「ブログやランディングページにCTAを設置しているけれど、クリック率が上がらない」「CTAの効果を測定したいのに、どこから確認すればいいかわからない」——Webサイトのコンバージョンを改善したいマーケティング担当者にとって、CTA(Call-to-Action)の最適化は避けて通れないテーマです。
CTA(Call-to-Action)とは、Webサイトの訪問者に対して具体的なアクション(資料ダウンロード、デモ申込、メルマガ登録など)を促すボタンやバナーのことです。HubSpotには、CTAの作成・設置・効果測定を一貫して行える専用機能が搭載されており、フォームやランディングページ、ワークフローと連携させることで、リード獲得からナーチャリングまでのコンバージョン導線を効率的に構築できます。
この記事では、HubSpotでのCTAボタンの作成手順、デザインのベストプラクティス、配置戦略、A/Bテストの方法、アナリティクスの活用まで、CTAの効果を最大化するための実践ガイドをお届けします。
CTAはWebマーケティングにおける「コンバージョンの起点」です。どれだけ優れたコンテンツを作っても、訪問者が次のアクションを起こす「きっかけ」がなければ、訪問者はそのまま離脱してしまいます。
CTAの役割を端的に言えば、訪問者を「閲覧者」から「リード」に変換するための橋渡しです。
一般的なコンバージョンの流れは以下の通りです。
この流れの中で、CTAはステップ2の「訪問者にアクションを起こさせる」という重要な役割を担っています。CTAのクリック率が1%違うだけで、最終的なリード獲得数に大きな差が出てきます。
CTAにはいくつかの形式があります。目的や設置場所に応じて使い分けることが重要です。
| CTAの種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| ボタン型CTA | テキストとボタンで構成されるシンプルな形式 | インライン設置、メール内 |
| バナー型CTA | 画像やグラフィックを含むビジュアルリッチな形式 | サイドバー、記事内 |
| ポップアップCTA | ページ閲覧中に表示されるオーバーレイ形式 | 離脱防止、特別オファー |
| スライドインCTA | ページの端からスライドして表示される形式 | 記事読了時の追従表示 |
| 埋め込みフォームCTA | CTA内にフォームが直接埋め込まれた形式 | メルマガ登録、簡易問い合わせ |
| スティッキーバナーCTA | ページ上部または下部に固定表示される形式 | キャンペーン告知 |
HubSpotには現在、2つのCTAシステムが共存しています。これは歴史的な経緯によるもので、HubSpotが2023年にCTA機能を大幅にリニューアルしたことに起因します。
新CTA(CTAs)
2023年以降に導入された新しいCTA機能です。より多くのCTAタイプ(ボタン、バナー、ポップアップ、スライドイン、埋め込みフォームなど)に対応し、ドラッグ&ドロップのビジュアルエディタで直感的にデザインできます。
レガシーCTA(Calls-to-Action Legacy)
以前から存在していた旧来のCTA機能です。主にボタン型と画像型のCTAを作成でき、シンプルな構成が特徴です。
| 機能 | 新CTA | レガシーCTA |
|---|---|---|
| CTAタイプ | ボタン、バナー、ポップアップ、スライドイン、埋め込みフォーム | ボタン、画像 |
| エディタ | ドラッグ&ドロップビジュアルエディタ | シンプルなフォームベースエディタ |
| フォーム埋め込み | 可能 | 不可 |
| 表示条件設定 | 詳細なターゲティングルール | 基本的なルールのみ |
| パーソナライゼーション | コンタクトプロパティに基づく動的コンテンツ | スマートCTA(リスト別の表示切替) |
| アナリティクス | 詳細なエンゲージメント分析 | 基本的なビュー・クリック分析 |
| A/Bテスト | 対応 | 対応 |
| 対応プラン | 全プラン(一部機能はProfessional以上) | 全プラン |
HubSpotは新CTAへの移行を推奨しており、今後の機能拡張も新CTA側で行われます。新規で作成する場合は、基本的に新CTAを使うことをおすすめします。
| 機能 | 対応プラン |
|---|---|
| 基本的なCTA作成(ボタン型) | 全プラン(無料含む) |
| ポップアップCTA | Marketing Hub Starter以上 |
| スマートCTA(パーソナライゼーション) | Marketing Hub Professional以上 |
| A/Bテスト | Marketing Hub Professional以上 |
