顧客データ基盤(CDP/DMP)とCRMの違いと連携方法|データ統合アーキテクチャの設計指針

  • 2026年2月24日

ブログ目次


「CDPを導入すべきか、CRMのデータ基盤を強化すべきか、経営層から判断を求められているが明確な基準がない」「DMPとCDPの違いが社内で正しく理解されておらず、ベンダーの提案を評価できない」「顧客データがCRM、MA、Web解析、広告プラットフォームに分散しており、統合したいが設計の指針がわからない」

顧客データ基盤をめぐるこうした混乱は、特にデジタルマーケティングの高度化を進めるBtoB企業の情シス部門で顕著になっています。CDP(Customer Data Platform)、DMP(Data Management Platform)、CRM(Customer Relationship Management)はそれぞれ異なる目的と設計思想を持つプラットフォームですが、機能の重複領域が増えたことで「結局どれを使えばいいのか」という混乱が生じています。

CDP CRM 違いを正しく理解することは、自社のデータ統合アーキテクチャを設計するうえでの出発点です。本記事では、CDP・DMP・CRMそれぞれの役割と守備範囲を明確に整理したうえで、データフロー設計と統合アーキテクチャのパターン(CDP中心型、CRM中心型、ハイブリッド型)を解説します。情シス部門のCIO・部長クラスが、自社に最適なデータ統合戦略を判断するための設計指針としてお使いください。

この記事でわかること

  • CDP・DMP・CRMの定義と役割の違い――守備範囲の比較表
  • 顧客データ基盤の選定で混乱が生じる構造的な理由
  • BtoBにおけるCDP活用の現実的なユースケースと限界
  • データ統合アーキテクチャの3パターン(CDP中心型・CRM中心型・ハイブリッド型)
  • DMP CRM 連携の設計方法とデータフローの考え方
  • 自社に最適な統合パターンを選ぶ判断基準マトリクス

CDP・DMP・CRMとは何か|定義と役割の違い

CRM(Customer Relationship Management)の役割

CRMは、既知の顧客(コンタクト・企業)との関係を管理するための基盤です。営業活動、商談管理、カスタマーサポート、マーケティング施策の実行と追跡を一元的に行います。

CRMの特徴は、個人を特定できる(Known)データを中心に扱う点にあります。氏名、メールアドレス、電話番号、会社名、商談履歴、対応履歴といった「誰が・いつ・何をしたか」がデータの基本単位です。

項目 CRMの特徴
データの中心 個人・企業の属性情報と行動履歴
主なデータ種別 コンタクト情報、商談、活動ログ、メール履歴
データの粒度 個人単位(Known Data)
主な利用部門 営業、マーケティング、CS
得意な領域 1to1のリレーション管理、パイプライン管理

CDP(Customer Data Platform)の役割

CDPは、複数のデータソースから顧客データを収集・統合し、統一された顧客プロファイルを構築するためのプラットフォームです。顧客データ基盤の中核として、マーケティング施策のパーソナライゼーションやセグメント配信を実現します。

CDPの最大の特徴は、既知のデータと匿名データを統合できる点です。CRMが「名前のわかっている顧客」を管理するのに対し、CDPはWebサイトの匿名訪問者データ、アプリの行動データ、オフラインの購買データなどを含む幅広いデータを一つのプロファイルに統合します。

項目 CDPの特徴
データの中心 統合された顧客プロファイル
主なデータ種別 Web行動、アプリ利用、購買、CRM、広告接触
データの粒度 個人単位(Known + Unknown)
主な利用部門 マーケティング、データチーム
得意な領域 データ統合、セグメンテーション、パーソナライゼーション

DMP(Data Management Platform)の役割

DMPは、主に広告配信の最適化を目的として、オーディエンスデータを管理・セグメント化するプラットフォームです。Cookie やデバイスIDをベースとした匿名データ(3rd Partyデータ含む)を扱うことを前提として設計されています。

