フィールドセールス×インサイドセールス連携設計|分業と協業の最適バランス

  • 2026年3月3日

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「インサイドセールスがアポを取っても、フィールドセールスに引き継いだ途端に案件が止まる」

「商談化率は悪くないのに、受注につながらない案件が多い」

——こうした課題は、FS(フィールドセールス)とIS(インサイドセールス)の連携設計を見直すことで改善できます。

フィールドセールスとインサイドセールスの分業モデルは、BtoB営業の生産性を高める有力なアプローチです。しかし、分業の「設計」を間違えると、かえって営業効率が下がるというケースが少なくありません。

この記事では、FSとISの連携設計の考え方から、HubSpotを活用した実装方法、そして分業と協業のバランスの取り方までを解説します。

この記事でわかること

  • フィールドセールスとインサイドセールスの分業モデルの基本
  • 連携がうまくいかない典型的なパターンと原因
  • HubSpotでFS×IS連携を設計する具体的な方法
  • トスアップ基準とSLA(サービスレベルアグリーメント)の設計
  • 分業と協業のバランスを取るためのベストプラクティス

分業モデルの基本と落とし穴

THE MODEL型の基本構造

BtoB営業の分業モデルとして広く知られているのが、マーケティング → IS → FS → カスタマーサクセスの一気通貫モデルです。

マーケティング: リード獲得・MQL化
    ↓ トスアップ
インサイドセールス: リード育成・SQL化・アポ獲得
    ↓ トスアップ
フィールドセールス: 提案・クロージング・受注
    ↓ 引き継ぎ
カスタマーサクセス: オンボーディング・リテンション

このモデル自体は理にかなっていますが、各フェーズの境界設計が曖昧だと、引き継ぎのたびに情報が劣化し、顧客体験が悪化するという問題が起きます。

よくある失敗パターン

パターン1: ISがアポ数だけを追い、質が低い

ISのKPIが「アポ件数」だけに設定されていると、商談化の見込みが薄いアポまでFSにトスしてしまいます。FSは無駄な商談に時間を使い、結果としてチーム全体の受注率が下がる。

パターン2: トスアップ時の情報が不足

ISが「先方は興味があるようです」としか伝えず、予算感・決裁フロー・課題の具体度が共有されない。FSが改めて同じ質問をして、顧客に「さっき話しましたよね」と思われる。

パターン3: 失注後のフォローが宙に浮く

FSが失注した案件を、ISに差し戻すのかマーケに戻すのかが決まっていない。結果として失注案件が誰にもフォローされず放置される。


連携設計の3つのポイント

ポイント1: トスアップ基準を明文化する

ISからFSへのトスアップ基準は、定性的な判断ではなく、明確な条件で定義する必要があります。ここが結構ミソになってくる部分です。

BANT条件の活用

条件 内容 HubSpotでの管理方法
Budget(予算) 予算が確保されている or 確保の見込みがある カスタムプロパティ「予算ステータス」
Authority(決裁権) 決裁者またはその代理と接点がある コンタクトの「役職」プロパティ
Need(ニーズ) 課題が明確で、解決意欲がある カスタムプロパティ「課題カテゴリ」
Timeline(時期) 導入時期の目安がある カスタムプロパティ「導入検討時期」

例えば「BANTのうち2つ以上が確認できたらトスアップ」というルールを設ければ、ISとFSの間で認識がずれにくくなります。

ポイント2: 引き継ぎ情報のフォーマットを固定する

ISがFSに案件をトスアップする際、何を伝えるかを取引レコードの必須プロパティで強制します。

  • 企業の基本情報(業種・従業員数・売上規模)
  • ヒアリングで確認した課題
  • 現在の利用ツール・競合状況
  • 予算感・導入時期
  • 決裁プロセス(決裁者は誰か、稟議が必要か)
  • ISの所感(温度感・注意点)

HubSpotのパイプラインルールで、ステージ移行時にこれらのプロパティを必須入力にしておけば、情報の抜け漏れを仕組みで防げます。新人ISの教育効果もあり、「何を聞くべきか」が明確になります。

ポイント3: SLA(相互の約束事)を設定する

ISとFSの間にSLAを設定すると、責任の所在が明確になります。

SLA項目 IS側の約束 FS側の約束
トスアップ品質 BANT2項目以上を確認してからトス トス受領後24時間以内に初回コンタクト
情報共有 必須プロパティをすべて入力 商談結果を3営業日以内にフィードバック
失注対応 失注案件の掘り起こしナーチャリング 失注理由をカテゴリ分類して記録

HubSpotでFS×IS連携を実装する

パイプラインの設計

ISとFSの分業を反映したパイプライン設計の例です。

【ISフェーズ】
リード受付 → 初回コンタクト → ニーズ確認 → アポ設定
    ↓ トスアップ(BANT基準クリア)
【FSフェーズ】
初回商談 → 提案 → 見積もり → 受注内示 → 契約 → 請求

