「HubSpotを導入したけど、営業チームが全然使ってくれない」「機能が多すぎて、どこから手をつければいいかわからない」——HubSpotの「使いにくさ」を感じている企業は、実は導入企業の中でも少なくありません。
しかし、多くの場合「HubSpotが使いにくい」のではなく、「自社に合った設計ができていない」ことが原因です。CRMは導入すれば自動的に成果が出るツールではなく、自社の業務フローに合わせた設計と、チームへの定着施策が不可欠です。
本記事では、HubSpotが使いにくいと感じる代表的な原因を分析し、それぞれに対する具体的な解決策を解説します。
この記事でわかること
- HubSpotが使いにくいと感じる5つの主な原因
- 原因別の具体的な解決策
- 活用率を上げるための運用設計のコツ
- チーム定着を促進するための仕組みづくり
- 段階的な改善アプローチ
原因1:不要なプロパティが多すぎる
症状
画面を開くと入力項目が大量に並んでいて、何を入力すればいいかわからない。結果として、営業担当者がCRMへの入力を後回しにする。
原因の分析
よくあるSFAのあるあるで、全然使っていない項目が大量にあったりとか、ほぼ使っているのはこの一部だけです、みたいな企業さんもいらっしゃいます。導入初期に「念のため」で作った項目が蓄積し、画面が複雑化してしまうパターンです。
解決策
プロパティの棚卸しを行う
フィルレート(入力率)を確認し、1%未満しか使われていないプロパティは削除候補です。「請求先メールが0.91%しか使われていない」のであれば、おそらく使っていないのではないかという判断ができます。
項目は最小限に絞る
項目が少ない方が集中できます。まずは「これだけは必ず入力する」という必須項目を5〜7個に絞り、それ以外は非表示にするか、詳細セクションに移動させましょう。
プロパティ設定の管理権限を制限する
プロパティ設定は管理者のみ変更できるようにすると、無秩序な項目追加を防げます。
原因2:パイプライン設計が業務に合っていない
症状
取引のステージが実際の営業プロセスと合わず、入力に迷う。ステージを飛ばしたり、正確なステージに更新しなくなる。
原因の分析
テンプレートのパイプラインをそのまま使っている、または他社の設計をコピーしている場合に起きやすい問題です。
解決策
自社に最適なパイプラインを設計するというところが結構ミソになってきます。パイプライン設計は以下の4要素で考えてください。
| 要素 |
内容 |
| 取引ステージ |
受注率が変化するポイントで分ける |
| 角度(受注確度) |
各ステージの受注確率を設定 |
| ステージ定義 |
各ステージの明確な定義を社内共有 |
| 必須入力プロパティ |
ステージ移行時に必要な情報を強制入力 |
マネージャーやトッププレイヤーの知見を集めて、実際の営業プロセスに合ったステージ設計に変更しましょう。
原因3:自動化が活用できていない
症状
手動でのデータ入力や更新作業が多く、CRMの運用自体が負担になっている。
原因の分析
ワークフローやスマートプロパティなどの自動化機能を使えていないケースです。特にStarterプランではワークフローが使えないため、手動作業が多くなりがちです。
解決策
ワークフローの導入
ワークフローとカスタムレポート、この2つで基本的にはProfessionalをご検討いただくことが多いです。リード通知、ライフサイクルステージの自動更新、タスクの自動作成など、日常的な手作業をワークフローで自動化することで、CRMの運用負荷が大幅に下がります。
計算プロパティの活用
毎回チェックボックスを作ってワークフローで処理していると、ワークフローの数がものすごく増えてしまいます。計算プロパティを使うことで、リアルタイムに自動更新される項目を作れます。これはAIクレジットもワークフローも消費しません。
スマートプロパティの活用
CRMの値がなかなか入っていなくてデータ資産化していないという場合は、スマートプロパティでAIに企業情報を自動取得させるのが効果的です。
原因4:チームへの教育・定着が不十分
症状
一部の担当者しかCRMを使っておらず、データが偏っている。使い方がわからずに放置されるケースが多い。
原因の分析
導入時にトレーニングを実施していない、またはトレーニング内容が実務と乖離していたケースです。
