HubSpotで展示会管理を効率化する完全ガイド【スプレッドシートからの脱却】

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なぜ展示会管理にCRMが必要なのか

展示会やイベントは、企業にとって重要な営業・マーケティング活動の一つです。多くのリードを獲得できる一方で、その後のフォローアップや成果測定が課題となることも少なくありません。

スプレッドシートで展示会の名刺管理やフォロー状況を追跡している企業様も多いと思いますが、データの分断、ROI測定の困難さ、フォローアップの漏れといった課題に直面していませんか?

本記事では、HubSpot CRMを活用することで、これらの課題をどのように解決できるのかを具体的に解説します。展示会の計画から実施、フォローアップ、成果測定まで、一連のプロセスを効率化する方法をステップバイステップでご紹介します。

 

スプレッドシート管理の限界

多くの企業では、展示会の参加者情報をExcelやGoogleスプレッドシートで管理しています。担当者データベース、会社データベース、案件データベースの3つのシートを作成し、展示会で名刺交換した方々の情報を入力しているのではないでしょうか。

スプレッドシートの担当者データベース

図1: スプレッドシートでの管理例

この段階までは、スプレッドシートでもある程度整理できるため問題ないように見えます。しかし、展示会のようなスポットのイベントで別々の方々が参加する場合、深刻な課題が発生します。

展示会ごとにシートが増える問題

例えば「AI展2025」という展示会に出展した場合、AI展用に新しいシートを作成し、また姓名、会社名、電話番号、メールアドレスの欄を作成し、名刺交換した方々の情報を入力します。

ここで問題が発生します。既存の「担当者マスター」にも同じ顧客がいる可能性があり、AI展シートには営業ステータスが記載される一方、担当者マスターには展示会のアプローチ状況が反映されません。つまり、データの差分が発生してしまうのです。

展示会シートとマスターシートを統合する作業が必要になり、重複チェック、データの突合、最新情報の判断といった手間が発生します。展示会を複数回開催すると、シートの数が指数関数的に増加します。「AI展」「DX展」「CRM展」と3つの展示会に出ると、少なくとも6つのシート(3展示会 + 担当者・会社・案件マスター)が必要になります。

スプレッドシート管理の主な課題

このようなスプレッドシート管理では、複数のシートにデータが散在し、全体像が見えなくなります。同じ顧客が複数のシートに存在する可能性があり、各シートで営業ステータスが異なるため、情報の不整合が発生します。展示会後のデータ統合に多大な時間を要し、どの展示会参加者をフォローしたか追跡困難になります。さらに、展示会ごとの投資対効果を測定しにくいという問題もあります。

このようなスプレッドシートの課題を解決してくれるのが、HubSpotをはじめとするリレーショナルデータベースを持つCRMです。

 

HubSpotのリレーショナルデータベースの強み

HubSpot CRMでは、データをリレーショナル(関連付け)で管理します。これにより、スプレッドシートで発生していたデータ分断の問題が解決されます。

HubSpotのコンタクトリスト画面

図2: HubSpotのコンタクト管理画面

コンタクト管理の特徴

HubSpotの「コンタクト」機能は、スプレッドシートの「担当者データベース」に相当しますが、はるかに強力です。全ての担当者情報を一元管理でき、検索・フィルター機能で瞬時に検索できます。また、展示会ごとにデータを分断する必要がありません。

さらに、HubSpotにはライフサイクルステージという概念があります。これは、各顧客が営業ファネルのどの段階にいるかを示すもので、リード(Lead)は初期段階の見込み客、MQL(Marketing Qualified Lead)はマーケティング部門が温度感の高いと判断したリード、商談(Opportunity)は商談中の顧客、顧客(Customer)は受注した顧客を表します。

ライフサイクルステージ

図3: ライフサイクルステージによる顧客分類

ライフサイクルステージを設定することで、各顧客が営業ファネルのどの段階にいるかを一目で把握できます。展示会で名刺交換した直後は「リード」、その後のフォローで温度感が高まれば「MQL」、商談が進めば「商談」、受注すれば「顧客」とステージが進みます。

会社情報との自動紐付け

HubSpotでは、コンタクト(個人)と会社情報を自動的に関連付けできます。メールアドレスのドメインから会社を自動判別し、複数の担当者を1つの会社にまとめて管理できます。

