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サードパーティCookieの廃止が進む中、BtoBマーケティングにおけるデータ戦略の再構築が急務となっています。これまで当たり前のように利用していたサードパーティデータによるターゲティングが制限される一方で、新たなデータソースとして「ゼロパーティデータ」が注目を集めています。
ゼロパーティデータとは、顧客が自らの意思で企業に提供するデータのことです。アンケート回答、プリファレンス設定、フィードバックなど、顧客が「あなたに知っておいてほしい」と自発的に共有する情報であり、プライバシーの観点からも最も安全かつ信頼性の高いデータです。
本記事では、ゼロパーティデータの定義から収集方法、活用戦略、そしてBtoBマーケティングでの実践的な導入方法までを詳しく解説します。
この記事でわかること
- ゼロパーティデータの定義と他のデータ区分との違い
- Cookie規制がBtoBマーケティングに与える影響
- ゼロパーティデータの収集方法5選
- 収集したデータの具体的な活用戦略
- データ収集時のプライバシー配慮のポイント
- HubSpotでのゼロパーティデータ管理と活用
データ区分の全体像
4つのデータ区分
マーケティングで活用するデータは、取得方法と主体によって4つに分類されます。
| データ区分 | 定義 | 例 | 信頼性 | 規制リスク |
|---|---|---|---|---|
| ゼロパーティデータ | 顧客が自発的に提供 | アンケート回答、好み設定 | 最高 | 最低 |
| ファーストパーティデータ | 自社で直接収集 | Web閲覧履歴、購買履歴 | 高 | 低 |
| セカンドパーティデータ | パートナー企業から取得 | 提携先の顧客データ | 中 | 中 |
| サードパーティデータ | 第三者が収集・販売 | Cookie、DMP経由の行動データ | 低 | 高 |
ゼロパーティデータの特徴
ゼロパーティデータが他のデータと根本的に異なるのは、顧客の明示的な意思に基づいている点です。
- 正確性 — 顧客自身が申告するため、推定データより正確
- 合意性 — 自発的に提供されるため、プライバシー懸念が最小
- 文脈性 — 顧客の意図や好みが直接的にわかる
- 鮮度 — 収集時点の最新情報
Cookie規制がBtoBマーケティングに与える影響
規制の現状
| 規制・ブラウザ対応 | 状況 | BtoBへの影響 |
|---|---|---|
| GDPR(EU) | 施行中 | 同意なきデータ利用が違法 |
| 改正個人情報保護法(日本) | 施行中 | Cookie情報も個人関連情報に |
| Safari(ITP) | サードパーティCookie完全ブロック済 | リターゲティング不可 |
| Chrome | サードパーティCookie廃止方針 | 最大シェアブラウザでの影響大 |
| Firefox(ETP) | サードパーティCookieブロック済 | トラッキング制限 |
BtoBマーケティングへの具体的影響
- リターゲティング広告の精度低下 — サードパーティCookieに依存した広告配信が困難に
- アトリビューション計測の精度低下 — マルチタッチの貢献度分析が不正確に
- 外部DMPの活用制限 — サードパーティデータの購入・利用が制約
- ルックアライク配信の精度低下 — 類似オーディエンスの作成精度が低下
ゼロパーティデータの収集方法5選
方法1:アンケート・サーベイ
最も直接的な収集方法です。顧客満足度調査、ニーズ調査、製品フィードバックを通じて、顧客の意見・課題・ニーズを直接収集します。
BtoBでの活用例:
- 導入前の課題ヒアリングフォーム
- 製品利用後の満足度アンケート
- 業界トレンドに関する意識調査
回答率を高めるコツ:
- 質問数は5〜10問に絞る
- 回答所要時間を明示する(例:3分)
- 回答者にインセンティブを提供する(レポート、ウェビナー招待など)
- 結果のサマリーを回答者に共有する
方法2:プリファレンスセンター
顧客が自分の情報や受信設定を自由に管理できる画面を提供します。
設定項目の例:
- メール受信頻度の選択(週次・月次・四半期)
- 関心のあるトピックの選択
- 希望する連絡手段(メール・電話・チャット)
- 業種・役職の自己申告
方法3:インタラクティブコンテンツ
クイズ、診断ツール、ROI計算機など、ユーザーの参加を促すコンテンツで自然にデータを収集します。
