Zapier・Make(Integromat)活用ガイド|ノーコードでSaaS間連携を自動化する方法

  • 2026年3月7日
  • 最終更新: 2026年3月7日

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Zapier(ザピアー)とMake(メイク、旧Integromat)は、プログラミング不要でSaaS間のデータ連携を自動化できるiPaaS(Integration Platform as a Service)です。「HubSpotに登録された問い合わせをSlackに自動通知する」「フォーム回答をGoogleスプレッドシートに自動転記する」といった業務を、ノーコードで数分で構築できます。Zapierは「手軽さと対応アプリ数」、Makeは「複雑なフローと柔軟性」に強みがあり、用途に応じた使い分けが重要です。

「CRMと会計ソフトの間でデータを手作業でコピーしている」「フォームの回答をメールで確認してCRMに手入力している」「月次レポートのデータ集計に毎回2時間かかる」――こうしたSaaS間の手作業は、ZapierやMakeを使えばノーコードで自動化できます。

iPaaS市場は急速に拡大しており、Zapierは連携可能アプリ7,000以上、Makeは2,000以上と、主要なSaaSのほぼすべてに対応しています。しかし「どちらを選ぶべきか」「どう使い分ければいいか」で迷う企業は少なくありません。

本記事では、ZapierとMakeの機能・料金・操作性を徹底比較し、HubSpotをはじめとするSaaS連携の具体的な活用方法を解説します。

この記事でわかること

  • ZapierとMakeの基本的な仕組みと用語の違い
  • 機能・料金・対応アプリ数の比較
  • HubSpotとの連携で実現できる自動化シナリオ
  • 用途別のツール選定ガイド(Zapier向き vs Make向き)
  • 導入の具体的なステップと注意点

iPaaSとは何か?基本の仕組み

iPaaS(Integration Platform as a Service)は、異なるクラウドサービス間のデータ連携をノーコードで自動化するプラットフォームです。基本的な仕組みは以下の通りです。

  1. トリガー(起動条件): 特定のイベントが発生したときに自動化フローが起動する(例:HubSpotに新規コンタクトが登録されたとき)
  2. アクション(実行内容): トリガーに応じて実行される処理(例:Slackにメッセージを送信する)
  3. フロー(自動化の全体像): トリガーとアクションを組み合わせた一連の自動化プロセス

Zapierではフローを「Zap」、Makeでは「Scenario」と呼びますが、基本概念は同じです。

Zapier vs Make:機能・料金の徹底比較

基本機能の比較

比較項目 Zapier Make(旧Integromat)
フローの呼称 Zap Scenario
対応アプリ数 7,000以上 2,000以上
UI/操作性 リスト形式(直線的) ビジュアルフロー(ドラッグ&ドロップ)
分岐処理 Paths(有料プラン以上) Router(無料プランから利用可能)
ループ処理 Looping(β版) Iterator/Aggregator(標準機能)
エラーハンドリング 基本的な通知のみ 詳細なエラーハンドリング(Break/Resume/Rollback)
データ変換 Formatter(基本的な変換) 豊富な関数(JSON/CSV/日付/数学関数等)
実行間隔(無料) 15分 15分
実行間隔(有料) 1〜2分 即時(Webhook対応)

料金プランの比較(2025年時点)

プラン Zapier(月額・年払い) Make(月額・年払い)
無料 100タスク/月、5 Zap 1,000オペレーション/月、2 Scenario
スターター $19.99(750タスク/月) $10.59(10,000オペレーション/月)
プロ $49(2,000タスク/月) $18.82(10,000オペレーション/月、追加機能)
上位プラン $69〜(タスク数増加) $34.12〜(オペレーション数増加)

注意: ZapierとMakeでは「タスク」と「オペレーション」のカウント方法が異なります。Zapierの1タスク=1アクションの実行、Makeの1オペレーション=1モジュールの実行です。Makeのほうが単価あたりの実行回数が多い傾向があります。

コスト比較の結論

同じ自動化を実行した場合、Makeのほうが月額コストが低くなるケースが多いです。ただし、Zapierは対応アプリ数が圧倒的に多く、マイナーなSaaSとの連携ではZapier一択になる場合もあります。