例えば、展示会で「田中太郎さん(taro@example.com)」と「佐藤花子さん(hanako@example.com)」の2名と名刺交換した場合、HubSpotは自動的に「example.com」という会社を認識し、2名を同じ会社に関連付けます。これにより、「A社には2名の担当者がいて、どちらもAI展で出会った」という情報を一元管理できます。

 

マーケティングイベント機能による展示会トラッキング

HubSpotのマーケティングイベント機能を使えば、展示会ごとに参加者を簡単に管理できます。この機能こそが、スプレッドシートの「展示会ごとにシートが増える問題」を解決する鍵です。

マーケティングイベント一覧

図4: マーケティングイベント一覧画面

イベント機能の使い方

マーケティングイベント機能では、「AI展2025」「DX展2025」といった展示会ごとにイベントを作成し、参加者を紐付けます。どの展示会で出会ったかを記録できるため、後から「AI展で出会った方々にフォローアップメールを送る」といったアクションが簡単にできます。

重要なのは、データが自動的に連携されることです。イベントに参加者を登録すると、そのコンタクト・会社情報は自動的にHubSpotのデータベースに紐付けられます。スプレッドシートのように重複データが発生することはありません。

イベントとコンタクトの関連付け

図5: イベントとコンタクトの関連付け

また、イベント後の参加者の行動も追跡できます。メール開封率やWebサイト訪問履歴を確認することで、どの参加者が興味を持っているかを把握できます。例えば、「AI展で名刺交換した田中さんが、展示会後に自社Webサイトを5回訪問している」という情報があれば、優先的にフォローアップすべきだと判断できます。

 

キャンペーン管理によるROI可視化

展示会は大きな投資です。ブース出展費用、スタッフの人件費、資料作成費など、数十万円から数百万円のコストがかかります。そのため、展示会のROI(投資対効果)を測定することは非常に重要です。

HubSpotのキャンペーン機能を使えば、展示会のROIを可視化できます。

キャンペーン管理画面

図6: キャンペーン管理画面

キャンペーン機能の仕組み

キャンペーン機能では、展示会ごとにキャンペーンを作成し、マーケティングイベントを関連付けます。さらに、展示会後に送るメール、ランディングページ、広告などのアセットも紐付けることで、すべての施策を一元管理できます。

HubSpotは、展示会からの商談数・受注額を自動集計します。ダッシュボードでリアルタイムに確認できるため、「AI展から5件の商談が生まれ、そのうち2件が受注し、合計500万円の売上になった」という情報を瞬時に把握できます。

キャンペーンROI

図7: ROI可視化

ROI測定の指標

キャンペーン機能では、いくつかの重要な指標が表示されます。創出された取引総額は展示会経由で生まれた商談の総額を表し、帰属する収益は実際に受注した金額を示します。さらに、受注予測含むでは、受注確度を加味した予測金額も確認できます。

例えば、「AI展」に100万円の投資をして、500万円の受注があれば、ROIは5倍です。この数値を展示会ごとに比較することで、「AI展は効果が高いが、DX展はROIが低い」といった判断ができ、次回の展示会計画に活用できます。

 

レポート・ダッシュボード機能による成果分析

HubSpotのレポート機能を使えば、展示会の成果を多角的に分析できます。スプレッドシートでは手動で集計しなければならなかったデータが、自動的にレポート化されます。

レポート画面

図8: 展示会別レポート

展示会別の商談・受注状況

レポート機能では、どの展示会が最も効果的だったかを比較できます。商談化率・受注率を並べて確認することで、「AI展は100名と名刺交換して10件の商談が生まれた(商談化率10%)」「DX展は50名と名刺交換して2件の商談が生まれた(商談化率4%)」といった分析が可能です。

ライフサイクルステージ分析

ライフサイクルステージごとの転換率も確認できます。「リードからMQLへの転換率は30%、MQLから商談への転換率は20%、商談から顧客への転換率は50%」といったデータを把握することで、どのステージでボトルネックが発生しているかを特定できます。