| 詳細なアナリティクス | Marketing Hub Professional以上 |
| 埋め込みフォームCTA | Content Hub Professional以上 |
「CTAを作成」をクリックすると、以下のCTAタイプから選択する画面が表示されます。
ボタン
最もシンプルなCTAタイプです。テキストリンクやボタンとして、ブログ記事やWebページの任意の場所に埋め込めます。
ユースケース: 記事内のインラインCTA、サイドバーのアクションボタン
ポップアップボックス
ページの中央にオーバーレイ表示されるCTAです。訪問者の注意を強く引きたい場面で使用します。
ユースケース: 初回訪問者への特別オファー、離脱時のリテンション
スライドイン
ページの左下または右下からスライドして表示されるCTAです。ポップアップほど邪魔にならず、適度に注目を集められるのが特徴です。
ユースケース: 記事読了後のCTA、関連コンテンツの提案
バナー
ページの上部または下部に横長のバナーとして表示されるCTAです。
ユースケース: サイト全体でのキャンペーン告知、重要なお知らせ
埋め込みフォーム
CTA内にフォームが直接組み込まれた形式です。ランディングページに遷移させることなく、その場で情報を入力してもらえます。
ユースケース: メルマガ登録、簡易的な問い合わせ
CTAタイプを選択したら、ビジュアルエディタでデザインを作成します。
ボタン型CTAの場合
ポップアップ/スライドインCTAの場合
上記に加えて以下の設定が可能です。
CTAをクリックした際の遷移先を設定します。
| リンクタイプ | 説明 | 用途例 |
|---|---|---|
| 外部URL | 任意のURLを指定 | 外部フォーム、パートナーサイト |
| HubSpotページ | HubSpotで作成したランディングページ | 資料ダウンロードLP、デモ申込LP |
| ミーティングリンク | HubSpotのミーティングスケジューラー | 商談予約、デモ予約 |
| ファイルダウンロード | ファイルマネージャーのファイル | PDF資料の直接ダウンロード |
| メールアドレス | メール送信リンク | 問い合わせメール |
| なし(フォーム埋め込み時) | 遷移なし | CTA内のフォームで完結 |
ポップアップやスライドインのCTAでは、表示のタイミングと条件を細かく設定できます。
表示トリガー
表示頻度
ターゲティング
デザインと設定が完了したら、プレビューで表示を確認します。デスクトップとモバイルの両方でプレビューし、レイアウトが崩れていないか、テキストが切れていないかを確認しましょう。
問題がなければ「公開」をクリックして、CTAをライブ状態にします。
HubSpotのブログエディタ内でCTAを埋め込むには、以下の手順で行います。
ブログ記事内での推奨設置位置については、後述の「CTAの配置戦略」で詳しく解説します。
HubSpotのランディングページエディタでは、CTAモジュールをドラッグ&ドロップで配置できます。
マーケティングメール内にもCTAを設置できます。
メール内のCTAは、テキストリンクやシンプルなボタン型が推奨されます。画像が多いCTAはメールクライアントによっては表示が崩れる可能性があるためです。
HubSpot以外のCMS(WordPress、Wixなど)で構築されたサイトにCTAを設置する場合は、HubSpotのトラッキングコードが設置されていることが前提になります。
トラッキングコードが設置されていれば、外部サイトに設置したCTAのクリックデータもHubSpotのアナリティクスに集約されます。
CTAのボタンテキストは、訪問者が「クリックしたらどうなるか」を具体的にイメージできる文言にしましょう。
| 弱いCTA文言 | 強いCTA文言 |
|---|---|
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| お問い合わせ | 専門コンサルタントに相談する |
ポイントは、動詞から始めることと、得られるベネフィットを含めることです。「ダウンロードする」「予約する」「相談する」のように、訪問者が取るべきアクションを明確に示します。
CTAボタンは、ページ内の他の要素と視覚的に区別される必要があります。背景色やテキスト色とコントラストの高い色をCTAボタンに使うことで、自然と視線が集まります。
CTAボタンの色に関するベストプラクティスをいくつか紹介します。
「赤いボタンが最もクリックされる」「緑が良い」といった一般的な定説はありますが、実際にはサイトのデザインやブランドカラーとの組み合わせ次第なので、A/Bテストで自社の最適解を見つけるのがベストです。
