HubSpot MCP Server × AIクライアント連携ガイド|Claude/ChatGPTからCRMデータを活用

  • 1970年1月1日

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「HubSpotのCRMデータをAIで分析したいけど、毎回エクスポートしてからChatGPTに貼り付けるのが面倒」「Claude DesktopからHubSpotのコンタクトや取引情報に直接アクセスできたら便利なのに」——こうしたニーズに応えるのが、HubSpot MCP Serverです。

HubSpot MCP Serverとは、Model Context Protocol(MCP)に対応したAIクライアント(Claude Desktop、Cursor、ChatGPTなど)からHubSpot CRMデータにセキュアにアクセスするためのリモートゲートウェイです。 2025年にパブリックベータとして公開され、AIクライアントとCRMデータをリアルタイムで接続できます。

この記事では、HubSpot MCP Serverの仕組みからセットアップ手順、実務での活用方法までを解説します。

この記事でわかること:

  • MCP(Model Context Protocol)の基本概念
  • HubSpot MCP Serverの機能と対応範囲
  • セットアップの具体的な手順
  • Claude Desktop / ChatGPT / Cursorとの連携方法
  • 実務での活用シナリオと注意点

MCPの定義

MCP(Model Context Protocol)とは、AIモデルが外部アプリケーションのデータやツールにアクセスするための標準化されたプロトコルです。Anthropic(Claudeの開発元)が開発したオープンソースのフレームワークであり、LLM(大規模言語モデル)と外部ツールの接続方法を標準化することを目指しています。

わかりやすく言えば、AIアシスタントが「HubSpotのデータを見て」「Slackにメッセージを送って」といった外部ツール操作を行うための共通のインターフェースです。

MCPの仕組み

AIクライアント(Claude/ChatGPT) ←→ MCPプロトコル ←→ MCPサーバー ←→ 外部アプリケーション(HubSpot等)

従来は、AIツールごとに個別のAPI連携やプラグインが必要でしたが、MCPにより一つの標準プロトコルで複数のアプリケーションと接続できるようになります。これはSalesforceでいうAPIレイヤーのような位置づけですが、AIネイティブな設計という点が大きく異なります。


HubSpot MCP Serverの機能と対応範囲

HubSpot MCP Server 公式ページ

出典: HubSpot Developers (developers.hubspot.com/mcp)

基本機能

HubSpot MCP Serverは、MCP対応のAIクライアントからHubSpot CRMデータにセキュアにアクセスするためのリモートゲートウェイです。

現在のアクセス可能なデータ(パブリックベータ時点):

CRMオブジェクト 読み取り 備考
コンタクト 個人情報保護プロパティは除外
会社
取引
チケット
見積もり
請求書
製品
明細項目
サブスクリプション
注文
カート
ユーザー
オブジェクト間の関連付け

現時点での制限事項:

  • 読み取り専用(書き込み・更新は不可)
  • カスタムのセンシティブデータプロパティにはアクセス不可
  • 個人健康情報(PHI)にはアクセス不可
  • カスタムオブジェクトへの対応は今後拡大予定

ここが結構ミソになってくるのですが、現時点では読み取り専用です。AIクライアントからCRMデータを参照・分析することはできますが、データの作成・更新・削除はできません。将来的に書き込み機能が追加される可能性はありますが、セキュリティの観点からも、まずは読み取り専用で利用を開始するのがよいかなと思います。

認証方式

  • OAuth 2.0 による認証(2025年後半にOAuth 2.1への移行予定)
  • PKCE(Proof Key for Code Exchange)対応
  • リフレッシュトークンのローテーション対応
  • 管理者権限での承認が必要

セットアップ手順

HubSpot API リファレンスドキュメント

出典: HubSpot Developers (developers.hubspot.com)

前提条件

  • HubSpotのProfessional以上のアカウント(推奨)
  • 管理者権限
  • MCP対応のAIクライアント(Claude Desktop、Cursor、VS Code等)

ステップ1: HubSpot開発者プラットフォームでアプリを作成

  1. HubSpotの設定 → 連携 → 非公開アプリに移動
  2. 「非公開アプリを作成」をクリック
  3. アプリ名を入力(例: 「MCP Server連携」)
  4. スコープ(権限)の設定で、アクセスしたいCRMオブジェクトの読み取り権限を付与

