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「HubSpotにAI機能があるのは知っているけど、種類が多すぎてどれを使えばいいかわからない」「Breezeって結局何ができるの?」——こうした疑問をお持ちの方は少なくありません。
HubSpotのAI機能「Breeze」は、日常業務を支援するCopilot(アシスタント)、専門業務を自律的に遂行するAgents(エージェント)、そしてデータを自動で充実させるIntelligence(インテリジェンス)の3つの柱で構成されています。2026年現在、その機能は大幅に拡充され、営業・マーケティング・カスタマーサポートのあらゆる場面で活用できるようになりました。
この記事では、HubSpot Breeze AIの全機能を体系的に整理し、業務別のおすすめ活用パターンを解説します。
この記事でわかること:
- Breeze AIの3つの柱(Copilot・Agents・Intelligence)の違いと役割
- 4つのコアエージェントの機能比較と適用シーン
- 業務別(営業・マーケ・CS)のおすすめ活用パターン
- AI活用で失敗しないための注意点とベストプラクティス
HubSpot Breeze AIとは?3つの柱を理解する
出典: HubSpot (hubspot.jp/products/artificial-intelligence)
HubSpot Breeze AIとは、HubSpotのSmart CRM全体に組み込まれたAI機能群の総称です。大きく分けて「Copilot」「Agents」「Intelligence」の3つの柱で構成されており、それぞれ役割が異なります。
ここが結構ミソになってくるのですが、Breezeは単なるチャットボットではなく、CRMに蓄積されたデータを活用して業務全体を支援する仕組みです。
| 柱 | 役割 | イメージ | 主な対象プラン |
|---|---|---|---|
| Copilot(アシスタント) | 日常業務の補助・質問応答 | 頼れるアシスタント | Starter以上(Core Seat) |
| Agents(エージェント) | 専門業務の自律的遂行 | 専門スタッフ | Professional以上 |
| Intelligence(インテリジェンス) | データの自動充実・分析 | データアナリスト | Starter以上(基本機能) |
Copilot(旧ChatSpot)— 日常のAIアシスタント
Breeze Copilotは、HubSpotの画面上でいつでも呼び出せるAIアシスタントです。メールの下書き作成、レコードの要約、CRMデータへの質問応答など、日常的な業務をサポートします。
主な機能:
- メール文面の作成・リライト
- コンタクト・取引レコードの要約
- CRMデータに基づく質問応答
- レポートの生成支援
- ブログ記事やSNS投稿の下書き
Copilotは「先輩社員に気軽に聞ける」ようなイメージで使っていただくと良いかなと思います。社内のデータ・ナレッジを参照して回答してくれるので、壁打ち相手としても活用できます。
Agents — 専門業務を自律的に遂行するAI
Breeze Agentsは、特定の業務領域に特化したAIで、人間の指示に基づきタスクを自律的に遂行します。2026年現在、4つのコアエージェントが提供されています。
Intelligence — データを自動で充実させる
Breeze Intelligenceは、CRMデータを外部ソースから自動で充実させる機能です。企業の従業員数、売上規模、業種などの情報をAIが自動で取得・更新します。
以前は有償のクレジット消費型でしたが、2026年現在、基本的なファーモグラフィックデータ(業種・従業員数・売上規模等)はCore Seat(Starter以上)に無料で含まれるようになりました。
Breeze Agentsの4つのコアエージェント比較
ここからは、Breezeの中でも特にインパクトの大きい4つのコアエージェントについて詳しく見ていきましょう。
1. Customer Agent(カスタマーエージェント)
Customer Agentは、24時間365日の自動カスタマーサポートを実現するエージェントです。ナレッジベース、Webサイト、ブログコンテンツを学習し、顧客からの問い合わせに自動で回答します。
主な特徴:
- WhatsApp、SMS、チャット、メールなど9チャネルに対応
- ナレッジベースの記事を参照して正確に回答
- 対応できない場合は自動で人間のオペレーターにエスカレーション
- 対応履歴はCRMのチケットに自動記録
ここで1個ポイントになるのが、Customer Agentの回答品質はナレッジベースの品質に直結するということです。ナレッジベースにしっかりした情報が入っていれば正しく回答してくれるので、ナレッジの整備が成功の鍵になってきます。
2. Prospecting Agent(案件創出エージェント)
Prospecting Agentは、ターゲットアカウントをリサーチし、パーソナライズされたアウトバウンドメールを作成・送信するエージェントです。
主な特徴:
- ターゲット企業のWebサイトを自動リサーチ
- 担当営業の文体・トーンを学習してパーソナライズ
- CRMデータとインテントシグナルを活用