CTAボタンのサイズは、デスクトップでは幅200〜300px程度、モバイルでは画面幅の80%程度が目安です。
小さすぎるボタンはクリックしにくく(特にモバイルではタップミスが多発し)、大きすぎるボタンは逆に安っぽい印象を与えてしまいます。
モバイルでの操作性を考慮すると、ボタンの高さは最低でも44px以上を確保するのがAppleのUI設計ガイドラインでも推奨されています。
人は「今すぐ行動しなければならない理由」があると、クリック率が上がる傾向にあります。以下のような要素をCTA周辺に添えると効果的です。
ただし、過度な煽りはブランドイメージを損なうリスクがあるため、BtoBの文脈ではほどほどに抑えたほうが無難です。
CTAは単独で機能するものではなく、周囲のコンテンツとの文脈の中で効果を発揮します。
例えば、「リードナーチャリングの手法」について解説したブログ記事の末尾に「CRMの料金プランを見る」というCTAを置いても、読者の関心との距離が遠すぎてクリックされません。
ブログ記事の内容と直接関連する次のステップをCTAとして提示するのが原則です。「リードナーチャリングの手法」の記事であれば、「リードナーチャリング実践テンプレートをダウンロード」や「ナーチャリング設計の無料相談はこちら」のほうが自然です。
ブログ記事にCTAを設置する場合、以下の位置が効果的です。
記事冒頭(ファーストビュー内)
記事の最初の段落の直後に設置するCTAです。すでに購買意欲が高い訪問者や、検索結果から直接来た訪問者に対して有効です。ただし、まだ記事を読んでいない段階なので、クリック率は低めになる傾向があります。
記事中盤(本文中インライン)
記事の内容に関連するセクションの直後に設置するCTAです。読者が「もっと詳しく知りたい」と感じるタイミングで表示されるため、クリック率が比較的高くなります。
例えば、「リードスコアリングの設計方法」のセクションの後に「リードスコアリングの設計テンプレートをダウンロード」というCTAを設置するイメージです。
記事末尾
記事を最後まで読んだ訪問者に対するCTAです。記事の内容に十分エンゲージした訪問者がターゲットなので、コンバージョンの質が高い傾向があります。
サイドバー(デスクトップのみ)
記事の横に固定表示するCTAです。スクロールに追従するスティッキー型にすると、どの位置を読んでいてもCTAが視界に入ります。
推奨される配置パターン
1つのブログ記事に対して、以下の3箇所にCTAを設置するのが一般的なパターンです。
CTAの数が多すぎると「売り込み感」が強くなり、読者体験を損なうリスクがあります。1記事あたり最大3〜4個を上限にするのが目安です。
ランディングページは、CTAがページの主役です。以下のポイントを意識して配置しましょう。
メール内のCTA配置は、以下のポイントを押さえましょう。
CTAの最適なデザイン・文言・配置は、業種やターゲットによって異なります。「こうすれば絶対にクリック率が上がる」という万能の正解はなく、自社のデータで検証することが最も確実な改善手法です。
HubSpotのCTA機能には、A/Bテストの機能が組み込まれています(Marketing Hub Professional以上)。
一度にテストする要素は1つだけにするのが原則です。複数の要素を同時に変更すると、どの変更が結果に影響したのか判別できなくなります。
| テスト要素 | テスト例 |
|---|---|
| ボタンの色 | オレンジ vs 青 |
| ボタンテキスト | 「資料をダウンロード」vs「無料で事例集を入手」 |
| ボタンサイズ | 小さめ vs 大きめ |
| 配置位置 | 記事中盤 vs 記事末尾 |
| 緊急性の有無 | 通常文言 vs 「期間限定」付き |
| CTA周辺のテキスト | ベネフィット強調 vs 課題解決強調 |
A/Bテストの結果を判断する際に注意すべきポイントは以下の通りです。
HubSpotのCTA管理画面では、各CTAについて以下のメトリクスが表示されます。
| メトリクス | 説明 |
|---|---|
| ビュー数 | CTAが表示された回数 |
| クリック数 | CTAがクリックされた回数 |
| クリック率(CTR) | クリック数 ÷ ビュー数 × 100 |
| 送信数 | CTA経由でフォームが送信された回数 |
| 送信率 | 送信数 ÷ クリック数 × 100 |
CTAのパフォーマンスを改善するためには、データを定期的にチェックし、改善アクションにつなげることが重要です。
CTRが低い場合(目安: 1%未満)
CTRは高いがコンバージョン率が低い場合
パフォーマンスの良いCTAのパターンを特定する
