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「HubSpotのアカウントを作成したけれど、何から設定すればいいかわからない」
「初期設定を適当に済ませてしまい、後から修正が大変になった」
——こうした声は、HubSpotを導入したばかりの企業から非常に多く聞かれます。
HubSpotの初期設定(オンボーディング)とは、アカウント作成後にCRMを自社の業務に合わせて最適化するための基盤設定です。 アカウント情報・ユーザー管理・データ構造・トラッキング・連携ツールなど、最初に正しく設定しておくことで、その後のCRM活用がスムーズに進みます。
この記事では、HubSpotアカウント作成後にやるべき初期設定を優先順位付きで体系的に解説します。
この記事でわかること:
- アカウント作成直後にやるべき基本設定(タイムゾーン・通貨・言語)
- ユーザー追加と権限設定の手順
- トラッキングコードの設置方法
- データ構造(プロパティ・パイプライン)の初期設計
- メール連携・カレンダー連携の設定
- 初期設定のチェックリスト
HubSpot初期設定の全体像
初期設定は大きく7つのカテゴリに分類できます。以下の順番で進めていただくのがおすすめです。
| 優先順位 | カテゴリ | 所要時間目安 | 対象プラン |
|---|---|---|---|
| 1 | アカウント基本設定 | 15分 | 全プラン |
| 2 | セキュリティ設定 | 10分 | 全プラン |
| 3 | ユーザー追加・権限設定 | 20分 | 全プラン |
| 4 | トラッキングコード設置 | 15分 | 全プラン |
| 5 | メール・カレンダー連携 | 10分 | 全プラン |
| 6 | データ構造の設計(プロパティ・パイプライン) | 30-60分 | 全プラン |
| 7 | データインポート | 30分〜 | 全プラン |
合計で2〜3時間程度で基本的な初期設定が完了します。
1. アカウント基本設定
アカウント作成
HubSpotのアカウント作成は、HubSpot公式サイトから無料で始められます。
- HubSpot公式サイトにアクセス
- 「無料で始める」をクリック
- メールアドレス、名前、会社名を入力
- 認証メールを確認してアカウントを有効化
基本情報の設定
アカウント作成後、まず以下の基本情報を設定します。
設定場所: 歯車マーク → 「アカウントの既定値」
| 設定項目 | 推奨設定 | 注意点 |
|---|---|---|
| タイムゾーン | (UTC+09:00) 日本標準時 | レポート・ワークフローの基準時刻になる |
| 言語 | 日本語 | UIの表示言語 |
| 通貨 | JPY(日本円) | 取引金額のデフォルト通貨 |
| 会社名 | 正式社名 | ブランディングに使用 |
| 会社ドメイン | 自社のWebサイトドメイン | トラッキングの基準になる |
ここがポイントになってくるのですが、タイムゾーンと通貨は後から変更すると既存データに影響する可能性があるため、最初に正しく設定しておくことが重要です。
ブランディング設定
設定場所: 歯車マーク → 「アカウントの既定値」→「ブランディング」
- 会社ロゴ: フォーム・Eメール・ドキュメントに表示されるロゴ画像をアップロード
- ファビコン: HubSpotでホストするページのブラウザタブに表示されるアイコン
- ブランドカラー: プライマリカラーとセカンダリカラーを設定
2. セキュリティ設定
アカウントのセキュリティは初期段階で確実に設定しておきましょう。
二要素認証(2FA)の設定
設定場所: プロフィールアイコン → 「プロフィールと設定」→「セキュリティ」
- 「2要素認証」セクションで「2要素認証を設定」をクリック
- 認証方法を選択:
- 認証アプリ(推奨): Google Authenticator、Microsoft Authenticator等
- SMS: 電話番号にコードを送信
- QRコードをスキャンまたは電話番号を入力
- 確認コードを入力して有効化
二要素認証は全ユーザーに設定を推奨します。特にスーパー管理者は必須と考えてください。上場企業や上場準備中の企業では、SSO・2FA・IP制限の導入がセキュリティ監査で求められることもあります。
ログイン通知の有効化
不審なログインがあった際に通知を受け取る設定も有効化しておきましょう。
3. ユーザー追加・権限設定
ユーザーの招待
設定場所: 歯車マーク → 「ユーザーとチーム」
- 「ユーザーを招待」をクリック
- メールアドレスを入力(複数名を一度に招待可能)
- 権限を設定:
- スーパー管理者: 全機能にアクセス可能(1-2名に限定推奨)
- 標準ユーザー: 基本的なCRM操作
- 表示のみ: レポート閲覧のみ(無料シート)
- 「招待を送信」をクリック
シートの割り当て
HubSpotのシートには4種類あります。コスト最適化の観点から、各ユーザーに適切なシートを割り当てることが結構ミソになってくるポイントです。
| シート種別 | 対象ユーザー | 費用 |
|---|---|---|
| 表示のみ | 経営層・管理部門 | 無料 |
| コアシート | マーケ担当・一般メンバー | 有料 |
