「HubSpotの導入を検討しているが、投資に見合う成果が出るのか不安」「経営層にROIを示して稟議を通したい」——こうした課題は、CRM・MAツールの導入を検討するタイミングで必ず出てくるテーマです。
HubSpot導入のROI(費用対効果)とは、HubSpotへの投資額に対して得られるリターン(売上向上・コスト削減・業務効率化)の比率です。ROIの計算式は「(リターン − 投資額)÷ 投資額 × 100」で算出します。HubSpotの場合、ツール費用だけでなく導入・運用コストを含めたTCO(総所有コスト)で評価することが重要です。
この記事では、HubSpot導入のROIを「コスト削減」と「売上向上」の2つの視点から検証し、具体的な試算シナリオを紹介します。
ROI(%)=(年間リターン − 年間投資額)÷ 年間投資額 × 100
HubSpot導入のROIを正しく計算するには、以下の要素を整理する必要があります。
投資額(コスト)側:
| コスト要素 | 内容 |
|---|---|
| ツール費用 | HubSpotの月額/年額ライセンス料 |
| 導入費用 | 初期設定、データ移行、パートナー支援費 |
| 運用人材コスト | MA/CRM運用に関わる人件費の増分 |
| トレーニング費用 | 社内教育、HubSpot Academy活用コスト |
| 外部連携費用 | iPaaS、追加アプリの費用 |
リターン(効果)側:
| 効果の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 売上向上 | リード増加、商談化率改善、受注率向上 |
| コスト削減 | ツール統合、手作業削減、外注費削減 |
| 業務効率化 | 自動化による時間削減、レポート作成の効率化 |
| データ資産化 | 顧客データの蓄積による意思決定の精度向上 |
出典: HubSpot (hubspot.jp/pricing)
HubSpotの導入により、以下のような複数ツールを1つのプラットフォームに統合できる場合があります。
| 置き換え対象 | 月額目安 | HubSpotでの代替 |
|---|---|---|
| MA単体ツール | 5〜15万円 | Marketing Hub |
| メール配信ツール | 1〜5万円 | Marketing Hub |
| フォーム/LPツール | 1〜3万円 | Marketing Hub / Content Hub |
| CRM/SFA | 5〜15万円 | Sales Hub(CRMは無料) |
| カスタマーサポートツール | 3〜10万円 | Service Hub |
| CMSツール | 1〜5万円 | Content Hub |
| チャットボットツール | 1〜5万円 | Service Hub |
例えば上記のツールをバラバラに導入している場合、月額20〜50万円程度かかっているケースも珍しくありません。HubSpot ProfessionalのCRM Suite(各Hub Professional)に統合することで、年間で100〜300万円のツール統合コスト削減が見込める場合があります。
スプレッドシートでの管理や手動でのデータ入力に費やしている時間をワークフローで自動化することで、大幅な工数削減が期待できます。
| 自動化対象 | 月間削減時間(目安) | 人件費換算(時給3,000円) |
|---|---|---|
| リードの手動振り分け | 10〜20時間 | 3〜6万円 |
| ステータス更新・通知 | 5〜10時間 | 1.5〜3万円 |
| レポート作成 | 10〜20時間 | 3〜6万円 |
| メール配信の設定・管理 | 5〜15時間 | 1.5〜4.5万円 |
| データ入力・更新 | 10〜20時間 | 3〜6万円 |
合計で月40〜85時間、年間で150〜300万円相当の人件費削減が見込まれます。これは営業やマーケの担当者が本来の業務(顧客対応や戦略立案)に集中できる時間が増えるという意味でもあります。
HubSpotのContent Hubを活用してブログ・LP・ウェブページを内製化すると、外注コストを削減できます。通常こうした制作を業者に頼むと高かったりしますが、ノーコードで内製化できるのが良い点です。
| 制作物 | 外注費(1件あたり) | 内製化後 |
|---|---|---|
| LP制作 | 10〜30万円 | 社内で作成 |
| ブログ記事 | 3〜10万円 | 社内で作成 |
| メールテンプレート | 3〜5万円 | 社内で作成 |
月4本のブログ記事と月1本のLP制作を内製化した場合、年間で200〜500万円の外注費削減が見込めます。
HubSpotのフォーム、LP、ブログ、SEOツールを活用することで、オーガニック流入やコンバージョンを改善できます。
導入事例では、導入後約6ヶ月でCV数が約400件に到達し、1年後にはオーガニック流入が5.6倍に増加したケースも報告されています。
リードを獲得しただけでは売上にはつながりません。ワークフローによるステップメール、スコアリングによるホットリード抽出、シーケンスによる営業アプローチを組み合わせることで、商談化率を改善できます。
シーケンスの運用数値感としては、100名に登録してその中で10案件が商談化し、その中から2件受注するといったイメージです。
パイプラインの適切な設計(ステージ・角度・定義・必須プロパティの4要素)により、営業プロセスを標準化し、受注率を向上させることができます。
また、必須入力プロパティの設定は、新人が何を確認・入力すべきかを教えるツールとしても機能し、人材育成の副次効果もあります。
以下は、月間リード数100件の中堅BtoB企業を想定した試算です。
HubSpot導入前:
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 月間リード数 | 100件 |
| MQL化率 | 15% |
| 商談化率 | 20% |
| 受注率 | 25% |
| 平均受注単価 | 200万円 |
| 月間受注額 | 150万円(100×15%×20%×25%×200万=150万) |
HubSpot導入後(6ヶ月〜1年後目標):
| 指標 | 数値 | 改善率 |