複数のCTAを運用していると、パフォーマンスに差が出てきます。クリック率・コンバージョン率の高いCTAに共通する要素(色、文言のパターン、配置位置、CTAタイプ)を分析し、新しいCTAを作成する際の指針にしましょう。
CTAのパフォーマンスをダッシュボードに組み込み、定期的にモニタリングする仕組みを作ると便利です。
HubSpotのカスタムレポートで以下のようなレポートを作成し、マーケティングダッシュボードに追加できます。
CTAは単独の要素ではなく、コンバージョンパス全体の一部として設計する必要があります。
コンバージョンパスは、以下の4つの要素で構成されます。
この4つの要素が一貫したメッセージとデザインで統一されていることが、高いコンバージョン率を実現するポイントです。
CTAの文言で訴求した内容と、遷移先のランディングページの内容が異なると、訪問者は混乱してページを離脱します。
以下の点を確認しましょう。
Marketing Hub Professional以上では、スマートCTAという機能を使って、訪問者の属性に応じて表示するCTAを動的に切り替えることができます。
例えば、以下のような出し分けが可能です。
同じページを訪問しても、訪問者のステージに応じて最適なCTAが表示されるため、コンバージョン率の向上が期待できます。
スマートCTAの設定は、HubSpotのCTAエディタ内で「スマートルール」を追加することで行えます。条件としては、ライフサイクルステージ、国、デバイスタイプ、参照元、コンタクトリストのメンバーシップなどが利用可能です。
HubSpotのCTA機能は、Webサイト訪問者をリードに変換するためのコンバージョンの起点を構築・管理・最適化するための機能です。
本記事の要点を振り返ります。
CTAの改善は、小さな変更でも大きな成果につながることがあります。まずは現在のCTAのクリック率を確認し、最もパフォーマンスの低いCTAから改善に着手してみてください。
CTAのクリック率は、設置場所やCTAタイプによって大きく異なります。一般的なBtoB企業のWebサイトでの目安として、インラインCTA(ブログ記事内のボタン)で1〜3%、ポップアップCTAで3〜5%、サイドバーCTAで0.5〜1.5%程度が平均的な水準です。ただし、これはあくまで目安であり、ページのトラフィック量、CTAの内容、オファーの魅力度によって大きく変動します。自社の過去データを基準に、改善の幅を追跡していくのが最も実践的です。
適切に設計されたポップアップCTAは、ユーザー体験を損なうことなくコンバージョンを促進できます。ポイントは、表示タイミングと頻度の制御です。ページ読み込み直後に表示されるポップアップは確かに嫌がられることが多いですが、ページの50%以上をスクロールした後や、5秒以上の滞在後に表示すればコンテンツの邪魔になりにくくなります。また、一度閉じたポップアップが何度も表示されると離脱につながるので、表示頻度は「セッションごとに1回まで」に設定するのがおすすめです。閉じるボタンを大きく見やすくすることも大切です。
レガシーCTAで作成した既存のCTAは引き続き機能しますので、すぐに移行する必要はありません。ただし、HubSpotは今後の新機能開発を新CTA側で行う方針を示しており、長期的には新CTAへの移行が推奨されます。新規でCTAを作成する場合は新CTAを使い、既存のレガシーCTAは利用状況を確認しながら優先度の高いものから段階的に新CTAに置き換えていくのが現実的なアプローチです。レガシーCTAのデータ(ビュー数、クリック数)は移行後も参照可能です。
1つのページに複数のCTAを設置すること自体は問題ありませんが、いくつかの注意点があります。まず、メインCTA(最も促進したいアクション)は1つに絞りましょう。複数の等価なCTAが並んでいると、訪問者が迷って何もクリックしなくなる「選択のパラドックス」が発生します。サブCTAを置く場合は、メインCTAより目立たないデザインにして優先順位を明確にします。ブログ記事であれば、記事中盤・末尾・サイドバーの3箇所に同じCTA(または関連するCTA)を設置するのが標準的なパターンです。
はい、HubSpotの無料プランでも基本的なボタン型CTAの作成・設置は可能です。ただし、ポップアップCTA、A/Bテスト、スマートCTA(パーソナライゼーション)、詳細なアナリティクスといった高度な機能はProfessional以上のプランで利用可能になります。まずは無料プランでCTAの基本的な運用を始め、コンバージョン改善に本格的に取り組む段階でProfessionalプランへのアップグレードを検討するのが効率的です。無料プランでも、CTAのビュー数とクリック数は確認できます。