- 送信前の人間レビューが可能
ただし、結構重要な注意点として、日本語でのビジネスメールについてはプロンプトで「丁寧語」「ビジネス的なお作法」を明示的に指定してあげる必要があります。英語ベースのプロダクトなので、日本語のビジネスマナーは追加で教えてあげるイメージです。
また、数百万〜数千万規模の大型案件については、AIに完全に任せるのではなく、しっかりリサーチと内容を確認しつつ文章は自分で書くというアプローチが重要かなと思います。
3. Content Agent(コンテンツエージェント)
Content Agentは、マーケティングコンテンツの制作を支援するエージェントです。
主な特徴:
- ブログ記事、ランディングページ、ケーススタディの生成
- ポッドキャストスクリプトの作成
- ブランドボイスに合わせた文体調整
- CRMデータに基づくパーソナライズコンテンツ
4. Social Media Agent(ソーシャルメディアエージェント)
Social Media Agentは、SNS運用を効率化するエージェントです。
主な特徴:
- 企業情報・業界トレンドを分析してSNS投稿を自動生成
- 投稿スケジュールの最適化
- エンゲージメント分析に基づく改善提案
4つのエージェント比較表
| エージェント | 主な用途 | 対象部門 | 推奨プラン |
|---|---|---|---|
| Customer Agent | 自動カスタマーサポート | CS・サポート | Service Hub Pro以上 |
| Prospecting Agent | アウトバウンド営業 | 営業・IS | Sales Hub Pro以上 |
| Content Agent | コンテンツ制作 | マーケティング | Content Hub Pro以上 |
| Social Media Agent | SNS運用 | マーケティング | Marketing Hub Pro以上 |
業務別おすすめ活用パターン
営業部門のAI活用パターン
営業部門では、以下の3つのレベルでAI活用を進めるのがおすすめです。
レベル1:Copilotで日常業務を効率化
- メール文面の下書き作成
- 商談前の顧客レコード要約
- 次のアクションの提案
レベル2:Prospecting Agentでアウトバウンドを強化
- ターゲットリストの自動リサーチ
- パーソナライズメールの大量作成
- 100件単位でも濃いメールが送れるようになる
レベル3:Intelligence+レポートでデータドリブン営業
- スマートプロパティで企業情報を自動取得
- 予測リードスコアリングで優先順位付け
- パイプライン分析で受注率の改善
ここで企業様によって最適な形は異なりますが、まずはレベル1のCopilot活用から始めて、段階的に拡張していくのがおすすめです。いきなりエージェントを導入するよりも、まずはAIアシスタントに慣れていただくところからスタートするのが良いかなと思います。
マーケティング部門のAI活用パターン
コンテンツ制作の効率化
- Content Agentでブログ記事の叩き台を生成
- Copilotでメールマーケティングの文面を作成
- Social Media Agentで SNS投稿を自動化
リード管理の高度化
- Intelligenceでコンタクトデータを自動充実
- AIによるリードスコアリングでMQL判定を自動化
- ワークフロー内AIで問い合わせの自動分類
重要なのは、AIで作ったコンテンツをそのまま公開するのではなく、必ず人間がレビュー・編集するという運用フローを確立することです。 AIはあくまで叩き台を作ってくれるアシスタントであり、最終的な品質管理は人間が担うべきかなと思います。
カスタマーサポート部門のAI活用パターン
自動対応の構築
- Customer Agentで24時間対応を実現
- ナレッジベースを整備してAI回答の品質を向上
- 対応できない問い合わせは自動で人間にエスカレーション
対応品質の分析
- AIによる顧客満足度の分析
- チケット分類の自動化
- 対応時間の可視化とボトルネック特定
顧客数が100社〜200社を超えてくると、手動での対応管理がなかなかしんどくなってきます。そのタイミングでCustomer Agentの導入を検討いただくと、かなり効果を実感いただけるかなと思います。
Breeze Studio&Marketplaceで拡張する
2026年の大きなアップデートとして、Breeze StudioとBreeze Marketplaceが登場しました。
Breeze Marketplace
Breeze Marketplaceは、HubSpotが提供するエージェントやカスタムアシスタントを発見・インストールできる場所です。コアの4エージェント以外にも、以下のような専門エージェントが利用できます。
- Deal Loss Agent:失注分析を自動化
- Customer Health Agent:顧客ヘルスの監視
- RFP Agent:提案書の自動作成支援
Breeze Studio
Breeze Studioでは、エージェントやアシスタントを自社のビジネスプロセスに合わせてカスタマイズできます。ノーコードで設定できるため、エンジニアの方でなくても自社に最適な形で調整可能です。
AI活用で失敗しないための5つの注意点
