「インサイドセールスを導入したいが、本当に成果が出るのか確信が持てない」「他社はどのように成功しているのか具体的に知りたい」――インサイドセールスの導入を検討する企業にとって、実際の成功事例ほど参考になる情報はありません。
インサイドセールスは正しく設計・運用すれば、商談数の4倍増、受注率の2倍改善、MRRの5倍成長といった劇的な成果を生み出すことができます。しかし、単に「インサイドセールス部門を作った」だけでは成果には繋がりません。IS/FS分業の設計思想、CRM/MAによる仕組み化、スモールスタートからの段階的拡大が成功のカギとなります。
この記事では、実名の日本企業によるインサイドセールス成功事例8選を「課題→施策→成果」の形式で紹介し、成功企業に共通する5つのパターンと、自社への応用チェックリストを解説します。
| No. | 企業名 | 業種 | 主な成果 |
|---|---|---|---|
| 1 | Sansan | 名刺管理SaaS | 月間商談数3倍超(30件→100件超)、IS組織80名超 |
| 2 | ビズリーチ(Visional) | HR Tech | 月間商談数4倍、成約率2倍 |
| 3 | マネーフォワード | 会計SaaS | アポ獲得数2.2倍、受注件数2.5倍(導入3ヶ月) |
| 4 | FORCAS(ユーザベース) | ABMプラットフォーム | MRR前年比2.3倍、受注率2倍 |
| 5 | ラクス | 経費精算SaaS | 地方商談数2倍、受注見込み案件数2倍 |
| 6 | シャノン | MAツール | アポ獲得数205%成長(2年目) |
| 7 | PCA(ピー・シー・エー) | 業務パッケージソフト | MRR5倍成長(HubSpot導入) |
| 8 | 名古屋テレビ放送(メ〜テレ) | テレビ放送 | 商談化率30%達成、業界初のIS直販モデル |
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | クラウドSaaS(名刺管理・営業DX) |
| 従業員数 | 約1,700名(連結) |
| 導入前の課題 | フィールドセールスがリード対応から受注まで一貫対応。拡大する市場に対し営業リソースが追いつかず、商談数の伸びが頭打ち |
施策:
成果:
出典:Sansanのインサイドセールス組織を解剖してみよう(note)、ITmedia - Sansanがたどり着いたインサイドセールスの最適解
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | HR Tech(即戦力人材採用プラットフォーム) |
| 従業員数 | 約1,700名(Visionalグループ、2024年7月期) |
| 導入前の課題 | 行動量ばかりを追う営業スタイルで商談の質が低下。組織拡大に伴い、属人的な営業からの脱却が急務 |
施策:
成果:
出典:SELECK - ビズリーチ流インサイドセールスの極意、All Star SaaS Blog - インサイドセールスの採用・組織
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | クラウドSaaS(バックオフィス自動化) |
| 従業員数 | 約2,600名(連結、2024年11月期) |
| 導入前の課題 | フィールドセールスがリード対応からクロージングまで担当。急成長するプロダクトに対し、リード対応が追いつかない |
施策:
成果:
出典:SELECK - マネーフォワードのインサイドセールス、immedio導入事例 - マネーフォワード
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | ABMプラットフォーム(B2Bマーケティング) |
| 従業員数 | 約800名(ユーザベースグループ) |
| 導入前の課題 | マーケティングとISは目標達成しているが、FSだけが未達。商談数は増えているが受注に繋がらず、IS/FS双方が疲弊 |
施策:
成果:
出典:才流 - FORCASの事例に学ぶABMの基本、FastGrow - FORCASに学ぶインサイドセールス組織のつくりかた、Uzabase Journal
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | クラウドSaaS(楽楽精算・楽楽明細 等) |
| 従業員数 | 約2,500名(連結) |
| 導入前の課題 | 地方の顧客に対して訪問営業ができず、商談機会を逸失。休眠顧客リストの活用も進んでいない |
施策:
成果:
出典:ベルフェイス導入事例 - ラクス、ラクスキャリア採用 - インサイドセールス
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | MAツールベンダー |
| 従業員数 | 約240名(2024年10月時点) |
| 導入前の課題 | データもルールもノウハウもない状態。営業が個別にリード対応しており、組織的なアプローチができていない |
施策:
成果:
出典:シャノンブログ - マーケ部門のインサイドセールスチーム立ち上げ奮闘記
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | 業務パッケージソフトウェア(会計・給与・販売管理) |
| 従業員数 | 約500名 |
| 導入前の課題 | 事業部ごとに顧客情報が分断。インサイドセールス部門が独立したが、営業活動管理とマーケティングデータの連携が不十分 |
施策:
成果:
出典:HubSpot導入事例 - ピー・シー・エー株式会社、HubSpotウェビナー - 2年でMRRが5倍に!