ただし、3rd Party Cookie の廃止が進む中でDMPの役割は大きく変化しており、1st Partyデータを中心に据えたCDPへのシフトが業界全体のトレンドとなっています。

項目 DMPの特徴
データの中心 Cookie/デバイスIDベースのオーディエンスデータ
主なデータ種別 広告接触、Web閲覧履歴、3rd Partyデータ
データの粒度 セグメント単位(主にUnknown Data)
主な利用部門 デジタルマーケティング、広告運用
得意な領域 広告オーディエンス構築、類似拡張

CDP・DMP・CRM 3者の比較一覧

CDP CRM 違いを一目で把握できるよう、3つのプラットフォームを主要な観点で比較します。

比較軸 CRM CDP DMP
主目的 顧客関係の管理・営業活動の効率化 顧客データの統合・マーケ活用 広告配信の最適化
データの識別方法 メールアドレス・氏名(Known) Known + Unknown(ID統合) Cookie/デバイスID(Unknown)
データの保持期間 長期(顧客生涯にわたる) 中〜長期 短期(Cookie有効期限に依存)
1st Partyデータ 中心的に扱う 中心的に扱う 一部取り込み可能
3rd Partyデータ 基本的に扱わない 取り込み可能 中心的に扱う
リアルタイム処理 限定的 対応(製品による) 対応
主な出力先 レポート・ダッシュボード・メール配信 MA・広告・接客ツール等 DSP・広告プラットフォーム
BtoBでの重要度 ★★★(必須) ★★☆(規模・業態による) ★☆☆(限定的)

なぜ混乱が生じるのか|機能の重複と市場の変化

機能境界の曖昧化

CDP CRM 違いがわかりにくくなっている最大の理由は、各プラットフォームが互いの領域に機能拡張を続けていることにあります。

  • CRMがCDP的な機能を取り込む:HubSpotのOperations Hub、SalesforceのData Cloud(旧CDP)など、CRMベンダーがデータ統合機能を強化
  • CDPがCRM的な機能を提供し始める:一部のCDPが営業支援やCS機能を搭載し、「CDPでCRMの代替ができる」と謳う
  • DMPがCDPに進化する:3rd Party Cookie廃止に伴い、DMP製品が1st Partyデータ対応を強化し、「CDP/DMP」と名乗る

BtoBとBtoCで異なるニーズ

混乱のもう一つの原因は、CDP市場がBtoC(特にEC・小売)主導で成長してきたことです。

観点 BtoC BtoB
顧客データの特徴 大量の匿名データ、行動ログ中心 少量だが深い属性データ、商談履歴中心
主要チャネル Web、アプリ、店舗、SNS メール、ウェビナー、営業訪問、展示会
パーソナライゼーションの粒度 個人レベル(レコメンド等) 企業・役職レベル(ABM等)
購買意思決定 個人の即時判断 複数人による長期の意思決定
CDPの必要性 高い(大量データ統合) 条件付き(CRMで代替可能な場合が多い)

BtoB企業にとってCDPが「必須」かどうかは、自社のデータ量・チャネル数・マーケティングの高度化レベルによって大きく異なります。

CDPが本当に必要なBtoB企業の条件

BtoB企業がCDPを導入する合理的な根拠がある条件は、概ね以下に集約されます。

条件 具体的な状況
データソースが5つ以上 CRM、MA、Web解析、広告、BI、CSツール等のデータを統合する必要がある
匿名データの活用ニーズ ABM施策で匿名訪問企業の特定・スコアリングが必要
リアルタイムパーソナライゼーション Webサイトのコンテンツ出し分けをリアルタイムで行いたい
年間リード数が10万件以上 CRMだけでは処理しきれないボリュームのデータを扱う
マーケテック専任チーム(3名以上) CDPの構築・運用を担える技術リソースがある

