補助金・助成金を活用したSaaS導入ガイド|クラウドサービスの費用を最大75%削減

  • 2026年3月7日
  • 最終更新: 2026年3月7日

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中小企業がSaaS(クラウドサービス)を導入する際に活用できる主な補助金は、IT導入補助金(補助率1/2〜3/4)、ものづくり補助金(補助率1/2〜2/3)、小規模事業者持続化補助金(補助率2/3)の3つです。 さらに、東京都や大阪府など自治体独自のDX関連助成金も増えており、複数の制度を組み合わせることで、SaaS導入費用を大幅に圧縮できます。

「CRMやMAツールを導入したいが、月額費用が経営を圧迫しないか不安」「補助金でSaaSの利用料も対象になるのか知りたい」「どの補助金が自社に合っているのかわからない」。本記事では、SaaS導入に活用できる補助金・助成金を網羅的に整理し、申請のポイントと費用シミュレーションを解説します。

この記事でわかること

  • SaaS導入に使える主要補助金3種の比較(補助率・補助額・対象経費)
  • 自治体独自のDX助成金の活用方法
  • 各補助金の申請スケジュールと準備事項
  • SaaSカテゴリ別の補助金活用シミュレーション

SaaS導入に使える主要補助金の比較

中小企業がSaaS導入に活用できる主要な補助金を比較します。

補助金名 補助率 補助額上限 SaaS利用料の対象 申請の難易度
IT導入補助金(通常枠) 1/2 450万円 最大2年分 低〜中
IT導入補助金(インボイス枠) 2/3〜3/4 350万円 最大2年分
ものづくり補助金 1/2〜2/3 1,250万円 対象(条件あり) 中〜高
小規模事業者持続化補助金 2/3 50万円 対象
事業再構築補助金 1/2〜2/3 1,500万円 対象(条件あり)

IT導入補助金

SaaS導入で最も使いやすい補助金がIT導入補助金です。CRM・SFA・MA・会計ソフト・グループウェアなど幅広いSaaSが対象となり、クラウド利用料は最大2年分が補助されます。

IT導入補助金の特徴は「IT導入支援事業者」との共同申請が必須である点です。導入したいSaaSを提供するベンダーまたは販売パートナーがIT導入支援事業者として登録されている必要があります。

CRM導入でのIT導入補助金活用については「IT導入補助金でCRMを導入する方法」で詳しく解説しています。

ものづくり補助金

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。製造業に限らず、サービス業でも申請可能です。SaaS導入を含む設備投資・システム開発が対象で、補助額は最大1,250万円と高額です。

ものづくり補助金でSaaS導入費用を申請する場合、「革新的な生産プロセスの改善」または「革新的なサービスの提供」に該当する必要があります。たとえば「CRMとMAを連携して、従来の対面営業モデルからデータドリブンなインバウンド営業モデルへ転換する」といった計画であれば、「革新的なサービスの提供」に該当する可能性があります。

小規模事業者持続化補助金

従業員20名以下(商業・サービス業は5名以下)の小規模事業者向けです。補助上限は50万円と少額ですが、採択率が比較的高く、申請書類もシンプルです。「販路開拓」の取り組みとしてCRMやメール配信ツールの導入費用を申請できます。

SaaSカテゴリ別の対象補助金と費用シミュレーション

CRM/SFA(顧客管理・営業支援)

SaaSツール 年間費用(5ユーザー目安) IT導入補助金(1/2)適用後
HubSpot Sales Hub Professional 約130万円 約65万円
Salesforce Sales Cloud Professional 約119万円 約60万円
Zoho CRM Professional 約17万円 約9万円

CRM/SFAはIT導入補助金の通常枠で申請するのが最も一般的です。導入コンサルティング費用や初期設定費も補助対象に含められるため、ツール利用料だけでなく「使いこなすための投資」もカバーできます。

MA(マーケティングオートメーション)

SaaSツール 年間費用(目安) IT導入補助金(1/2)適用後
HubSpot Marketing Hub Professional 約130万円 約65万円
Marketo Engage 約200万円〜 約100万円〜
SATORI 約178万円 約89万円

