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「リードは獲得できているのに、どの見込み顧客を優先的にフォローすべきかわからない」「営業がすべてのリードに同じ対応をして、非効率になっている」——こうした課題を解決するのが、リードスコアリングです。
リードスコアリングとは、見込み顧客(リード)の属性情報や行動データに基づいてスコア(点数)を付与し、購買意欲や成約確率の高さを数値化する手法です。 HubSpotでは、手動設定によるスコアリングとAI予測リードスコアリングの2つの方法が用意されており、マーケティングと営業の連携を強化できます。
この記事では、以下のポイントを解説します。
- リードスコアリングの基本概念と重要性
- スコアリングモデルの設計方法
- HubSpotでのスコアリング設定手順
- AI予測リードスコアリングの活用
- スコアリングの運用改善とPDCA
リードスコアリングとは?なぜ重要なのか
基本概念
リードスコアリングとは、見込み顧客に対して属性(企業規模・役職・業種など)と行動(Webサイト閲覧・メール開封・フォーム送信など)の両面からスコアを付与し、合計点でリードの「温度感」を可視化する仕組みです。
スコアリングが必要なタイミング
すべての企業にスコアリングが必要なわけではありません。以下のような状況になったタイミングでの導入が効果的です。
- 月間リード数が200〜300件を超えた: 全件を手動で優先度判断するのが困難
- マーケティングと営業の引き渡し基準が曖昧: MQLとSQLの定義が不明確
- 営業のリソースが限られている: 優先順位を付けて効率的にアプローチしたい
- ナーチャリング施策を実施している: コンテンツ閲覧やメール開封のデータが蓄積されている
ただ単にかけていくだけよりも、HubSpotのMAの機能が強いのでスコアリングで優先順位の高い方から並べて、それぞれにかけるというアプローチが効果的です。
スコアリングモデルの設計
2つのスコアリング軸
今枝のスコアリング設計では、エンゲージメントスコアと適合スコアの2軸で構成します。
| スコアタイプ | 評価対象 | 配点の目安 | 例 |
|---|---|---|---|
| エンゲージメントスコア | 行動データ | MAX 80点 | Web閲覧、メール開封、フォーム送信、イベント参加 |
| 適合スコア | 属性データ | MAX 20点 | 役職、業種、企業規模、地域 |
| 合計 | MAX 100点 |
定性的なもの(属性)は20点まで、ウェブ行動とかは80点MAXにしようという設計が推奨です。これが結構ミソになってきます。
エンゲージメントスコアの設計例
| 行動 | スコア | 条件 |
|---|---|---|
| Webサイト閲覧 | +1〜3点 | ページビュー(料金ページは+3、ブログは+1) |
| メール開封 | +2点 | マーケティングメールの開封 |
| メールクリック | +5点 | メール内リンクのクリック |
| フォーム送信 | +10点 | ホワイトペーパーDL、問い合わせ等 |
| ウェビナー参加 | +10点 | ウェビナー/セミナーへの出席 |
| ミーティング予約 | +15点 | 日程調整リンクからの予約 |
| 30日以上アクション無し | -5点 | エンゲージメント低下の減点 |
適合スコアの設計例
| 属性 | スコア | 条件 |
|---|---|---|
| 役職(決裁者) | +5点 | 部長・役員・代表 |
| 役職(担当者) | +2点 | マネージャー・担当者 |
| 企業規模(大) | +5点 | 従業員100名以上 |
| 企業規模(中) | +3点 | 従業員30〜99名 |
| 業種(ターゲット) | +5点 | 自社のターゲット業種 |
| 地域(対応エリア) | +3点 | 自社のサービス提供エリア |
閾値の設定
| スコア閾値 | アクション |
|---|---|
| 50点以上 | MQL(マーケティング有望リード)に昇格 |
| 70点以上 | FS(フィールドセールス)/ IS(インサイドセールス)にトス |
