日本のBtoB EC(企業間電子商取引)市場は、経済産業省の調査によると約465兆円(2023年時点)に達し、EC化率は40.0%を超えています。BtoC EC市場(約24兆円)の約20倍という巨大な市場です。しかし、依然として電話・FAX・メールによるアナログな受発注が残る領域も多く、デジタル化の余地は大きいと言えます。
BtoB ECとは、企業間の商取引をオンラインプラットフォーム上で行う仕組みです。製品の検索・見積・発注・決済・納品管理をデジタル化することで、取引の効率化、コスト削減、顧客体験の向上を実現します。
本記事では、BtoB ECの定義、市場規模データ、BtoC ECとの違い、導入メリット、主要プラットフォーム比較、そして成功のポイントを網羅的に解説します。
この記事でわかること
- BtoB ECの定義と市場規模の最新データ
- BtoC ECとの根本的な違い
- BtoB EC導入の5つのメリット
- 主要プラットフォームの比較と選び方
- 導入を成功させるための実践ステップ
- BtoB ECとCRM/MAの連携メリット
BtoB ECの定義と市場規模
BtoB ECとは
BtoB EC(Business to Business Electronic Commerce)とは、企業間の商品・サービスの取引をインターネットを介して電子的に行う仕組みです。広義には、EDI(電子データ交換)を含む企業間のあらゆる電子取引を指し、狭義にはWebサイトやアプリを通じた受発注システムを指します。
日本のBtoB EC市場規模
| 指標 |
数値 |
| BtoB EC市場規模 |
約465兆円(2023年) |
| EC化率 |
40.0% |
| BtoC EC市場規模(参考) |
約24兆円 |
| BtoB : BtoC比率 |
約20 : 1 |
業種別のEC化率
| 業種 |
EC化率 |
BtoB EC規模 |
| 食品 |
71.7% |
約47兆円 |
| 輸送用機械 |
77.4% |
約42兆円 |
| 電気・情報関連機器 |
71.0% |
約35兆円 |
| 繊維・日用品・化学 |
38.3% |
約7兆円 |
| 建設・不動産 |
16.5% |
約25兆円 |
| サービス |
46.4% |
約15兆円 |
EC化率が低い業種ほどデジタル化の余地が大きく、BtoB EC導入によるインパクトが期待できます。
BtoC ECとの違い
BtoB ECは、BtoC ECとは根本的に異なる要件が存在します。
| 比較項目 |
BtoC EC |
BtoB EC |
| 購買者 |
個人消費者 |
企業の購買担当者 |
| 価格設定 |
定価表示 |
取引先別の個別価格(掛率) |
| 決済方法 |
クレジットカード即時決済 |
請求書払い(月末締め翌月払い等) |
| 注文単位 |
1個〜 |
ロット単位、MOQ(最小注文数量)あり |
| 承認フロー |
不要 |
社内承認(上長決裁)が必要 |
| カタログ |
全商品を全員に公開 |
取引先ごとに表示商品を制御 |
| リピート注文 |
稀 |
定期・リピートが大半 |
| サポート |
セルフサービス |
営業担当+カスタマーサポート |
BtoB EC導入の5つのメリット
メリット1:受発注業務の効率化
電話・FAX・メールによるアナログな受発注をオンライン化し、処理時間を大幅に削減します。
| 業務 |
従来(アナログ) |
BtoB EC導入後 |
| 注文受付 |
電話・FAXで人手対応 |
24時間自動受付 |
| 注文入力 |
手動でシステムに転記 |
自動連携 |
| 在庫確認 |
倉庫に電話確認 |
リアルタイム表示 |
| 納期回答 |
確認後に折り返し |
自動表示 |
| 見積作成 |
手動作成・メール送付 |
自動生成・即時提示 |
メリット2:コスト削減
受注業務にかかる人件費を大幅に削減できます。1件あたりの受注処理コストが50〜80%削減されたという報告もあります。
メリット3:顧客体験の向上
取引先は24時間いつでも商品検索・発注ができ、注文履歴の確認やリピート注文もワンクリックで完了します。
メリット4:データの可視化
取引データがデジタルで蓄積されるため、売上分析、顧客別の購買傾向分析、在庫最適化などのデータ活用が容易になります。
メリット5:新規顧客の開拓
ECサイトが24時間稼働の営業チャネルとなり、これまでリーチできなかった地域・規模の企業からの新規取引を開拓できます。
主要プラットフォーム比較
BtoB EC構築の選択肢
| タイプ |
特徴 |
初期費用 |
月額費用 |
適した企業 |
| ASP/SaaS型 |
短期導入、低コスト |
数十万〜数百万円 |
数万〜数十万円 |
中小企業、スモールスタート |
| パッケージ型 |
カスタマイズ性が高い |
数百万〜数千万円 |
数万〜数十万円 |
中堅企業 |
| フルスクラッチ |
完全自社仕様 |
数千万〜1億円超 |
保守費用 |
大企業、特殊要件 |
| モール型 |
既存プラットフォーム出店 |
低 |
手数料制 |
新規チャネル開拓 |
選定時のチェックリスト
- 取引先別の個別価格設定に対応しているか
- 請求書払い(掛売り)に対応しているか
- 承認ワークフロー機能があるか
- 既存の基幹システム(ERP)との連携が可能か
- CRM/MAツールとのデータ連携が可能か
- 商品カタログの取引先別出し分けが可能か
- モバイル対応しているか
- セキュリティ要件(SSO、IP制限等)を満たしているか
BtoB ECとCRM/MAの連携
BtoB ECの真価は、CRM(顧客管理)やMA(マーケティングオートメーション)と連携することで発揮されます。
| 連携データ |
活用方法 |
| 購買履歴 |
顧客セグメント別のマーケティング施策 |
| 閲覧商品 |
関連商品のレコメンドメール |
| カゴ落ちデータ |
フォローアップメールの自動配信 |
| 注文頻度 |
リピート促進キャンペーン |
| 注文金額の変化 |
アップセル/ダウングレードの検知 |
HubSpotとの連携
HubSpotのCRM+MAプラットフォームとBtoB ECを連携させることで、以下のようなマーケティング自動化が可能になります。
- 購買履歴に基づくセグメント別メール配信
- カゴ落ちユーザーへのリターゲティングメール
- 注文金額の増減に応じた営業アラート
- 購買データを活用したリードスコアリング
導入ステップ
- 現状分析 — 現在の受発注プロセスとコスト構造を可視化
- 要件定義 — BtoB EC特有の要件(個別価格、承認フロー等)を整理
- プラットフォーム選定 — 要件・予算・スケジュールに合った方式を選択
- 基幹システム連携設計 — ERP、在庫管理、CRM/MAとのデータ連携を設計
- パイロット運用 — 主要取引先数社で試験運用
- 全面展開 — 取引先への案内と移行支援
まとめ
BtoB EC市場は約465兆円の巨大市場であり、まだEC化率が低い業種も多く残されています。BtoB EC導入により、受発注の効率化、コスト削減、顧客体験向上、データ活用、新規開拓という5つのメリットを同時に実現できます。
導入の成功には、BtoB特有の要件(個別価格、請求書払い、承認フロー等)に対応したプラットフォーム選定と、CRM/MAとの連携によるデータ活用が重要です。
HubSpotのCRMプラットフォームは、BtoB ECデータを取り込み、マーケティング・営業活動と連携させることで、ECチャネルの売上最大化を支援します。BtoB ECの導入やCRM連携についてご相談がありましたら、StartLinkまでお気軽にお問い合わせください。
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