企業の問い合わせ対応で、こんな課題を感じたことはないでしょうか。サポート用の共有メールアドレスに届いた問い合わせを、誰が対応するのか毎回社内チャットで確認しています。対応漏れや二重返信が起きます。過去のやり取り履歴が個人のメールボックスに散らばっていて、担当者が変わると引き継ぎができません。
HubSpotの「受信トレイ」機能は、こうした共有メール管理の問題をまるごと解決します。Gmail・Outlook・Messenger・フォーム・電話など、あらゆる顧客接点を一つの画面に集約し、チームで分担して対応できる仕組みです。
この記事では、HubSpot受信トレイの基本概念から、実際の設定手順、メール返信のワークフロー、CRMとの連携活用まで、実画面を使って徹底解説します。
HubSpotの受信トレイは、チームで共有するコミュニケーション管理ツールです。個人のGmailやOutlookの受信ボックスとは別に、support@やinfo@のような共有メールアドレスをHubSpotに接続し、チーム全員が同じ画面で問い合わせを確認・対応できます。
多くの企業では、共有メールアドレスに届いた問い合わせを以下のように処理しています。
この運用では、対応漏れ・二重返信・履歴の散逸が避けられません。HubSpotの受信トレイを使えば、問い合わせ単位で担当者を割り当て、対応状況をリアルタイムで共有し、すべてのやり取りをCRMに記録できます。
受信トレイには以下のチャネルを接続できます。
従来はメールはメールボックス、MessengerはMessenger、電話は電話と、それぞれ別々に管理していたコミュニケーションを一元化できるのが最大の強みです。
実際にメールが届いてから対応を完了するまでの流れを見ていきましょう。
共有メールアドレスに問い合わせが届くと、HubSpotの受信トレイに自動的に表示されます。左側のメールリストから該当のメールを選択すると、右側に本文が表示されます。
通常の受信ボックスと同じ感覚で操作でき、送信元のメールアドレス、件名、本文がすべて確認できます。ここで重要なのは、このメールをチームの誰が対応するかを明確にできる点です。
受信したメールに対して、チーム内で担当者を割り振ることができます。メール画面の下部には「メール」と「コメント」の切り替えがあります。
コメント機能は社内向けの連絡用です。「このメールは私が対応します」といった内容をコメントとして投稿すると、メンション(@指名)で特定のメンバーに通知できます。顧客には見えない社内コミュニケーションなので、対応方針の相談にも使えます。
担当者が決まったら、受信トレイから直接メールを返信します。
返信時には以下のポイントがあります。
返信メールは共有アドレスから送信されるため、顧客からは個人メールではなくサポートチームとしての返信に見えます。
問い合わせへの対応が完了したら、「コミュニケーションクローズ」ボタンで処理を終了します。クローズされたメールは「クローズ済み」カテゴリに移動し、未対応の問い合わせだけがオープンリストに残ります。
これにより、対応漏れを防ぎ、チーム全体の処理状況を可視化できます。
HubSpotの受信トレイが他のメール管理ツールと決定的に異なるのは、CRMとの完全な連携です。
受信トレイでメールを開くと、右側のパネルに送信者のコンタクト情報が自動表示されます。姓名、メールアドレス、電話番号、所属会社などの基本情報に加え、過去のやり取り履歴もすべて確認できます。
受信トレイでやり取りした内容は、すべてコンタクトのアクティビティ(タイムライン)に自動記録されます。つまり、受信トレイで返信した内容は、そのコンタクトの画面からも確認できます。
担当者が変わった場合でも、過去のやり取りを遡って確認できるため、引き継ぎの手間が大幅に減ります。
HubSpotではコンタクトのウェブサイト閲覧履歴も追跡できます。問い合わせが来た際に、そのコンタクトがどのページを閲覧したかを確認することで、問い合わせの背景を推測でき、より的確なサポートが可能になります。
たとえば、料金ページと導入事例ページを見た後に問い合わせが来た場合、購入検討段階にあると判断して営業にエスカレーションする、といった運用ができます。
ここからは、受信トレイの初期セットアップ手順を解説します。
HubSpotの設定画面(歯車アイコン)から「受信トレイ」セクションに移動します。現在接続されているチャネルの一覧が表示されるので、「チャネルを接続」をクリックして新しい接続を追加します。
接続できるチャネルの種類は以下の通りです。
共有アドレスがGmailの場合、Googleアカウントで認証するだけで接続が完了します。Outlookの場合も同様に、Outlookアカウントで認証すればよいです。
Googleアカウントを持たない共有メールアドレス(独自ドメインのメールサーバーで運用しているケースなど)の場合は、「その他のメールアカウント」を選択します。
この場合、メールの転送設定が必要になります。HubSpotが発行する転送先アドレスに対して、共有メールアドレスからの受信メールを転送するよう設定します。具体的には以下の手順です。
この転送設定が完了すれば、共有メールアドレスに届いたメールがリアルタイムでHubSpotの受信トレイにも表示されるようになります。
チャネル接続後、メールの自動割り当てルールを設定できます。新しい問い合わせが届いた際に、特定の担当者やチームに自動で割り振ることが可能です。これにより、メールが届くたびに「誰が対応する?」と確認する手間がなくなります。
受信トレイでは、メールのステータスに応じたビューが用意されています。
通常のメールボックスと同じ感覚でフィルタリングできるため、チーム全体の対応状況を一目で把握できます。
HubSpotの受信トレイは、以下のような部門・用途で特に効果を発揮します。
サポート用共有メールアドレスに届く技術的な問い合わせ、不具合報告、使い方の質問などを一元管理します。チケット機能と組み合わせれば、対応状況の可視化とSLA管理まで可能です。
営業用の共有メールアドレス(sales@など)に届く問い合わせを、営業メンバーに均等に割り振ります。CRMとの連携により、問い合わせ元の企業情報や過去の商談履歴をすぐに確認できます。
契約関連の問い合わせや法務相談などを、チームで共有・管理します。対応履歴がすべてCRMに残るため、コンプライアンス上も安心です。
HubSpotには受信トレイの上位機能として「ヘルプデスク」があります。受信トレイとヘルプデスクの違いを整理しておきましょう。
| 機能 | 受信トレイ | ヘルプデスク |
|---|---|---|
| プラン要件 | 全プラン利用可能 | Service Hub Professional以上 |
| メール一元管理 | 対応 | 対応 |
| チケット管理 | 基本的な管理 | 高度なチケット管理・SLA設定 |
| 自動割り当て | 対応 | 高度なルーティング |
| AIエージェント | 非対応 | 対応(ナレッジベース連携) |
| レポート・分析 | 基本的 | 詳細なサービス分析 |
受信トレイは追加のプラン契約なしで利用できるため、まずは受信トレイで共有メール管理を始め、サポート業務が本格化した段階でService Hubのヘルプデスクに移行するのが合理的です。
HubSpotの受信トレイは、共有メールのブラックボックス化を解消し、チーム全体の対応品質を底上げする機能です。ポイントを整理します。
共有メールの管理に課題を感じている企業は、まずグループメールアドレス1つをHubSpotの受信トレイに接続してみることをお勧めします。設定は10分程度で完了し、即日からチームでの共有管理を始められます。