推奨スコープ:

  • crm.objects.contacts.read
  • crm.objects.companies.read
  • crm.objects.deals.read
  • crm.objects.tickets.read
  1. アプリを作成し、アクセストークンを取得

ステップ2: AIクライアントにMCPサーバーを設定

Claude Desktopの場合

Claude Desktopの設定ファイル(claudedesktopconfig.json)にMCPサーバーの設定を追加します。

{
  "mcpServers": {
    "hubspot": {
      "url": "https://mcp.hubspot.com/sse",
      "headers": {
        "Authorization": "Bearer YOUR_ACCESS_TOKEN"
      }
    }
  }
}

設定ファイルの場所:

  • macOS: ~/Library/Application Support/Claude/claudedesktopconfig.json
  • Windows: %APPDATA%\Claude\claudedesktopconfig.json

HubSpotは公式のリモートMCPサーバー(mcp.hubspot.com)を提供しているため、ローカルにサーバーを立てる必要はありません。

Cursorの場合

Cursorの設定画面(Settings → MCP)でMCPサーバーを追加します。

  1. Settings → MCP → 「Add MCP Server」
  2. Server URL: https://mcp.hubspot.com/sse
  3. 認証設定でBearerトークンを入力

ChatGPTの場合

ChatGPTは2025年後半にMCPの対応を進めていますが、公式のネイティブサポート状況は変動しています。現時点では、MCPブリッジツールやサードパーティ連携を通じた接続が可能です。

ステップ3: 接続テスト

AIクライアントから以下のようなプロンプトで接続をテストします。

HubSpotのコンタクト一覧を10件表示してください。

正常に接続されていれば、CRMのコンタクトデータが返されます。


実務での活用シナリオ

コンタクト一覧画面

シナリオ1: 商談前の企業分析

従来の方法: HubSpotにログイン → 会社レコードを検索 → 過去の取引・メール・ミーティングを手動で確認 → メモにまとめる

MCP活用:

「株式会社〇〇の会社情報、関連する取引の状況、過去のコンタクト履歴をまとめてください。次回の商談で押さえるべきポイントも提案してください。」

AIが自動でCRMデータを参照し、企業情報・取引状況・過去の接触履歴を横断的に分析してレポートを生成します。

シナリオ2: パイプラインの健全性チェック

「現在の取引パイプラインで、30日以上ステージが変わっていない取引を一覧で出してください。金額の大きい順に並べて、それぞれの懸念点を分析してください。」

営業マネージャーがダッシュボードを見るだけでは気づきにくい「停滞案件」をAIが自動で検出し、対応の優先順位を提案してくれます。

シナリオ3: CRMデータ品質の分析

「コンタクトの中で、メールアドレスが空欄のレコード、会社が関連付けられていないレコードの数を教えてください。データ品質の改善提案もお願いします。」

CRMの値がなかなか入っていなくてデータ資産化していない——こうした課題をAIで可視化し、データクレンジングの優先順位を特定できます。

シナリオ4: 営業レポートの自動生成

「今月クローズした取引の一覧と、合計金額、平均取引サイクルを計算してください。先月との比較も含めてレポート形式でまとめてください。」

毎週のレポート作成を自動化できます。ダッシュボードの定期配信と組み合わせれば、データの時点固定化にも対応できます。

シナリオ5: 開発者向け — Claude Codeとの連携

Claude Code(ターミナルベースのAI開発ツール)でMCPを設定すると、コーディング中にHubSpotのデータスキーマやプロパティ一覧を参照しながら、HubSpot APIの連携コードを生成できます。

「HubSpotの取引オブジェクトのプロパティ一覧を確認して、取引ステージごとの集計APIコール(Python)を書いてください。」

サードパーティMCPサーバーとの違い

HubSpot公式のMCP Server以外にも、コミュニティやサードパーティが開発したMCPサーバーが存在します。

項目 HubSpot公式MCP Server サードパーティ(例: peakmojo/mcp-hubspot)
提供元 HubSpot コミュニティ開発者
認証 OAuth 2.0(公式) Private Appトークン
ホスティング HubSpotがリモートで提供 ローカルで実行
対応範囲 CRMオブジェクト(読み取り) CRM + 一部書き込み対応の場合あり
サポート HubSpot公式サポート コミュニティサポート
セキュリティ HubSpotのセキュリティ基盤 自己責任

