HubSpot - AI Studio|HubSpotと生成AIの技術特化メディア

HubSpot導入完全ガイド|準備・初期設定・データ移行・社内展開のステップを総まとめ

作成者: 今枝 拓海|1970/01/01 0:00:00

「HubSpotを導入したいが、何から手をつければいいかわからない」「初期設定で失敗して、後から修正が大変になるのが怖い」「既存のExcelデータをどうやってHubSpotに移行すればいいのか」——HubSpot導入を検討・決定した企業が最初に直面する課題は、まさにこの「始め方」かなと思います。

HubSpotの導入は、単にアカウントを開設して使い始めるだけではなく、導入目的の明確化・プロパティ設計・データ移行・ユーザー権限設定・社内展開まで含めた一連のプロセスです。ここの設計をしっかり行うことで、スムーズな立ち上がりと長期的な活用基盤を構築できます。

この記事では、HubSpot導入の全プロセスを6つのフェーズに分けて、実務に即したステップバイステップで解説します。


この記事でわかること

  • 導入前の準備と目的整理の方法
  • アカウント開設と初期設定の手順
  • プロパティ(項目)設計のベストプラクティス
  • 既存データのインポート・移行方法
  • ユーザー設定と権限管理
  • 社内展開とトレーニングの進め方
  • 導入後の運用定着のコツ

HubSpot導入の全体像:6つのフェーズ

HubSpot導入は、以下の6つのフェーズで進めます。

フェーズ 内容 目安期間
Phase 1 導入準備・目的整理 1〜2週間
Phase 2 アカウント開設・初期設定 1〜3日
Phase 3 プロパティ・パイプライン設計 1〜2週間
Phase 4 データ移行(インポート) 1〜2週間
Phase 5 ユーザー設定・権限管理 2〜3日
Phase 6 社内展開・トレーニング 2〜4週間

全体で1〜2ヶ月程度を目安にしていただくと良いですが、スモールスタートであれば2〜3週間で基本運用を開始できるケースもあります。


Phase 1: 導入準備・目的整理

導入目的を明確にする

HubSpot導入で最初にやるべきことは、「なぜHubSpotを導入するのか」を明確にすることです。ここが曖昧なまま進めると、後々「結局何に使うツールなの?」という状態になりかねません。

よくある導入目的の例:

  • 営業プロセスの可視化・標準化
  • リード管理の一元化(Excelからの脱却)
  • マーケティングオートメーションの実現
  • 営業とマーケティングの連携強化
  • カスタマーサクセスの仕組み化
  • レポート・ダッシュボードによるデータドリブンな経営判断

現状の棚卸し

導入前に以下を整理しておくと、設計がスムーズに進みます。

  • 現在の顧客管理方法: Excel / スプレッドシート / 他CRM / 紙
  • 管理している情報: コンタクト数、会社数、項目数
  • 現在の営業プロセス: どのようなステージで商談を管理しているか
  • 利用予定のHub: Sales Hub / Marketing Hub / Service Hub / Content Hub
  • 利用予定人数: 有償シートと「表示のみ」シートの内訳

プラン選定

プラン移行のトリガー 判断ポイント
無料からStarter コンタクト1,000件超、カスタムプロパティ11個以上、HubSpotロゴ削除
StarterからProfessional ワークフロー + カスタムレポートが必要
ProfessionalからEnterprise カスタムオブジェクト、権限セット、サンドボックスが必要

まずは無料またはStarterプランから始めて、必要に応じてアップグレードする段階的なアプローチをお勧めします。


Phase 2: アカウント開設・初期設定

アカウント開設

  1. HubSpot公式サイト(hubspot.com)にアクセス
  2. 「無料で始める」またはプラン選択から登録
  3. メールアドレスの確認・アカウント情報の入力

基本設定(歯車マークから設定)

