医療・クリニックのCRM活用ガイド|患者管理・予約・リマインドをCRMで効率化する方法

  • 2026年2月24日

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「予約のリマインド電話を受付スタッフが毎日手作業で行っており、業務が逼迫している」「定期検診の案内をハガキで送っているが、反応率が年々下がっている」「患者の来院履歴や施術履歴をカルテとは別に管理したいが、Excelでは限界を感じている」——医療機関・クリニックの経営者が抱えるこうした課題は、患者数の増加とともに深刻化しています。

医療・クリニック業界は、一般的なBtoB/BtoCビジネスとは異なる独自の要件があります。患者データの取り扱いには個人情報保護法に加えて医療情報に関するガイドラインへの準拠が求められ、予約・リマインド・定期検診案内といった患者コミュニケーションの自動化ニーズがある一方、診療情報(カルテ内容)はCRMとは明確に分離して管理する必要があります。

特に自費診療クリニック(美容外科、美容皮膚科、審美歯科、矯正歯科、眼科(レーシック)など)や健診・人間ドック事業者にとっては、集客マーケティングと患者リレーション管理が収益に直結するため、CRM導入の効果が高い領域です。

本記事では、医療・クリニック業界特有の要件を踏まえたCRM設計パターンを解説します。患者データの適切な管理方法、予約リマインドの自動化、患者満足度向上のためのフォローアップ設計、そしてコンプライアンスへの対応方法を具体的に紹介します。

この記事でわかること

  • 医療・クリニック業界でCRMが有効な事業形態と活用領域
  • 患者データの取り扱い注意点(個人情報保護法、医療情報ガイドライン)
  • 予約リマインド・定期検診案内の自動化パターン
  • 患者満足度を向上させるフォローアップのCRM設計
  • 自費診療クリニックの集客マーケティングにおけるCRM活用
  • CRM導入の投資対効果と段階的な進め方

医療・クリニック業界の課題とCRMの必要性

コンタクト一覧画面(医療・クリニック向けCRM画面の例:患者管理と自動リマインド)

医療・クリニック向けCRM画面の例:患者管理と自動リマインド(出典:HubSpot)

医療機関でCRM活用が求められる背景

医療・クリニック業界を取り巻く環境は大きく変化しています。患者の情報収集行動のデジタル化、自費診療市場の拡大、そして慢性的な医療スタッフ不足が、業務効率化とマーケティング高度化の両面でCRM導入ニーズを高めています。

環境変化 医療機関への影響 CRMによる対応
患者の情報収集のデジタル化 Web検索・口コミでクリニック選び Webマーケティング+リード管理
自費診療市場の拡大 競合クリニックとの差別化が必要 患者体験の向上+リピート促進
医療スタッフ不足 受付・事務業務の効率化が急務 予約・リマインド・案内の自動化
患者の期待値の上昇 他業種並みのサービス品質を期待 パーソナライズされた患者コミュニケーション
複数拠点展開の増加 拠点間の患者情報共有が必要 クラウドCRMによる一元管理

CRM活用が特に有効な医療機関の類型

すべての医療機関にCRMが必要なわけではありません。特にCRM導入の効果が高い医療機関の類型を整理します。

医療機関の類型 CRMの活用領域 導入効果の大きさ
自費診療クリニック(美容/審美歯科/矯正等) 集客マーケティング+患者フォロー+リピート促進 ★★★
健診・人間ドック事業者 予約管理+年次リマインド+オプション提案 ★★★
介護・福祉事業者 利用者管理+問い合わせ対応+施設紹介フォロー ★★☆
歯科医院(一般+自費混合) 定期検診リマインド+自費提案+リコール管理 ★★☆
複数拠点展開の医療法人 拠点横断の患者管理+経営ダッシュボード ★★☆
保険診療中心の一般診療所 電子カルテ・レセコンが中心、CRM優先度は相対的に低い ★☆☆

重要: 保険診療が中心の一般的な医療機関では、電子カルテや医事会計システムが業務の中心となるため、CRM導入の優先度は高くありません。CRMが最も効果を発揮するのは、マーケティング活動やリピート促進が収益に直結する自費診療領域です。

