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こんにちは、StartLinkの今枝です。
本日は、HubSpotのMarketing Hubについて、その本質から実務での活用法まで、一通り解説していきたいと思います。まだHubSpotを使ったことがない方はもちろん、すでに実務で使っている方にも、有益な情報をお届けできるように解説していきますので、ぜひ最後までチェックしてください。
MAツールを超えた「顧客関係構築」のプラットフォーム
さて、本題のHubSpot Marketing Hubとは、一体何なのでしょうか?
多くの人が「マーケティングオートメーション(MA)ツール」だと捉えているかもしれませんが、実はそれだけでは、その真価を半分も理解しているとは言えません。
HubSpot Marketing Hubの最大のポイントは、単一のプラットフォーム上で、CRM(顧客関係管理)と完全に統合されていることです。
これはどういうことかというと、マーケティング活動で獲得した見込み客(リード)の情報が、営業活動で商談化した顧客の情報と、常にシームレスに連携している状態を意味します。
一般的なMAツールが、リードジェネレーションとリードナーチャリング、つまり見込み客の獲得から育成までを主な目的としているのに対し、HubSpot Marketing Hubは、その先の「受注」そして「顧客との長期的な関係構築」までを視野に入れています。
この、部門間の壁を取り払ったCRM統合こそが、HubSpot Marketing Hubの最も強力な特徴であり、その本質的な価値なのです。
なぜ、いま中小企業にHubSpot Marketing Hubが必要なのか
成果が見えない「なんとなくマーケティング」からの脱却
日本の多くの中小企業がデジタルマーケティングに課題を抱えているという現状が、様々な調査で明らかになっています。
こうした状況の背景には、「時間がない」「専門的な人材がいない」といった、中小企業が抱える根深い課題が存在します。結果として、多くの企業がウェブマーケティングに取り組んでも、「なんとなく」の施策を続け、その費用対効果(ROI)を明確に測定できないという悪循環に陥っています。
この「なんとなく」から抜け出せない根本原因の一つは、高機能なツールほど導入や運用に高い専門知識が求められ、新たな属人化を招きやすいという点にあります。導入したものの、結局は特定の担当者しか使いこなせず、組織全体にノウハウが浸透しないというケースは珍しくありません。
HubSpot Marketing Hubがもたらす「顧客との関係性」という価値
HubSpot Marketing Hubの真の価値は、単なるマーケティングオートメーション(MA)ツールの枠を超え、**CRM(顧客関係管理)**と完全に統合されている点にあります。これは、マーケティング部門が獲得した見込み客(リード)の情報が、営業部門とシームレスに共有されることを意味します。
多くの企業で課題となるのが、部門間の連携不足です。マーケティング側でリードを育成しても、営業側と「ホットリード」の定義がずれていたり、情報の引き渡しが不十分だったりすると、せっかくの商談機会を逃してしまいます。
HubSpotは、この課題を根本から解決します。
まず、ライフサイクルステージという共通の概念を組織全体で共有します。これは、見込み客が「リード」から「商談化見込み(SQL)」、そして最終的に「顧客」へと至る検討段階を、共通の言葉で管理するための機能です。これにより、マーケティングと営業が同じ指標で顧客の状態を把握できるようになります。さらに、後述するリードスコアリング機能は、「この顧客は今、どれくらいの熱量を持っているか」を数値という共通言語で可視化します。これにより、営業は闇雲にアプローチするのではなく、「今、話を聞いてくれそうな人」にピンポイントに集中することができます。
HubSpotの顧客は、利用開始からわずか1年でリード創出数が**129%増加し、成約件数が36%**も上昇したというデータがあります。これは、単一プラットフォーム上でのスムーズな部門連携と、データに基づいた効率的な活動がもたらす具体的な成果と言えるでしょう。
HubSpot Marketing Hubの主要機能と実務での活用
ここからは、HubSpot Marketing Hubが持つ機能が、皆さんの日々の実務にどう役立つのか、具体的なシーンを交えて解説します。
リード獲得:ウェブサイトを「営業マン」にする仕組みづくり
フォーム機能:ウェブ上の「名刺交換」を自動化
ウェブサイトの問い合わせや資料ダウンロードフォームは、オンライン上の名刺交換に他なりません。
HubSpotのフォーム機能を使えば、この名刺交換を完全に自動化できます。HTMLの知識がなくても、直感的なノーコード操作で簡単にフォームを作成でき、設定自体は5分もかかりません。
