HubSpotのデータ品質管理ガイド|DataHubで実現するCRMデータクレンジングと運用ルール

  • 1970年1月1日

ブログ目次


「CRMにデータは入っているけれど、重複や表記揺れが多くてレポートの数値が信用できない」

「営業担当者ごとに入力ルールがバラバラで、データの一貫性がない」

——CRM導入後に最も多く発生する課題がデータ品質の問題です。

HubSpotのデータ品質管理とは、CRMに蓄積されるコンタクト・会社・取引などのデータの正確性・一貫性・完全性を維持し、レポートや意思決定に活用できる信頼性の高いデータ基盤を構築・運用するプロセスです。

データ品質が低いCRMは、いくら高機能なツールを使っていても正確なレポートが出せず、営業判断の精度が低下します。「CRMの値がなかなか入っていなくてデータ資産化できていない」企業は少なくありません。

本記事では、HubSpotのデータ品質管理機能とDataHubの活用方法を解説します。

この記事でわかること:

  • データ品質が低下する5つの原因と影響
  • HubSpotのデータ品質管理ツールの使い方
  • DataHubによるデータクレンジング自動化
  • プロパティ設計のベストプラクティス
  • データ品質を維持する運用ルール

データ品質が低下する5つの原因

原因1: 重複レコードの蓄積

同一人物や同一会社が複数のレコードとして登録されてしまうケースです。手動入力、フォーム送信、データインポートなど複数の経路からデータが流入する場合に発生しやすくなります。

原因2: 表記揺れ

「株式会社ABC」「(株)ABC」「ABC」が別レコードとして登録されたり、姓名が逆になっていたりするケースです。「会社名の表記揺れ防止には同期プロパティを活用する」のが有効で、コンタクト側も正しい会社名は同期プロパティの方を参照するのがおすすめです。

原因3: 不完全なデータ(空欄の多さ)

メールアドレスはあるが電話番号がない、会社名はあるが従業員数や業種がないなど、プロパティの入力率(フィルレート)が低い状態です。

原因4: 古いデータの放置

退職者のメールアドレス、移転済みの住所、解約済み顧客のステータスが更新されていないケースです。マーケティングメールのバウンス率が上がり、送信元ドメインの評価にも影響します。

原因5: 不要プロパティの増殖

「よくあるSFAのあるあるで、全然使っていない項目が大量にあったりする」企業は多いです。使われていないプロパティが増えると、入力画面が煩雑になり、営業担当者の入力負荷が増します。


HubSpotのデータ品質管理ツール

データ品質管理

1. 重複管理ツール

HubSpotには標準の重複検出・マージ機能があります。

使い方:

  1. 「CRM」→「コンタクト」→「アクション」→「重複を管理」
  2. AIが自動検出した重複候補を確認
  3. 保持するレコードを選択し、マージ(統合)を実行

2. データ品質コマンドセンター(DataHub)

DataHub Professionalでは、データ品質コマンドセンターが利用できます。CRM全体のデータ品質をダッシュボード形式で可視化し、以下の指標をモニタリングできます。

指標 内容
重複レコード数 コンタクト・会社の重複数
プロパティのフィルレート 各プロパティの入力率
データフォーマットの問題 電話番号・メールアドレスの形式不正
古いデータ 一定期間更新のないレコード数

3. データクレンジングの自動化(DataHub)

DataHubのワークフローアクションで、データクレンジングを自動化できます。

アクション 内容
文字列の正規化 大文字/小文字の統一、スペースの除去 「 ABC 」→「ABC」
電話番号のフォーマット 国番号・ハイフンの統一 「090-1234-5678」→「+81-90-1234-5678」
日付の標準化 日付形式の統一 「2026/02/23」→「2026-02-23」
プロパティ値のマッピング 表記揺れを統一値に変換 「東京」「東京都」→「東京都」

4. スマートプロパティ(AIデータ自動入力)

スマートプロパティはAIがWebリサーチでCRMデータを自動取得する機能です。

「まずミニマムで従業員数・事業内容・資本金だけ入れるだけでかなり業務効率化になる」——手動入力に頼らず、AIでCRMデータの空白を埋めることができます。

自動取得できるデータ 精度
従業員数 高い
事業内容 高い
資本金 中程度
業種分類 中程度
本社所在地 高い

スマートプロパティのクレジットは月3,000(約300回分)で、Professional以上のプランで利用可能です。


プロパティ設計のベストプラクティス

原則: 項目は最小限に

「項目が少ない方が集中できる」——プロパティの数を厳選し、本当に必要な情報だけを管理することが結構ミソになってくるポイントです。

プロパティの3分類

分類 説明 管理方針
必須プロパティ 業務に不可欠な情報(メールアドレス、会社名、取引金額等) 必須入力を設定
推奨プロパティ あれば分析に有用な情報(業種、従業員数、ニーズ等) スマートプロパティで自動取得
任意プロパティ 特定のケースでのみ使う情報 最小限に留める

