HubSpotライフサイクルステージの設計方法|カスタマージャーニーに基づく定義・自動化・ワークフロー設定を徹底解説

HubSpotライフサイクルステージの設計方法

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HubSpotのライフサイクルステージは、リードから顧客までの進捗を可視化する最も重要なプロパティの一つです。しかし、初期設定のまま使っている企業が非常に多いです。カスタマージャーニーに合わせた設計をしないと、マーケティングと営業の連携が破綻し、レポートの精度も落ちます。

この記事では、ライフサイクルステージの考え方から具体的な設定手順、ワークフローによる自動化まで、実務で使えるレベルで解説します。


ライフサイクルステージとは何か

ライフサイクルステージとは、コンタクト(見込み客や顧客)が購買プロセスのどの段階にいるかを示すHubSpotのプロパティです。リード、MQL、SQL、商談、顧客といったステータスを付与することで、全コンタクトの現在地を一目で把握できます。

HubSpotコンタクト画面でのライフサイクルステージ表示

HubSpotのコンタクト画面をボードビューに切り替えると、リード・MQL・失注・掘り起こし・SQL・商談・顧客といった各ステージに何人のコンタクトがいるかが視覚的にわかります。テーブルビューではリスト形式で表示されるため全体の分布が掴みにくいですが、ボードビューならパッと見で把握できます。

テーブルビューでのライフサイクルステージ一覧 ボードビューによるライフサイクルステージの可視化

BtoB企業とBtoC企業ではステージの設計が異なりますし、同じBtoBでも商材やビジネスモデルによって最適な設計は変わります。重要なのは「考え方」を理解し、自社のカスタマージャーニーに合わせて定義することです。


カスタマージャーニーからライフサイクルステージを設計する

ライフサイクルステージの設計は、HubSpotの設定画面をいじる前にまず自社のカスタマージャーニーを整理するところから始まります。

スプレッドシートでのライフサイクルステージ設計資料

BtoBの一般的なジャーニー例

BtoB企業の場合、一般的なカスタマージャーニーは以下のようになります。

  1. 認知 — 企業として認知される段階
  2. リード — メルマガ登録やウェブフォーム送信でリード化
  3. MQL(Marketing Qualified Lead) — メール開封やウェブ訪問が増え、マーケのホットリードに昇格
  4. 失注・掘り起こし — 過去に商談して失注した顧客を再度ナーチャリング
  5. SQL(Sales Qualified Lead) — 今すぐ商談すべきタイミングの見込み客
  6. 商談 — 実際に案件化してミーティングが進行中
  7. 顧客 — 受注してカスタマーサクセスにパス
  8. アプローチNG — 競合や他社からの営業など、取引対象外
  9. 社内 — 自社メンバー(コンタクトに含まれてしまった場合)
ライフサイクルステージの定義と担当部門の割り当て

各ステージで定義すべき項目

ステージごとに以下を明確にしておくと運用がスムーズになります。

  • 顧客状態の定義 — そのステージに該当する条件(例:スコアが○点以上でMQL)
  • 対象部門 — マーケ、インサイドセールス、営業、CSなど
  • やるべきアクション — ウェビナー案内、商談設定、見積送付、サポート提供など

たとえばMQLの段階ではマーケやインサイドセールスがウェビナー案内やコンテンツ配信で温度感を上げ、SQLになったら営業にパスして商談化します。商談で受注したら顧客に転換してCSがフォローします。この流れを定義してからHubSpotに実装する順序が正しいです。


HubSpotでのライフサイクルステージ設定手順

ステージの追加と編集

設定は「右上の歯車アイコン → オブジェクト → コンタクト → ライフサイクルステージ」から行います。

ライフサイクルステージの設定画面

初期状態ではデフォルトのステージが設定されていますが、自社のジャーニーに合わせて編集できます。

ステージの追加操作

「ステージを追加」をクリックして名前を入力し、「ライフサイクルステージを作成」で簡単に追加できます。たとえばVIP顧客というステージを作り、顧客の後ろにドラッグ&ドロップで配置すれば、「顧客 → VIP顧客」という流れを定義できます。

ステージ名の変更

「リード」という名前が馴染まなければ「見込み」に変更するなど、自社の用語に合わせて自由にカスタマイズして問題ありません。

標準の自動化機能

HubSpotにはライフサイクルステージを自動で変更する標準機能があります。

コンタクトの自動化設定画面

標準の自動化で対応できるのは以下の3パターンです。

  • コンタクトが作成されたとき → 見込み(リード)に設定
  • 取引が関連づけで作成されたとき → 商談に変更
  • 取引が成立したとき → 顧客に変更

つまり、手動でライフサイクルステージを変更しなくても、取引の作成や受注のタイミングで自動的にステージが切り替わります。

自動変更の実例

実際の動きを見てみましょう。掘り起こしステージにいるコンタクトに対して新しい取引を作成すると、自動的にライフサイクルステージが「商談」に変わります。

取引作成による自動ステージ変更のデモ ライフサイクルステージが自動で商談に変更

さらに、その取引を受注(成立)にすると、ライフサイクルステージは自動的に「顧客」に切り替わります。コンタクトのプロパティ履歴を見ると、見込み → MQL → 商談 → 失注 → 掘り起こし → 商談 → 顧客というカスタマージャーニーの流れが時系列で可視化されています。

