title: "BCP(事業継続計画)の作り方|策定手順とテンプレート"
slug: "hubspot-ai/governance-ipo/bcp-jigyou-keizoku-keikaku"
metaDescription: "BCP(事業継続計画)の策定手順を解説。ビジネスインパクト分析、復旧優先順位の設定、BCPテンプレートの構成、訓練と見直しの方法まで実務的に紹介します。"
featuredImage: "https://www.start-link.jp/hubfs/blog-featured-images/management.webp"
blogAuthorId: "166212808307"
contentGroupId: "166203508570"
keywords: ["BCP", "事業継続計画", "作り方", "策定"]
category: "AW_governance-ipo"
自然災害、パンデミック、サイバー攻撃、サプライチェーンの断絶——企業活動を脅かすリスクは多様化・複雑化しています。こうした非常事態が発生した際に、事業の中断を最小限に抑え、早期に復旧するための計画がBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)です。
内閣府の調査(2024年)によると、BCPを策定済みの大企業は約70%ですが、中小企業ではわずか約20%にとどまります。しかし、取引先からBCP策定を求められるケースは増えており、サプライチェーン全体での事業継続力が問われる時代になっています。
本記事では、BCPの策定手順をステップバイステップで解説し、実務で使えるテンプレートの構成も紹介します。
BCPの基本概念
BCPは、非常事態が発生した際に「何を」「どの順番で」「どうやって」復旧するかを事前に計画しておくものです。
| 用語 |
意味 |
| BCP |
事業継続計画(ドキュメント) |
| BCM |
事業継続マネジメント(BCPの策定・運用・改善を含む経営活動) |
| RTO |
目標復旧時間(何時間/何日で復旧するか) |
| RPO |
目標復旧時点(どの時点のデータまで復旧するか) |
| MTPD |
最大許容停止時間(事業停止が許容される上限時間) |
BCP策定の5ステップ
ステップ1:ビジネスインパクト分析(BIA)
自社の事業活動を洗い出し、各業務が停止した場合の影響を評価します。
| 業務 |
停止1日の影響 |
停止1週間の影響 |
停止1ヶ月の影響 |
MTPD |
| 受注・出荷 |
売上減少 |
顧客流出開始 |
事業継続困難 |
3日 |
| 請求・入金管理 |
軽微 |
資金繰り悪化 |
資金ショートリスク |
1週間 |
| カスタマーサポート |
顧客不満 |
解約増加 |
信頼の大幅低下 |
2日 |
| 社内システム |
業務効率低下 |
業務停滞 |
全社停止 |
1日 |
ステップ2:リスクの特定と優先順位付け
自社を脅かすリスクを特定し、発生可能性と影響度で優先順位をつけます。
| リスク |
発生可能性 |
影響度 |
優先度 |
| 大規模地震 |
中 |
極大 |
高 |
| サイバー攻撃 |
高 |
大 |
高 |
| パンデミック |
低〜中 |
大 |
中 |
| 主要取引先の倒産 |
低 |
大 |
中 |
| 停電・インフラ障害 |
中 |
中 |
中 |
| キーパーソンの離脱 |
中 |
中 |
中 |
ステップ3:復旧戦略の策定
各リスクに対して、RTOを満たすための復旧戦略を策定します。
| 対象 |
復旧戦略 |
RTO目標 |
| ITシステム |
クラウドバックアップ、リージョン冗長化 |
4時間 |
| オフィス |
リモートワーク体制、代替オフィス確保 |
1日 |
| 通信 |
複数キャリアの利用、衛星電話の備蓄 |
2時間 |
| 人員 |
クロストレーニング、マニュアル整備 |
1日 |
| サプライチェーン |
複数調達先の確保、安全在庫の設定 |
3日 |
ステップ4:BCPドキュメントの作成
BCPドキュメントの推奨構成:
| 章 |
内容 |
| 1. 目的と適用範囲 |
BCPの目的、対象事業、対象リスク |
| 2. 基本方針 |
人命最優先、事業継続の優先順位 |
| 3. 組織体制 |
対策本部の構成、役割分担、連絡体制 |
| 4. 初動対応 |
発生直後(0〜2時間)のアクション |
| 5. 事業継続対応 |
優先業務の復旧手順(RTO順) |
| 6. 復旧対応 |
通常業務への完全復帰手順 |
| 7. 連絡先一覧 |
緊急連絡先(社内・社外) |
| 8. 付録 |
チェックリスト、システム構成図 |
ステップ5:訓練と見直し
BCPは作成しただけでは機能しません。定期的な訓練と見直しが不可欠です。
| 訓練の種類 |
内容 |
頻度 |
| 机上訓練 |
シナリオに基づくシミュレーション |
年1回 |
| 連絡訓練 |
緊急連絡網の実動テスト |
半年1回 |
| IT復旧訓練 |
バックアップからのリストア |
年1回 |
| 実地訓練 |
代替拠点での業務実施 |
年1回(可能なら) |
中小企業のBCP策定のポイント
ポイント1:完璧を目指さず、まず作る
100ページのBCPを作る必要はありません。「最も重要な3つの業務」の復旧手順と、緊急連絡網だけでも、ないよりはるかにましです。
ポイント2:クラウド化はそれ自体がBCP対策
SaaSやクラウドサービスを活用することで、オフィスが使えなくてもリモートで業務を継続できます。CRM、会計ソフト、コミュニケーションツールのクラウド化は、BCPの観点からも優先度の高い施策です。
ポイント3:取引先への説明材料として活用
BCPの策定は、取引先からの信頼獲得にもつながります。大企業のサプライチェーンに入るための要件としてBCPが求められるケースも増えています。
CRM・SaaSの事業継続性
CRMは営業活動の基盤であり、その事業継続性はBCPにおいて重要な要素です。HubSpotのようなクラウドCRMは、データセンターの冗長化、自動バックアップ、99.99%のSLA(サービスレベル保証)を提供しており、オンプレミスのシステムと比較してBCPの観点で優位です。
リスクマネジメントのフレームワークで述べたERMの一環として、BCPを位置づけることで、組織全体のリスク管理体制が強化されます。経営管理とはで解説した経営管理の5領域のうち、リスク管理の具体的な実装がBCPです。