| Sales Hub有償シート | 営業担当 | 有料 |
| Service Hub有償シート | CS担当 | 有料 |
今枝も動画で「代表とか副社長もレポートとかだけ見ていればいいよっていうものであれば無料でご利用いただけます」と解説しています。必要以上のシートを割り当てないように注意しましょう。
チームの作成
組織が5名以上であれば、チームを作成してメンバーをグループ化しておくことを推奨します。
- 「チーム」タブ → 「チームを作成」
- チーム名を入力(例: 営業部、マーケ部、CS部)
- メンバーを割り当て
4. トラッキングコードの設置
HubSpotのトラッキングコードを自社Webサイトに設置することで、Webサイト訪問者の行動データがCRMに自動的に蓄積されます。これは初期設定の中でも特に重要な項目です。
設置方法
設定場所: 歯車マーク → 「トラッキングとアナリティクス」→「トラッキングコード」
方法1: 直接埋め込み
- トラッキングコードをコピー
- 自社Webサイトの全ページの
タグの直前に貼り付け
方法2: Google Tag Manager(GTM)経由
- GTMにログイン
- 新しいタグを作成(カスタムHTML)
- HubSpotトラッキングコードを貼り付け
- トリガーを「全ページ」に設定
- 公開
今枝は「WordPressプラグインよりGTMでのタグ埋め込みを推奨」しています。GTM経由の方が、他のタグとの一元管理ができて運用が楽になるためです。
設置後の確認
トラッキングコード設置後、HubSpotの「トラフィックアナリティクス」でデータが取得できていることを確認してください。反映には数時間かかる場合があります。
5. メール・カレンダー連携
個人メールの連携
設定場所: 歯車マーク → 「全般」→「Eメール」
HubSpotと個人のメールアカウントを連携することで、送受信したメールがCRMのアクティビティタイムラインに自動記録されます。
対応メールクライアント:
- Gmail / Google Workspace
- Outlook / Office 365
- その他IMAP対応メール
カレンダー連携
設定場所: 歯車マーク → 「全般」→「カレンダー」
GoogleカレンダーまたはOutlookカレンダーと連携することで:
- ミーティングリンクの作成が可能に
- カレンダーの空き状況が自動反映
- ミーティングがCRMに自動記録
共有メールアドレスの設定
カスタマーサポート用の共有メールアドレス(info@やsupport@)がある場合は、受信トレイ機能で設定しておくと、チームでのメール対応が効率化されます。
設定場所: 歯車マーク → 「受信トレイとヘルプデスク」→「受信トレイ」
6. データ構造の設計
プロパティの整理
HubSpotには多数の標準プロパティがプリセットされています。初期設定の段階で以下を実施してください。
ステップ1: 不要なプロパティの非表示化
標準プロパティの中には自社で使わないものもあります。不要なプロパティは削除ではなく非表示にするのが安全です。
ステップ2: 必要なカスタムプロパティの追加
自社の業務に必要な独自項目を追加します。
設定場所: 歯車マーク → 「プロパティ」→「プロパティを作成」
ただし、今枝が繰り返し強調するように「項目が少ない方が集中できますので」という原則を忘れないでください。プロパティは最小限に留め、運用しながら必要に応じて追加するスモールスタートがおすすめです。
パイプラインの設計
営業チームがいる場合は、取引パイプラインの設計を行います。
設定場所: 歯車マーク → 「オブジェクト」→「取引」→「パイプライン」
今枝のパイプライン設計4要素フレームワーク:
- 取引ステージ: 自社の営業プロセスに合わせてステージを定義(例: アポ取得→初回提案→見積もり提示→受注内示→契約)
- 受注確度: 各ステージの受注確率を設定(例: アポ取得10%、見積もり提示50%)
- ステージ定義: 各ステージの明確な定義を社内で共有
- 必須入力プロパティ: ステージ移行時に入力を強制する項目を設定
パイプライン設計は「自社に最適なパイプラインを設計するというところが結構ミソになってくる」と今枝が強調するように、テンプレートをそのまま使うのではなく自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズすることが重要です。
ライフサイクルステージの確認
HubSpotのデフォルトのライフサイクルステージを確認し、自社のカスタマージャーニーに合わせて調整します。
推奨構成例:
リード → MQL → SQL → 商談 → 顧客
+ アプローチNG(競合・営業メール)
+ 社内(自社メンバー)
7. データインポート
既存の顧客データをHubSpotに移行します。
インポート前の準備
- データクレンジング: 重複・不備データを事前に整理
- フォーマット調整: HubSpotのプロパティに合わせてカラムを整理
- 姓名の分割: フルネーム1カラムではなく姓・名に分ける(今枝推奨)
- ファイル形式: CSVは文字化けする場合があるのでExcel形式推奨
インポート手順
- 「コンタクト」→「インポート」→「インポートを開始」