Zapierが向いているケース

1. シンプルな1対1の連携

「トリガー→アクション」の直線的な自動化(1対1のSaaS連携)では、Zapierのリスト形式UIが直感的で設定しやすいです。

具体例:

  • HubSpotのフォーム送信 → Slackに通知
  • Googleフォームの回答 → HubSpotにコンタクト作成
  • HubSpotの商談成立 → Googleスプレッドシートに行追加

2. 対応アプリ数が重要な場合

Zapierは7,000以上のアプリに対応しており、日本のSaaS(freee、kintone、Chatwork等)との連携も充実しています。使いたいSaaSがMakeに対応していない場合は、Zapierを選択します。

3. 非エンジニアが設定する場合

Zapierはステップバイステップのウィザード形式で設定が進むため、プログラミングやデータ処理の知識がない担当者でも迷わず自動化フローを構築できます。

Makeが向いているケース

1. 複雑な分岐・ループを含むフロー

Makeはビジュアルフロービルダーを採用しており、条件分岐(Router)、ループ処理(Iterator)、データ集約(Aggregator)を直感的に設計できます。

具体例:

  • HubSpotの新規コンタクトの業種によって、通知先のSlackチャンネルを分岐する
  • CSVファイルの各行を1件ずつCRMに登録する(ループ処理)
  • 複数のAPIから取得したデータを統合して1つのレポートを作成する

2. コストを抑えたい場合

同等の自動化をZapierとMakeで実行した場合、Makeのほうが月額コストが30〜50%低くなるケースが多いです。実行回数が多い自動化(毎日数百〜数千のデータ処理)では、コスト差が顕著になります。

3. エラーハンドリングが重要な場合

Makeは詳細なエラーハンドリング機能を備えており、「エラー発生時にデータをキューに保存し、後から再実行する」「特定のエラーのみスキップし、他はアラートを出す」といった高度な制御が可能です。

HubSpotとの連携で実現できる自動化シナリオ

HubSpotはZapier・Makeの両方と豊富な連携機能を持っています。以下に、実務で特に効果の高い自動化シナリオを紹介します。

シナリオ1:問い合わせ→CRM登録→Slack通知→フォローメール

  1. Webフォームに問い合わせが送信される(トリガー)
  2. HubSpot CRMにコンタクトとして自動登録
  3. 担当営業にSlackで即時通知
  4. 1時間後にサンキューメールを自動送信

このフローにより、問い合わせから初回対応までの時間を「翌日」から「数時間以内」に短縮できます。

シナリオ2:商談成立→請求書作成→会計ソフト連携

  1. HubSpotの取引ステージが「受注」に変更される(トリガー)
  2. 取引金額・顧客情報を取得
  3. freeeに請求書データを自動作成
  4. 営業担当と経理担当にメールで通知

HubSpotとfreeeの連携については別記事で詳しく解説しています。

シナリオ3:リードスコアリング→担当者自動アサイン

  1. HubSpotのコンタクトスコアが一定値を超える(トリガー)
  2. コンタクトの業種・地域に基づいて担当営業を自動アサイン
  3. 担当営業にSlackで「ホットリード」通知
  4. フォローアップタスクをHubSpotに自動作成

シナリオ4:ウェビナー参加→セグメント分け→ナーチャリング

  1. Zoom/Google Meetのウェビナー参加者リストを取得(トリガー)
  2. HubSpotのコンタクトに参加履歴を自動記録
  3. 参加内容に応じてリストに自動セグメント
  4. セグメントに応じたフォローアップメールシーケンスを起動

HubSpotのZapier・Make連携では、さらに多くの連携パターンを紹介しています。

導入の5ステップ

ステップ1:自動化したい業務の特定(1〜2日)

「どのSaaS間で、どんなデータを、どんなタイミングで連携したいか」を明確にします。最初は1つのシンプルな連携から始めます。

ステップ2:ツールの選定(1〜2日)

前述の比較表を参考に、ZapierまたはMakeを選定します。判断に迷う場合は、両方の無料プランでPoCを実施します。

ステップ3:無料プランでの構築・テスト(3〜5日)

