HubSpotマーケティングアトリビューション分析|施策の収益貢献度を正しく測定する方法

  • 1970年1月1日

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「マーケティング施策にいくら投資して、どれだけ売上につながったのかを正確に把握したい」「広告、メール、ブログ、展示会...どの施策が最も商談に貢献しているのかわからない」——マーケティング部門が経営層にROIを報告する際、こうした課題は避けて通れません。

HubSpotのアトリビューション分析とは、マーケティング施策やコンテンツが「コンタクト作成」「取引作成」「収益」にどれだけ貢献したかを、複数のアトリビューションモデルで可視化するレポート機能です。 Marketing Hub Professional以上で利用でき、HubSpot CRMに蓄積されたデータを活用してアトリビューション分析を実行できます。

この記事では、アトリビューションの基本概念から、HubSpotでの具体的なレポート作成方法、実務での活用方法までを解説します。

この記事でわかること:

  • アトリビューション分析の基本概念と重要性
  • HubSpotで利用できる7つのアトリビューションモデル
  • 3種類のアトリビューションレポートの使い分け
  • レポートの具体的な作成手順
  • 実務での分析・改善サイクルの回し方

アトリビューション分析とは?なぜ重要なのか

カスタムレポート一覧

アトリビューションの定義

アトリビューション分析とは、顧客が購入(コンバージョン)に至るまでに接触した複数のマーケティング施策に対して、それぞれの「貢献度」を割り当てる分析手法です。

BtoBの購買プロセスでは、顧客は平均して6-8回以上のタッチポイント(接触点)を経てから商談化します。例えば:

ブログ記事を閲覧 → メルマガ登録 → ホワイトペーパーDL → ウェビナー参加 → 営業メール → 商談 → 受注

この場合、「受注」に最も貢献したのはどの施策でしょうか?ブログ記事(最初の接触)?ウェビナー(商談化の直前)?それとも全施策が均等に貢献?——この「貢献度の配分」を決めるのがアトリビューションモデルです。

なぜアトリビューション分析が重要か

Google Adの場合ですと「5コンバージョンした」というのはわかるのですが、じゃあ実際誰だったのか?というところを突合するのが結構Excelで集計しなきゃいけないので、MAを入れていただくとそういうところが一貫して見られるようになります。

アトリビューション分析により:

  • 予算配分の最適化 — 最も収益に貢献している施策に予算を集中できる
  • 施策の効果測定 — 「なんとなく効いている気がする」を数値で証明できる
  • 経営層への報告 — マーケティングROIを客観的なデータで報告できる
  • 改善サイクルの加速 — 効果の低い施策を早期に発見して改善・撤退できる

HubSpotの7つのアトリビューションモデル

キャンペーン管理

HubSpotでは、以下の7つのアトリビューションモデルが利用できます。企業様によって最適なモデルは異なりますので、自社のマーケティング戦略に合ったモデルを選択いただくのがポイントです。

モデル 配分方法 適するケース
初回インタラクション 最初のタッチポイントに100% リード獲得チャネルの評価
最終インタラクション 最後のタッチポイントに100% クロージング施策の評価
線形(リニア) 全タッチポイントに均等配分 全体的な施策バランスの評価
U字型 初回と最終に各40%、中間に残り20%を均等配分 リード獲得+商談化の両方を重視
J型 最終に重み、初回にやや重み クロージング重視だが初回も評価
逆J型 初回に重み、最終にやや重み リード獲得重視だが最終も評価
時間減衰 コンバージョンに近いほど高い配分 最近の施策効果を重視

モデル選択の実務的な指針

ここが1個ポイントになるのですが、「正解」のモデルは存在しません。重要なのは、自社のマーケティング戦略に合ったモデルを一つ選び、継続的に同じモデルでトラッキングすることです。

おすすめの使い分け:

  • マーケティング部門の評価 → U字型(リード獲得から商談化までの貢献を均等に評価)
  • コンテンツチームの評価 → 初回インタラクション(新規リード獲得への貢献)
  • 営業連携の評価 → 最終インタラクション(商談化の直前の施策を重視)
  • 全体俯瞰 → 線形(まずは均等に見てバランスを把握)

