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HubSpotのAI機能「Breeze」とは?
参考:HubSpotのAIツールBreezeでハードルの高い成長目標を簡単に達成
HubSpotが提供するAI機能「Breeze(ブリーズ)」は、マーケティング、営業、カスタマーサービスといった各業務領域を横断的に支援するAIツール群です。Breezeには、レコード要約などを行う「Breeze Copilot」、外部データでCRMを強化する「Breeze Intelligence」、そして各業務向けの自律型AIエージェント「Breeze Agents」などが含まれます。
これらを組み合わせることで、HubSpotのCRMプラットフォーム上で業務を効率化・自動化し、チームの生産性向上や営業成約率アップにつなげることが期待されます。
Breeze Copilot:HubSpot内のAIアシスタント
Breeze Copilotは、HubSpot CRMや各ハブ内で動作する対話型AIアシスタントです。ユーザーはチャット形式で質問すると、レコード要約や最新活動のサマリー表示、プロパティ情報の読み取り・解釈などを自動で提示してくれます。具体的には、例えば以下のような操作が可能です:
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レコードの要約:選択した取引先や商談の概要を自動生成
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最新アクティビティ表示:最近の活動履歴を時系列でサマリー表示
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プロパティ情報の解釈:顧客データや会社情報を読み解き、必要事項を抽出
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レコード検索:名前から取引先/商談を検索して詳細を表示(最近の更新情報付き)
これらの機能により、担当者はわざわざ画面を切り替えたり手作業で情報をまとめたりせずに、必要なインサイトを瞬時に得られます。日本語環境でもCopilot機能は複数プロンプトを活用して利用できるため、まずは自然言語で質問してみてAI体験をトライしてみるのがおすすめです。
Breeze Intelligence:データ拡充と洞察の獲得
※日本語環境では、まだ正確なデータを取得できず、「既存レコードの正しい情報を英語表記で上書きしてしまう」などの挙動もあるため、慎重にご利用することをお勧めしております。
Breeze Intelligenceは、HubSpot CRM内の連絡先・企業レコードを外部データで自動的にエンリッチ(情報付与)する機能です。高度なLLMと広範なデータセットを活用し、購買意図シグナルやターゲット企業の特徴を検出します。
Breeze Intelligenceを有効化すると、定期的なデータ更新や意図検出によって営業ターゲティングの精度を高めることが期待できます(※Breezeのクレジット購入や、Professional/Enterpriseエディションで付与されるクレジット消費が必要なため、正確な料金についてはHubSpotの営業担当までお問い合わせください)。
Breeze Agents:自動化AIエージェントの活用
Breeze Agentsは、顧客対応・案件創出・コンテンツ作成などの業務ごとに特化したAIエージェント群です。各エージェントは専用のHubSpot機能(Service Hub、Sales Hub、Content Hub)と連携し、設定後は24時間稼働でタスクを自動実行します。ここでは、主な3種類のエージェントとその活用シナリオについて詳しく見ていきます。
顧客対応エージェント(Customer Agent) ※現時点で最も実用可能性が高い
顧客対応エージェントは、問い合わせ対応を支援するチャットボット機能です。あらかじめ社内のナレッジベース、ウェブサイト、マニュアルPDFなどを学習させることで、24時間体制で高品質な回答を提供できます。HubSpot公式によれば、Breezeを利用することでサポートチームの負担が軽減され、「問い合わせの約半数を自動解決」できるようになります。
導入は比較的容易で、既存のウェブサイトやナレッジベースを自動同期しながら数分で開始できます。日本語対応については、日本語コンテンツを学習させればそのまま日本語での応答が可能です。サポート負荷低減だけでなく、営業時間外対応や品質向上にも貢献するツールと言えるでしょう。
参考までに以下にデモサイトのリンクを記載しますので、よろしければご覧ください。
>> HubSpotの顧客対応AIエージェントのチャットボットを見る
案件創出エージェント(Prospecting Agent)
案件創出エージェントは、営業担当のリード開拓活動を支援するAIエージェントです。HubSpotのSmart CRに蓄積された既存データを基に、購買意欲の高い見込み客を自動抽出し優先順位付けします。具体的なアクションは以下のような内容です。
・顧客の情報を事前にリサーチをAIで自動で行い、最適なアプローチメールの作成をシーケンス形式で作成・自動化
これにより、営業チームは従来の手作業によるリサーチを減らし、本来の商談成立業務に集中できます。
日本語環境での留意点として、現時点では案件創出エージェントは英語対応のみとなっています。したがって、日本国内向けの営業支援としてはまだ発展途上です。(翻訳すると、リサーチの構成や内容自体は詳細調査されている印象です)
※ターゲットアカウントのリサーチなども自動で行うことは可能ですが、英語でのリサーチになります。(翻訳版)
コンテンツエージェント(Content Agent)
コンテンツエージェントは、マーケティング用のコンテンツ制作を支援するAIツールです。HubSpotのCRMデータやブランド情報を活用し、ランディングページやブログ記事、ポッドキャスト台本、導入事例など多彩なコンテンツを短時間で生成できます。