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | テレビ放送(地方局) |
| 従業員数 | 約270名(2025年4月時点) |
| 導入前の課題 | テレビ業界では広告会社を介した販売が常識であり、テレビ局による直販はタブー視されていた。新しい収益チャネルの開拓が課題 |
施策:
成果:
出典:SalesZine - 商談率30%を叩き出すメ〜テレのインサイドセールス、ITmedia - メ〜テレのインサイドセールス
8つの成功事例を分析すると、以下の5つの共通パターンが浮かび上がります。
| パターン | 内容 | 該当事例 |
|---|---|---|
| 1. CRM/MAの徹底活用 | すべての活動をCRMに記録し、データドリブンに改善 | 全8事例(特にPCA、マネーフォワード) |
| 2. 明確なKPIとSLAの設定 | 数値目標と部門間の約束事を明文化 | Sansan、FORCAS、ビズリーチ、シャノン |
| 3. IS/FS間の連携設計 | 商談の受け渡し基準とフィードバックの仕組み | FORCAS、ビズリーチ、ラクス |
| 4. マルチチャネル×仕組み化 | 電話+メール+Web商談の組み合わせをシステムで自動化 | マネーフォワード、ラクス、PCA |
| 5. 段階的な立ち上げ | 小さく始めて成果を確認しながら拡大 | シャノン、PCA、メ〜テレ |
成功企業は例外なくCRM/MAを活用しています。PCAはHubSpotの導入によりMRRを5倍に成長させ、マネーフォワードは自動化ツールとの連携により月100件超の商談を自動で創出しています。
重要なのは、「人ではなくシステムで解決する」思想です。活動ログの記録、リードスコアリング、シーケンスの自動実行――これらをCRM/MAで仕組み化することで、ISの生産性が飛躍的に向上します。HubSpotのように、CRM・MA・メール・電話が統合されたプラットフォームを使うことで、データの分断を防ぎ、一気通貫の運用が実現できます。
「なんとなく活動している」インサイドセールスは成果が出ません。FORCASの事例が示すように、KPIの方向性そのものが間違っていれば、数字を追えば追うほど組織は疲弊します。
FORCASは「商談数」から「受注に繋がる商談の質」にKPIをシフトしたことでMRRが2.3倍に成長しました。Sansanは従業員規模による明確なセグメント分けで各チームのKPIを最適化しています。
ISとFSの分業は、「ただ分ければいい」というものではありません。設計なき分業は、対立と非効率を生むだけです。
FORCASでは「マーケもISもKPI達成しているのにFSだけ未達」という状況に陥りました。原因は、ISが量を追って質の低い商談をFSに渡していたことでした。ABMの導入とターゲットの一貫性を確保したことで、この問題を解決しています。
ビズリーチではフェーズ管理の導入により、IS→FSの商談受け渡しポイントを明確化し、成約率を2倍に改善しています。
電話だけ、メールだけに頼らず、複数のチャネルを組み合わせたアプローチをシステムで仕組み化しています。
マネーフォワードはウェブ行動データを起点とした自動商談創出で、導入2ヶ月で月100件超の商談を自動生成。PCAはメルマガ配信を起点にした商談化フローを構築し、営業担当者の積極的なフォローアップ文化を醸成しています。
いきなり大規模な組織を構築するのではなく、まず1〜2名から始めて成功体験を積み重ねるアプローチが効果的です。
シャノンは3名で立ち上げ、2年目には4名でアポ獲得数205%成長を達成。PCAは「スモールスタート・スモールサクセス」を掲げ、メルマガ配信という小さな一歩から始めてMRR5倍という大きな成果に繋げました。メ〜テレも業界のタブーに挑戦する中で、まず小さな組織から実績を積み上げています。
インサイドセールスの立ち上げには3〜6ヶ月かかるのが現実です。この期間を「成果が出ない失敗期間」ではなく、「仕組みを作る投資期間」と捉える経営層の理解が不可欠です。
成功事例を自社に応用するために、以下のチェックリストを活用してください。
ただし、他社の事例をそのまま真似しても成果は出ません。自社の商材特性、ターゲット企業の規模、営業サイクルの長さ、チームの成熟度に応じた「自社に最適な設計」が重要です。
| 失敗パターン | 内容 | 回避策 | 参考事例 |
|---|---|---|---|
| ISを「テレアポ部隊」として設置 | コール数だけを追い、質を無視した運用。ISもFSも疲弊する | KPIにアポの質(有効商談率・受注率)を含める。FORCASのように「質」にシフトする | FORCASの初期課題 |
| ツール導入なしで始める | Excel管理で活動ログが残らない。改善のためのデータが取れない | CRM/MAを導入してからIS活動を開始。PCAのようにスモールスタートでもツール先行 | PCAの成功要因 |
| IS/FSの連携設計なしで分業 | 部門間の壁ができて対立が発生。「ISが取ったアポは質が低い」という不信感 | SLAの策定と定期ミーティングを必須に。ビズリーチのフェーズ管理のように受け渡し基準を明確化 | FORCASの初期課題 |
Sansan、ビズリーチ、マネーフォワード、FORCAS、ラクス、シャノン、PCA、メ〜テレ――これらの成功事例に共通するのは、CRM/MAの徹底活用、明確なKPI/SLA設計、IS/FSの連携ルール整備の3点です。華やかな成果の裏には、地道なデータ管理と組織設計があります。
特に重要なのは以下の3つの考え方です。
自社の課題に最も近い事例を参考に、まずは小さく始めて成功体験を積み重ねていきましょう。
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