上記の条件に2つ以上該当しない場合、CRMのデータ基盤を強化する(CRM中心型アーキテクチャ)ほうが費用対効果は高い傾向にあります。

データ統合アーキテクチャの3パターン

パターン1:CRM中心型アーキテクチャ

CRMをデータ統合のハブとして位置づけ、各種ツールのデータをCRMに集約するパターンです。

  MA ────→ CRM ←──── CSツール
             ↑↓
  Web解析 ─→ CRM ←──── 会計ソフト
             ↑↓
           BIツール
項目 内容
設計思想 CRMをSingle Source of Truth(信頼できる唯一の情報源)とする
データフロー 各ツール → CRM → レポート/施策実行
適する企業 BtoBの中小〜中堅企業(従業員300名以下)、データソース3〜5個
メリット 構築がシンプル、運用コストが低い、CRMの標準機能で実現可能
デメリット 匿名データの統合が困難、リアルタイム処理に限界、大量データには不向き
導入期間目安 2〜4ヶ月
必要な技術リソース 情シス1〜2名(CRM管理+iPaaS設定)

CRM中心型が有効な場面:

多くのBtoB企業にとって、CRM中心型は最もコストパフォーマンスの高い選択肢です。特に以下の条件を満たす場合は、CDP導入を急ぐ必要はありません。

  • 主要な顧客接点がメール・電話・ウェビナーに限られる
  • 匿名Webデータの活用ニーズが限定的
  • CRMのデータ品質管理を適切に行える体制がある
  • マーケティングの自動化はMAツールで十分に対応できている

パターン2:CDP中心型アーキテクチャ

CDPをデータ統合のハブとして位置づけ、CRMを含むすべてのデータソースをCDPに集約するパターンです。

  CRM ────→ CDP ←──── Web解析
              ↑↓
  MA ─────→ CDP ←──── 広告PF
              ↑↓
  CSツール → CDP ←──── アプリログ
              ↓
        セグメント配信 / パーソナライゼーション
項目 内容
設計思想 CDPを顧客データの統合ハブとし、各チャネルへセグメントを配信
データフロー 全データソース → CDP → セグメント → 各実行ツール(MA/広告/CRM等)
適する企業 BtoC、またはBtoBでもデータソース5個以上・年間リード10万件以上
メリット 匿名+既知のデータ統合、リアルタイム処理、高度なセグメンテーション
デメリット 導入・運用コストが高い、専門人材が必要、BtoBでは過剰スペックになりやすい
導入期間目安 6〜12ヶ月
必要な技術リソース データエンジニア2〜3名+マーケテック担当1〜2名

CDP中心型の注意点(BtoB企業向け):

BtoB企業がCDP中心型を採用する場合、以下の点に注意が必要です。

  • CDPはデータを「統合」するが、営業プロセスの「管理」は依然としてCRMが担う。CDP導入でCRMが不要になるわけではない
  • CDPの構築・運用には専門人材が必要であり、リソースが確保できない場合はCRM中心型のほうが現実的
  • CDP市場は変化が速く、ベンダーロックインのリスクが相対的に高い

パターン3:ハイブリッド型アーキテクチャ

CRMとCDPを併用し、それぞれの得意領域を活かしてデータ統合を行うパターンです。

  [Known Data]           [Unknown Data]
  MA ────→ CRM           Web解析 ──→ CDP
  SFA ───→ CRM ←──同期──→ CDP ←── 広告PF
  CSツール→ CRM           アプリ ──→ CDP
              ↓               ↓
         営業/CS活動     マーケ施策/パーソナライゼーション
              ↓               ↓
              └─── BIレポート ───┘
項目 内容
設計思想 Known DataはCRM、Unknown DataはCDPで管理し、双方向同期で統合
データフロー CRMとCDPが双方向同期。営業活動はCRM起点、マーケ施策はCDP起点
適する企業 大規模BtoB企業、ABM施策を本格的に推進する企業
メリット 両プラットフォームの強みを活かせる。段階的に拡張可能
デメリット 双方向同期の設計が複雑。データの整合性管理が高難度
導入期間目安 4〜8ヶ月(CRM基盤があることが前提)
必要な技術リソース 情シス2〜3名+データエンジニア1〜2名