無料プランで自動化フローを構築し、テストデータで動作確認を行います。本番データを使う前に、必ずテスト環境で十分な検証を行います。

ステップ4:本番稼働と監視(1〜2週間)

テストが完了したら本番稼働に切り替えます。最初の1〜2週間は毎日実行ログを確認し、エラーや想定外の挙動がないかを監視します。

ステップ5:フローの拡張・最適化(継続的)

1つの自動化が安定稼働したら、次の業務の自動化に着手します。フローの実行回数やエラー率を定期的に確認し、必要に応じて最適化します。

導入時の注意点

1. APIの利用制限(レートリミット)に注意

SaaSのAPIには1分間・1時間あたりのリクエスト回数制限があります。大量のデータを一括処理する場合は、レートリミットを考慮した設計が必要です。HubSpotのAPIは1アカウントあたり100リクエスト/10秒の制限があります。

2. 個人情報の取り扱い

ZapierやMakeを経由してデータが転送されるため、個人情報保護の観点からデータの流れを把握しておく必要があります。ZapierはSOC 2 Type II認証、MakeはISO 27001認証を取得しており、セキュリティ基準は高い水準を満たしています。

3. 「野良フロー」を作らない

複数の担当者が個別にフローを構築すると、「誰が何を自動化しているかわからない」状態になります。自動化フローの一覧表を作成し、管理者を明確にすることで「野良フロー」問題を防止します。

4. 手動実行のバックアッププランを用意する

自動化ツールにも障害は起こり得ます。ZapierやMakeがダウンした場合に備え、手動でも同じ業務を実行できる手順書を用意しておきます。

まとめ

ZapierとMakeは、SaaS間のデータ連携をノーコードで自動化できる強力なツールです。Zapierは「手軽さ・対応アプリ数」、Makeは「複雑なフロー・コスト効率」に強みがあります。

選定に迷ったら、以下のシンプルな判断基準で決めてください。

  • シンプルな1対1連携が中心 → Zapier
  • 複雑な分岐・ループ・大量データ処理が必要 → Make
  • 使いたいSaaSがMake未対応 → Zapier
  • コストを最小化したい → Make

どちらを選んでも、まずは「1つの業務の自動化」から始めることが重要です。HubSpot CRMを起点に、問い合わせの自動通知や商談データの自動転記など、小さな自動化から確実に効果を積み上げてください。

よくある質問(FAQ)

Q1: ZapierとMakeのどちらを先に試すべきですか?

プログラミング知識がない場合はZapierから試すのがおすすめです。ウィザード形式で設定が進むため、初めてのiPaaS体験として直感的です。データ処理やフロー設計の経験がある場合は、Makeのビジュアルフロービルダーのほうが効率的に自動化を構築できます。

Q2: 無料プランでどの程度のことができますか?

Zapierの無料プランは100タスク/月・5 Zapまで、Makeの無料プランは1,000オペレーション/月・2 Scenarioまで利用可能です。1日数回程度の自動化(問い合わせ通知、データ転記など)であれば、無料プランで十分に運用できます。

Q3: HubSpotとの連携はZapierとMakeのどちらが良いですか?

HubSpotは両方に公式連携を提供していますが、Zapierのほうが連携テンプレート(プリビルドZap)が豊富で、設定が簡単です。複雑な条件分岐やデータ変換が必要な場合は、Makeのほうが柔軟に対応できます。

Q4: ZapierとMakeを同時に使うことはできますか?

はい、同時利用は可能です。シンプルな連携はZapier、複雑なフローはMakeと使い分けている企業もあります。ただし、管理が分散するデメリットがあるため、可能であればどちらかに統一するほうが運用効率は高くなります。

Q5: iPaaSを導入するのに社内にエンジニアは必要ですか?

基本的な自動化フローの構築にエンジニアは不要です。ZapierもMakeもノーコードで設定できるため、営業・マーケティング・経理の担当者が自分で構築できます。ただし、APIの仕様を理解したカスタム連携や大規模なデータ処理が必要な場合は、エンジニアの支援があると効率的です。


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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。