BCP(事業継続計画)は、非常事態発生時に事業の中断を最小限に抑え早期復旧するための計画です。内閣府の調査(2024年)ではBCP策定済みの大企業は約70%ですが中小企業ではわずか約20%にとどまります。ビジネスインパクト分析→復旧優先順位の設定→代替手段の設計→計画書の作成→訓練の5ステップで策定します。
自然災害、パンデミック、サイバー攻撃、サプライチェーンの断絶——企業活動を脅かすリスクは多様化・複雑化しています。こうした非常事態が発生した際に、事業の中断を最小限に抑え、早期に復旧するための計画がBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)です。
内閣府の調査(2024年)によると、BCPを策定済みの大企業は約70%ですが、中小企業ではわずか約20%にとどまります。しかし、取引先からBCP策定を求められるケースは増えており、サプライチェーン全体での事業継続力が問われる時代になっています。
本記事では、BCPの策定手順をステップバイステップで解説し、実務で使えるテンプレートの構成も紹介します。
本記事は「中小企業に必要な内部統制|基本の考え方と構築ステップ」シリーズの一部です。
本記事はStartLinkの「経営管理DX完全ガイド」関連記事です。
業界特有の課題には、業界に合ったアプローチが不可欠です。本記事では、現場の実態に即した解決策を具体的に解説していますので、同業界の方はもちろん、異業種の方にも参考になる内容です。ぜひ最後までお読みください。
BCPは、非常事態が発生した際に「何を」「どの順番で」「どうやって」復旧するかを事前に計画しておくものです。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| BCP | 事業継続計画(ドキュメント) |
| BCM | 事業継続マネジメント(BCPの策定・運用・改善を含む経営活動) |
| RTO | 目標復旧時間(何時間/何日で復旧するか) |
| RPO | 目標復旧時点(どの時点のデータまで復旧するか) |
| MTPD | 最大許容停止時間(事業停止が許容される上限時間) |
自社の事業活動を洗い出し、各業務が停止した場合の影響を評価します。
| 業務 | 停止1日の影響 | 停止1週間の影響 | 停止1ヶ月の影響 | MTPD |
|---|---|---|---|---|
| 受注・出荷 | 売上減少 | 顧客流出開始 | 事業継続困難 | 3日 |
| 請求・入金管理 | 軽微 | 資金繰り悪化 | 資金ショートリスク | 1週間 |
| カスタマーサポート | 顧客不満 | 解約増加 | 信頼の大幅低下 | 2日 |
| 社内システム | 業務効率低下 | 業務停滞 | 全社停止 | 1日 |
自社を脅かすリスクを特定し、発生可能性と影響度で優先順位をつけます。
| リスク | 発生可能性 | 影響度 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| 大規模地震 | 中 | 極大 | 高 |
| サイバー攻撃 | 高 | 大 | 高 |
| パンデミック | 低〜中 | 大 | 中 |
| 主要取引先の倒産 | 低 | 大 | 中 |
| 停電・インフラ障害 | 中 | 中 | 中 |
| キーパーソンの離脱 | 中 | 中 | 中 |
各リスクに対して、RTOを満たすための復旧戦略を策定します。
| 対象 | 復旧戦略 | RTO目標 |
|---|---|---|
| ITシステム | クラウドバックアップ、リージョン冗長化 | 4時間 |
| オフィス | リモートワーク体制、代替オフィス確保 | 1日 |
| 通信 | 複数キャリアの利用、衛星電話の備蓄 | 2時間 |
| 人員 | クロストレーニング、マニュアル整備 | 1日 |
| サプライチェーン | 複数調達先の確保、安全在庫の設定 | 3日 |
BCPドキュメントの推奨構成:
| 章 | 内容 |
|---|---|
| 1. 目的と適用範囲 | BCPの目的、対象事業、対象リスク |
| 2. 基本方針 | 人命最優先、事業継続の優先順位 |
| 3. 組織体制 | 対策本部の構成、役割分担、連絡体制 |
| 4. 初動対応 | 発生直後(0〜2時間)のアクション |
| 5. 事業継続対応 | 優先業務の復旧手順(RTO順) |
| 6. 復旧対応 | 通常業務への完全復帰手順 |
| 7. 連絡先一覧 | 緊急連絡先(社内・社外) |
| 8. 付録 | チェックリスト、システム構成図 |
BCPは作成しただけでは機能しません。定期的な訓練と見直しが不可欠です。
| 訓練の種類 | 内容 | 頻度 |
|---|---|---|
| 机上訓練 | シナリオに基づくシミュレーション | 年1回 |
| 連絡訓練 | 緊急連絡網の実動テスト | 半年1回 |
| IT復旧訓練 | バックアップからのリストア | 年1回 |
| 実地訓練 | 代替拠点での業務実施 | 年1回(可能なら) |
100ページのBCPを作る必要はありません。「最も重要な3つの業務」の復旧手順と、緊急連絡網だけでも、ないよりはるかにましです。
SaaSやクラウドサービスを活用することで、オフィスが使えなくてもリモートで業務を継続できます。CRM、会計ソフト、コミュニケーションツールのクラウド化は、BCPの観点からも優先度の高い施策です。
BCPの策定は、取引先からの信頼獲得にもつながります。大企業のサプライチェーンに入るための要件としてBCPが求められるケースも増えています。
CRMは営業活動の基盤であり、その事業継続性はBCPにおいて重要な要素です。HubSpotのようなクラウドCRMは、データセンターの冗長化、自動バックアップ、99.99%のSLA(サービスレベル保証)を提供しており、オンプレミスのシステムと比較してBCPの観点で優位です。
リスクマネジメントのフレームワークで述べたERMの一環として、BCPを位置づけることで、組織全体のリスク管理体制が強化されます。経営管理とはで解説した経営管理の5領域のうち、リスク管理の具体的な実装がBCPです。
BCP(事業継続計画)の作り方を実務に落とし込むには、CRMツールの活用が不可欠です。詳しくは「CRM導入の進め方完全ガイド|準備・ツール選定・データ移行・定着化の全ステップ」で解説しています。
BCPに取り組むなら、CRMツールの活用が効果的です。以下の記事でHubSpotを使った具体的な実践方法を解説しています。
はい。内閣府の調査(2024年)ではBCP策定済みの中小企業はわずか約20%ですが、取引先からBCP策定を求められるケースは増えています。完璧な100ページのBCPを作る必要はなく、「最も重要な3つの業務」の復旧手順と緊急連絡網だけでも、ないよりはるかに有効です。
ビジネスインパクト分析(BIA)が最初のステップです。自社の業務を洗い出し、各業務が停止した場合の影響を「1日・1週間・1ヶ月」の時間軸で評価します。これにより復旧の優先順位とRTO(目標復旧時間)が明確になり、限られたリソースを効果的に配分できます。
HubSpotなどのクラウドCRMはデータセンターの冗長化、自動バックアップ、99.99%のSLAを提供しており、オフィスが使えなくてもリモートで営業活動を継続できます。CRM・会計ソフト・コミュニケーションツールのクラウド化は、それ自体がBCP対策として有効です。
内部統制やコンプライアンス体制の構築でお悩みの方は、CRMを活用したデータ管理・監査証跡の整備をStartLinkがサポートします。実務に即した体制づくりをご提案します。
まずはお気軽にご相談ください。現状の課題をヒアリングし、最適なアプローチをご提案します。
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