MAツールはIT導入補助金の通常枠またはものづくり補助金で申請可能です。MAは「リード獲得の自動化」「ナーチャリングメールの自動配信」など、営業の生産性向上に直結するため、補助金の申請書でも効果を定量化しやすいカテゴリです。

会計・バックオフィス

SaaSツール 年間費用(目安) IT導入補助金(インボイス枠3/4)適用後
freee会計 スタンダード 約30万円 約8万円
マネーフォワードクラウド 約36万円 約9万円
弥生会計オンライン 約30万円 約8万円

会計ソフトはインボイス制度対応としてIT導入補助金の「インボイス枠」を活用すると、補助率が最大3/4になります。インボイス枠は補助上限が350万円ですが、会計ソフト単体であれば十分カバーできます。

グループウェア・コミュニケーション

SaaSツール 年間費用(10ユーザー目安) IT導入補助金(1/2)適用後
Google Workspace Business Standard 約20万円 約10万円
Microsoft 365 Business Basic 約10万円 約5万円
Slack Pro 約12万円 約6万円

グループウェア単体では補助額が小さいため、CRMや会計ソフトと組み合わせて「パッケージ」として申請するのが効果的です。

自治体独自のDX助成金

東京都の主なDX助成金

東京都は中小企業のDX支援に積極的で、複数の助成金制度を設けています。

  • 東京都中小企業振興公社 デジタルツール導入助成金: 都内中小企業のデジタルツール導入費用を助成。助成率1/2、上限100万円
  • 東京都 DX推進支援事業: 専門家派遣とセットでDXツールの導入費用を助成

大阪府・大阪市の助成金

  • 大阪市DX推進補助金: 市内中小企業のDXツール導入を支援。補助率1/2、上限100万円

その他の自治体

愛知県、福岡県、北海道など多くの自治体がDX関連の助成金を設けています。自社の所在地の自治体の補助金・助成金情報は、中小企業基盤整備機構の「J-Net21」で検索できます。

注意点: 自治体の助成金は国の補助金と併用できない場合があります。申請前に必ず「併用可否」を確認してください。

補助金を活用したSaaS導入の成功事例

不動産仲介会社のCRM導入事例

東京都内の不動産仲介会社(従業員15名)は、IT導入補助金を活用してHubSpot CRMとMarketing Hubを導入しました。導入費用の総額は約300万円(ライセンス費用2年分+初期設定・コンサルティング費用)に対し、IT導入補助金の通常枠で約150万円の補助を受け、実質負担は約150万円に圧縮されました。

導入後は、物件問い合わせから内覧予約までのリード対応が自動化され、営業担当者1人あたりの対応可能件数が月間30件から50件に増加しています。

製造業のバックオフィスDX事例

愛知県の金属加工メーカー(従業員45名)は、ものづくり補助金のデジタル枠を活用し、freee会計+CRM+受発注管理システムの3つのSaaSを一括導入しました。投資総額約800万円に対し、補助金で約530万円を補助され、自己負担は約270万円でした。

経理業務の月間工数が80時間から20時間に削減され、受発注のリードタイムも3日から即日に短縮されました。

補助金申請の共通スケジュール

準備期間(申請の2〜3ヶ月前)

  • gBizIDプライムの取得(IT導入補助金・ものづくり補助金で必要、取得に2〜3週間)
  • SECURITY ACTIONの宣言(IT導入補助金で必要)
  • 導入するSaaSの選定と見積書の取得
  • 事業計画書の作成

申請期間

各補助金は年度内に複数回の公募期間が設けられます。主な申請スケジュールは以下のとおりです。

補助金 公募時期(目安) 公募回数
IT導入補助金 3月〜12月 10回以上
ものづくり補助金 通年(締切は2〜3ヶ月ごと) 4〜5回
小規模事業者持続化補助金 通年(締切は3〜4ヶ月ごと) 4回