訪問者がフォームに情報を入力し送信した瞬間、その情報は自動的にHubSpotのCRMにコンタクトとして登録されます。これにより、手作業での入力やデータ転記の手間が一切なくなります。また、フリーメールアドレスを自動でブロックするような設定も可能で、質の高いリードだけを効率的に集める工夫ができます。
広告連携:広告費を「コンタクト」に変換し、受注まで追う
多くの企業が抱える「広告費をかけたけれど、どれだけ成果につながったかわからない」という悩みも、HubSpotの広告連携機能で解決できます。Google広告やFacebook広告などと連携することで、単なるインプレッションやクリック数だけでなく、どの広告が最終的にコンバージョンし、顧客になったかまでを一貫して追跡することが可能です。
広告ツールでは、コンバージョンまでしか追えず、その後の商談や受注に至ったかを確認するには、CRMのデータと突き合わせるという手間が必要でした。
しかし、HubSpotはCRM統合されているため、広告経由で獲得したリードが、最終的にどのくらい商談になり、いくら受注につながったかというROI(費用対効果)をひとつのダッシュボードで明確に把握できます。これにより、無駄な広告費を削減し、より効率的なリードジェネレーションが可能になります。
ウェブチャットとチャットボット:訪問者の「熱」を逃さない最後の砦
ウェブサイトに設置するチャットボットは、顧客との接点を増やす重要なツールです。
最近ではAIを搭載したチャットボットも登場しており、訪問者の簡単な質問に自動で回答し、スムーズなリード獲得へとつなげます。例えば、訪問者がサイトから離脱しようとした時に「何かお困りですか?」とポップアップを表示することで、商談機会を逃さずキャッチできます。
これは、お客様の小さな疑問をその場で解決し、潜在的なニーズを掘り起こす上で非常に有効な手段です。
ソーシャルメディア:日々の情報発信を戦略的に行う
ソーシャルメディアは、潜在顧客との接点を広げる重要なチャネルです。HubSpotのソーシャル機能を使えば、Instagram、Facebook、X(旧Twitter)、YoutubeなどのSNSアカウントと連携し、投稿のスケジューリングや、投稿後のエンゲージメント(いいね、コメントなど)をCRMのコンタクト情報と紐づけて分析できます。
例えば、特定のキャンペーンに関する投稿に反応したフォロワーをリスト化し、その後のナーチャリング施策につなげるといったことも可能です。特にBtoB企業で、ブランドの認知度向上や、業界の専門家としての地位を確立したい場合、この機能は日々の運用を効率化する上で欠かせません。
キャンペーン:個別の施策を「一つの物語」として管理する
ウェブサイトのフォーム、Eメール、広告、ブログ記事といった個別のマーケティング施策は、それぞれが独立しているようで、実はすべて一つの目的(例:新しいサービスのローンチ)のために動いています。HubSpotの「キャンペーン」機能は、これらのバラバラな施策を、一つのキャンペーンというハブで紐づけ、管理することができます。
例えば、「新商品発表キャンペーン」というキャンペーンを作成し、関連するすべてのフォーム、広告、メール、ブログ記事を紐づけることで、そのキャンペーン全体の成果(リード数、収益など)をひとつの画面で管理できるようになります。これにより、個別の施策の良し悪しだけでなく、キャンペーン全体の貢献度が明確になり、マーケティング活動の全体像を把握する上で非常に有用です。
トラッキング&分析:施策の「真の成果」を評価する
マーケティングの成功は、データを基にした正確な評価なくしてはありえません。HubSpotは、このレポーティングと分析に強みを持っています。
まず、HubSpotのトラッキングコードをウェブサイトに埋め込むだけで、訪問者がサイト内でどのようなページを閲覧し、どのコンテンツに興味を持ったかといった行動履歴が、コンタクト情報に自動的に紐づけられます。これにより、Aさんがどのブログを読んで、いつフォームを送信し、その後どんなメールを開封したか、といった顧客ジャーニーの全体像が手に取るようにわかります。
さらに、HubSpotのトラッキングURL機能を使えば、特定のキャンペーンやチャネル(例:SNS、メールマガジン)に特化したUTMパラメーターを付与したURLを簡単に発行できます。このURL経由でアクセスしたユーザーがコンバージョンした場合、どのチャネルから来たのか、どの施策が最も効果的だったのかといった詳細なデータを自動的に取得・分析できます。
これらの機能は、単に「リードを100件獲得した」という表面的な数字だけではなく、**「そのうち何件が商談につながり、最終的にいくら受注できたか」**という、マーケティング施策の真のROIを明確に評価することを可能にします。
これにより、PDCAサイクルを効率的に回し、より効果的なマーケティング活動へと改善していくことができます。
Eメールとワークフロー:見込み客を「ホットリード」に育てる科学
マーケティングオートメーションの心臓部ともいえるのが、Eメールとワークフロー機能です。HubSpotのEメールは、メルマガのように一斉に送る「通常メール」と、ワークフローに組み込んで自動で送る「自動メール」の2種類があり、どちらもノーコードで誰でもプロのようなデザインのメールを作成できます。
