「リードは獲得できているのに、なかなか商談につながらない」
「マーケティングと営業のリード引き渡しがうまくいかず、ホットリードを取りこぼしている」
——こうした課題を抱えている企業は少なくありません。根本的な原因は、カスタマージャーニー全体が設計されておらず、各フェーズの施策がバラバラに運用されていることにあります。
HubSpotのカスタマージャーニー自動化とは、リードの獲得からナーチャリング、商談化、受注、カスタマーサクセスに至るまでの全ファネルを、ワークフローとライフサイクルステージを軸に一貫設計・自動化する仕組みです。
本記事では、カスタマージャーニー自動化の設計方法と、HubSpotでの実装手順を解説します。
この記事でわかること:
カスタマージャーニー自動化とは、見込み客が自社を認知してから顧客になるまでの一連のプロセスを、マーケティングオートメーションとCRM/SFAを組み合わせて体系的に自動化する仕組みです。
個別の施策(メール配信、スコアリング、タスク作成等)を単独で運用するのではなく、顧客のフェーズに応じて最適な施策が自動的に実行される「一気通貫のフロー」として設計することがポイントになってきます。
手動管理では、リードのフォローアップ漏れが必ず発生します。特にリード数が月200〜300件を超えると、スプレッドシートや個人の記憶だけでは管理しきれません。ワークフローによる自動化で、フォロー漏れを仕組みで防止できます。
「MQLになったら営業に引き渡す」というルールを、ライフサイクルステージの自動変更とワークフロー通知で仕組み化できます。「マーケが渡したリードを営業がフォローしない」「営業がフォローしたが結果がマーケに共有されない」——こうしたよくある課題を解消できます。
HubSpotの大きな特徴の一つが、失注後の掘り起こしフローを自動化できる点です。失注した案件を放置するのではなく、一定期間後に自動的にナーチャリングに戻し、再度商談化を狙うループを構築できます。
ファネルレポートで各フェーズの転換率を可視化し、ボトルネックを特定できます。「リード→MQLの転換率が低い」のか「MQL→SQLの転換率が低い」のかによって、改善すべきポイントが変わります。
まずはカスタマージャーニーの各フェーズを、ライフサイクルステージとして定義します。
推奨するステージ構成:
リード → MQL(ホットリード)→ SQL → 商談 → 顧客
↓
失注掘り起こし(ナーチャリングに戻る)
+ アプローチNG(営業・競合他社からの問い合わせ)
+ 社内(自社メンバー:ドメインベースで自動分類)
このステージ定義を、自社のカスタマージャーニーから導出するのが重要です。企業様によって、BtoBとBtoCでは設計が違いますし、業種によっても最適なステージは異なります。
各ステージ間の遷移条件(何が起きたら次のステージに進むか)を明確にします。
| 遷移 | 条件例 |
|---|---|
| リード → MQL | リードスコア50点以上 |
| MQL → SQL | インサイドセールスが商談可能と判断 |
| SQL → 商談 | 取引が作成された |
| 商談 → 顧客 | 取引が受注クローズ |
| 商談 → 失注掘り起こし | 取引が失注クローズ |
| 失注掘り起こし → リード | 掘り起こしナーチャリング完了後 |
定義した遷移条件に基づいて、HubSpotのワークフローを構築します。
ワークフロー1: MQL昇格(スコアリングベース)
ワークフロー2: フォーム送信時の分類
ワークフロー3: 失注掘り起こし
ライフサイクルステージの逆行は通常ブロックされるため、失注→掘り起こしの遷移では「一旦ステージをクリアしてから再設定する」2ステップの処理が必要です。この設計が少しトリッキーなので注意してください。
ワークフロー4: 社内メンバー自動分類
MQL昇格の判断基準となるスコアリングを設計します。
推奨配点:
定性的なもの(属性)は20点まで、ウェブ行動は80点MAXにするのがおすすめです。閾値は分布を見て調整します。50点以上でMQL化、70点以上で営業トスのような基準設定です。
カスタマージャーニーの全体フローを可視化するファネルレポートを作成します。
ワークフローでステップメールを送る際、メール送信直後に開封・未開封の分岐を入れないでください。メールを送った後にすぐ開封か未開封かを判断すると、即座に開封する人はほぼいないので正しく分岐できません。開封判定の前に2日〜3日の遅延を入れるのが重要です。
リード数は多くても会社ベースで見たら意外と数が少ない、ということもあります。コンタクトだけでなく会社レベルでもライフサイクルステージを管理し、1企業に複数リードがいる場合は最も進んだステータスを会社のステージに反映させましょう。
ナーチャリング対象外のコンタクト(オプトアウト、90日間メール未開封、バウンス)は、ワークフローでマーケティングコンタクトから自動的に除外する設計にしましょう。課金の最適化につながります。
最初から全ファネルを自動化しようとすると、ワークフローが複雑になりすぎて管理できなくなります。まずは「MQL昇格通知」と「失注掘り起こし」の2つのワークフローから始めて、段階的に拡張するのがおすすめです。
計算プロパティで代替できるものはワークフローを使わない方がよいです。ワークフローの数が増えすぎると動作の不整合が起きやすくなります。
ワークフロー内でAIによるメール送信を自動化する場合、「送信前に確認」モードを使いましょう。AIが自動的にメールを送信するのはリスクが高いです。
カスタマージャーニー自動化の核心は、ライフサイクルステージ × ワークフロー × スコアリングの3つを連動させた一気通貫のフロー設計です。
まずはライフサイクルステージの定義から始めて、MQL昇格と失注掘り起こしの2つのワークフローを構築するところからスタートしましょう。CRMにデータが蓄積されるほど、スコアリングの精度が上がり、ナーチャリングシナリオも最適化されていきます。
段階的にファネルレポート、ステップメール、マーケティングコンタクト最適化へと拡張していけば、マーケティングと営業が自然に連携する仕組みが構築できます。
StartLinkでは、HubSpotの導入設計から運用定着まで、企業様の状況に合わせた支援を行っています。
「自社に合ったCRMの選び方がわからない」「HubSpotを導入したが活用しきれていない」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
ワークフローとカスタムレポートが必要なため、Marketing Hub ProfessionalまたはSales Hub Professionalが必要です。スコアリング機能もProfessional以上で利用可能です。
はい、HubSpotではライフサイクルステージをカスタマイズできます。標準のステージ(Subscriber、Lead、MQL、SQL、Opportunity、Customer等)に加えて、自社に合ったステージを追加・変更できます。
業種や商材によって大きく異なりますが、BtoB企業の一般的な目安として、リード→MQL: 10〜20%、MQL→SQL: 30〜50%、SQL→商談: 50〜70%、商談→受注: 20〜40%程度です。自社のデータを蓄積して、自社固有のベンチマークを構築するのがおすすめです。
失注掘り起こしから再商談化する割合は一般的に5〜15%程度です。低く見えるかもしれませんが、既に一度商談を経験しているため、新規リードよりも受注確度は高い傾向があります。失注理由に応じたパーソナライズドメールを送ることで、再商談化率を上げられます。
最初は仮説ベースで設定(例: 50点以上→MQL化)し、1〜2ヶ月運用した後にスコア分布を確認して調整します。高スコアのリードが大量にいるなら閾値を上げ、MQLが少なすぎるなら閾値を下げるのが基本です。