ハイブリッド型の設計ポイント:

ハイブリッド型で最も重要なのは、CRMとCDPの間のデータ同期ルールの設計です。

設計項目 設計内容
マスターデータの所在 顧客の基本属性情報はCRMをマスターとし、CDPにはCRMからの同期データを保持
同期の方向 基本属性:CRM→CDP(一方向)。行動データ:CDP→CRM(スコア・セグメント情報のみ)
同期の頻度 基本属性:日次バッチ。スコア・セグメント:準リアルタイム
ID統合キー メールアドレスをプライマリキーとし、CRM IDとCDP IDの紐付けテーブルを管理
コンフリクト解決 CRMのデータを正とし、CDP側で上書きしない設計(CRM優先ルール)

DMP CRM 連携の設計方法

DMPとCRMの連携が求められるケース

3rd Party Cookie の制限が進む中でも、DMP CRM 連携が有効なケースは存在します。

ユースケース 連携内容 期待効果
ABMターゲティング CRMのターゲット企業リスト → DMP → 広告配信 特定企業の意思決定者に対する広告リーチ
既存顧客除外 CRMの既存顧客リスト → DMP → 除外設定 既存顧客への新規獲得広告の無駄打ち防止
類似オーディエンス CRMの優良顧客属性 → DMP → 類似拡張 優良顧客に類似した新規リードの獲得
オフラインコンバージョン CRMの受注データ → DMP/広告PF 広告効果の正確な測定(受注ベースROAS)

DMP CRM 連携のデータフロー設計

DMP CRM 連携を設計する際は、以下のデータフローパターンを参考にしてください。

パターンA:CRMからDMPへの直接連携

CRM → API/CSVエクスポート → DMP → 広告プラットフォーム
  • メリット:構成がシンプル、連携ポイントが少ない
  • デメリット:手動作業が発生しやすい(CSVの場合)
  • 適する場面:月次〜週次のバッチ連携で十分な場合

パターンB:iPaaS経由の自動連携

CRM → iPaaS(Zapier/Make/Workato) → DMP/広告PF
  • メリット:自動化が容易、双方向連携も可能
  • デメリット:iPaaSのコストが追加、連携の信頼性がiPaaSに依存
  • 適する場面:リアルタイムに近い連携が必要な場合

パターンC:CDP経由の統合連携

CRM → CDP → DMP/広告PF
       ↑
  Web解析・その他データ
  • メリット:CDPのセグメンテーション機能を活用できる、データ変換が柔軟
  • デメリット:CDPの導入が前提、構築コストが高い
  • 適する場面:複数チャネルのデータを統合してオーディエンスを構築する場合

自社に最適なパターンを選ぶ判断基準

判断基準マトリクス

顧客データ統合のアーキテクチャを選ぶ際は、以下のマトリクスを参考にしてください。

判断軸 CRM中心型 CDP中心型 ハイブリッド型
データソース数 3〜5個 5個以上 5個以上
年間リード数 〜5万件 10万件以上 5〜10万件
匿名データ活用 不要/限定的 必須 一部必要
リアルタイム処理 不要 必須 一部必要
情シスリソース 1〜2名 5名以上 3〜4名
年間予算(ツール+構築) 〜500万円 2,000万円以上 500〜2,000万円
BtoB/BtoC BtoB BtoC/大規模BtoB 大規模BtoB

段階的移行のロードマップ

多くのBtoB企業にとって現実的なのは、CRM中心型から段階的にハイブリッド型へ移行するアプローチです。

Phase 1(0〜6ヶ月):CRM中心型の確立

  • CRMを全社のデータハブとして整備
  • MA・SFA・CSツールとCRMの連携を構築
  • データ品質管理の仕組みを確立(命名規則、入力ルール、定期監査)

