「リードは獲得できているのに、なかなか商談につながらない」
「マーケティングが集めたリードを営業が活用できていない」
——リードマネジメントの不備は、マーケティング投資のROIを大きく損なう原因の一つです。
リードマネジメントとは、見込み顧客(リード)の獲得→育成(ナーチャリング)→選別(クオリフィケーション)→商談化→受注の一連のプロセスを体系的に管理・最適化する仕組みです。HubSpotでは、ライフサイクルステージ・リードスコアリング・ワークフロー・パイプラインを組み合わせて、この一気通貫のフローを構築できます。
本記事では、HubSpotでリードマネジメントを設計するための具体的な手順とフレームワークを解説します。
この記事でわかること:
HubSpotでのリードマネジメントは、以下の一気通貫フローで設計します。
リード獲得(フォーム・チャット・広告・展示会)
→ ライフサイクルステージで検討段階を分類
→ リードスコアリングで優先順位付け
→ ナーチャリング(ワークフローでステップメール配信)
→ MQL化(スコア閾値超え → 営業にトス)
→ 営業フォロー(シーケンス or 案件創出エージェント)
→ パイプラインで商談管理
→ 受注 or 失注
→ 失注の場合: 掘り起こしナーチャリングに戻る
個別機能ではなく全体フローとして設計することが、リードマネジメント成功のポイントになってくるかなと思います。
| ステージ | 定義 | 担当部門 |
|---|---|---|
| リード | フォーム送信・名刺交換でCRMに登録された段階 | マーケティング |
| MQL(ホットリード) | スコアリングで一定以上の関心を示したリード | マーケティング → IS |
| SQL | 営業がフォローし、商談化の可能性があると判断したリード | IS → FS |
| 商談 | パイプラインに取引が作成された段階 | 営業(FS) |
| 顧客 | 受注・契約が完了した段階 | カスタマーサクセス |
| アプローチNG | 競合・営業からの問い合わせ等、対象外 | — |
| 失注掘り起こし | 失注後、再ナーチャリング対象 | マーケティング |
「自社にフィットした形でライフサイクルステージをまず定義いただくというところが結構重要」——B2B企業とB2C企業では設計が異なりますし、企業様によって最適な構成は変わります。
「リード数はものすごいいるけど会社ベースで見たら意外と数はないということもある」——コンタクト単位だけでなく会社単位でもライフサイクルステージを管理することで、より正確なリード状況を把握できます。
「1企業に対して3名のリードがいた場合、一番前のステータスの商談が会社のライフサイクルステージになる」というルールを設定するのが一般的です。
リードスコアリングは行動(エンゲージメント)スコア + 属性(適合)スコアの複合で設計します。
「定性的なものは20点まで、ウェブ行動とかを80点MAXにしよう」——行動ベースのスコアを重視する設計が推奨されます。
行動スコア(エンゲージメント): MAX 80点
| 行動 | 配点 | 条件 |
|---|---|---|
| Webページ閲覧(料金ページ) | +10点 | 30日以内 |
| Webページ閲覧(事例ページ) | +5点 | 30日以内 |
| メール開封 | +3点 | 1通あたり |
| メールクリック | +5点 | 1通あたり |
| フォーム送信(資料DL) | +15点 | |
| フォーム送信(デモ希望) | +25点 | |
| ウェビナー参加 | +10点 | |
| 展示会来訪 | +10点 |
属性スコア(適合): MAX 20点
| 属性 | 配点 | 条件 |
|---|---|---|
| 役職(部長以上) | +10点 | |
| 従業員数(50名以上) | +5点 | |
| 業種(ターゲット業種) | +5点 |
| 閾値 | アクション |
|---|---|
| 50点以上 | MQL化(マーケティング → IS/FSにトス) |
| 70点以上 | ホットリード(即座にFSがフォロー) |
| 30点以下(60日間変動なし) | 再ナーチャリングシーケンスに登録 |
閾値は分布を見て調整します。高スコアが大量に出る場合は閾値を上げ、少なすぎる場合は下げるという運用が必要です。
ワークフローでリードの状態に応じたステップメールを自動配信します。
新規リード向けナーチャリングシナリオ例:
| ステップ | タイミング | 内容 |
|---|---|---|
| メール1 | フォーム送信直後 | サービス概要+事例紹介 |
| 遅延 | 5日後 | |
| メール2 | 導入メリット+ホワイトペーパー | |
| 遅延 | 7日後 | |
| 条件分岐 | 開封/未開封で分岐 | |
| メール3(開封者) | ウェビナー案内+デモ提案 | |
| メール3(未開封者) | 件名を変えて再送 |
「メールを送った後にすぐ開封か未開封か判断すると即座に開封する人はほぼいないので、遅延を入れるのが結構重要」——条件分岐の前には必ず遅延(2〜3日)を入れましょう。
失注は「終わり」ではなく「再アプローチの起点」です。
ライフサイクルステージが「失注掘り起こし」になったらメール3通を自動配信(5日→7日→3日間隔)+ ウェビナー案内。失注掘り起こしのワークフローでは、ステージの逆行(通常は不可)を2ステップで実現します。
| トリガー | アクション |
|---|---|
| スコアが50点を超えたらMQL化 | 営業担当者に自動割り当て+Slack通知 |
| フォーム送信(デモ希望) | 即座にSQLとして営業にトス |
| フォーム送信(競合ドメイン) | 自動で「アプローチNG」に分類 |
| 方法 | 適するケース |
|---|---|
| シーケンス | 固定テンプレートの3通メール、数十〜300名規模。「新卒でもベテラン並みのアプローチが可能」 |
| 案件創出エージェント | AIリサーチ→パーソナライズメール、大量アウトバウンド。「100件でも濃いメールが送れる」 |
| 自分で書く | 大型案件(数百万〜数千万)。「しっかりリサーチして文章は自分で書く」 |
| KPI | 計算式 | 目標値(目安) |
|---|---|---|
| MQL化率 | MQL数 ÷ 全リード数 | 10-20% |
| SQL化率 | SQL数 ÷ MQL数 | 30-50% |
| 商談化率 | 商談数 ÷ SQL数 | 50-70% |
| 受注率 | 受注数 ÷ 商談数 | 20-30% |
| リード→受注変換率 | 受注数 ÷ 全リード数 | 1-5% |
| リードの平均滞留期間 | 各ステージの滞留日数 | ステージにより異なる |
リードマネジメントは、個別機能の積み上げではなく一気通貫の全体フローとして設計することが成功の鍵です。
設計のポイント:
まずはライフサイクルステージの設計から始めて、ナーチャリングの全体フローを構築しましょう。CRMにデータが蓄積されるほど、スコアリングの精度が上がり、より効果的なリード育成戦略を立てられるようになります。
A. 基本的なスコアリングはProfessionalプラン以上で利用可能です。無料・Starterプランではスコアリング機能は使えませんが、ビュー(フィルター)を使ったリードの手動選別は可能です。
A. まずは50点をMQL化の閾値として設定し、1〜2ヶ月運用してみてください。高スコアリードが多すぎる場合は閾値を上げ、少なすぎる場合は下げて調整します。
A. MQL→SQLの引き渡し基準を数値(スコア閾値)で定義し、両部門で合意することが最も効果的です。定期的に「MQLの中で何%が商談化したか」をレビューし、基準を改善していきましょう。
A. 手動でのフォローは現実的ではないため、ワークフローによるナーチャリング自動化とリードスコアリングによる優先順位付けが必須になります。高スコアリードのみを営業がフォローし、それ以外はナーチャリングで育成する仕組みを構築してください。