「提案中の案件がどのフェーズにあるか、担当者しか把握していない」「プロジェクトごとのナレッジが個人に蓄積されて、組織の資産になっていない」「営業活動とデリバリーの情報が分断している」——コンサルティング会社からは、こうした課題をよくお聞きします。
コンサルティング会社におけるHubSpot活用とは、提案営業からプロジェクト管理、ナレッジ共有まで、コンサルティングビジネス特有のバリューチェーンをCRM上で一元化し、営業とデリバリーの連携を強化する設計手法です。
この記事では、当社StartLinkもコンサルティング会社としてHubSpotを自社利用している経験を踏まえ、コンサル業界特有の設計ポイントを解説します。
コンサルティング会社では、案件ごとに提案内容が異なり、営業プロセスも長期化しやすいです。Excelで案件管理をしていると、いつの間にか情報が古くなっていたり、担当者の異動で引き継ぎがうまくいかなかったりします。
| コンサル業の課題 | HubSpotで実現できること |
|---|---|
| 提案案件の全体像が見えない | パイプラインで進捗をリアルタイムに可視化 |
| 営業活動が属人的 | シーケンスとテンプレートで提案プロセスを標準化 |
| ナレッジが個人に閉じている | CRM上の活動記録 + ナレッジベースで組織化 |
| リピート受注の機会を逃している | ライフサイクルステージで顧客の状態を管理 |
| 受注後のデリバリー情報が営業に共有されない | プロジェクトの進捗をCRM上で連携 |
当社でも、問い合わせいただいてからリサーチしてアプローチメールを考えるときにはHubSpotの機能を活用していますし、自社のCRM管理も当然HubSpotで行っています。
コンサルティングの営業は、商品の「販売」ではなく「提案」が中心なので、一般的なB2B営業とはパイプラインの設計が異なります。
リード獲得 → 課題ヒアリング → 提案書作成 → プレゼン → 条件交渉 → 契約 → キックオフ
| ステージ | 受注確度 | 必須入力項目 |
|---|---|---|
| リード獲得 | 5% | 流入経路、想定課題 |
| 課題ヒアリング | 15% | 課題の詳細、予算感、決裁者 |
| 提案書作成 | 30% | 提案書リンク、見積金額、提案範囲 |
| プレゼン | 50% | プレゼン日、参加者、反応メモ |
| 条件交渉 | 70% | 交渉論点、競合有無 |
| 契約 | 95% | 契約金額、プロジェクト期間、PM担当 |
| キックオフ | 100% | キックオフ日、チームメンバー |
自社に最適なパイプラインを設計するというところが結構ミソになってきます。コンサル会社の場合、特に「課題ヒアリング」から「提案書作成」の段階で受注確度が大きく変わるので、ここの定義をしっかりしておくことがフォーキャストの精度向上に直結します。
コンサルの営業では、失注理由の分析が提案力の向上に直結します。失注理由をカテゴリ分類(価格/提案内容/タイミング/競合/社内決裁等)しておくと、組織としての改善点が見えてきます。
例えば、「価格」での失注が多いのか、「提案内容」での失注が多いのかで、次の打ち手がまったく変わります。この分析をレポートで円グラフ化すると、経営会議でも議論しやすくなります。
受注後のプロジェクトデリバリーには、Service Hubのチケットパイプラインを活用します。
キックオフ → 調査・分析 → 中間報告 → 最終報告 → 検収 → 完了
取引(営業案件)とチケット(プロジェクト)を関連付けることで、営業チームもデリバリーの進捗を確認でき、次の提案タイミングを逃さなくなります。
取引が「契約」ステージに移行したら、以下を自動実行します。
一部システムで解決できない部分は運用面で解決する形になりますが、初期のタスク生成と通知はワークフローで十分に自動化できます。
コンサルティング会社にとって、過去のプロジェクト知見は最大の資産です。以下のようにCRM上でナレッジを蓄積する設計が重要です。
| 蓄積対象 | HubSpotでの管理方法 |
|---|---|
| 提案書テンプレート | ドキュメント機能で管理・共有 |
| プロジェクト成果物 | 取引/チケットへの添付ファイル |
| 顧客課題のパターン | カスタムプロパティ(課題カテゴリ) |
| 業界知見 | ナレッジベース記事(社内向け) |
| ミーティング議事録 | AI議事録で自動記録 |
HubSpotの中だけで全部完結しているので、外部のナレッジ管理ツールを別途買わなくてもかなりの範囲をカバーできます。AI議事録機能を使えば、クライアントとのミーティング内容が自動的にCRMに取り込まれるので、あとから「あの打ち合わせで何を話したっけ」と探す手間がなくなります。
スマートプロパティを使えば、AIがウェブリサーチでクライアント企業の情報を自動取得してくれます。まずミニマムで従業員数・事業内容・資本金だけ入れるだけでかなり業務効率化できます。提案前のリサーチ工数を大幅に削減できるのがポイントです。
コンサルティングビジネスでは、一度受注したクライアントからのリピート・追加受注が収益の安定に直結します。
リード → 提案中 → プロジェクト中 → 完了顧客 → 休眠顧客 → 掘り起こし
プロジェクト完了後に「完了顧客」ステージに自動移行させ、3ヶ月後に「休眠顧客」にならないようナーチャリングメールを自動配信する仕組みが効果的です。
プロジェクト完了後のフォローアップにシーケンスを活用します。
コンサルティング会社のHubSpot活用は、提案営業の可視化・プロジェクト管理との連携・ナレッジの組織化の3つが柱です。
まずは営業パイプラインの設計と基本的な案件管理から始めて、段階的にプロジェクト管理の統合やナレッジベースの構築に拡張していくのがおすすめです。
CRMにデータが蓄積されるほど、提案の精度が上がり、リピート受注の機会も増えていきます。スモールスタートで始めて、自社のコンサルティングプロセスに合わせた形で仕組みを整えていただければなと思います。
「コンサル会社のCRM設計を相談したい」「営業とデリバリーの連携を強化したい」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
基本的な進捗管理はチケットパイプラインで可能ですが、ガントチャートや詳細なタスク管理が必要な場合はBacklogやAsanaなどの専用ツールとの併用が現実的です。CRMでは営業・顧客管理を軸に、プロジェクトの概要レベルの管理を行う設計がおすすめです。
ドキュメント機能でテンプレートの管理・共有が可能です。提案書の閲覧状況(いつ・誰が開いたか)も追跡できるので、フォローのタイミングを判断する材料になります。
5名以下でも、営業情報の属人化防止と、過去のプロジェクト知見の蓄積のためにCRM導入のメリットはあります。Starterプランから始められるので、コスト面のハードルも低いです。
規模が50名を超えてくると、Salesforceの方がフィットするケースもあります。ただし、中小規模のコンサル会社であれば、HubSpotの方がコスト面でも立ち上がりの速さでも有利です。HubSpotのStarterから始めて、将来的にSalesforceに移行するパスもあります。