例えば、ウェブサイトで資料をダウンロードしてくれた見込み客に対し、以下のようなシナリオをワークフローで設定できます。
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フォーム送信をトリガーに、自動でサンクスメールを送信。
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3日間の遅延を設定。
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その間にメールを開封したかどうかで条件分岐。
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開封していなければ、別の件名で再送。
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開封していれば、別の事例紹介メールを送信。
この自動化機能は、営業担当者が一人ひとりに手作業でメールを送る手間をなくし、ホットリードとじっくり向き合う時間を確保します。
HubSpotが実施した調査では、日本の営業担当者の実に**35.3%**が「顧客との商談」、31.4%が「商談後のフォローアップ」に最も時間を割きたいと回答しています。これは、日々の煩雑な業務に追われ、本来最も価値を生み出すはずの顧客との対話に十分な時間を割けていない現状を示唆しています。ワークフローは、この課題を解決するための強力な武器なのです。
リードスコアリング:顧客の「熱量」を可視化する秘訣
リードスコアリングは、顧客の行動履歴(ウェブサイトの閲覧回数、メールの開封・クリックなど)や、属性情報(役職、業種、所在地など)を基に、顧客一人ひとりの**「熱量」を数値化**する機能です。これにより、フォームから登録されたばかりの「リード」と、何度もウェブサイトや事例ページを閲覧している「見込みの高いリード」を、明確な数値で区別できます。
例えば、「スコアが70点を超えたら営業に通知する」といった自動化を設定することで、営業は闇雲に電話をかけるのではなく、「今、話を聞いてくれそうな人」に効率的にアプローチできるようになります。さらに、なぜそのスコアになったのかという理由(例:特定ページの閲覧、メールの開封)も履歴として確認できるので、営業はアプローチの前に「この顧客は〇〇という課題を持っている可能性が高い」といった仮説を立てることができ、商談の質を劇的に向上させます。
失敗しないツール選び:HubSpotと競合ツールの違い
マーケティングオートメーションツールはHubSpotだけではありません。市場にはMarketoやSalesforce Marketing Cloudといった強力なツールも存在します。ここでは、中小企業の視点から、それぞれのツールの特徴を比較します。
Marketoとの違い:複雑なビジネスニーズか、シンプルな使いやすさか
Marketoは、大企業が多機能かつ複雑なマーケティング施策を実行するのに適しています。特に、リードの分析機能に優れており、AIを活用したデータ分析に強みがあります。しかし、その多機能性ゆえにUIが複雑になりがちで、運用には専門的な知識やトレーニングが必要となるケースが多いです。また、価格体系も比較的高価なため、小規模企業や中堅企業にはハードルが高いとされています。
一方、HubSpotはノーコードで直感的な操作が可能です。導入後すぐに使い始めることができ、新たな属人化を招きにくいのが大きなメリットです。CRM統合されているため、マーケティングと営業がスムーズに連携できる点も強みです。
Salesforce Marketing Cloudとの違い:統合型プラットフォームか、高度なカスタマイズ性か
Salesforce Marketing Cloudは、業界や企業特有の複雑な業務プロセスに合わせて、高度なカスタマイズができる点に強みがあります。優れた営業支援機能やデータ分析機能も備えており、大規模な組織や独自の業務フローを持つ企業に適しています。しかし、その機能を使うためには複数の製品や連携が必要となり、導入には専任の担当者が不可欠です。
対してHubSpotは、単一のシームレスなプラットフォームとして設計されており、部門横断での顧客情報の共有が非常に簡単です。キャンペーンの作成や管理も、複数のツールを連携させる必要がなく、一元的に行えるため、運用負荷が大幅に軽減されます。
中小企業が選ぶべき「最適なツール」の判断軸
ツール選びで大切なのは、「自社の事業規模や組織体制に、その複雑性が本当に必要か」を考えることです。高度なカスタマイズや複雑な機能を求めるよりも、「誰でも簡単に使いこなせるか」、そして「マーケティングと営業がシームレスに連携できるか」を重視するなら、HubSpotは最適な選択肢と言えるでしょう。
比較軸 | HubSpot Marketing Hub | Marketo | Salesforce Marketing Cloud |
