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「マーケティングコンタクトの上限に近づいているという通知が来たけど、何を対処すればいいかわからない」「気づいたらコンタクト数が増えて追加費用が発生していた」——HubSpotを運用していると、多くの管理者がこの課金体系に頭を悩ませます。
HubSpotのマーケティングコンタクトとは、マーケティングツール(マーケティングEメール、広告、ワークフローのマーケティングアクションなど)を通じてエンゲージメントする対象のコンタクトであり、HubSpotのサブスクリプション料金に影響するカウント対象です。 マーケティング対象外のコンタクトはCRMに無制限で保存でき、課金対象にはなりません。
この記事では、マーケティングコンタクトの仕組みを正しく理解し、コストを最適化するための具体的な方法を解説します。
この記事でわかること:
- マーケティングコンタクトの定義と課金の仕組み
- マーケティングコンタクトとマーケティング対象外コンタクトの違い
- 上限超過時に起こること
- コスト最適化の具体的な5つの施策
- ワークフローを使った自動管理の方法
マーケティングコンタクトの基本
マーケティングコンタクトとは
マーケティングコンタクトとは、HubSpotのマーケティングツールの対象としてカウントされるコンタクトです。以下のマーケティングアクションの対象になるコンタクトが該当します:
- マーケティングEメールの送信対象
- 広告オーディエンスへの登録対象
- マーケティングアクション(ワークフロー内)の対象
マーケティング対象外コンタクトとの違い
| 項目 | マーケティングコンタクト | マーケティング対象外コンタクト |
|---|---|---|
| 課金 | カウント対象(上限あり) | カウント対象外(無制限) |
| マーケティングEメール送信 | ○ | × |
| 広告オーディエンス | ○ | × |
| CRM機能(閲覧・編集・管理) | ○ | ○ |
| セールスメール(1:1) | ○ | ○ |
| シーケンス | ○ | ○ |
| レポート・分析 | ○ | ○ |
ここが結構ミソになってくるのですが、マーケティング対象外のコンタクトでもCRMの全機能は使えます。課金対象になるのは「マーケティングEメールを送る」「広告オーディエンスに含める」などのマーケティングアクションの対象にするコンタクトだけです。
例えば、2,000名でミニマムでご契約いただいたときに、その中の3名分だけが今マーケティングコンタクトですよ——という状態も可能です。残りの1,997名はCRMに保存されていますが、マーケティングコンタクトとしてはカウントされません。
課金の仕組み
出典: HubSpot (hubspot.jp/pricing)
コンタクト契約数(ティア)
HubSpotのMarketing Hubは、マーケティングコンタクト数に応じたティア(契約段階)で料金が設定されています。
| ティア例 | マーケティングコンタクト数 | 追加コスト目安 |
|---|---|---|
| 基本 | 2,000件 | プラン基本料金に含む |
| +1,000件 | 3,000件 | 追加料金発生 |
| +3,000件 | 5,000件 | 追加料金発生 |
| +5,000件 | 7,000件 | 追加料金発生 |
上限超過時に起こること
マーケティングコンタクト数が現在の契約ティアの上限を超えると、アカウントは自動的に次のティアにアップグレードされ、次回更新日までの日割り料金が発生します。
重要な点:
- アップグレードは即時(翌月からではなく、超過した瞬間に適用)
- 一度アップグレードされると、コンタクト数を減らしても契約期間中はダウングレードできない
- コンタクトの削除やマーケティング対象外への変更は次回更新時に反映
マーケティングコンタクトの変更タイミング
- マーケティング対象外 → マーケティングコンタクト: 即時カウントに反映
- マーケティングコンタクト → マーケティング対象外: 毎月1日にのみ反映
この非対称性が結構重要です。増やすのは即時ですが、減らすのは月1回しかできません。つまり、意図せずマーケティングコンタクトが増えてしまった場合、即座にカウントが増加して追加費用が発生するリスクがあります。
コスト最適化の5つの施策
施策1: マーケティングコンタクト数を契約上限の7-8割に維持する
急な増加に備えてバッファを持つことが最も重要なコスト管理策です。マーケティングコンタクト数を契約上限の7-8割程度にとどめるよう管理しましょう。
例えば、2,000件の契約であれば1,400-1,600件を目安にします。
施策2: 不要なコンタクトをマーケティング対象外に変更する
以下のコンタクトは、マーケティング対象外に変更してカウントから外しましょう。
- 競合他社のコンタクト — フリーアドレスのドメインやブロック対象ドメインからの登録
- バウンスしたメールアドレス — 送信してもエラーになるアドレス
- オプトアウト済みコンタクト — メール受信を拒否している人
- 退職・転職したコンタクト — メールアドレスが無効になった人
- 社内メンバー — テスト用に登録した自社のコンタクト
- 90日以上エンゲージメントがないコンタクト — メールを開封もクリックもしていない
マーケティングEメールの開封が90日間ないコンタクトは、自動的にマーケティング対象外にするルールを設けるのが一つの基準です。
施策3: ワークフローで自動管理する
マーケティングコンタクトの管理を手動で行うのはなかなかにしんどいので、ワークフローで自動化することを強くおすすめします。
対象化ワークフロー(マーケティングコンタクトに設定)
トリガー: フォーム送信時
条件: 競合ドメインでない AND 社内ドメインでない
アクション: マーケティングコンタクトに設定
対象外化ワークフロー(マーケティング対象外に設定)
トリガー: 以下のいずれかに該当
- Eメールがハードバウンス
- オプトアウト
- メールアドレスが変更された(転職の可能性)
- 90日間メール未開封
アクション: マーケティング対象外に設定