| 30点以下(30日以上) | ナーチャリングプールに戻す |
このマーケの70%はマーケが持って、あとの30%をFSとISに渡そうという考え方で、スコアリングの閾値を設計します。
HubSpotでのスコアリング設定手順
新しいスコアリングツール
HubSpotは2025年にスコアリングツールをリニューアルしました。新しいスコアリングツールは、よりビジュアルなUIで設定がしやすくなっています。
利用条件: Marketing Hub、Sales Hub、Service Hub、Data Hub、Content HubのいずれかのProfessionalまたはEnterpriseプラン
ステップ1: スコアリングルールの作成
- HubSpotの設定画面で「データ管理」→「スコアリング」に移動
- 「スコアを作成」をクリック
- スコアの名前と対象オブジェクト(コンタクト/会社/取引)を設定
ステップ2: スコアリング条件の設定
「条件を追加」から、スコアを加算・減算する条件を設定します。
加算条件の例:
- 「Eメールを開封した」→ +2点
- 「フォームを送信した」→ +10点
- 「料金ページを閲覧した」→ +5点
- 「役職に"部長"が含まれる」→ +5点
減算条件の例:
- 「30日以上Webサイトにアクセスしていない」→ -5点
- 「メールをオプトアウトした」→ -20点
- 「フリーメールアドレスを使用している」→ -3点
ステップ3: ワークフローとの連携
スコアリングの本当の価値は、スコアに基づいたアクションの自動化にあります。
- スコアが50点以上 → ライフサイクルステージをMQLに自動変更
- スコアが70点以上 → 営業担当者にSlack通知 + タスク自動作成
- スコアが30点以下に低下 → ナーチャリングワークフローに再登録
ステップ4: ダッシュボードでのモニタリング
スコア分布を可視化するレポートをダッシュボードに追加し、定期的にスコアリングの効果を確認します。
AI予測リードスコアリング
予測リードスコアリングとは
HubSpotの予測リードスコアリングは、機械学習アルゴリズムを使用して、未対応のコンタクトが90日以内に顧客になる確率を自動的に判定する機能です。
手動スコアリングとの違い
| 項目 | 手動スコアリング | 予測リードスコアリング |
|---|---|---|
| 設計 | 自社で条件・配点を設定 | AIが自動的にモデルを構築 |
| 更新 | 手動でルールを変更 | AIが継続的にモデルを最適化 |
| 精度 | 設計者の経験に依存 | データ量に応じて精度向上 |
| 必要プラン | Professional〜 | Enterprise |
| カスタマイズ性 | 高い | 限定的 |
使い分けの推奨
- まず手動スコアリングから始める: 自社の営業プロセスを理解し、スコアリングの設計力を身につける
- データが蓄積されたら予測スコアリングを併用: 一定量の成約データが蓄積された段階で、AI予測を補助的に活用
AIの予測は叩き台として活用し、最終的な営業判断は人間が行うというアプローチが推奨です。AIは「超一流の営業マン」ではなく「アシスタント」として捉えるのがよいかなと思います。
スコアリングの運用改善(PDCA)
定期的な閾値の調整
スコアリングを運用開始した後は、定期的にスコア分布を確認し、閾値を調整します。
- 高スコアのリードが大量にある場合: 閾値を上げる(例: 50点→60点)
- 高スコアのリードがほとんどいない場合: 閾値を下げる(例: 50点→40点)
- 高スコアだが商談化しないリードが多い場合: スコアリング条件を見直す
効果測定の指標
| 指標 | 確認内容 |
|---|---|
| MQL→SQL転換率 | 高スコアリードが実際に営業トスされる割合 |
| 商談化率 | MQLからの商談化率が一般リードより高いか |
| 営業の受入率 | 営業がMQLを「質の高いリード」と評価しているか |
| スコア分布 | スコアの偏りがないか(全員低スコアor全員高スコアは問題) |
マーケティングと営業の連携
スコアリングの成功には、マーケティングチームと営業チームの定期的なフィードバックが不可欠です。