公式MCPサーバーは安全性とサポートの面で推奨されますが、書き込み機能が必要な場合はサードパーティ製の選択肢もあります。ただし、セキュリティリスクの評価は自己責任で行う必要があります。


注意点・セキュリティ上の考慮事項

データアクセスの範囲を最小限にする

非公開アプリのスコープ設定では、実際に必要なオブジェクトのみに読み取り権限を付与しましょう。不要なスコープを付与すると、セキュリティリスクが増大します。

アクセストークンの管理

  • トークンは環境変数や秘密管理ツールで管理し、コードにハードコードしない
  • 定期的なトークンのローテーションを実施
  • 不要になった非公開アプリは削除する

AIへのデータ送信に関するポリシー

MCP経由でAIクライアントにCRMデータが送信されるため、社内のデータガバナンスポリシーとの整合性を確認してください。特に個人情報や機密データの取り扱いについて、情報セキュリティ部門との事前協議をおすすめします。

上場・上場準備企業では、SSO、2FA、IP制限に加えて、MCP経由のデータアクセスについてもセキュリティレビューを実施することを推奨します。


まとめ

HubSpot MCP Serverは、AIクライアントとCRMデータをリアルタイムで接続する新しいインターフェースです。従来のAPI連携と異なり、自然言語でCRMデータに対する質問・分析・レポート生成が可能になります。

まずはClaude DesktopまたはCursorで接続を設定し、コンタクトや取引データの参照からスタートしてみましょう。AIがCRMデータを直接参照できるようになることで、商談準備・レポート作成・データ分析の効率が大きく向上します。

現時点では読み取り専用のパブリックベータですが、今後の機能拡張(書き込み対応、カスタムオブジェクト対応など)にも期待かなと思います。段階的に活用範囲を広げていき、AIとCRMが連携した業務プロセスを構築していきましょう。


よくある質問(FAQ)

Q1. HubSpot MCP Serverは無料で利用できますか?

MCP Server自体の利用料は現時点では発生しません。ただし、HubSpotの有償プラン(CRMオブジェクトへのAPIアクセス権限)が必要です。また、AIクライアント側(Claude Pro、ChatGPT Plus等)のサブスクリプション費用は別途必要です。

Q2. MCP経由でHubSpotのデータを書き換えることはできますか?

現時点のパブリックベータでは読み取り専用です。CRMレコードの作成・更新・削除はできません。書き込み機能が必要な場合は、HubSpotの通常のAPI(v3 API)を使用するか、サードパーティ製のMCPサーバーを検討してください。

Q3. Claude Desktop以外のAIクライアントでも使えますか?

はい、MCPプロトコルに対応したAIクライアントであれば利用可能です。現在確認されているのは、Claude Desktop、Cursor、VS Code(GitHub Copilot)、Windsurf、Claude Codeなどです。ChatGPTについてはMCPのネイティブ対応が進行中です。

Q4. セキュリティは大丈夫ですか?社内の顧客データがAIに送信されることに懸念があります。

HubSpot公式MCP ServerはOAuth 2.0認証を使用し、HubSpotのセキュリティ基盤上で動作します。ただし、CRMデータがAIクライアント(Claude、ChatGPTなど)に送信されることは事実ですので、各AIサービスのデータ取り扱いポリシーを確認し、社内の情報セキュリティポリシーとの整合性を事前にチェックしてください。センシティブデータプロパティは自動的に除外されます。

Q5. 従来のHubSpot APIとMCP Serverはどう使い分ければよいですか?

MCP Serverは「AIクライアントからの対話的なデータアクセス」に適しています。一方、従来のAPI(v3 REST API)は、アプリケーション間のデータ連携、バッチ処理、書き込み操作に適しています。分析・レポート・質問応答にはMCP、システム連携・自動化にはREST APIという使い分けがおすすめです。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。