HubSpotの3種類のアトリビューションレポート

取引一覧画面(リストビュー)

HubSpotでは、3種類のアトリビューションレポートを作成できます。3種類全てを作成することで、マーケティング活動の効果の全容を把握できます。

1. コンタクト作成アトリビューション

目的: どの施策が「新規リードの獲得」に貢献したかを分析

分析対象: コンタクトが作成されるまでのインタラクション

活用例:

  • ブログ vs 広告 vs 展示会、どのチャネルが最もリードを生み出しているか
  • フォーム別のリード獲得貢献度
  • 新規コンテンツの集客効果

2. 取引作成アトリビューション

目的: どの施策が「商談の創出」に貢献したかを分析

分析対象: コンタクト作成から取引が作成されるまでのインタラクション

活用例:

  • ナーチャリング施策のうち、どれが商談化に最も寄与しているか
  • メールキャンペーンの商談化貢献度
  • ウェビナー参加者の商談転換率

3. 収益アトリビューション

目的: どの施策が「実際の収益」に貢献したかを分析

分析対象: コンタクト作成から取引がクローズ(受注)するまでの全インタラクション

活用例:

  • マーケティング投資のROI算出
  • チャネル別の収益貢献額
  • 展示会投資に対する収益リターン

展示会管理の文脈でいえば、例えばある展示会から1500万円の取引が創出され、実受注が1000万円だった場合、その展示会のROIを正確に算出できるようになります。


アトリビューションレポートの作成手順

前提条件

  • Marketing Hub Professional以上が必要
  • CRMにコンタクト・取引データが蓄積されていること
  • マーケティング活動(メール、フォーム、ページビューなど)のトラッキングが有効であること

レポート作成のステップ

  1. レポート → レポートを作成 → アトリビューションレポートを選択
  2. レポートタイプを選択(コンタクト作成 / 取引作成 / 収益)
  3. アトリビューションモデルを選択(7モデルから)
  4. ディメンションを選択:
  • インタラクションタイプ — ページビュー、フォーム送信、メール開封等
  • コンテンツタイプ — ブログ記事、LP、メール等
  • キャンペーン — HubSpotキャンペーン別
  • UTMソース/メディア — 流入元別
  1. フィルターで期間やセグメントを絞り込み
  2. レポートを保存してダッシュボードに追加

ダッシュボードへの組み込み

作成したアトリビューションレポートは、会議シーン別のダッシュボードに組み込むのがおすすめです。

ダッシュボード 含めるアトリビューションレポート
マーケティング定例 コンタクト作成アトリビューション(チャネル別)
営業・マーケ連携会議 取引作成アトリビューション(キャンペーン別)
経営会議 収益アトリビューション(全チャネル比較)

ダッシュボードを意味合いごとに営業会議用とか経営会議用に分けていただくと、シーンで使い分けていただくことができます。


実務での活用方法

1. 月次レビューでの活用

毎月のマーケティング定例で、以下の3つの視点でアトリビューションを確認します。

  • リード獲得: コンタクト作成アトリビューションで、どのチャネルがリードを生み出しているか
  • 商談化: 取引作成アトリビューションで、どのナーチャリング施策が効いているか
  • 収益: 収益アトリビューションで、投資対効果が高いチャネルはどれか

2. 予算再配分の判断材料

四半期ごとのアトリビューションデータを蓄積すると、チャネル別のCPA(顧客獲得単価)やROAS(広告費用対効果)が算出できます。

例えば:

  • 展示会: リード37件→MQL5件→商談2件→受注1件(CPA: 50万円)
  • ウェビナー: リード100件→MQL15件→商談5件→受注3件(CPA: 10万円)

この場合、ウェビナーの方がCPAが低く効率的であることが数値で証明され、予算配分の判断材料になります。

3. コンテンツ戦略への反映

コンテンツタイプ別のアトリビューションを分析すると、どの種類のコンテンツがコンバージョンに効いているかが見えてきます。

よくある発見:

