「マーケティングコンタクトの上限に近づいているという通知が来たけど、何を対処すればいいかわからない」「気づいたらコンタクト数が増えて追加費用が発生していた」——HubSpotを運用していると、多くの管理者がこの課金体系に頭を悩ませます。
HubSpotのマーケティングコンタクトとは、マーケティングツール(マーケティングEメール、広告、ワークフローのマーケティングアクションなど)を通じてエンゲージメントする対象のコンタクトであり、HubSpotのサブスクリプション料金に影響するカウント対象です。 マーケティング対象外のコンタクトはCRMに無制限で保存でき、課金対象にはなりません。
この記事では、マーケティングコンタクトの仕組みを正しく理解し、コストを最適化するための具体的な方法を解説します。
この記事でわかること:
マーケティングコンタクトとは、HubSpotのマーケティングツールの対象としてカウントされるコンタクトです。以下のマーケティングアクションの対象になるコンタクトが該当します:
| 項目 | マーケティングコンタクト | マーケティング対象外コンタクト |
|---|---|---|
| 課金 | カウント対象(上限あり) | カウント対象外(無制限) |
| マーケティングEメール送信 | ○ | × |
| 広告オーディエンス | ○ | × |
| CRM機能(閲覧・編集・管理) | ○ | ○ |
| セールスメール(1:1) | ○ | ○ |
| シーケンス | ○ | ○ |
| レポート・分析 | ○ | ○ |
ここが結構ミソになってくるのですが、マーケティング対象外のコンタクトでもCRMの全機能は使えます。課金対象になるのは「マーケティングEメールを送る」「広告オーディエンスに含める」などのマーケティングアクションの対象にするコンタクトだけです。
例えば、2,000名でミニマムでご契約いただいたときに、その中の3名分だけが今マーケティングコンタクトですよ——という状態も可能です。残りの1,997名はCRMに保存されていますが、マーケティングコンタクトとしてはカウントされません。
出典: HubSpot (hubspot.jp/pricing)
HubSpotのMarketing Hubは、マーケティングコンタクト数に応じたティア(契約段階)で料金が設定されています。
| ティア例 | マーケティングコンタクト数 | 追加コスト目安 |
|---|---|---|
| 基本 | 2,000件 | プラン基本料金に含む |
| +1,000件 | 3,000件 | 追加料金発生 |
| +3,000件 | 5,000件 | 追加料金発生 |
| +5,000件 | 7,000件 | 追加料金発生 |
マーケティングコンタクト数が現在の契約ティアの上限を超えると、アカウントは自動的に次のティアにアップグレードされ、次回更新日までの日割り料金が発生します。
重要な点:
この非対称性が結構重要です。増やすのは即時ですが、減らすのは月1回しかできません。つまり、意図せずマーケティングコンタクトが増えてしまった場合、即座にカウントが増加して追加費用が発生するリスクがあります。
急な増加に備えてバッファを持つことが最も重要なコスト管理策です。マーケティングコンタクト数を契約上限の7-8割程度にとどめるよう管理しましょう。
例えば、2,000件の契約であれば1,400-1,600件を目安にします。
以下のコンタクトは、マーケティング対象外に変更してカウントから外しましょう。
マーケティングEメールの開封が90日間ないコンタクトは、自動的にマーケティング対象外にするルールを設けるのが一つの基準です。
マーケティングコンタクトの管理を手動で行うのはなかなかにしんどいので、ワークフローで自動化することを強くおすすめします。
トリガー: フォーム送信時
条件: 競合ドメインでない AND 社内ドメインでない
アクション: マーケティングコンタクトに設定
トリガー: 以下のいずれかに該当
アクション: マーケティング対象外に設定
リードとしてフォーム送信されたら社内に通知を飛ばしたりとか営業担当を割り当てる。必要ないマーケティングコンタクトについては対象を外にしていく。手動で毎回コントロールしなくても、課金に関しては一定に抑えられるようになります。