価格体系 | ユーザー数、マーケティング対象コンタクト数で課金。安価な無料プランからスタート可能。 | ユーザー数、コンタクト数で課金。ベースコストが比較的高価。 | 製品や連携するツール数で変動。大規模な導入では高価になる傾向。 |
得意な企業規模 | 中小企業から中堅企業まで広く対応。 | 大企業、特に複雑なマーケティング活動を行う企業。 | 大企業、独自の業務プロセスを持つ企業。 |
使いやすさ | 直感的で分かりやすいUI。専門家なしでも導入・運用が可能。 | 多機能ゆえにUIが複雑。専門的な知識やトレーニングが必須。 | カスタマイズ性が高いため、操作が煩雑になりがち。 |
CRM統合性 | HubSpotのCRMと完全に統合されている。部門間の連携がシームレス。 | MA機能が中心。CRMとの連携は可能だが、HubSpotほどシームレスではない。 | Salesforce CRMとの連携が前提。しかし連携に手間がかかる場合もある。 |
導入後の運用体制 | 少人数でも運用可能。定着率が高い。 | 専門の管理部署や担当者が必要となる。 | 専門の部署や担当者が必要。運用負荷が高い。 |
HubSpot Marketing Hubの活用における注意ポイント
導入前に知っておくべき「マーケティングコンタクト」
HubSpot Marketing Hubの料金体系で重要なのが、「マーケティングコンタクト」という概念です。これは、メールなどを送信する「課金対象」となるリードのことで、HubSpotのCRMにいるすべてのコンタクトが課金対象になるわけではありません。
この概念を理解することが、コストを最適化し、無駄な出費を抑える上で非常に重要です。例えば、ワークフローを活用すれば、「90日間メールを開封しないコンタクト」を自動的に課金対象外に設定することができます。
これにより、本当にアプローチすべき「熱量のあるリード」にだけ集中してコストを投じることが可能になります。
さあ、あなたも今日から実務で試してみよう
HubSpot Marketing Hubは、単なるツールではありません。それは、御社のマーケティング、そして営業活動を根本から見直し、顧客との関係性を再構築するための強力なパートナーです。
それぞれの機能で解決できること
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フォーム:手動入力の手間
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顧客情報:管理不足
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広告連携:広告費のROIが不明瞭な状態
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ウェブチャット:ウェブサイトからの機会損失
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Eメール:個別の顧客に合わせた情報発信ができない
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ワークフロー:定型業務の属人化、営業担当者の時間不足
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リードスコアリング:営業とマーケティング間の「ホットリード」定義のずれ
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レポーティング:施策ごとの効果測定ができていない状態
HubSpot Marketing Hubの機能は、一つひとつが独立しながらも、すべてがCRM統合という一本の軸で繋がっています。これにより、これまでバラバラだったマーケティング活動を体系化し、顧客との関係性をデータに基づいて構築していくことが可能になります。
まずは今日から、HubSpotの無料ツールを触ってみるのもいいかもしれません。もし、「自社に導入するならどうすればいい?」と少しでも思ったら、私たちStartLinkにご相談いただくのも大歓迎です。
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著者情報

今枝 拓海 / Takumi Imaeda
株式会社StartLink(スタートリンク)の代表取締役。
学生時代に地域活性化事業のスタートアップを共同創業し事業立ち上げを経験。
広告戦略支援会社にてSEO設計/Web広告戦略・運用等の総合マーケティング支援に従事。
その後、DX/CRM戦略支援会社の株式会社H&Kにて、HubSpot(世界的CRMプラットフォーム)のCRM戦略/構築を軸として、
国内・外資系エンタープライズ企業へコンサルティング支援を実施。
現在はパーソルホールティングス株式会社にて、大規模CRM戦略/人材法人営業・AI戦略の業務に従事しつつ、
株式会社StartLinkでCRMを軸にした経営基盤DXのコンサルティング/AIを活用した戦略設計を支援。