Excel・紙管理の限界が見えるタイミング

多くのクリニックでは、患者のコミュニケーション管理をExcelや紙で行っています。以下のタイミングで限界が訪れます。

  • 月間新患数が50名を超えたとき: フォローアップの手動管理が追いつかなくなる
  • 予約リマインドの電話工数が1日2時間を超えたとき: 受付スタッフの業務が逼迫する
  • 定期検診のリコール率が50%を下回ったとき: 手動案内では接触頻度を維持できない
  • 複数の施術メニューを展開したとき: 患者ごとの施術履歴と提案管理が複雑化する
  • 2拠点目を開設したとき: 拠点間での患者情報共有が必要になる

患者データの取り扱いとコンプライアンス

個人情報保護法と医療情報ガイドラインへの対応

医療機関でCRMを活用する際、最も重要なのが患者データの適切な取り扱いです。個人情報保護法に加え、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への準拠が求められます。

法令/ガイドライン 主な要件 CRM運用での対応
個人情報保護法 利用目的の通知、第三者提供の制限、安全管理措置 プライバシーポリシーへの明記、同意取得フロー整備
医療情報ガイドライン(厚労省) 医療情報の安全管理、アクセス制御、ログ管理 診療情報はCRMに入れない(電子カルテで管理)
医療広告ガイドライン 広告内容の制限(体験談、ビフォーアフター等) メール配信・Webコンテンツのガイドライン準拠チェック

CRMに入れてよいデータと入れてはいけないデータ

医療CRM設計で最も重要な原則は、「診療情報はCRMに入れない」ことです。

データ種別 CRMに入れてよいか 管理場所
患者の連絡先(氏名、電話、メール、住所) CRM
来院履歴(来院日、施術メニュー名) CRM
予約情報 CRM(または予約システムと連携)
マーケティング同意(メール配信同意等) CRM
来院経路(Web/紹介/SNS等) CRM
アンケート回答(満足度等) CRM
診断名・病名 電子カルテ
処方内容・投薬情報 電子カルテ
検査結果・画像データ 電子カルテ/PACS
カルテの記載内容 電子カルテ

セキュリティ対策のチェックポイント

CRM上で患者データを管理する際、以下のセキュリティ対策を確認してください。通信・保存データの暗号化、ユーザーごとのアクセス制御(閲覧範囲を業務に必要な最小限に設定)、二要素認証の全ユーザー必須化、監査ログの保存、定期的なデータバックアップ、そしてCRMベンダーのセキュリティ認証(SOC 2等)の取得状況です。

患者管理のCRMデータ設計

患者プロパティの設計

自費診療クリニックを例に、CRMで管理する患者プロパティを設計します。

プロパティ データ型 用途
患者ID テキスト(ユニーク) 院内システムとの紐付け用ID
来院経路 ドロップダウン Web検索/SNS/紹介/看板/ポータルサイト
初回来院日 日付 初来院の日付
最終来院日 日付 直近の来院日(自動更新)
来院回数 数値 累計の来院回数
関心のある施術 複数チェックボックス 施術カテゴリ別
実施済み施術 複数チェックボックス 過去に受けた施術
患者ステータス ドロップダウン 初回相談/通院中/施術完了/リピーター/休眠
次回来院予定日 日付 リマインド配信用
担当医/カウンセラー ユーザー選択 担当スタッフ
累計施術金額 通貨 LTVの算出基盤
メール配信同意 チェックボックス 配信同意の有無

患者ライフサイクルステージの設計

患者の状態に応じた適切なコミュニケーションを設計するために、ライフサイクルステージを定義します。

ステージ 定義 主なコミュニケーション
リード Webから問い合わせ・資料請求 施術情報+初回相談の案内
相談予約済み 初回カウンセリングの予約完了 予約確認+来院前案内
初回来院済み 初回のカウンセリングを完了 施術提案+フォローアップ
施術/治療中 施術プランを実行中 経過確認+次回予約案内
施術完了 一連の施術が完了 満足度アンケート+メンテナンス案内
リピーター 2回以上の施術を受けた患者 VIPフォロー+新メニュー案内
休眠 最終来院から6ヶ月以上経過 再来院促進キャンペーン