リードとしてフォーム送信されたら社内に通知を飛ばしたりとか営業担当を割り当てる。必要ないマーケティングコンタクトについては対象を外にしていく。手動で毎回コントロールしなくても、課金に関しては一定に抑えられるようになります。
施策4: フォーム送信時の品質管理
不要なコンタクトがそもそもマーケティングコンタクトとして登録されないよう、フォームの段階でフィルタリングします。
- フリーアドレスのブロック — Gmail、Yahoo、Hotmailなどのフリーアドレスを除外(BtoBの場合)
- 競合ドメインのブロック — 特定の競合企業ドメインからのフォーム送信をブロック
- ダブルオプトイン — 確認メールでのオプトイン必須化で、無効アドレスの登録を防止
フリーアドレスのドメインはダメとか競合のドメインはブロックしたいという設定が、HubSpotのフォーム機能で可能です。
施策5: 定期的なコンタクトクレンジング
四半期に1回、以下のクレンジングを実施しましょう。
- バウンスコンタクトの確認 — ハードバウンスしたコンタクトをマーケティング対象外に
- エンゲージメントの低いコンタクト — 過去90日間に一度もメールを開封していないコンタクトを抽出
- 重複コンタクトの統合 — 同一人物の重複レコードをマージ
- 退職者の確認 — メールアドレスが無効になったコンタクトを確認
請求先メールの「0102」が0.91%しか使われていない——こうした低利用率のプロパティやコンタクトを発見するために、データ品質ダッシュボードを定期的に確認する習慣をつけましょう。
コスト管理のためのダッシュボード設計
必須レポート
以下のレポートをダッシュボードに設置し、常にコンタクト数を監視しましょう。
| レポート | 内容 | 確認頻度 |
|---|---|---|
| マーケティングコンタクト数の推移 | 月次のコンタクト増減トレンド | 週次 |
| 契約上限に対する利用率 | 現在のコンタクト数/契約上限 | 週次 |
| 新規マーケティングコンタクト(ソース別) | どのチャネルからコンタクトが増えているか | 月次 |
| エンゲージメントなしコンタクト数 | 90日間未開封のコンタクト数 | 月次 |
アラート設定
ワークフローで、マーケティングコンタクト数が契約上限の80%に達したら管理者に通知を送る仕組みを設定しておくと、急な超過を防げます。
注意点・よくある失敗
インポート時のマーケティングコンタクト設定
コンタクトをCSV/Excelで一括インポートする際、デフォルトでマーケティングコンタクトに設定されることがあります。大量のコンタクトをインポートする場合は、事前にマーケティングコンタクトとして設定するかどうかを確認してください。
インポート前にワークフローが発火する可能性も含めて、事前チェックを行うことをおすすめします。
ワークフローでの意図しないマーケティングコンタクト化
ワークフローのアクションに「マーケティングEメールを送信」が含まれている場合、対象コンタクトが自動的にマーケティングコンタクトに設定されます。ワークフローを新規作成する際は、対象コンタクトの数と課金への影響を事前に確認しましょう。
年間契約中のダウングレード不可
マーケティングコンタクト数のティアが上がった場合、年間契約中はダウングレードできません。契約更新のタイミングで、実際の必要数に合わせてティアを見直しましょう。
まとめ
HubSpotのマーケティングコンタクト管理は、「理解すれば怖くない、放置すると高くつく」仕組みです。
まずは現在のマーケティングコンタクト数と契約上限を確認し、利用率が80%を超えている場合はクレンジングを実施しましょう。その上で、ワークフローによる自動の対象化・対象外化の仕組みを構築すれば、手動で毎回コントロールしなくても課金を一定に抑えられます。
CRMにデータが蓄積されるほどコンタクト数は増えていきますが、全員にマーケティングメールを送る必要はありません。エンゲージメントの高いコンタクトに絞ってマーケティングコンタクトに設定することで、コストを最適化しながらマーケティング効果を最大化できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. マーケティングコンタクトは手動で変更できますか?
はい、コンタクトレコードから手動でマーケティングコンタクト/マーケティング対象外に変更できます。ただし、マーケティングコンタクトから対象外への変更は毎月1日にのみ反映されます。逆に、対象外からマーケティングコンタクトへの変更は即時反映されます。
Q2. マーケティング対象外のコンタクトにセールスメール(1:1メール)は送れますか?
はい、送れます。マーケティング対象外のコンタクトでも、CRMの基本機能(1:1メール送信、シーケンス、電話、ミーティング予約など)はすべて利用可能です。制限されるのはマーケティングEメール(一斉配信)と広告オーディエンスへの登録のみです。
Q3. コンタクトを削除すればマーケティングコンタクト数は減りますか?
はい、コンタクト自体を削除すればカウントから外れます。ただし、CRMからレコードが完全に削除されるため、過去のアクティビティ履歴も失われます。データを残したい場合は、削除ではなくマーケティング対象外への変更をおすすめします。
Q4. 無料プランにもマーケティングコンタクトの上限はありますか?
はい、無料プランでも月2,000通のマーケティングEメール送信制限があります。ただし、マーケティングコンタクトの「課金」という概念は有償プランに適用されるもので、無料プランでは追加費用は発生しません。有償プランに移行する際にマーケティングコンタクト数のティアが設定されます。
Q5. マーケティングコンタクト数の管理を外部委託する場合のポイントは?
パートナー企業に運用を委託する場合でも、マーケティングコンタクト数の管理責任は自社にあります。委託先にはコンタクトの対象化・対象外化の権限を適切に設定し、月次でコンタクト数のレポートを共有する運用をおすすめします。クレンジングのルール(90日ルールなど)を事前に合意しておくことがポイントです。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。