1. 自律送信モードは使わない
エージェントの自動送信モードは便利ですが、特にProspecting Agentについては「送信前に確認」モードでの運用をおすすめします。AIがやっぱり送るのでちょっと自動的に送信になってもまだリスクがあるためです。
2. 大型案件はAIに任せない
数百万〜数千万規模の案件については、AIの下書きを参考にしつつも、最終的なアプローチは人間が判断・作成するべきです。
3. ナレッジベースの品質が全てを決める
Customer AgentやCopilotの回答品質は、インプットされたナレッジの品質に直結します。「ゴミを入れればゴミが出る」の原則は、AIでも同じです。
4. 日本語プロンプトの調整が必要
英語ベースのプロダクトなので、日本語でのビジネスコミュニケーションには追加のプロンプト設定が必要です。丁寧語やビジネスマナーのルールを明示的に指定しましょう。
5. スモールスタートで段階的に導入
全機能を一気に導入しようとせず、まずはCopilotから始めて、効果を確認しながら段階的にエージェントを追加していくのがおすすめです。自社で活用できそうなものから優先順位をつけてトライいただければなと思います。
AI活用の3層構造を理解する
HubSpotのAI活用は、以下の3層で理解するとわかりやすいです。
| 層 | 機能 | 具体例 |
|---|---|---|
| 第1層:ワークフロー内AI | ワークフローのアクションとしてAIを組み込む | フォーム送信→AI分類→プロパティ更新 |
| 第2層:アシスタント(Copilot) | 対話型のAI支援 | レコード要約、メール下書き、質問応答 |
| 第3層:エージェント | 自律的なタスク遂行 | リサーチ→メール作成→送信 |
第1層のワークフロー内AIは、既にProfessionalプランをお使いの方であればすぐに始められます。例えば、フォームから送信された問い合わせをAIが「営業問い合わせ」「通常のお問い合わせ」に自動分類するといった使い方が可能です。
まとめ
HubSpot Breeze AIは、Copilot・Agents・Intelligenceの3つの柱で構成されており、営業・マーケティング・カスタマーサポートのあらゆる業務を支援します。
まずはCopilotを使った日常業務の効率化からスタートし、データが蓄積されてきたらエージェントの導入を検討する——という段階的なアプローチがおすすめです。
重要なのは、AIはあくまで「アシスタント」であり、最終的な判断は人間が行うという原則を守ることです。特に大型案件のアプローチや、顧客向けの重要なコミュニケーションについては、AIの出力を必ずレビューするフローを確立しましょう。
CRMにデータが蓄積されるほど、AIの精度が上がり、より効果的な業務改善が実現できるようになります。ぜひスモールスタートでトライいただければなと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. Breeze AIは無料プランでも使えますか?
Breeze Copilotの基本機能は、無料プランでも一部利用可能です。ただし、エージェント機能やIntelligenceのフル機能を活用するには、Professional以上のプランが必要になります。まずは無料プランでCopilotを試していただき、本格的に使おうとなったらプランアップグレードをご検討ください。
Q2. Breeze AIの日本語対応はどの程度ですか?
Copilotやエージェントは日本語での利用が可能ですが、英語に比べると精度が若干落ちる場合があります。特にProspecting Agentでビジネスメールを作成する際は、プロンプトで「丁寧語を使う」「ビジネスマナーを守る」といったルールを明示的に設定することをおすすめします。
Q3. AIエージェントの利用にはどのくらいのコストがかかりますか?
エージェントはHubSpot Creditsを消費する形で課金されます。具体的なコストはエージェントの種類や利用量によって異なりますので、まずはトライアルで試していただき、費用対効果を確認してから本格導入を検討するのが良いかなと思います。
Q4. SalesforceからHubSpotに移行した場合、AI機能の違いはありますか?
HubSpotのBreeze AIは、CRMデータと密接に統合されている点が特徴です。Salesforce Einstein AIと比較すると、HubSpotの方がセットアップがシンプルで、技術的な複雑さなしにAI機能を活用できます。特にBreeze Studioはノーコードでエージェントをカスタマイズできるため、専門的な技術スタッフがいない企業でも導入しやすいかなと思います。
Q5. AI活用で最初にやるべきことは何ですか?
まずはCopilotを有効化して、日常業務(メール作成、レコード要約)で使い始めることをおすすめします。次に、ワークフロー内でAIアクションを1つ試してみてください(例:問い合わせの自動分類)。効果を実感できたら、エージェントの導入を段階的に進めていく形が良いかなと思います。
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著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。