患者対応パイプラインの設計

自費診療クリニックの患者対応プロセスをパイプラインで管理します。

ステージ 定義 管理のポイント
①問い合わせ Web/電話からの初回問い合わせ 問い合わせ経路、関心施術の記録
②カウンセリング予約 初回カウンセリングの予約 予約日時、担当カウンセラー
③カウンセリング実施 カウンセリングの実施 相談内容、提案した施術プラン
④施術予約 施術の予約 施術メニュー、施術日、見積金額
⑤施術実施 施術の完了 施術日、施術金額
⑥フォローアップ 施術後のフォロー完了 経過確認、満足度
見送り カウンセリング後に施術見送り 見送り理由(必須記録)

予約リマインド・フォローアップの自動化

予約リマインドの自動化設計

予約のリマインドを自動化することで、受付スタッフの電話業務を大幅に削減し、同時に予約キャンセル率を低減できます。

リマインド自動配信のフロー:

タイミング チャネル 内容 目的
予約確定直後 メール 予約確認+クリニックへのアクセス情報 予約内容の確認
予約3日前 メール リマインド+持ち物・注意事項の案内 来院準備の促進
予約前日 SMS/LINE 簡潔なリマインド(日時・場所) 直前のリマインド
予約2時間前 SMS/LINE 最終リマインド(オプション) キャンセル防止

定期検診・メンテナンスリマインドの設計

歯科の定期検診や、美容施術のメンテナンスなど、定期的な来院を促すリマインド設計です。

診療科/施術 リマインド間隔 配信内容 開始トリガー
歯科定期検診 3ヶ月/6ヶ月ごと 次回定期検診の案内+予約リンク 前回検診日
美容施術メンテナンス 施術ごとに設定(1〜6ヶ月) メンテナンス時期の案内+施術効果の説明 前回施術日
人間ドック 年1回(11ヶ月後に案内開始) 次回受診のお知らせ+オプション検査の案内 前回受診日
矯正歯科の通院 月1回 次回通院日のリマインド+ケア方法 前回通院日

定期検診リマインドのワークフロー例(歯科の場合):

  1. 前回検診日の5ヶ月後 → 次回定期検診のお知らせメール+予約リンク
  2. 5ヶ月半後(未予約の場合) → 2回目のリマインドメール
  3. 6ヶ月後(未予約の場合) → SMS/LINEでのリマインド
  4. 6ヶ月半後(未予約の場合) → 電話フォローのタスクを自動生成

施術後フォローアップの自動化

施術後のフォローアップを自動化することで、患者満足度の向上とリピート率の改善を実現します。

タイミング アクション 内容 目的
施術翌日 メール 経過確認+術後ケアの方法 安心感の提供
3日後 メール/SMS 困りごとがないかの確認 不安の解消
1週間後 メール 経過確認+次回来院の案内 フォローアップ
1ヶ月後 メール 満足度アンケート 改善データの収集
3ヶ月後 メール メンテナンス・定期検診の案内 リピート促進
6ヶ月後 メール 新しいメニュー・キャンペーンの紹介 アップセル

自費診療クリニックの集客マーケティング

ワークフロー一覧(医療・クリニック向けCRM画面の例:患者管理と自動リマインド)

医療・クリニック向けCRM画面の例:患者管理と自動リマインド(出典:HubSpot)

CRMを活用した集客施策

自費診療クリニックにとって、Webマーケティングは新規患者獲得の重要なチャネルです。CRMのマーケティング機能と連携した集客設計です。

施策 CRMとの連携 効果測定
Web広告(Google/SNS) 広告経由のリード→来院→施術までCRMで追跡 チャネル別CPA、来院転換率
コンテンツマーケティング ブログ・コラム経由のリード管理 コンテンツ別のリード獲得数
SNSマーケティング SNS経由の問い合わせをCRMに集約 SNS経由の来院数・施術金額
口コミ・紹介プログラム 紹介者をCRMで管理、紹介元の追跡 紹介経由の来院数・LTV
リターゲティング 来院済み患者への再来院促進広告 休眠患者の再来院率

来院経路別ROIの分析

CRMに蓄積されたデータを活用して、来院経路別のROIを分析します。

指標 算出方法 活用
来院経路別CPA 広告費÷来院数 費用対効果の高いチャネルの特定
来院経路別LTV 経路別の累計施術金額の平均 長期的な収益貢献度の評価
来院経路別転換率 問い合わせ→来院→施術の各段階の転換率 ファネルのボトルネック特定
リピート率 来院経路別の2回以上来院率 経路ごとの患者定着率

