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「営業目標をExcelで管理しているが、リアルタイムの進捗が把握できない」「マーケティングのKPIと営業の目標がバラバラに管理されていて、組織全体の達成状況が見えにくい」——こうした課題を抱えている管理者の方は多いのではないでしょうか。
HubSpotの目標(Goals)機能とは、営業・マーケティング・カスタマーサクセスの各部門でKPI目標を設定し、HubSpotのCRMデータに基づいてリアルタイムに進捗をトラッキングできる機能です。目標の設定から達成状況の可視化、レポートへの組み込みまでを一元管理できます。
この記事では、以下の内容を解説します。
- HubSpot Goals機能の概要と対応プラン
- 目標の作成・設定方法(ステップバイステップ)
- 営業・マーケ・CS別の目標設定例
- 目標の進捗トラッキングとレポート活用
- 目標管理のベストプラクティス
HubSpot Goals機能とは?
HubSpot Goalsは、組織の重要なKPIを定量的に設定し、CRMのデータからリアルタイムに達成状況を計算・表示する機能です。
スプレッドシートでの目標管理では、どうしても手動でデータを更新する必要があり、リアルタイム性に欠けます。HubSpotの目標機能を使えば、取引データ・アクティビティデータ・チケットデータなどから自動的に進捗を算出してくれるので、「今月の達成状況は?」という質問にいつでも即座に答えられる状態を作れます。
対応プラン
| Hub | プラン | 利用可能な目標テンプレート |
|---|---|---|
| Sales Hub | Professional以上 | 収益目標、取引作成数、通話数など |
| Marketing Hub | Professional以上 | コンタクト作成数、MQL数など |
| Service Hub | Professional以上 | チケット解決数、応答時間など |
| 全Hub | Enterprise | カスタム目標(任意のプロパティベース) |
目標の作成・設定方法
ステップ1: 目標管理画面にアクセスする
- HubSpotにログインし、「レポート」>「目標」 にアクセスします
- 「目標を作成」 ボタンをクリックします
ステップ2: 目標テンプレートを選択する
HubSpotでは、よく使われる目標のテンプレートがあらかじめ用意されています。
営業系テンプレート:
- 収益(Revenue): 取引の成約金額
- 取引作成数: 新規パイプライン投入数
- 通話数: 営業の架電回数
- ミーティング数: 商談設定数
マーケティング系テンプレート:
- コンタクト作成数: 新規リード獲得数
サービス系テンプレート:
- チケットの解決数
- 平均応答時間
テンプレートに適切なものがない場合、Enterprise プランであればカスタム目標を作成して任意のプロパティベースで目標設定が可能です。
ステップ3: 目標の詳細を設定する
- 目標名: わかりやすい名前を付けます(例:「2026年Q1 営業チーム月次受注目標」)
- 期間: 月次 / 四半期 / 年次を選択します
- 対象期間: 目標の開始月と終了月を設定します
- 対象ユーザーまたはチーム: 個人単位またはチーム単位で目標を割り当てます
ステップ4: 目標値を設定する
各対象者(個人またはチーム)ごとに、期間別の目標数値を入力します。
例えば、営業チーム3名に月次の受注目標を設定する場合:
| 担当者 | 4月 | 5月 | 6月 | Q1合計 |
|---|---|---|---|---|
| 営業A | 500万円 | 500万円 | 600万円 | 1,600万円 |
| 営業B | 400万円 | 400万円 | 500万円 | 1,300万円 |
| 営業C | 300万円 | 300万円 | 400万円 | 1,000万円 |
目標値は個人ごとに異なる数値を設定できるので、各担当者の実力や担当エリアに応じた現実的な目標設定が可能です。
ステップ5: 通知設定
目標の達成状況に応じて通知を受け取る設定ができます。例えば「目標の75%を達成した時点で通知」「期限の1週間前に未達の場合に通知」といった設定が可能です。
営業・マーケ・CS別の目標設定例
営業部門の目標設定
営業部門でよく設定される目標は以下の通りです。
| 目標 | 測定指標 | 目安 |
|---|---|---|
| 月次受注目標 | 取引のクローズ金額 | パイプラインの加重金額から逆算 |
| 新規商談数 | パイプラインへの新規投入数 | 受注率から必要商談数を算出 |
| 架電件数 | 通話アクティビティ数 | 商談化率から必要架電数を算出 |
| ミーティング設定数 | ミーティングアクティビティ数 | 月間10-20件が目安 |
パイプラインの加重金額の考え方を目標設計にも活用するのが結構ミソになってきます。例えば1,000万円の受注目標に対して、受注確度の各ステージで必要な案件数・金額を逆算して、商談数やアプローチ数の目標を設定するというアプローチです。
マーケティング部門の目標設定
| 目標 | 測定指標 | 設定例 |
|---|---|---|
| リード獲得数 | 新規コンタクト作成数 | 月間200-300件 |
| MQL創出数 | MQLステージへの移行数 | 月間50件 |
| SQL創出数 | SQLステージへの移行数 | 月間20件 |
マーケティングの目標を設定する際は、ライフサイクルステージの定義と連動させることが重要です。「リード→MQL→SQL」の各ステージの転換率を把握した上で、最終的な商談化目標から逆算してリード獲得数の目標を設定しましょう。
カスタマーサクセス部門の目標設定
| 目標 | 測定指標 | 設定例 |
|---|---|---|
| チケット解決数 | 解決済みチケット数 | 月間100件 |
| 応答時間 | 初回対応までの時間 | 平均2時間以内 |
| 顧客満足度 | NPSスコアまたはCSAT | NPS 50以上 |