設定項目 内容 推奨設定
言語 画面の表示言語 日本語
通貨 デフォルト通貨 日本円(JPY)
タイムゾーン 時間表示の基準 Asia/Tokyo
二要素認証 セキュリティ設定 有効にすることを強く推奨
ドメイン接続 自社ドメインの接続 Eメール送信・トラッキングに必要

外部ツール連携

初期段階で接続しておくべきツール:

  • Googleカレンダー / Office 365: ミーティング連携・スケジュール同期
  • Gmail / Outlook: Eメール連携・トラッキング
  • Slack: 通知連携
  • Zoom / Google Meet / Microsoft Teams: ビデオ会議連携

トラッキングコードの設置

HubSpotのトラッキングコードをウェブサイトに設置することで、訪問者の行動データをCRMに蓄積できるようになります。WordPressの場合はGTM(Google Tag Manager)経由での設置を推奨します。


Phase 3: プロパティ・パイプライン設計

プロパティ(項目)設計

プロパティ設計は導入の中で結構ミソになってくる工程です。ここの設計がCRMの使い勝手とデータ品質を左右します。

設計の原則: 項目は最小限に

よくあるSFAのあるあるで、全然使っていない項目が大量にあったりします。項目が少ない方が集中できますので、本当に必要な項目だけに絞って設計しましょう。

コンタクトの基本プロパティ:

  • 姓・名(分割して管理。フルネーム1カラムだとパーソナライズ時に不便)
  • Eメールアドレス
  • 電話番号
  • 会社名(同期プロパティで会社オブジェクトから参照推奨)
  • 役職
  • ライフサイクルステージ

会社の基本プロパティ:

  • 会社名
  • 業種
  • 従業員規模
  • 都道府県
  • ウェブサイトURL

取引の基本プロパティ:

  • 取引名
  • 金額
  • クローズ予定日
  • 取引ステージ
  • 担当者

パイプライン設計

パイプラインは営業プロセスを可視化するHubSpot活用のコア部分です。設計のポイントは4つの要素を意識することです。

要素 説明
取引ステージ 受注率が変化するポイントでステージを分ける
受注確度(角度) 各ステージでの受注確率を設定
ステージ定義 各ステージの明確な定義を社内共有
必須入力プロパティ ステージ移行時に必須入力を強制

パイプラインの例:

アポ取得(10%)→ 初回提案(20%)→ 見積もり提示(50%)→ 受注内示(80%)→ 契約(90%)→ 受注(100%)/ 失注


Phase 4: データ移行(インポート)

データ移行の進め方

既存のExcelやCSVデータをHubSpotに移行する際の手順です。

ステップ1: データのクレンジング

インポート前にデータをクリーニングします。

  • 重複データの削除
  • 表記揺れの統一(例: 株式会社 / (株))
  • 不要なカラムの削除
  • 姓名の分割(フルネームから姓・名に分割)
  • 文字コードの確認(CSVの場合は文字化けに注意。Excel形式推奨)

ステップ2: プロパティとのマッピング

インポートするカラムとHubSpotのプロパティを対応付けます。既存のプロパティに対応するものがない場合は、事前にカスタムプロパティを作成しておきます。

ステップ3: テストインポート

本番インポートの前に、少数のレコード(10〜20件)でテストインポートを行い、以下を確認します。

  • プロパティへの正しいマッピング
  • データ型の整合性(日付、数値、選択肢など)
  • 関連付け(コンタクトと会社)の正確性

ステップ4: 本番インポート

テストが完了したら、本番データをインポートします。

重要: インポート前のチェック

ワークフローが設定済みの場合、インポートしたレコードに対してワークフローが発火する可能性があります。インポート前にワークフローを一時停止するか、発火条件を確認してください。

他CRMからの移行

Salesforceなど他のCRMからの移行の場合:

  1. 既存CRMからデータをCSV/Excelでエクスポート
  2. HubSpotのプロパティとマッピング設計
  3. クレンジングからテストインポートから本番インポート
  4. 移行後のデータ検証