| コンテンツ種類 | 収集できるデータ | BtoBでの活用例 |
|---|---|---|
| 課題診断ツール | 現状の課題、優先度 | 「CRM成熟度診断」 |
| ROI計算機 | 予算規模、期待効果 | 「MAツール導入ROI算出」 |
| 適性診断クイズ | ニーズ、志向性 | 「最適なCRMプラン診断」 |
| ベンチマーク比較 | 自社の現状数値 | 「業界平均との比較レポート」 |
方法4:段階的プロファイリング(プログレッシブプロファイリング)
初回は最小限の情報のみを求め、その後のタッチポイントで段階的に情報を追加収集していく手法です。フォーム入力の負荷を分散させることで、離脱率を低減しつつデータを蓄積できます。
方法5:ウェビナー・イベント登録フォーム
ウェビナーやイベントの登録時に、テーマに関連した質問を含めることで、参加者の課題や関心を事前に把握します。
ゼロパーティデータの活用戦略
活用の4ステップ
- データの統合 — 収集したゼロパーティデータをCRMに一元管理
- セグメントの構築 — 課題・関心・購買段階に基づくセグメントを作成
- コンテンツの最適化 — セグメントごとに最適なコンテンツを配信
- 効果測定と改善 — パーソナライズ施策のKPIを計測し継続改善
具体的な活用シーン
| 収集したデータ | 活用方法 |
|---|---|
| 関心テーマ | テーマ別のメールシーケンスに振り分け |
| 導入検討時期 | タイミングに合わせた営業アプローチ |
| 現在の課題 | 課題に対応するコンテンツの自動配信 |
| 予算規模 | 適切なプラン・サービスの提案 |
| 決裁プロセス | 意思決定者向けの資料の追加提供 |
HubSpotでのゼロパーティデータ管理
HubSpotは、ゼロパーティデータの収集から活用まで一貫して対応できます。
| 機能 | 用途 |
|---|---|
| フォーム | アンケート・登録フォームで直接収集 |
| プログレッシブフィールド | 段階的なデータ収集 |
| カスタムプロパティ | ゼロパーティデータの格納 |
| スマートリスト | 収集データに基づくセグメント |
| ワークフロー | セグメント別の自動ナーチャリング |
| スマートコンテンツ | Web表示の動的パーソナライズ |
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まとめ
Cookie規制の進行に伴い、サードパーティデータに依存したマーケティングは持続可能ではなくなりつつあります。ゼロパーティデータは、顧客の同意に基づく正確かつプライバシーに配慮したデータとして、これからのBtoBマーケティングの基盤となるものです。
収集方法としてはアンケート、プリファレンスセンター、インタラクティブコンテンツ、段階的プロファイリング、イベント登録フォームの5つが実践的です。重要なのは、「顧客にデータを提供してもらう代わりに、価値あるコンテンツ・体験を返す」という等価交換の関係を築くことです。
HubSpotのCRMプラットフォームは、ゼロパーティデータの収集・管理・活用を一貫して実現できます。Cookie規制への対応やデータ戦略の見直しについて、StartLinkがご支援いたします。
株式会社StartLinkは、事業推進に関わる「販売促進」「DXによる業務効率化(ERP/CRM/SFA/MAの導入)」などのご相談を受け付けております。 サービスのプランについてのご相談/お見積もり依頼や、ノウハウのお問い合わせについては、無料のお問い合わせページより、お気軽にご連絡くださいませ。
著者情報
今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLinkの代表取締役。
HubSpotのトップパートナーである株式会社H&Kにて、HubSpotのCRM戦略/設計/構築を軸として、 国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
パーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM/SFA戦略の策定・PERSOLグループ横断のグループAI戦略/企画/開発ディレクションの業務を遂行経験あり。
株式会社StartLinkでは、累計100社以上のHubSpotプロジェクト実績を元にHubSpot×AIを軸にした経営基盤DXのコンサルティング事業を展開。