1つのパイプラインの中でIS→FSの受け渡しを管理する方法と、ISパイプラインとFSパイプラインを分ける方法があります。企業様の規模や商材によって最適な形は異なりますが、ISとFSで異なるKPIを追う場合は分けたほうが管理しやすいかなと思います。

担当者の自動割り当て

ISがアポを設定したタイミングで、取引の担当者をFSに自動変更するワークフローを組みます。

  • トリガー: 取引ステージが「アポ設定」に変更
  • アクション1: 担当者をFSチームのラウンドロビン割り当て
  • アクション2: FS担当者にSlack通知
  • アクション3: ISの担当者プロパティはそのまま残す(追跡用)

ISの担当者情報を残しておくのが地味に大事で、後から「どのISがトスした案件の受注率が高いか」を分析できるようになります。

失注後のフローを仕組み化する

FSが失注した案件を自動的にナーチャリングに戻す仕組みを作ります。

  1. FSが取引ステージを「失注」に変更
  2. 失注理由をカテゴリ分類(価格/競合/時期/ニーズ不一致/社内決裁)で入力(必須プロパティ)
  3. ワークフローがライフサイクルステージを「失注掘り起こし」に変更
  4. 3ヶ月後にISに自動リマインド通知
  5. ISが再アプローチし、温度感が戻ればFS再トスアップ

失注分析のデータが蓄積されると、「価格で失注が多いから提案段階での価格提示を工夫しよう」「競合に負けるケースが多いから競合対策資料を強化しよう」といった改善アクションが取れるようになります。


分業と協業のバランス

全案件を分業する必要はない

分業モデルの効果が高いのは、リードの量が多い場合です。月200〜300件を超えるリードが入ってくる段階では、ISとFSの分業が効率的です。

一方で、リード数が少ない(月数十件程度)場合や、大型案件が中心の場合は、1人の営業が一気通貫で対応する方が顧客体験が良いケースもあります。分業は手段であって目的ではないので、自社の状況に合わせた設計が重要です。

FS×ISの「協業」シーン

分業だけでなく、協業するシーンも意識的に設計しましょう。

  • 大型案件: ISが初回接触した後も、FSと共同でヒアリングを実施
  • 既存顧客のクロスセル: FSがリレーションを持ちつつ、ISが追加ニーズをヒアリング
  • 展示会フォロー: ISが架電しつつ、温度感の高い企業にはFSが即座に訪問

まとめ

フィールドセールスとインサイドセールスの連携は、トスアップ基準の明文化・引き継ぎ情報のフォーマット固定・SLAの設定の3つを押さえることで格段にスムーズになります。

まずはトスアップ基準(BANT条件)をチームで合意し、HubSpotのパイプラインルールとワークフローで仕組み化するところから始めましょう。CRMにデータが蓄積されるほど、ISの活動品質・FSの受注率・失注パターンの分析精度が上がり、チーム全体の生産性が向上します。


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よくある質問(FAQ)

Q1. ISとFSのパイプラインは分けるべきですか、統一するべきですか?

チームの規模や商材によって最適解は異なります。目安としては、ISとFSがそれぞれ5名以上いる場合はパイプラインを分けたほうがKPI管理がしやすくなります。少人数(各2〜3名)であれば、1つのパイプラインの中でステージを分ける方がシンプルです。

Q2. ISのKPIはアポ数だけでいいですか?

アポ数だけだと質が担保されないリスクがあります。「アポ件数」に加えて「トスした案件の商談化率」や「受注貢献金額」をKPIに含めると、量と質のバランスが取れます。HubSpotのレポート機能で、IS担当者別の商談化率を可視化するのがおすすめです。

Q3. 失注案件はどのくらいの期間を空けて再アプローチすべきですか?

失注理由によって異なります。「時期が合わない」なら3ヶ月後、「予算がない」なら次の期初(6〜12ヶ月後)、「ニーズ不一致」なら製品アップデート時にアプローチするのが効果的です。HubSpotのワークフローで、失注理由に応じたリマインドタイミングを自動設定できます。

Q4. Salesforceでも同じような連携設計はできますか?

はい、Salesforceでもリード・商談オブジェクトの設計とフローで同様の仕組みを構築できます。HubSpotはマーケティング機能(フォーム・メール・スコアリング)との連携がワンプラットフォームで完結する点が特徴で、ISがマーケからリードを受け取る部分の設計がスムーズです。


この記事は2025年3月時点の情報に基づいています。HubSpotの機能は定期的にアップデートされるため、最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。

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著者情報

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今枝 拓海 / Takumi Imaeda

株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。 パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。