患者スコアリングの設計

見込み患者(リード)の施術意欲を定量的に評価するスコアリングを設計します。施術メニューページの閲覧(+10)、料金ページの閲覧(+15)、問い合わせフォーム送信(+30)、カウンセリング予約(+40)などの行動データを加点し、2週間以上アクション無しの場合は-10で減点します。スコアが高い見込み患者を優先的にフォローコールすることで、カウンセラーの効率を向上させます。

健診・人間ドック事業者の活用パターン

年次リマインドの自動化

健診や人間ドックは年1回の受診が推奨されるため、年次リマインドの自動化がCRM活用の中核です。

ワークフロー設計:

タイミング アクション 内容
前回受診日の11ヶ月後 メール 次回受診時期のお知らせ
12ヶ月後 メール 予約案内+オンライン予約リンク+前回のオプション検査情報
13ヶ月後(未予約の場合) メール 再案内+「お忘れではないですか?」
14ヶ月後(未予約の場合) 電話タスク 受付スタッフによる電話フォロー
15ヶ月後(未予約の場合) 最終メール 健康リスク情報+予約の最終案内

オプション検査の提案自動化

前回の受診内容や年齢に基づいて、追加で推奨するオプション検査を自動提案するセグメント配信も有効です。例えば、40歳以上で前回基本健診のみの受診者には脳ドック・心臓ドックを、女性で35歳以上の受診者には乳がん・子宮がん検診を次回受診案内時に自動提案する設計が可能です。

医療CRM導入の進め方

導入ステップと推奨スケジュール

医療CRMの導入は、最も効果が出やすい予約リマインドから着手し、段階的に機能を拡張するアプローチが推奨です。

フェーズ 期間 実施内容 ゴール
Phase 1 1〜2ヶ月 患者データ移行・基本プロパティ設計・同意管理整備 患者情報の一元管理
Phase 2 2〜3ヶ月 予約リマインド自動化・施術後フォローの設計 業務効率化とキャンセル率低減
Phase 3 3〜5ヶ月 定期検診リマインド・ナーチャリング設計 リコール率の向上
Phase 4 5〜7ヶ月 集客マーケティング連携・ROI分析 マーケティング高度化
Phase 5 7〜9ヶ月 ダッシュボード整備・多拠点展開 経営判断のデータ化

医療CRM導入のチェックリスト

  • [ ] CRMに入れるデータの範囲が明確に定義されているか(診療情報は除外)
  • [ ] プライバシーポリシーにCRMでの個人情報管理が明記されているか
  • [ ] 患者からのデータ利用同意の取得フローが整備されているか
  • [ ] CRMのアクセス権限設計が完了しているか(最小権限の原則)
  • [ ] 電子カルテとCRMの役割分担が明確か
  • [ ] CRM管理者(院内推進担当者)が任命されているか
  • [ ] 医療広告ガイドラインへの対応ルールが整備されているか

医療CRM導入の投資対効果

医療機関がCRMを導入した場合の投資対効果の目安です。

効果項目 改善幅の目安 具体的な内容
予約キャンセル率 15〜30%低減 自動リマインドによる来院忘れ防止
定期検診リコール率 20〜40%向上 段階的リマインドによる再来院促進
受付業務工数 30〜50%削減 リマインド電話の自動化
新患の来院転換率 10〜20%向上 問い合わせ後のフォローアップ自動化
患者LTV 15〜30%向上 リピート促進とアップセル提案

医療CRMの選定ポイント

CRM選定の評価軸

医療機関がCRMを選定する際に重視すべき評価軸です。

評価軸 重要度 チェックポイント
セキュリティ ★★★ SOC 2認証、データ暗号化、アクセス制御
同意管理 ★★★ GDPR/個人情報保護法対応の同意管理機能
メール/SMS配信 ★★★ リマインド・フォローアップの自動配信が可能か
予約連携 ★★☆ 既存予約システムとの連携が可能か
カスタマイズ性 ★★☆ 診療科に応じたプロパティ・パイプライン設計ができるか
導入サポート ★★☆ 医療業界の導入実績があるパートナーが存在するか