プロパティ種別の使い分け

プロパティ種別 用途 メリット
同期プロパティ 他オブジェクトからデータ参照 会社名の表記揺れ防止
計算プロパティ 関数でリアルタイム自動更新 ワークフロー不要で自動計算。IF-THENで大規模/小規模の分類も可能
スマートプロパティ AIがWebリサーチでデータ自動取得 CRMデータ空白問題の解決

「毎回チェックボックスを作ってワークフローで処理していると、ワークフローの数が増えすぎたりうまく動作しなくなる」ため、計算プロパティで代替できるものはワークフローを使わないのが推奨です。

権限管理によるガバナンス

「プロパティ設定は変更できないようにする。ユーザーは管理者のみ変更できるようにする」——不要なプロパティが増殖しないよう、管理者のみがプロパティを追加・変更できる権限設定が重要です。


データ品質を維持する運用ルール

プロパティ設定(コンタクト)

ルール1: フィルレートの定期チェック

月次でプロパティの入力率をチェックし、1%以下の項目は削除を検討します。

「請求先メール0102というのが0.91%しか使ってない、1%しか使ってないのでこれおそらく使ってないんじゃない」——フィルレートの低いプロパティは、存在するだけで入力画面を煩雑にします。

ルール2: マーケティングコンタクトの定期クリーンアップ

マーケティングメールの未開封が90日間続くコンタクトは、自動的にマーケティングコンタクトの対象外にするワークフローを設定します。これにより課金対象を適正に保てます。

ルール3: インポート前チェック

データインポート時は以下を必ず確認します。

  • 姓名が分割されているか
  • 会社名の表記が統一されているか
  • 重複レコードがないか
  • 既存ワークフローの発火条件に影響しないか
  • CSVではなくExcel形式(文字化け防止)か

ルール4: グループ会社問題への対応

「グループ会社の場合メールアドレスは全員同じドメインだけど、個社の事業会社が全然違う」ケースでは、ドメインベースの自動関連付けが誤動作する可能性があります。カスタムプロパティで個社識別を設計しておきましょう。

ルール5: バックアップと復元

HubSpotのバックアップ復元期限は14日以内です。大規模なデータ操作(インポート、一括更新、プロパティ削除等)の前には必ずバックアップを取得しておくことを推奨します。


DataHubのプラン別機能

ワークフロー一覧
機能 無料 Starter Professional
重複管理(手動マージ)
データ同期 基本
計算プロパティ × ×
データ品質コマンドセンター × ×
データクレンジング自動化 × ×
高度なワークフロー拡張 × ×
データセットツール × ×

まとめ

データ品質管理は、CRM活用の土台となる最も重要な取り組みです。「ゴミを入れればゴミが出てくる(Garbage In, Garbage Out)」——データの品質がレポートの信頼性と営業判断の精度を決めます。

データ品質管理のポイント:

  • プロパティは最小限に設計し、管理者のみが変更できる権限設定を適用
  • 同期プロパティ・計算プロパティ・スマートプロパティを活用してデータ品質を自動維持
  • 重複管理ツールとデータ品質コマンドセンター(DataHub)でモニタリング
  • フィルレートの定期チェックで不要プロパティを整理
  • インポート前のデータクレンジングを必須プロセス化

まずはHubSpotの基本操作でプロパティの基本を理解し、インポート機能でデータ整備の手順を確認してください。応用機能10選ではカスタムオブジェクトや計算プロパティなどの高度な機能も紹介しています。


よくある質問(FAQ)

Q1. データ品質管理にはDataHubが必須ですか?

A. 基本的な重複管理やプロパティ設計は無料プランからでも対応可能です。ただし、データクレンジングの自動化や品質コマンドセンターでのモニタリングにはDataHub Professionalが必要です。

Q2. 既存の重複データが大量にある場合、どこから手をつけるべきですか?

A. まずHubSpotの重複管理ツールで自動検出された候補をマージし、次にExcelでエクスポートして目視チェック・統合を行うのが効率的です。数千件以上の場合はDataHubのバルク処理を活用してください。

Q3. スマートプロパティのクレジットが足りない場合はどうすればいいですか?

A. スマートプロパティのクレジットは月3,000(約300回分)です。足りない場合は、まず重要度の高いコンタクト・会社に絞って適用し、優先順位をつけて利用してください。

Q4. データ品質のKPIとして何を設定すべきですか?

A. 主要プロパティのフィルレート(入力率)90%以上、重複率1%以下、メールバウンス率2%以下を目標にすると良いでしょう。月次でモニタリングし、改善サイクルを回すことが大切です。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。