カスタマーサクセスの機能が特に必要になるのは、管理する顧客が100社〜200社を超えたあたりからです。そのくらいの規模になると、個別に目標を追い切れなくなるので、HubSpotの目標機能での管理が効果を発揮します。
目標の進捗トラッキングとレポート活用
目標ダッシュボードの構築
目標の進捗を効果的にモニタリングするために、専用のダッシュボードを構築しましょう。
おすすめの構成:
- 営業会議用ダッシュボード: 個人別の受注進捗、パイプライン金額、今月のアクティビティ数
- 経営会議用ダッシュボード: チーム全体の目標達成率、前月比較、四半期トレンド
- マーケティング会議用ダッシュボード: リード獲得数の推移、MQL/SQL転換率、チャネル別貢献度
ダッシュボードを意味合いごとに営業会議用とか経営会議用とか分けていただくと、シーンで使い分けができます。
レポートへの目標ラインの組み込み
HubSpotのレポートでは、グラフ上に目標値のラインを表示できます。実績の推移グラフと目標ラインを重ねることで、「このままのペースで目標を達成できるか」が視覚的に把握できます。
定期配信の設定
ダッシュボードの定期配信機能を使って、毎週月曜朝にチームメンバーに進捗レポートを自動送信する設定がおすすめです。手動でのレポート作成が不要になり、常にチーム全体が最新の進捗状況を把握できます。
HubSpotのレポートは値がリアルタイムで更新されるため、時点データの固定化として定期配信のスナップショットを残しておくことも重要です。先月時点での達成状況と今月時点での達成状況を比較する際に役立ちます。
目標管理のベストプラクティス
1. まずは受注目標から始める
目標機能で管理する指標が多すぎると、何が最も重要かがぼやけてしまいます。まずは受注目標や受注件数といったやりやすいところからトライいただくのがいいかなと思います。
2. 目標はSMART原則で設定する
| SMART要素 | 説明 | 例 |
|---|---|---|
| Specific | 具体的 | 「売上を上げる」ではなく「月次受注金額」 |
| Measurable | 測定可能 | HubSpotのデータで自動計算できる指標を選ぶ |
| Achievable | 達成可能 | 過去データから現実的な目標値を設定 |
| Relevant | 関連性 | 事業目標と連動した指標を選ぶ |
| Time-bound | 期限付き | 月次/四半期/年次の期間を明確に設定 |
3. 目標の振り返りを仕組み化する
目標を設定するだけでなく、振り返りの仕組みを作ることが重要です。月末にダッシュボードを確認し、未達の場合はその原因を分析して翌月の改善アクションにつなげましょう。
4. 営業とマーケの目標を連動させる
営業の受注目標から逆算してマーケティングのリード獲得目標を設定し、さらにそこから各チャネルの目標を設定するという一気通貫のKPIツリーを構築すると、部門間の連携がスムーズになります。
注意点
- Goals機能はProfessional以上のプランが必要: 無料プランやStarterプランでは利用できません
- カスタム目標はEnterprise限定: テンプレート以外の自由な指標で目標を設定する場合はEnterprise プランが必要です
- 途中での目標値変更に注意: 目標値を途中で変更すると、過去の達成率も再計算されます。変更履歴を残したい場合は、別の目標として新規作成することをおすすめします
まとめ
HubSpotの目標(Goals)機能は、営業・マーケティング・カスタマーサクセスのKPIをCRMデータに基づいてリアルタイムに管理・トラッキングできる強力なツールです。
活用のポイントを整理すると以下の通りです。
- 部門別に適切な目標テンプレートを選択する: 営業は収益目標、マーケはリード獲得数、CSはチケット解決数など
- 目標値は過去データから逆算して設定する: パイプラインの受注確度や転換率を基に現実的な数値を設定する
- ダッシュボードで進捗を可視化する: 営業会議・経営会議など、用途別のダッシュボードで定期的にモニタリングする
- 定期配信で時点データを固定化する: 毎週・毎月のスナップショットを残し、推移を追跡する
まずは営業チームの月次受注目標を設定するところから始めて、段階的にマーケティングやカスタマーサクセスの目標管理にも拡張していきましょう。CRMにデータが蓄積されるほど、目標設定の精度が上がり、より効果的なKPI管理ができるようになります。
よくある質問(FAQ)
Q1. HubSpotの目標機能はどのプランで利用できますか?
目標機能はSales Hub、Marketing Hub、またはService HubのProfessional以上のプランで利用可能です。カスタム目標(テンプレート以外の自由な指標設定)はEnterprise プランが必要です。
Q2. 目標は個人単位とチーム単位のどちらで設定すべきですか?
両方を設定するのが理想的です。個人目標で各メンバーの責任範囲を明確にしつつ、チーム目標で全体の達成状況を把握します。HubSpotでは両方を同時に管理できます。
Q3. 目標の達成状況をSlackに通知することはできますか?
はい、HubSpotのワークフロー機能とSlack連携を組み合わせることで、目標達成時やマイルストーン到達時にSlackに自動通知を送ることが可能です。
Q4. SalesforceのForecast機能との違いは何ですか?
Salesforceのフォーキャスト機能は売上予測に特化していますが、HubSpotのGoals機能は営業だけでなくマーケティング・カスタマーサクセスを含めた幅広いKPI管理が可能です。また、HubSpotのUIはよりシンプルで設定がしやすいのが特徴です。
Q5. 年度の途中で目標値を変更できますか?
はい、設定画面からいつでも目標値を変更できます。ただし、変更すると過去期間の達成率も再計算されるため注意が必要です。元の目標と比較したい場合は、変更前の値をメモしておくか、別の目標として新規作成することをおすすめします。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。