主要CRM/医療系ツールの比較

製品 特徴 医療向け機能 価格帯
Dentally / ジニー(歯科特化) 歯科業界特化のCRM 予約管理、リコール、患者コミュニケーション 要問合せ
CLINICS オンライン診療・予約管理 予約、問診、ビデオ通話 要問合せ
HubSpot 汎用CRM/MA、カスタマイズ性が高い GDPR対応、マーケティング自動化 0円〜(無料プランあり)
Salesforce Health Cloud 医療向けCRM 患者管理、ケアプラン、連携機能 要問合せ
kintone ノーコード、日本企業向け 柔軟なアプリ設計で患者管理 1,500円〜/ユーザー

医療特化型システムは予約管理・リコール管理に強みがある一方、汎用CRMはマーケティング自動化やカスタマイズ性で優位です。自費診療のマーケティング強化が目的であれば汎用CRM、予約管理の効率化が主目的であれば医療特化型が適しています。

まとめ

医療・クリニック業界のCRM活用は、患者データの適切な取り扱いを前提に、予約リマインドの自動化、患者フォローアップの仕組み化、そして集客マーケティングの高度化を柱として設計することが重要です。本記事のポイントを整理します。

  • コンプライアンス最優先: 診療情報はCRMに入れず、連絡先・来院履歴・マーケティング情報に限定する
  • 予約リマインドの自動化: メール・SMS・LINEによる段階的なリマインドで、キャンセル率を低減し受付業務を効率化する
  • 定期検診リマインド: 自動ワークフローでリコール率を向上させ、患者の健康維持と収益の安定化を両立する
  • 施術後フォローアップ: 段階的なフォローで患者満足度を向上させ、リピート率とLTVを高める
  • 段階導入: まず予約リマインドから着手し、段階的に定期検診案内・集客マーケティングへ拡張する

CRMは医療専用システムではないため、電子カルテとの役割分担を明確にし、個人情報保護のルールを整備した上で活用してください。まずは予約リマインドの自動化から始めて、受付スタッフの業務負荷軽減と患者体験の向上を実感するところからスタートすることを推奨します。

よくある質問(FAQ)

Q. 保険診療中心のクリニックでもCRMは必要ですか?

保険診療が中心の一般的なクリニックでは、電子カルテと医事会計システムが業務の中核となるため、CRMの優先度は相対的に低くなります。ただし、予約リマインドの自動化や定期検診のリコール管理に課題がある場合は、CRMの一部機能が有効です。自費診療メニュー(ホワイトニング、矯正等)の比率が高い場合や、Webマーケティングに力を入れたい場合は、CRM導入を検討する価値があります。

Q. 電子カルテとCRMは連携できますか?

一般的な電子カルテシステムとCRMの直接連携は現時点では限定的です。API対応の電子カルテであればカスタム連携が可能ですが、開発リソースが必要です。実務的には、患者IDをキーにして電子カルテとCRMを紐付け、患者の連絡先情報・来院履歴はCRM、診療情報は電子カルテという「役割分担型」の運用が現実的です。

Q. 患者の個人情報をクラウドCRMに入れて法的に問題はないですか?

個人情報保護法上、適切な安全管理措置(アクセス制御、暗号化、従業者への教育等)を講じていれば、クラウドサービスでの個人情報管理は認められています。ただし、CRMベンダーのセキュリティ認証(SOC 2等)を確認し、データの保存場所(国内/海外)を把握してください。患者からのデータ利用同意の取得と、プライバシーポリシーへの明記は必須です。診療情報はCRMに入れないことが大前提です。

Q. 小規模クリニック(スタッフ5名程度)でもCRMは導入できますか?

導入可能です。無料プランや低価格プラン(月額数千円〜)で始められるCRMが多く、小規模クリニックでも費用負担は限定的です。特に予約リマインドの自動化は、受付スタッフ1名の業務で1日1〜2時間の工数削減が見込めるため、導入効果を実感しやすい施策です。まずは予約リマインドと施術後フォローの自動化から小さく始めてください。

Q. 医療広告ガイドラインへの対応はCRMで可能ですか?

CRM自体に医療広告ガイラインの自動チェック機能はありません。メール配信やWebコンテンツの作成時に、ガイドラインに沿っているかを公開前に自社でチェックする運用ルールの整備が必要です。ビフォーアフター写真の使用条件、体験談の記載ルール、誇大広告の禁止など、医療広告ガイドラインの遵守はCRM機能ではなく運用面での対応となります。

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著者情報

7-1

今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。