ライフサイクルステージ割合

図9: ライフサイクルステージ別の割合

また、各ステージの滞在期間も確認できます。「リードから商談まで平均30日かかっている」といった情報があれば、フォローアップのタイミングを最適化できます。

コンバージョン率と受注までの平均日数

展示会参加者の商談化率や受注までの平均日数も重要な指標です。「AI展の参加者は、名刺交換から受注まで平均60日かかる」というデータがあれば、2ヶ月後に集中的にフォローアップすべきだと判断できます。

 

フォローアップ自動化によるシーケンス機能

展示会で100名と名刺交換した場合、全員に手動でフォローアップメールを送るのは大変です。HubSpotのシーケンス機能を使えば、展示会後のフォローアップを自動化できます。

シーケンス設定画面

図10: シーケンス設定画面

シーケンスの活用例

シーケンス機能では、展示会直後のフォローアップを自動化できます。例えば、Day 1にお礼メール送信、Day 3に資料送付、Day 7に商談提案といった流れを設定します。

さらに、自動タスク作成機能も便利です。メール未開封の場合は営業担当に架電タスクが自動作成され、返信があった場合は商談設定タスクが作成されます。これにより、フォロー漏れを防ぐことができます。

シーケンスメールテンプレート

図11: メールテンプレート例

パーソナライズの重要性

シーケンス機能では、展示会名や会話内容を自動挿入できます。「AI展でお会いした際にお話しした〇〇について、資料をお送りします」といったメッセージを自動生成できるため、パーソナライズされたコミュニケーションが可能です。

業種別にメッセージをカスタマイズすることもできます。製造業の方には製造業向けの事例を、IT業界の方にはIT業界向けの事例を送ることで、より高い開封率・返信率を実現できます。

 

取引管理による商談化プロセス

展示会で獲得したリードを商談化し、受注まで管理できるのがHubSpotの取引(Deal)機能です。

取引パイプライン

図12: 取引パイプライン

取引管理の流れ

展示会参加者から商談が発生したら、取引を作成します。見込み金額・受注確度を設定し、パイプライン管理画面でドラッグ&ドロップで進捗を更新します。ヒアリング、提案、見積もり、受注といったステージを可視化することで、営業チーム全体で進捗を把握できます。

取引作成画面

図13: 取引作成画面

取引を作成すると、自動的にレポートが更新されます。展示会ごとの商談数・受注額が自動集計され、受注予測も自動計算されます。「AI展から5件の商談が生まれ、そのうち2件が80%の確度で進んでいる」といった情報をリアルタイムで把握できます。

 

HubSpot活用による展示会管理の劇的な効率化

HubSpotを活用することで、展示会管理が劇的に効率化されます。スプレッドシートのようなデータ分断がなくなり、すべての情報が1箇所に集約されます。

フォローアップメールの自動送信やレポート作成の自動化により、工数が大幅に削減されます。展示会ごとの投資対効果を数値で把握できるため、次回の展示会計画に活用できます。シーケンスとタスクで確実にフォローできるため、商談機会を逃すこともありません。

まとめ

図14: HubSpot活用のメリット

 

よくある質問

HubSpot以外のCRMでも同じことができますか?

リレーショナルデータベースを持つCRM(Salesforce、Zoho CRM等)であれば、同様の管理が可能です。ただし、HubSpotは中小企業でも導入しやすい価格帯と操作性の高さが特徴です。

展示会の規模はどのくらいから導入すべきですか?

年間2回以上展示会に出展し、100名以上の名刺交換をする場合は導入をおすすめします。それ以下の規模であれば、スプレッドシートでも管理可能です。

導入にかかる期間はどのくらいですか?

初期設定は1-2週間、運用開始までは約1ヶ月が目安です。マーケティングイベント機能やシーケンス機能の設定には、ある程度のトレーニングが必要です。

スプレッドシートのデータは移行できますか?

CSVインポート機能で既存データを一括移行できます。ただし、データのクレンジング(重複削除、フォーマット統一等)は事前に行う必要があります。

 

展示会は大きな投資です。その投資を最大限に活かすためには、適切なツールとプロセスが不可欠です。HubSpotを活用することで、展示会管理が劇的に効率化され、ROIを最大化できます。ぜひ、今日から展示会管理の効率化に取り組んでみてください。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。