不要なコンタクトがそもそもマーケティングコンタクトとして登録されないよう、フォームの段階でフィルタリングします。
フリーアドレスのドメインはダメとか競合のドメインはブロックしたいという設定が、HubSpotのフォーム機能で可能です。
四半期に1回、以下のクレンジングを実施しましょう。
請求先メールの「0102」が0.91%しか使われていない——こうした低利用率のプロパティやコンタクトを発見するために、データ品質ダッシュボードを定期的に確認する習慣をつけましょう。
以下のレポートをダッシュボードに設置し、常にコンタクト数を監視しましょう。
| レポート | 内容 | 確認頻度 |
|---|---|---|
| マーケティングコンタクト数の推移 | 月次のコンタクト増減トレンド | 週次 |
| 契約上限に対する利用率 | 現在のコンタクト数/契約上限 | 週次 |
| 新規マーケティングコンタクト(ソース別) | どのチャネルからコンタクトが増えているか | 月次 |
| エンゲージメントなしコンタクト数 | 90日間未開封のコンタクト数 | 月次 |
ワークフローで、マーケティングコンタクト数が契約上限の80%に達したら管理者に通知を送る仕組みを設定しておくと、急な超過を防げます。
コンタクトをCSV/Excelで一括インポートする際、デフォルトでマーケティングコンタクトに設定されることがあります。大量のコンタクトをインポートする場合は、事前にマーケティングコンタクトとして設定するかどうかを確認してください。
インポート前にワークフローが発火する可能性も含めて、事前チェックを行うことをおすすめします。
ワークフローのアクションに「マーケティングEメールを送信」が含まれている場合、対象コンタクトが自動的にマーケティングコンタクトに設定されます。ワークフローを新規作成する際は、対象コンタクトの数と課金への影響を事前に確認しましょう。
マーケティングコンタクト数のティアが上がった場合、年間契約中はダウングレードできません。契約更新のタイミングで、実際の必要数に合わせてティアを見直しましょう。
HubSpotのマーケティングコンタクト管理は、「理解すれば怖くない、放置すると高くつく」仕組みです。
まずは現在のマーケティングコンタクト数と契約上限を確認し、利用率が80%を超えている場合はクレンジングを実施しましょう。その上で、ワークフローによる自動の対象化・対象外化の仕組みを構築すれば、手動で毎回コントロールしなくても課金を一定に抑えられます。
CRMにデータが蓄積されるほどコンタクト数は増えていきますが、全員にマーケティングメールを送る必要はありません。エンゲージメントの高いコンタクトに絞ってマーケティングコンタクトに設定することで、コストを最適化しながらマーケティング効果を最大化できます。
はい、コンタクトレコードから手動でマーケティングコンタクト/マーケティング対象外に変更できます。ただし、マーケティングコンタクトから対象外への変更は毎月1日にのみ反映されます。逆に、対象外からマーケティングコンタクトへの変更は即時反映されます。
はい、送れます。マーケティング対象外のコンタクトでも、CRMの基本機能(1:1メール送信、シーケンス、電話、ミーティング予約など)はすべて利用可能です。制限されるのはマーケティングEメール(一斉配信)と広告オーディエンスへの登録のみです。
はい、コンタクト自体を削除すればカウントから外れます。ただし、CRMからレコードが完全に削除されるため、過去のアクティビティ履歴も失われます。データを残したい場合は、削除ではなくマーケティング対象外への変更をおすすめします。
はい、無料プランでも月2,000通のマーケティングEメール送信制限があります。ただし、マーケティングコンタクトの「課金」という概念は有償プランに適用されるもので、無料プランでは追加費用は発生しません。有償プランに移行する際にマーケティングコンタクト数のティアが設定されます。
パートナー企業に運用を委託する場合でも、マーケティングコンタクト数の管理責任は自社にあります。委託先にはコンタクトの対象化・対象外化の権限を適切に設定し、月次でコンタクト数のレポートを共有する運用をおすすめします。クレンジングのルール(90日ルールなど)を事前に合意しておくことがポイントです。