これらの機能を活用すると、従来は数日から数週間かかっていたコンテンツ制作作業を大幅に短縮でき、マーケティングキャンペーンのスピードアップやリード獲得効率の向上が期待できます。英語版中心の実装が多いものの、日本語の素材を読み込ませることである程度の成果も見込めるでしょう。
ですが、当社的には
・外部のAIツールを複数活用して、ブログ記事やコンテンツの制作を行うことをおすすめ
しております。というのも、記事を作成する際に「AIに事前インプットするナレッジ」や「Webの網羅的なリサーチ情報のインプット」というところが、やはりコンテンツエージェントだけですと弱い部分があると感じているためです。
現段階では、Notebook LMで外部のWebページ情報や自社のPDFや提案資料等の独自情報をインプットしつつ、ChatGPTやGeminiのディープリサーチを活用することで、文章の構成やコンテンツの質を向上させることがベストプラクティスかと感じております。
※あくまで当社の感想になりますので、様々なご意見はあるかと思います。
ワークフロー内でのBreeze活用【おすすめ】
Breezeのもう一つの強力な活用法は、HubSpotのワークフローに直接組み込むことです。これにより、これまで手作業で行っていた定型的なタスクをAIで自動化し、データ整理や分類の手間を大幅に削減できます。Breezeをワークフローのアクションとして利用すると、以下のような処理が可能です。
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レコードの要約作成
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問い合わせ内容の自動分類(例:営業関連か、既存の問い合わせかなど)
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従業員数に基づいた企業規模の自動分類(自由テキストや数値を特定のプルダウン値に変換)
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部署名や役職からカテゴリ化された値への変換
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次のアクション(Next Action)の提案
このように、ワークフローとAIを連携させることで、データの精度を高めながら、より戦略的な業務に時間を割けるようになります。 Breeze以外にもOpenAIと連携することでAPI経由でAIの呼び出しは可能ですが、BreezeについてはProfessional以上のプランを契約していれば、一定プラン内で活用できるためご活用いただけると良いかと思います。
他のAIツールとの比較
近年、CRM領域では
・Salesforce Einstein
・Microsoft Dynamics 365 Copilot
など各社からAIソリューションが提供されています。例えば、Salesforce EinsteinはSales/Service/Marketing各クラウドと深く統合され、見込み客のスコアリングや予測分析を提供します。Microsoft Dynamics 365 CopilotはCRM・ERP全体で定型作業の自動化やメール・会議要約などを支援します。
これらと比較すると、Breezeの強みはHubSpotプラットフォーム全体でのデータ連携にあります。CRMに対してAIを活用するという観点では同じなのですが、HubSpotの場合は、
・営業、マーケ、カスタマーサポートのデータが一元管理されている環境下でAIを利用できるプラットフォーム型である
・別のプランを契約しなくても通常のプラン内で一定のAI活用ができる
という点が少し異なっているところかと思っております。
但し、各ツールにはそれぞれ強みがありますので、ツール選択時には、自社がどのチャネルで多くのデータを持ち、どの業務を効率化したいかを考慮して、最適な組み合わせを検討するとよいでしょう。
HubSpot AI「Breeze」まとめ
Breezeは、HubSpotプラットフォームとシームレスに統合されたAIツール群であり、データ自動処理やワークフロー内AI、対話型エージェントなど多彩な機能を提供します。AIの進化に伴い機能も日々更新されており、従来のチャットボットや分析ツールを超え、将来的には「業務の頭脳」として戦略支援や異常検知アラートの構築なども期待されています。
※ただし、機能によっては現時点で日本語対応が限定的なものもあるため、導入前には自社業務との相性や言語面の制約を慎重に検討することが重要です。
いずれにせよ、Breezeの利点を最大化するには、HubSpot上の自社データを活かしつつ試行錯誤を繰り返す姿勢が欠かせません。CopilotやAgentsを試験的に導入し、成果を検証しながら最適な使い方を模索することで、中長期的に業務効率化や売上拡大につなげられるでしょう。柔軟な視点で活用し、Breezeの進化をフォローし続けることが、AI導入成功のカギとなりそうです。
以上です。
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著者情報

今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLink(スタートリンク)の代表取締役。
学生時代に地域活性化事業のスタートアップを共同創業し事業立ち上げを経験。
広告戦略支援会社にてSEO設計/Web広告戦略・運用等の総合マーケティング支援に従事。
その後、DX/CRM戦略支援会社の株式会社H&Kにて、HubSpot(世界的CRMプラットフォーム)のCRM戦略/構築を軸として、
国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
現在はパーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM戦略/人材法人営業・AI戦略の業務に従事しつつ、
株式会社StartLinkでCRMを軸にした経営基盤DXのコンサルティング/AIを活用した戦略設計を支援。