「営業が受注した後のプロジェクト進行が見えず、納品遅延が発生している」
「CRM上では受注済みなのに、タスク管理が別ツールで情報が分断されている」
——こうした課題は、HubSpotとAsanaの連携で解決できます。
Asanaはタスク・プロジェクト管理に特化したツールで、チームの作業進捗を可視化するのに優れています。HubSpotと連携することで、CRMの商談データとプロジェクト管理を統合し、受注からデリバリーまでの全体フローを一元管理できるようになります。
この記事では、HubSpot × Asana連携のメリットから設定方法、活用設計まで解説します。
この記事でわかること
- HubSpot × Asana連携の全体像とメリット
- 連携の設定方法
- 受注→デリバリーの統合フロー設計
- CRM側とプロジェクト管理側の役割分担
- 運用上の注意点と限界
HubSpot × Asana連携とは?
HubSpotとAsanaの連携とは、CRM上の取引(商談)情報をトリガーにしてAsanaのプロジェクトやタスクを自動作成し、受注後のデリバリー進捗をCRMから参照できるようにする仕組みです。
多くの企業では、営業(HubSpot)とプロジェクト管理(Asana)が別々のツールとして運用されています。この分断により「営業は受注したが、デリバリーチームに情報が正確に伝わっていない」「プロジェクトの遅延が営業側で把握できない」といった問題が発生します。
HubSpotとAsanaを連携させることで、この情報の分断を解消し、顧客体験の一貫性を保つことができます。
連携のメリット
1. 受注→デリバリーの引き継ぎが自動化される
取引が「受注」ステージに移行したタイミングで、Asanaにプロジェクトが自動作成され、必要なタスクがテンプレートから展開されます。営業からデリバリーチームへの情報伝達が仕組みとして自動化されるため、口頭やメールでの引き継ぎ漏れがなくなります。
2. 営業がデリバリー状況を把握できる
HubSpotの取引レコードからAsanaのプロジェクト進捗を参照できるようになるため、営業が顧客から「プロジェクトの進捗はどうなっていますか?」と聞かれた際に、すぐに回答できます。
3. 顧客データの一元管理が維持される
Asanaのプロジェクト情報がHubSpotのCRMデータと紐づくことで、顧客に関するすべての情報(営業履歴、契約内容、プロジェクト進捗、サポートチケット)がCRMを起点に参照可能になります。
設定方法
方法1: HubSpot公式Asanaアプリ
HubSpotのマーケットプレイスで「Asana」を検索し、公式アプリをインストールします。
設定手順:
- HubSpotマーケットプレイスで「Asana」を検索・インストール
- Asanaアカウントの認証
- HubSpotの取引レコードからAsanaのタスクを作成可能に
- Asanaのタスク進捗がHubSpotのタイムラインに表示される
方法2: Yoom / Zapierを使った高度な自動化
公式アプリの基本連携に加えて、iPaaSツールを使うことでより高度な自動化が実現できます。
自動化の例:
- 取引ステージが「受注」に変更 → Asanaにプロジェクトを自動作成(テンプレートから)
- Asanaのマイルストーンが完了 → HubSpotの取引プロパティに進捗を自動記録
- Asanaのタスクが期限超過 → HubSpotの取引担当者にアラート
方法3: HubSpotワークフロー + Asana API
Professional以上のプランであれば、ワークフロー内でカスタムコードを使ってAsanaのAPIを呼び出し、より柔軟な連携を構築できます。
受注→デリバリーの統合フロー設計
全体フロー
【HubSpot(CRM)】 【Asana(プロジェクト管理)】
営業活動
↓
見積もり提示
↓
受注(ステージ変更)→ 自動トリガー → プロジェクト自動作成
↓ ↓
契約締結 キックオフタスク
↓ ↓
請求 要件定義タスク
↓ ↓
更新/アップセル ← フィードバック ← 納品・検収タスク
パイプラインとAsanaの連動設計
| HubSpotステージ | Asana側のアクション |
|---|
| 受注内示 | (まだAsanaプロジェクトは作成しない) |
| 契約締結 | Asanaにプロジェクト自動作成 + キックオフタスク生成 |
| デリバリー中 | Asanaのプロジェクト進捗に連動してHubSpot更新 |
| 検収完了 | Asanaの全タスク完了 → HubSpotのステージを自動更新 |
| 請求 | HubSpotの請求フローに移行 |
ここが結構ミソになってくるのですが、Asanaのプロジェクト作成タイミングは「契約締結」以降にするのがおすすめです。「受注内示」の段階でプロジェクトを作ると、最終的に契約が成立しなかった場合に空のプロジェクトが残ってしまいます。
Asanaのプロジェクトテンプレート例
受注時に自動展開するテンプレートの構成例です。
- キックオフ準備(1週間以内)
- キックオフ日程調整