  • 事例記事は商談化の直前(最終インタラクション)で効果が高い
  • ブログ記事は初回接触(リード獲得)で効果が高い
  • ホワイトペーパーはナーチャリング期間中(中間タッチポイント)で効く

注意点・よくある誤解

すべてのタッチポイントが計測されるわけではない

HubSpotのアトリビューションは、HubSpotが追跡できるインタラクションのみが対象です。例えば、HubSpotのトラッキングコードが設置されていない外部サイトでの行動や、オフラインでの接触(電話、名刺交換など)は自動的には計測されません。

手動でオフラインのコンバージョンを記録する運用ルールを設けることで、より正確なアトリビューション分析が可能になります。

アトリビューションモデルの「正解」はない

前述の通り、モデルに正解はありません。重要なのは一貫性です。途中でモデルを変更すると時系列の比較ができなくなるため、まず一つのモデルを選んで3-6ヶ月は継続し、その後に別モデルとの比較を行うアプローチが現実的です。

レポートの数値を鵜呑みにしない

アトリビューションレポートはあくまで「モデルに基づいた推計値」です。特にBtoBの長い購買サイクルでは、複数の施策が複合的に影響しあっているため、一つの数値だけで施策の良し悪しを判断するのは危険です。定量データ(アトリビューション)と定性データ(営業フィードバック、顧客ヒアリング)を組み合わせて判断しましょう。


まとめ

HubSpotのアトリビューション分析を活用すれば、マーケティング施策の収益貢献度を客観的なデータで可視化できます。「なんとなく効いている気がする」から「数値で証明できる」への転換は、マーケティング部門の経営に対する説明責任を果たす上で非常に重要です。

まずは線形モデル(均等配分)でコンタクト作成アトリビューションを作成し、全チャネルの貢献度を俯瞰するところから始めましょう。データが蓄積されるにつれて、取引作成→収益アトリビューションと段階的に分析を深めていくのがおすすめです。

マーケティングと営業のデータがCRM上で一気通貫でつながっているHubSpotだからこそ、アトリビューション分析が本来の力を発揮します。ぜひトライいただければなと思います。


よくある質問(FAQ)

Q1. アトリビューション分析に必要なプランはどれですか?

Marketing Hub Professional以上が必要です。無料プランやStarterプランではアトリビューションレポートは利用できません。なお、収益アトリビューションを活用するには、Sales Hub(取引管理)との併用が必要です。

Q2. アトリビューションレポートの作成にデータはどのくらい必要ですか?

最低でも3ヶ月分のデータ蓄積が推奨されます。コンタクト作成からクローズまでの期間(営業サイクル)が長い業界では、6ヶ月以上のデータがあるとより精度の高い分析が可能です。

Q3. オフラインの施策(展示会、電話など)もアトリビューションに含められますか?

直接自動で計測はされませんが、HubSpotにオフラインコンバージョンを手動で記録する運用をすれば、アトリビューションに含めることが可能です。例えば、展示会の来場者をマーケティングイベントとしてHubSpotに登録すれば、その接触がアトリビューションの対象になります。

Q4. Googleアナリティクスのアトリビューションとの違いは何ですか?

GoogleアナリティクスのアトリビューションはWebサイト上のセッション単位の分析が中心です。一方、HubSpotのアトリビューションはCRMデータと連携しているため、「誰が」「どの施策に接触して」「いくらの取引を生み出したか」という個人レベル・収益レベルの分析が可能です。BtoBではHubSpotのアトリビューションの方が実務的な価値が高いかなと思います。

Q5. 複数のアトリビューションモデルを同時に比較できますか?

はい、同じデータに対して異なるモデルのレポートを複数作成し、ダッシュボード上で並べて比較できます。まずは3つ程度のモデル(初回インタラクション、最終インタラクション、線形)で同じ期間のデータを比較すると、各モデルの特性が理解しやすくなります。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。