ジャーニー履歴の可視化

この履歴を分析することで、「どういうジャーニーを辿った顧客が受注しやすいか」という成功パターンを見出すことも可能です。


ワークフローによる自動化(応用編)

標準の自動化機能だけでは、MQL・失注・アプローチNGなど一部のステージ変更をカバーできません。これらはワークフローで補完する必要があります。

実務で必要になるワークフローは大きく4パターンです。

パターン1:高スコア対応でMQL昇格

Marketing Hubを導入している企業はリードスコアリング機能が使えます。ウェブ閲覧やメール開封、フォーム送信などの行動にポイントを付与し、一定のスコアを超えたタイミングでMQLに昇格させるワークフローです。

ワークフロー:高スコアでMQL昇格

たとえば「HubSpotスコアが50点以上になったらライフサイクルステージをMQLに変更する」という設定を組みます。これにより、ホットリードを自動的に検知してインサイドセールスに引き渡せます。

パターン2:フォームコンバージョンでSQL/NG判定

ウェブフォームからの問い合わせ内容に応じて、SQLまたはアプローチNGに振り分けるワークフローです。

ワークフロー:フォーム送信時のSQL/NG判定

トリガーはフォーム送信で、AIやデータエージェントのカスタムプロンプトを使い、問い合わせ内容が「商談につながる問い合わせ」か「営業やスパム」かを判定します。問い合わせならSQLに、営業やスパムならアプローチNGに自動変更します。

パターン3:失注時の掘り起こしへの戻し

商談から失注した場合、ライフサイクルステージを「失注・掘り起こし」に戻してナーチャリングフェーズに再投入するワークフローです。

ここで注意すべきは、ライフサイクルステージは通常「逆行できない」仕組みになっている点です。商談から失注・掘り起こしに戻すには、以下の2ステップが必要になります。

  1. 取引が失注ステージになったタイミングで、ライフサイクルステージを一度クリアします
  2. その後、ライフサイクルステージを「失注・掘り起こし」に設定します

この「一度クリアしてから再設定」という手順を踏まないとステージの逆行ができないため、ワークフロー設計時に注意が必要です。

パターン4:社内メンバーの自動分類

自社ドメインのメールアドレスを持つコンタクトを、自動的に「社内」ステージに分類するワークフローです。

ワークフロー:社内メンバーの自動判定

Eメールドメインに自社のドメイン(例:startlink.jp)を条件として設定し、該当するコンタクトのライフサイクルステージを「社内」に変更します。これにより、社内メンバーがリード数に混入することを防げます。


カスタムステージを追加した場合のワークフロー

VIP顧客のように独自のステージを追加した場合は、そのステージ専用のワークフローも設定する必要があります。たとえば「顧客になって一定期間経過」「LTV(顧客生涯価値)が一定額以上」などの条件でVIP顧客に自動昇格させるといった設計が考えられます。


レポートでの活用

ライフサイクルステージを正しく設計・運用できれば、HubSpotのレポート機能で強力な分析が可能になります。

ライフサイクルステージのまとめと活用
  • リードが何件、MQLが何件、商談が何件、顧客が何件かをリアルタイムで把握
  • 3万人のリードのうち商談化しているのは何人かといったファネル分析
  • MQL(ホットリード)の割合を可視化して、ナーチャリング施策の効果を測定
  • 各ステージの転換率から、ボトルネックになっている箇所を特定

スコアリングとの連携でMA関連のナーチャリング効果を数値化する場合は、スコアリングの設計(ウェブ閲覧で何点、フォーム送信で何点など)も合わせて行うとより精度の高いレポートが作成できます。


まとめ

ライフサイクルステージの設計・運用は以下の流れで進めます。

  1. カスタマージャーニーの可視化 — 自社の顧客がどのような段階を経て受注に至るかを整理します
  2. 各ステージの定義 — ステージごとの定義、担当部門、アクション内容を明確にします
  3. HubSpotへの実装 — ライフサイクルステージの設定画面でステージを追加・編集します
  4. 標準の自動化を活用 — コンタクト作成時、取引作成時、取引成立時の自動変更を設定します
  5. ワークフローで補完 — MQL昇格、SQL/NG判定、失注戻し、社内判定の4パターンを実装します
  6. レポートで効果測定 — ファネル分析やステージ転換率でボトルネックを特定します

初期設定のまま放置せず、自社のビジネスモデルに合わせて設計することが、HubSpotを活用した顧客管理の第一歩です。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。