Phase 2(6〜12ヶ月):データ活用の高度化

  • BIツールとCRMの連携を強化し、レポーティングを統一
  • ABM施策の開始に伴い、広告プラットフォームとCRMの連携を構築
  • CDPの必要性を再評価(匿名データ活用のニーズが明確になったか)

Phase 3(12〜18ヶ月):ハイブリッド型への移行(必要な場合のみ)

  • CDPの導入とCRMとの双方向同期の設計
  • リアルタイムパーソナライゼーションの実装
  • データガバナンスの高度化(ID統合ルール、コンフリクト解決ポリシー)

よくある判断ミスと回避策

よくある判断ミス なぜ問題か 回避策
「CDPを入れれば顧客データ統合が完了する」 CDPはデータを統合するが、CRMの営業プロセス管理は代替できない CDP導入前にCRMの基盤整備を先行させる
「DMPがあるからCDPは不要」 DMPは広告配信最適化が目的。1st Partyデータ統合にはCDPかCRMが必要 DMP CRM 連携だけでなく、1st Partyデータ戦略を再設計する
「とりあえず全データをCDPに集める」 データ量が増えてもガバナンスなしでは品質が劣化する 統合前にデータクレンジングとガバナンスルールを策定する
「CRMで全部やれるから他は不要」 マーケの高度化に伴い、CRMだけではカバーできない領域が出てくる CRM中心型を基盤としつつ、将来のCDP導入に備えた設計にしておく

データ統合プロジェクトの進め方

ステップ1:現状のデータ資産棚卸し

データ統合を始める前に、現在のデータ資産を棚卸しします。

棚卸し項目 確認内容
データソース一覧 どのシステムに・どんなデータが・どの部門の管理下にあるか
データボリューム 各システムのレコード数、日次/月次の増加量
データ品質 重複率、欠損率、表記揺れの状況
現在の連携状況 システム間の連携有無、連携方法(API/CSV/手動)
データオーナー 各データ領域の管理責任者

ステップ2:要件定義と優先順位付け

棚卸しの結果をもとに、顧客データ統合の要件を定義します。

  • 統合の目的:何を実現するためにデータを統合するのか(レポーティング統一、パーソナライゼーション、ABMなど)
  • 統合の範囲:どのデータソースを・どの粒度で統合するか
  • 優先順位:すべてを一度に統合するのではなく、ビジネスインパクトの大きい領域から着手

ステップ3:アーキテクチャ選定と設計

前述の判断基準マトリクスを使い、CRM中心型・CDP中心型・ハイブリッド型のいずれかを選定します。選定後、具体的なデータフローとシステム構成を設計します。

ステップ4:データクレンジングと移行

統合前のデータクレンジングは必須です。サイロ化した状態のデータをそのまま統合すると、「ゴミデータの統合」になります。特に重複排除と名寄せは、統合プロジェクトの成否を分ける重要なステップです。

ステップ5:構築・テスト・運用開始

段階的な構築とテストを経て、運用を開始します。運用開始後も、データ品質の定期監査と連携フローのモニタリングを継続する仕組みを整備してください。

データガバナンスの設計|統合後の品質維持

データオーナーシップの定義

顧客データ統合を持続可能なものにするために、データオーナーシップを明確に定義します。

データ領域 オーナー 責任範囲
顧客マスタ(基本属性) 営業企画/RevOps 正式名称の管理、重複排除ルールの策定・実行
マーケティングデータ マーケ部門 リード定義、スコアリングルール、セグメント定義
営業データ 営業マネージャー 商談データの正確性、パイプライン定義の遵守
行動データ(Web/アプリ) データチーム トラッキング設計、データ収集の品質管理
統合データ基盤全体 情シス/CIO アーキテクチャ管理、連携障害対応、セキュリティ