- 月次ミーティング: MQLの質について営業からフィードバックを受ける
- スコアリング条件の共同設計: 営業が「ホットリード」と感じる条件を反映
- 失注分析: 失注理由をスコアリングモデルにフィードバック
失注分析で「何の理由で失注したのか」を分析できるようになれば、例えばプロダクトの製品開発に「こういう機能を入れてください」という情報をマーケ側から共有しやすくなり、営業とマーケの連携がしやすくなります。
コンタクトと会社の二重スコアリング
なぜ二重スコアリングが必要か
リード数はものすごいいるけど、会社ベースで見たら意外と数はないということもあります。会社とコンタクトそれぞれでスコアリングを管理いただくと、より精度の高いリード評価が可能になります。
- コンタクトスコア: 個人の行動・属性に基づく
- 会社スコア: 企業全体の関与度に基づく(複数コンタクトの合算)
例えば、1企業に対して3名のリードがいた場合、一番スコアの高いコンタクトの数値を会社のスコアとして反映させるといった設計も可能です。
注意点
1. スコアリングツールの移行
HubSpotは2025年にスコアプロパティから新しいスコアリングツールに移行しています。既存のスコアプロパティを使用している場合は、新しいツールへの移行計画を立ててください。
2. 最初から完璧を求めない
スコアリングモデルは最初から完璧なものを作る必要はありません。まずはシンプルなモデルで始めて、データを見ながら段階的に改善していくのがおすすめです。自社で活用できそうなものを見極めて、優先順位をつけてトライいただければなと思います。
まとめ
リードスコアリングは、マーケティングと営業をつなぐ重要な仕組みです。HubSpotのスコアリング機能を活用すれば、リードの優先順位を可視化し、限られた営業リソースを最大限に活用できます。
- エンゲージメント(行動)80点+適合(属性)20点の2軸でMAX100点の設計
- 50点以上でMQL昇格、70点以上で営業トスの閾値設定
- ワークフローと連携して、MQL化→営業通知→タスク作成を自動化
- 定期的にスコア分布と商談化率を確認し、モデルを改善
まずはシンプルなスコアリングモデルから始めて、データが蓄積されるにつれてモデルの精度を向上させていきましょう。スコアリングが機能し始めると、マーケティングと営業の連携が飛躍的に改善し、商談化率の向上につながります。
よくある質問(FAQ)
Q. リードスコアリングに必要なHubSpotのプランは?
手動スコアリングにはMarketing Hub、Sales Hub、Service Hub、Data Hub、Content HubのいずれかのProfessionalプラン以上が必要です。AI予測リードスコアリングはEnterpriseプランで利用可能です。
Q. スコアリングの効果が出るまでどのくらいかかりますか?
スコアリングモデルを設定してから効果を実感するまでには通常1〜3か月程度かかります。スコアリング条件の調整や閾値の見直しを含めると、最適化には3〜6か月を見込んでください。
Q. リードスコアリングはコンタクトだけでなく会社にも設定できますか?
はい、HubSpotのスコアリングはコンタクト、会社、取引の各オブジェクトに対して設定可能です。BtoB企業ではコンタクトスコアと会社スコアの両方を管理することで、個人と企業の両面からリードを評価できます。
Q. スコアリングの条件を変更すると、既存コンタクトのスコアも変わりますか?
はい、スコアリング条件を変更すると、既存コンタクトのスコアも再計算されます。大幅な変更を行う場合は、事前にスコア分布をエクスポートしておき、変更後の影響を確認することを推奨します。
Q. 手動スコアリングとAI予測スコアリング、どちらを使うべきですか?
まずは手動スコアリングで始めることをおすすめします。手動スコアリングで自社のスコアリング設計力を身につけた上で、データが十分に蓄積されたタイミング(成約データ100件以上が目安)でAI予測スコアリングの併用を検討するのがよいかなと思います。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。