|---|---|---|
| 月間リード数 | 150件 | +50% |
| MQL化率 | 25% | +10pt |
| 商談化率 | 30% | +10pt |
| 受注率 | 30% | +5pt |
| 平均受注単価 | 200万円 | 変更なし |
| 月間受注額 | 675万円 | +350% |
差額:675万 − 150万 = 月間525万円の売上増(年間6,300万円)
もちろんこれは理想的なシナリオであり、実際の改善幅は企業様によって異なります。ただし、ファネルの各段階のCVRをそれぞれ少しずつ改善するだけでも、掛け算の効果で最終的な受注額は大きく変わります。これがBtoBマーケティングにおけるROIの考え方で、結構ミソになってくる部分です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月額料金 | 1,800円×3シート = 約6,000円 |
| 年間ツール費用 | 約72,000円 |
| 導入費用 | ほぼゼロ(セルフセットアップ) |
| 年間TCO | 約10万円 |
創業時のコスパは非常に高く、法人CRMでここまで安くて高機能なものはなかなかないかなと思います。スプレッドシートよりも手軽に事業運営ができます。
回収期間の目安:1〜2ヶ月(手作業削減の効果だけでも回収可能)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月額料金(CRM Suite Pro) | 約20〜30万円 |
| 年間ツール費用 | 約240〜360万円 |
| 導入費用(パートナー支援) | 50〜150万円 |
| 運用人材(増分) | 50〜100万円 |
| 年間TCO | 約350〜600万円 |
回収ライン:年間で350〜600万円以上のリターン(コスト削減+売上向上)が必要
前述のコスト削減効果(ツール統合100〜300万+自動化150〜300万+内製化200〜500万)だけでも、多くの企業で投資回収が見込める計算になります。売上向上効果を加えると、ROI 200〜500%も十分に現実的です。
回収期間の目安:6ヶ月〜1年
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月額料金 | 50〜100万円以上 |
| 年間ツール費用 | 600〜1,200万円 |
| 導入費用 | 100〜300万円 |
| 運用人材 | 100〜200万円 |
| 年間TCO | 約800〜1,700万円 |
Enterprise投資は大きいですが、カスタムオブジェクト・権限管理・サンドボックスなどの機能により、大規模な組織運用が可能になります。100社〜200社超の顧客を管理するカスタマーサクセス機能や、プロパティの権限制御など、規模が大きくなってこそ価値を発揮する機能です。
回収期間の目安:6ヶ月〜1年半
稟議を通すためには、以下のフレームワークで試算を整理すると効果的です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| A. 年間投資額(TCO) | ○○万円 |
| B. コスト削減効果 | |
| B-1. ツール統合 | ○○万円 |
| B-2. 自動化による工数削減 | ○○万円 |
| B-3. 内製化による外注費削減 | ○○万円 |
| B合計 | ○○万円 |
| C. 売上向上効果 | |
| C-1. リード増加による売上増 | ○○万円 |
| C-2. CVR改善による売上増 | ○○万円 |
| C合計 | ○○万円 |
| D. 年間リターン(B+C) | ○○万円 |
| ROI =(D−A)÷ A × 100 | ○○% |
このテンプレートに自社の数値を当てはめることで、具体的なROI試算が可能です。
HubSpot導入の効果が本格的に現れるまでには、通常3〜6ヶ月の立ち上げ期間が必要です。特にコンテンツマーケティング(SEO・ブログ)の効果は6ヶ月〜1年かけて積み上がっていきます。
CRMにデータが蓄積されるほど、スコアリングの精度が上がり、レポートの信頼性が高まり、AI機能の効果も向上します。初期の数ヶ月はデータ蓄積期間と割り切って、地道にデータを入力することが重要です。
HubSpotは強力なツールですが、それだけで成果が出るわけではありません。コンテンツの質、営業プロセスの設計、組織の運用体制が揃って初めてROIが最大化されます。
HubSpot導入のROIは、「コスト削減」と「売上向上」の両面から評価します。
まずはStarterプランやCRMの無料版でスモールスタートし、効果を確認しながら段階的に投資を拡大していくアプローチがおすすめです。データが蓄積されるほどROIは向上していきますので、早めに始めることが最大のリターンにつながります。
はい、CRMの基本機能(コンタクト管理・パイプライン管理・メールトラッキング)は無料で利用できるため、スプレッドシート管理からの脱却による業務効率化だけでもROIは出ます。本格的なMA機能によるROIを求める場合はProfessional以上のプランが必要です。
コスト削減効果は導入直後から見えやすいですが、売上向上効果が本格化するまでには3〜6ヶ月かかるのが一般的です。コンテンツマーケティング(SEO・ブログ)の効果は6ヶ月〜1年で積み上がっていきます。
はい、スタータープランは月1,800円(1シート)から始められるため、投資額が小さい分、ROIは比較的出やすいです。3名で利用しても月6,000円程度なので、手作業の削減効果だけでも1〜2ヶ月で回収可能です。
「ツール費用」だけでなく「TCO(総所有コスト)」で投資額を算出し、「コスト削減」と「売上向上」の両面でリターンを示すのが効果的です。特に「ファネルの各CVRを少しずつ改善するだけで、掛け算で大きな売上増になる」という構造を数値で見せると説得力が高まります。
同一条件でTCOを比較してください。HubSpotはCRM標準搭載・無料シート・HubSpot Academy(無料トレーニング)があるため、TCOベースで見るとコストメリットが大きいケースが多いです。ただし、既にSalesforceに大きく投資している企業の場合は、移行コストも含めて総合的に判断する必要があります。