と順調に増加していたが、あるタイミングで1社解約が発生して1社分減少した」という動きがグラフ上で明確になります。いつ解約が起き、それが全体の何パーセントのインパクトだったのかを定量的に把握できるため、チャーンレート(解約率)の改善施策を検討する際のデータドリブンな意思決定を支援します。
カスタムオブジェクトで請求データを個別レコードとして管理する大きなメリットの一つが、会計システムとの連携です。
HubSpotで作成された請求レコードは、freeeなどの会計ソフトの請求情報と突合することができます。案件の受注から請求データの生成、請求書の発行、そして会計処理までの一連のフローをHubSpot起点で回すことが可能になるのです。
つまりHubSpotを単なるCRMとしてだけでなく、販売管理システム(販管システム)のような業務アプリケーションとして活用できるようになります。営業活動から契約管理、請求処理、MRR分析までがCRMに集約されることで、データのサイロ化を防ぎ、経営管理の精度と効率を大幅に向上させることができます。
HubSpotでMRR管理を実現するには、2つのアプローチがあります。まず、収益アナリティクス機能を使えば、取引プロパティにデータを入力するだけで基本的なMRR可視化がすぐに始められます。より詳細な管理が必要な場合は、カスタムオブジェクト+ワークフロー+カスタムコードを組み合わせることで、商材分類別のMRR分析、チャーン追跡、会計連携まで含めた本格的なMRR管理基盤を構築できます。
まずは収益アナリティクスで全体感を掴むところから始め、事業の成長に合わせてカスタムオブジェクトベースの管理に移行していくのがおすすめです。SaaS事業やサブスクリプション型ビジネスを展開されている方は、ぜひHubSpotを活用したMRR管理の構築を検討してみてください。
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株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。