交付決定〜導入〜報告

  • 交付決定: 申請から1〜2ヶ月(IT導入補助金は比較的早い)
  • SaaS導入: 交付決定後に契約・導入(決定前の契約は補助対象外)
  • 実績報告: 導入完了後に報告書を提出
  • 補助金交付: 実績報告の審査後、1〜2ヶ月で入金

補助金活用でよくある失敗と対策

失敗1: 交付決定前にSaaSを契約してしまう

最も多い失敗は、補助金の交付決定前にSaaSの契約・支払いを行ってしまうケースです。交付決定前の契約は原則として補助対象外となるため、申請から交付決定まで1〜2ヶ月の「待ち期間」が発生することを事業計画に織り込んでおく必要があります。

対策として、HubSpotのように無料プランが用意されているSaaSであれば、補助金の交付決定を待つ間に無料版で基本的なセットアップを進められます。

失敗2: 補助金ありきでツールを選んでしまう

「補助対象だから」という理由だけでSaaSを選ぶと、自社の業務課題と合わないツールを導入するリスクがあります。まず業務課題を整理し、その課題を解決できるSaaSを選定してから、活用可能な補助金を探す順序が正しいです。

失敗3: 導入後に使われない

SaaSを導入しても、社内の利用率が上がらず「高い月額費用だけが発生する」状態に陥るケースがあります。補助金の申請書には「社内研修計画」「利用促進策」を盛り込み、導入後の定着まで計画に含めることが重要です。

CRM導入の全体的な進め方は「CRM導入の進め方完全ガイド」で解説しています。

まとめ

SaaS導入に使える補助金は、IT導入補助金・ものづくり補助金・小規模事業者持続化補助金の3つが主要です。IT導入補助金はSaaS利用料を最大2年分カバーでき、申請のハードルも比較的低いため、最初に検討すべき補助金です。

補助金の活用で重要なのは「何のために導入するか」を明確にすることです。「費用が安くなるから」ではなく、「業務課題を解決し、生産性を向上させる」という目的があってこそ、補助金の申請書も説得力を持ち、導入後の定着にもつながります。

DXの第一歩としてCRM/SFAの導入を検討しているなら、HubSpotの無料CRMから始めて業務フローを確認し、有料プランへの移行時にIT導入補助金を活用するのが最もリスクの低い進め方です。「HubSpot導入ガイド」も併せてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

Q1: SaaSの月額利用料は補助金の対象になりますか?

A1: IT導入補助金では、クラウドサービスの利用料が最大2年分まで補助対象となります。ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金でも、事業期間内のSaaS利用料は対象に含まれます。ただし、補助事業期間終了後の利用料は自己負担です。

Q2: 複数のSaaSをまとめて1つの補助金で申請できますか?

A2: 可能です。IT導入補助金では、CRM+会計ソフト+グループウェアなど複数のSaaSを「パッケージ」として1回の申請でまとめて申請できます。補助額の上限内であれば、まとめて申請した方がコスト効率は高くなります。

Q3: IT導入補助金とものづくり補助金は併用できますか?

A3: 同一の経費について複数の補助金を重複して受けることはできません。ただし、異なるSaaS・異なる経費であれば、CRM導入にIT導入補助金、生産管理システムにものづくり補助金、といった使い分けは可能です。

Q4: 海外のSaaS(HubSpot・Salesforce等)も補助対象になりますか?

A4: 対象になります。IT導入補助金では、日本国内に法人または代理店があり、IT導入支援事業者として登録されたベンダーが提供するSaaSであれば、海外製品でも補助対象です。HubSpot、Salesforce、Zoho CRMなどは日本法人があり、多くのIT導入支援事業者を通じて補助対象ツールとして登録されています。

Q5: 補助金の申請から交付までの期間中、SaaSを使い始めることはできますか?

A5: 交付決定前にSaaSの契約・導入を開始すると、その費用は補助対象外となるのが原則です。ただし、HubSpotのように無料プランがあるSaaSであれば、交付決定前に無料版を使い始め、交付決定後に有料プランへ移行する方法が可能です。この方法なら、補助金の待ち期間を有効に使えます。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。