Phase 5: ユーザー設定・権限管理

ユーザーの招待

  1. 歯車マークから「ユーザーとチーム」に移動
  2. 「ユーザーを招待」をクリック
  3. メールアドレスを入力し、シートタイプと権限を設定

シートタイプの使い分け

シート種別 対象 費用
表示のみ 経営層・管理部門(レポート閲覧のみ) 無料
コアシート マーケ・Content Hub・基本機能 有料
Sales Hub有償シート 営業担当者 有料
Service Hub有償シート カスタマーサクセス担当 有料

代表や副社長がレポートやダッシュボードを閲覧するだけであれば「表示のみ」シート(無料)で十分です。

権限設定のポイント

  • プロパティの作成・編集権限は管理者のみに制限(無駄なプロパティの増殖防止)
  • データのエクスポート権限は必要最小限のユーザーに付与
  • チーム設定で担当者が自分のレコードのみ閲覧できるように制限(必要に応じて)

Phase 6: 社内展開・トレーニング

トレーニングの進め方

対象 内容 形式
管理者 全体設計・設定変更・権限管理・レポート設計 集中研修(2〜3日)
営業担当者 コンタクト管理・取引管理・シーケンス・レポート確認 ハンズオン研修(半日〜1日)
マーケ担当者 フォーム・メール・ワークフロー・キャンペーン ハンズオン研修(1〜2日)
経営層 ダッシュボード閲覧・レポート解釈 概要説明(1〜2時間)

定着化のコツ

  1. 小さく始める: 最初から全機能を使おうとせず、コンタクト管理と取引管理から開始
  2. 週次の定例会: ダッシュボードを使った営業会議で「HubSpotを見る習慣」を作る
  3. 入力ルールの明文化: 何を・いつ・どのように入力するかを明確に
  4. 成功体験の共有: 「HubSpotのおかげで〇〇ができた」事例を社内で共有
  5. 専任の推進者: 社内にHubSpot推進リーダーを設置

まとめ

HubSpot導入は、適切な準備と段階的なアプローチで確実に成功させることができます。重要なのは、いきなり完璧を目指すのではなく、スモールスタートで運用を始めて段階的に拡張していくことです。

まずはPhase 1〜2(目的整理と初期設定)を完了し、必要最小限のプロパティとパイプラインを設計してデータを投入してみてください。営業チームが日常的にHubSpotを使う習慣ができてから、ワークフローやカスタムレポートなどの高度な機能に進むのがお勧めです。CRMにデータが蓄積されるほど、レポートの精度が上がり、データドリブンな経営判断が可能になっていきます。


よくある質問(FAQ)

Q1. HubSpot導入にかかる期間はどのくらいですか?

基本的な運用開始までは2〜4週間、社内展開を含めた本格運用までは1〜2ヶ月が目安です。スモールスタート(営業チーム数名でのCRM利用開始)であれば、1〜2週間で運用を開始できるケースもあります。

Q2. 導入時にパートナー企業のサポートは必要ですか?

規模や複雑さによります。小規模チーム(10名以下)でStarterプランの基本機能を使う場合は、HubSpot AcademyやナレッジベースのDoc参考に自社で導入できるケースも多いです。一方、Professionalプラン以上でワークフロー設計やデータ移行が複雑な場合は、HubSpotパートナーのサポートを受けることをお勧めします。

Q3. 既存のExcelデータはそのままインポートできますか?

はい、Excel形式(.xlsx)またはCSV形式でインポート可能です。ただし、インポート前にデータのクレンジング(重複削除・表記揺れ統一・姓名分割など)を行うことを強く推奨します。CSVの場合は文字化けのリスクがあるため、Excel形式でのインポートがお勧めです。

Q4. 無料プランからStarterへのアップグレードのタイミングは?

コンタクト数が1,000件を超えた場合、カスタムプロパティが11個以上必要になった場合、HubSpotのブランディングを削除したい場合がアップグレードの目安です。月額1,800円からなので、ビジネスでの本格利用を開始するタイミングでStarterに上げていただくのがコスト効率的かなと思います。