- ファイルをアップロード
- カラムとHubSpotプロパティのマッピングを確認
- インポートを実行
注意点
- インポート前にワークフローが発火しないか確認してください。ワークフローが設定済みの場合、インポートしたデータに対して意図しない自動処理が実行される可能性があります。
- 大量データのインポートは段階的に行うことを推奨します。まず少量のテストデータでインポートし、問題ないことを確認してから本番インポートを行いましょう。
初期設定チェックリスト
以下のチェックリストで設定漏れがないか確認してください。
アカウント基本設定
- [ ] タイムゾーンを日本標準時に設定
- [ ] 通貨をJPYに設定
- [ ] 言語を日本語に設定
- [ ] 会社名・ドメインを設定
- [ ] ロゴ・ブランドカラーを設定
セキュリティ
- [ ] 二要素認証を有効化
- [ ] スーパー管理者の人数を最小限に設定
ユーザー管理
- [ ] チームメンバーを招待
- [ ] 適切なシートを割り当て
- [ ] 権限を設定
- [ ] チームを作成
トラッキング・連携
- [ ] トラッキングコードを自社サイトに設置
- [ ] メールアカウントを連携
- [ ] カレンダーを連携
データ構造
- [ ] 不要なプロパティを非表示化
- [ ] 必要なカスタムプロパティを追加(最小限で)
- [ ] パイプラインを設計・作成
- [ ] ライフサイクルステージを確認・調整
データ移行
- [ ] 既存データのクレンジング
- [ ] テストインポートの実行
- [ ] 本番インポートの実行
- [ ] インポート後のデータ確認
初期設定後のネクストステップ
初期設定が完了したら、以下のステップに進むことを推奨します。
- ダッシュボードの作成: 営業会議用・経営会議用など、シーンに合わせたダッシュボードを構築
- ワークフローの構築: リード通知、ライフサイクルステージの自動変更などの基本的な自動化を設定(Professionalプラン以上)
- フォームの作成: Webサイトに設置するお問い合わせフォームやホワイトペーパーDLフォームを作成
- 社内トレーニング: チームメンバーへの使い方レクチャーを実施
今枝が推奨するように、「なかなか全てを一気に進めるのは難しいので、自社で活用できそうなものや効果が出そうなものを見極めていただいて優先順位をつけてトライいただければ」というスモールスタートの考え方が大切です。
まとめ
HubSpotの初期設定は、CRM活用の成功を左右する重要なステップです。
まずは以下の3つから始めてください:
- アカウント基本設定とセキュリティを完了する(所要時間: 30分)
- トラッキングコードを設置して、Webサイト訪問者のデータ収集を開始する
- 営業パイプラインを設計して、取引管理の基盤を構築する
初期設定は一度やれば終わりではなく、運用しながら段階的に最適化していくものです。最初から完璧を目指すのではなく、スモールスタートで始めて、データが蓄積されるにつれて設定を磨いていくアプローチを推奨します。
よくある質問(FAQ)
Q1. HubSpotの初期設定にはどれくらい時間がかかりますか?
基本的な初期設定(アカウント設定・セキュリティ・ユーザー追加・トラッキングコード設置)は2〜3時間程度で完了します。パイプライン設計やデータインポートまで含めると、半日〜1日程度を見ておくのが良いかなと思います。ただし、パイプライン設計は社内の営業プロセスの整理が前提になるため、事前準備期間が別途必要です。
Q2. 初期設定は自分でできますか?パートナーに依頼すべきですか?
基本的な初期設定は自社で十分対応可能です。HubSpotの公式ドキュメントやHubSpot Academyの無料コースも充実しています。ただし、パイプラインの設計やデータ移行、複雑なワークフローの構築については、HubSpotパートナーに相談いただくとより確実です。
Q3. 無料プランでも初期設定は同じですか?
基本的な流れは同じですが、無料プランでは一部の機能(カスタム権限セット、複数パイプライン等)に制限があります。まずは無料プランで基本設定を済ませて使い始め、必要に応じてStarter(月1,800円/シート〜)やProfessionalにアップグレードするのがおすすめです。
Q4. 既存のExcel/スプレッドシートのデータはHubSpotに移行できますか?
はい、CSV形式またはExcel形式でインポート可能です。インポート時に姓名の分割、プロパティのマッピング、重複データの処理などを行います。大量データの場合は段階的にインポートし、テストインポートで問題がないことを確認してから本番移行することを推奨します。
Q5. 初期設定で最も注意すべきポイントは何ですか?
タイムゾーン・通貨の設定とパイプラインの設計です。タイムゾーンと通貨は後から変更するとレポートデータに影響する可能性があります。パイプラインは営業プロセスの基盤となるため、マネージャーやトッププレイヤーの知見を反映した設計が重要です。「いきなり完璧なものを作る必要はないが、大枠の方向性は最初に固めておく」というのが実務上のベストプラクティスです。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。