- 顧客情報の共有(HubSpotの取引レコードリンク)
- プロジェクト計画書の作成
- 要件定義(2週間以内)
- 要件ヒアリング
- 要件定義書の作成
- 顧客レビュー
- 実装・設計(4週間以内)
- 設計ドキュメント作成
- 実装作業
- 内部レビュー
- 納品・検収(2週間以内)
- テスト実施
- 顧客トレーニング
- 検収確認
活用事例
コンサルティング会社
HubSpotで管理している商談が受注に至ると、Asanaにプロジェクトが自動作成され、コンサルタントにタスクが割り当てられる仕組みを構築。営業→コンサルタントの引き継ぎ時間が1件あたり30分→5分に短縮。プロジェクトの遅延率も20%改善。
Web制作会社
受注した制作案件をAsanaで管理し、進捗をHubSpotの取引レコードに反映。営業が顧客に進捗報告をする際に、Asanaを直接見に行く必要がなくなり、HubSpotだけで顧客情報を完結できるようになった。
CRM側とプロジェクト管理側の役割分担
| 管理項目 | HubSpot(CRM) | Asana(PM) |
|---|
| 顧客情報 | マスター管理 | 参照のみ |
| 商談管理 | メイン | 関連リンクのみ |
| 契約情報 | メイン | 参照のみ |
| プロジェクト進捗 | ステータス参照 | メイン管理 |
| タスク管理 | 営業タスクのみ | デリバリータスク |
| レポート | 営業KPI | プロジェクトKPI |
マスターデータはHubSpotに持ち、プロジェクトの実行管理はAsanaで行う——この役割分担を明確にしておくことが、情報の二重管理を防ぐ鍵です。
注意点と限界
過度な連携は複雑性を増す
すべてのHubSpotイベントをAsanaに連携し、すべてのAsanaタスクをHubSpotに反映しようとすると、連携フローが複雑になりすぎてメンテナンスが大変になります。「受注時のプロジェクト自動作成」と「主要マイルストーンのステータス連携」に絞るのが現実的です。
Asana以外のPMツールとの比較
Backlog、Jira、Monday.comなど他のPMツールとの連携も選択肢に入ります。Asanaはタスクの視覚的な管理に優れていますが、ソフトウェア開発にはJira、日本の受託開発にはBacklogの方が馴染む場合もあります。自社のプロジェクト特性に合わせて選択しましょう。
iPaaS連携の保守コスト
Yoom/Zapier経由の連携を使う場合、iPaaSツールのサブスクリプション費用と、連携フローのメンテナンス工数がかかります。連携の複雑さに応じてコストが増加するため、費用対効果を見極めた上で導入しましょう。
まとめ
HubSpotとAsanaの連携により、CRMの商談管理とプロジェクト管理を統合し、受注からデリバリーまでの全体フローを一元管理できます。
まずは「受注時のAsanaプロジェクト自動作成」から始めて、段階的にステータス連携やアラートを追加していくスモールスタートがおすすめです。営業とデリバリーの情報断絶を解消することで、顧客体験の一貫性が保たれ、結果としてリピートやアップセルにもつながっていきます。
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よくある質問(FAQ)
Q1. HubSpot公式のAsanaアプリは無料ですか?
はい、アプリのインストール自体は無料です。ただし、ワークフローによる高度な自動化にはHubSpot Professional以上が必要です。また、Asana側もPremiumプラン以上の方がプロジェクトテンプレート等の機能が充実しています。
Q2. Asanaを使っていないチームメンバーもプロジェクト情報を見れますか?
HubSpotの取引レコードにAsanaのプロジェクトリンクが記録されるため、HubSpotのアクセス権があればプロジェクトの存在と基本情報は確認できます。詳細なタスク管理にはAsanaアカウントが必要です。
Q3. 受注後のプロジェクトだけでなく、営業活動のタスクもAsanaで管理すべきですか?
営業活動のタスク(架電、メール送信、資料作成など)はHubSpotのタスク機能で管理する方が効率的です。CRMの顧客情報と直結しているため、コンテキスト切り替えのコストが低く済みます。Asanaはデリバリー・プロジェクト管理に特化させる使い分けがおすすめです。
Q4. 連携が途切れた場合のリスクは?
iPaaS連携が停止した場合、Asanaのプロジェクト自動作成が行われなくなるリスクがあります。定期的に連携フローの動作確認を行い、手動でもプロジェクトを作成できるフォールバック手順を用意しておくと安心です。
この記事は2025年3月時点の情報に基づいています。HubSpotの機能は定期的にアップデートされるため、最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。
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