解決策
HubSpot Academyの活用
無料のオンライン研修プログラムを活用して、チーム全体のスキルを底上げしましょう。外部研修に費用をかけずに、体系的な学習が可能です。
仕組みで入力を促す
営業の方にちゃんとSFAを入れてねと言っても使いこなせなかったりするところがあるので、必須化する項目を決めてあげて、入力しないとステージを進められない仕組みを作るのが効果的です。人に頼るのではなく、システムで解決するアプローチです。
社内チャンピオンの育成
各チームにHubSpotの使い方に詳しい「チャンピオン」を1名育成し、日常的な質問対応や操作フォローを担ってもらいます。
原因5:レポート・ダッシュボードが活用されていない
症状
CRMにデータを入力しても、それが経営会議やチームミーティングで活用されないため、入力のモチベーションが下がる。
原因の分析
データ入力の「その先」にある成果(意思決定の改善、業績向上)が見えていないことが原因です。
解決策
会議シーン別のダッシュボードを作る
ダッシュボードを営業会議用・経営会議用・タスク管理ボードと、意味合いごとに分けてシーンで使い分けてください。実際の会議で使われるダッシュボードがあることで、「データを入力する意味」が腹落ちします。
定期配信の設定
ダッシュボードを毎週水曜朝8時に自動配信する設定にしておくと、チーム全体がデータを見る習慣がつきます。
段階的な改善アプローチ
一度にすべてを改善するのは現実的ではありません。以下の優先順位で段階的に進めてください。
| 優先度 |
施策 |
期待効果 |
| 高 |
不要プロパティの削除・整理 |
画面の見やすさ向上 |
| 高 |
必須入力項目の設定 |
データ品質の改善 |
| 中 |
パイプラインの再設計 |
営業プロセスとの整合性 |
| 中 |
ワークフローによる自動化 |
運用負荷の削減 |
| 中 |
ダッシュボードの整備 |
データ活用の促進 |
まずはやりやすいところからぜひトライいただければなと思います。
まとめ
HubSpotが「使いにくい」と感じる原因の多くは、ツールの問題ではなく設計と定着の問題です。プロパティの整理、パイプラインの再設計、自動化の導入、チーム教育、ダッシュボードの活用——この5つの観点で現状を見直すことで、活用率は確実に上がります。
まずは不要プロパティの整理と必須入力項目の設定から始めて、段階的にパイプライン再設計やワークフロー導入に進んでいきましょう。CRMにデータが正しく蓄積されるようになれば、レポートの信頼性が上がり、データドリブンな組織運営が実現します。
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StartLinkでは、HubSpotの導入設計から運用定着まで、企業様の状況に合わせた支援を行っています。
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よくある質問(FAQ)
Q. HubSpotの使いにくさは、他のCRMに乗り換えれば解決しますか?
多くの場合、解決しません。設計と定着の問題はどのCRMでも起きます。まずは現在のHubSpot環境の設計を見直し、自社の業務フローに合った形に最適化することをおすすめします。それでも解決しない場合に、他のツールの検討を始めても遅くありません。
Q. プロパティの整理をすると、過去のデータが失われますか?
プロパティを削除すると、そのプロパティに入力されていたデータも削除されます。整理の前にデータのエクスポートを行い、必要に応じてバックアップを取ってください。HubSpotのバックアップ復元期限は14日以内です。
Q. 営業チームの入力率を上げるにはどうすればいいですか?
「入力してください」と声をかけるだけでは定着しません。ステージ移行時の必須入力プロパティ設定、ダッシュボードでの入力率可視化、経営会議でCRMデータを使う仕組み——この3つを組み合わせることで、入力することの価値を実感してもらえます。
Q. Starterプランでも使いやすさは改善できますか?
はい、プロパティの整理やパイプラインの再設計はStarterプランでも可能です。ワークフローの自動化はProfessional以上が必要ですが、まずは設計面の改善だけでも大きな効果が期待できます。