「展示会で名刺交換した見込み客のフォローが属人化している」「代理店ごとの案件進捗がスプレッドシートに散在して全体把握ができない」「技術営業の提案プロセスが長く、どこでボトルネックが生まれているかわからない」——製造業ならではの営業課題を抱えている企業は多いかなと思います。
製造業におけるHubSpot活用とは、展示会管理、代理店(販売パートナー)管理、技術営業の長期案件管理など、製造業特有のビジネスプロセスをCRMで一元管理・自動化し、営業の生産性と受注率を向上させることです。
この記事では、製造業の企業がHubSpotを導入する際の設計思想と、具体的な活用パターンを解説します。
製造業の営業プロセスには、他業種とは異なる特有の課題があります。
| 製造業の課題 | スプレッドシート管理の限界 | HubSpotでの解決策 |
|---|---|---|
| 展示会リードの管理 | 名刺がExcelに手入力、フォローが属人化 | マーケティングイベント + シーケンスで自動フォロー |
| 代理店管理 | 代理店ごとにExcelファイルが分散 | 会社オブジェクトのセグメント + パイプラインで可視化 |
| 長期案件の追跡 | 半年〜1年の案件がスプレッドシートで埋もれる | パイプライン + タスクで漏れなく追跡 |
| 技術問い合わせ | メール + 電話の記録が個人に閉じている | アクティビティログで全員が把握可能 |
| 製品ラインナップ管理 | カタログが古い、バージョン管理が困難 | Content Hub + ドキュメント管理 |
スプレッドシートで展示会管理されている企業様が多いかなと思っておりまして、こっちにも顧客リストがあり、一方で担当者マスターにもまた別の情報が入っていたり、差分が起きてしまう。HubSpotのリレーションデータベースを使えば、この問題を根本的に解決できます。
製造業にとって展示会は最大のリード獲得チャネルの一つです。展示会で獲得した名刺を確実に商談化するための仕組みをHubSpotで構築します。
コンタクト(担当者マスター)
↕ 関連付け
会社(取引先マスター)
↕ 関連付け
マーケティングイベント(展示会ごと)→ コンタクトとリレーション
↕
キャンペーン(年度全体の展示会横断集計)
↕
取引(商談管理)
キャンペーン機能を使うことで、展示会ごとのROIを定量的に分析できます。
| 指標 | 計測方法 |
|---|---|
| リード獲得数 | マーケティングイベントの関連コンタクト数 |
| 商談創出数 | イベント経由の取引作成数 |
| 商談金額 | イベント経由の取引金額合計 |
| 受注件数・金額 | イベント経由で受注した取引 |
| CPA(獲得単価) | 展示会費用 ÷ リード獲得数 |
| 商談化率 | 商談数 ÷ リード数 |
例えば、リード37件→MQL5件→商談2件→受注5件といったファネル分析や、展示会から1,500万の取引創出→実受注1,000万といった収益アトリビューションが可能になります。
製造業では、直販だけでなく代理店経由の販売チャネルを持つ企業が多くあります。代理店ごとの案件進捗や実績をHubSpotで一元管理する方法を解説します。
引き合い → 技術検討 → 見積もり提出 → 代理店内承認 → エンドユーザー承認 → 受注 → 納品
製造業の場合、代理店とエンドユーザーの両方の承認プロセスがあるため、一般的なB2Bパイプラインよりステージが多くなる傾向があります。
ダッシュボードで代理店ごとの実績を可視化します。
製造業の案件は、初回接点から受注まで半年〜1年以上かかるケースが珍しくありません。長期案件を漏れなく管理するためのパイプライン設計が結構ミソになってきます。
| ステージ | 定義 | 受注確度 | 必須入力プロパティ |
|---|---|---|---|
| 引き合い | 顧客から技術的な相談・問い合わせを受けた | 5% | 会社名、製品カテゴリ |
| ヒアリング | 技術要件・仕様のヒアリング完了 | 10% | 技術要件、納期希望 |
| 技術検討 | 社内で技術的な実現可能性を検討中 | 20% | 技術検討結果 |
| 試作・サンプル | 試作品またはサンプルを提供 | 35% | サンプル提出日 |
| 見積もり提出 | 正式見積書を提出 | 50% | 見積金額、見積有効期限 |
| 顧客内検討 | 顧客側で社内承認プロセスが進行中 | 70% | 競合情報、決裁者 |
| 内示 | 受注の内示を受けた | 85% | 予定納期 |
| 受注・契約 | 正式受注・契約締結 | 100% | 受注理由、受注金額確定 |
| 失注 | 案件を失注した | 0% | 失注理由(必須) |
自社に最適なパイプラインを設計するというところが結構ミソになってくるのですが、製造業の場合、「試作・サンプル」ステージの有無や、「技術検討」の位置づけが企業によって大きく異なります。自社の営業プロセスに合わせてカスタマイズしてください。
失注理由をカテゴリ分類して、パターンを分析します。
| 失注理由カテゴリ | 改善アクション |
|---|---|
| 価格 | 原価構造の見直し、価値提案の強化 |
| 技術仕様 | 製品開発チームへのフィードバック |
| 納期 | 生産計画の最適化 |
| 競合他社 | 競合分析、差別化ポイントの強化 |
| 予算凍結 | 中長期のナーチャリング対象に移行 |
失注分析ができるようになると、例えばプロダクトの製品開発に情報を共有しやすくなるので、営業とマーケ、さらには開発部門との連携がしやすくなります。
製造業では、製品カタログ、技術仕様書、導入事例、CADデータなど、多くの技術資料を管理する必要があります。
通常こういう制作作業を業者さんに頼むと高かったりするので、Content Hubで内製できるのが良い点です。
製造業のHubSpot活用は、展示会管理、代理店管理、技術営業の長期案件管理という3つの領域を中心に設計するのが効果的です。
まずは展示会リードのインポートとシーケンスによるフォロー自動化から始めて、段階的にパイプラインの設計や代理店管理の仕組みを構築していくのがおすすめです。
CRMにデータが蓄積されるほど、展示会のROI分析や失注パターンの把握が精度を増し、営業戦略の意思決定に活かせるようになります。
まずはStarterプランでCRMの基本機能(コンタクト管理、取引管理、パイプライン)を使い始め、ワークフローやカスタムレポートが必要になった段階でProfessionalプランへのアップグレードを検討するのがおすすめです。月1,800円からスタートできるので、まずは試していただくのが良いかなと思います。
名刺管理アプリ(Sansan、Eight等)からCSVエクスポートし、HubSpotにインポートする方法が一般的です。インポート時は姓名を分割して登録すること、また既存のワークフローが意図せず発火しないかを事前に確認してください。
代理店に直接HubSpotアカウントを共有するのはセキュリティ上推奨しません。代わりに、カスタマーポータル機能を使って代理店専用の情報共有サイトを構築するか、フォーム経由で代理店から案件情報を受け取る仕組みを作るのが安全です。
カスタムプロパティを使って型番、仕様、カテゴリなどの製品情報を取引やコンタクトに紐付けることができます。より本格的な製品マスター管理が必要な場合は、Enterpriseプランのカスタムオブジェクトで製品データベースを構築する方法もあります。