プライバシーとコンプライアンス

顧客データ統合においては、個人情報保護法やGDPR等の規制への対応が不可欠です。特にCDPやDMPを利用する場合は、以下の点に留意が必要です。

確認事項 対応内容
同意管理 Cookie同意、メール配信同意、データ利用同意の取得・管理
データの保存期間 各データの保存期間ポリシーを策定し、自動削除の仕組みを実装
データの越境移転 CDPがデータを海外サーバーで処理する場合の法的要件を確認
アクセス制御 統合データへのアクセス権限を最小権限の原則で設計
データの可搬性 ベンダーロックインに備え、データのエクスポート手段を確保

まとめ

CDP・DMP・CRMはそれぞれ異なる目的と設計思想を持つプラットフォームであり、CDP CRM 違いを正しく理解することがデータ統合アーキテクチャの設計の出発点です。

本記事の要点を振り返ります。

  • CRMは既知顧客の関係管理、CDPは顧客データの統合・マーケ活用、DMPは広告配信の最適化がそれぞれの主目的
  • BtoB企業の多くはCRM中心型で十分。CDPが必要な条件(データソース5個以上、匿名データ活用、リアルタイム処理)を満たすかどうかを冷静に判断する
  • データ統合アーキテクチャはCRM中心型・CDP中心型・ハイブリッド型の3パターンがあり、企業規模・データ量・技術リソースに応じて選定する
  • DMP CRM 連携はABMターゲティングや既存顧客除外など、特定のユースケースで依然として有効
  • 統合の前提としてデータクレンジングとガバナンス設計が不可欠。ゴミデータを統合しても価値は生まれない
  • 多くのBtoB企業にとって現実的なのは、CRM中心型から段階的にハイブリッド型へ移行するアプローチ

顧客データ基盤の構築は、ツール選定だけの問題ではなく、データフロー設計・ガバナンス・組織体制を含む経営課題です。まずは自社のデータ資産を棚卸しし、CRM中心型の基盤整備から着手することを推奨します。

なお、CRMのデータ品質を維持・向上させる具体的な方法については、HubSpot Operations Hubのようなデータ品質管理機能を備えた統合プラットフォームの活用も選択肢の一つです。

よくある質問(FAQ)

Q. CDPとCRMは両方必要ですか?どちらか一方では駄目ですか?

A. BtoB企業の場合、CRMは営業・CS活動の基盤として必須です。一方、CDPは自社のデータ活用の成熟度やニーズに応じて判断すべきです。データソースが3〜4個程度で、主要な顧客接点がメール・電話・ウェビナーに限られる場合は、CRM単体(+MA連携)で十分対応可能です。CDPが必要になるのは、匿名データの統合やリアルタイムパーソナライゼーションの要件が明確になった段階です。

Q. DMPは3rd Party Cookie廃止で不要になりますか?

A. 完全に不要になるわけではありませんが、従来のDMPの役割は大きく変化しています。3rd Party Cookieに依存しない1st Partyデータ戦略が主流になる中で、DMPの機能はCDPや広告プラットフォーム自体のオーディエンス機能に吸収される傾向にあります。BtoB企業にとっては、DMP単体への投資よりも、CRMの1st Partyデータを広告プラットフォームに連携する仕組み(カスタムオーディエンス等)を整備するほうが費用対効果が高いでしょう。

Q. CDP導入にはどのくらいのコストと期間がかかりますか?

A. CDPの導入コストは製品によって大きく異なりますが、一般的なBtoB企業の場合、ツール費用が年間500〜3,000万円、初期構築費用が500〜2,000万円、導入期間が6〜12ヶ月が目安です。さらに、運用・保守のために年間200〜500万円程度のランニングコストが発生します。このコストに対するROIが見合うかどうかを、CRM中心型との比較で慎重に判断してください。

Q. CRM中心型からハイブリッド型への移行は後からでも可能ですか?

A. はい、段階的な移行は十分に可能です。むしろ推奨されるアプローチです。ただし、CRM中心型の構築段階で将来のCDP連携を見据えた設計にしておくことが重要です。具体的には、CRM上のデータモデルの標準化、ID体系の統一、APIを活用した連携ポイントの設計などを先行して整備しておくことで、CDP導入時のスムーズな移行が可能になります。

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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。