「問い合わせがあっても、対応が遅れて他社に取られてしまう」
「追客リストが膨大で、どの見込み客に優先的にアプローチすべかわからない」
——不動産業界では、スピードと追客の仕組みが成約率を大きく左右します。
不動産業は、問い合わせから成約までのリードタイムが長く、追客(フォローアップ)の質と量が成果を決めるビジネスです。この記事では、ある不動産仲介会社がHubSpotを導入し、追客の自動化と成約率改善を実現した具体的な事例を紹介します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業種 | 不動産仲介業(事業用不動産) |
| 従業員数 | 約30名 |
| 営業部門 | 12名 |
| 年間取引件数 | 約200件 |
| 主な課題 | 追客の属人化、物件×顧客のマッチング効率、反響対応のスピード |
ポータルサイト(SUUMO、LIFULL HOME'S等)からの問い合わせメールを、営業事務が手動で振り分けていました。繁忙期には対応が翌日になることもあり、その間に顧客が他社に流れてしまうケースが頻発。不動産業界では最初に接触した会社に決まる確率が高いため、この遅延は致命的でした。
営業各自がExcelで見込み客リストを管理。「前回いつ連絡したか」「どの物件に興味があったか」を記憶と手書きメモに頼っていました。見込み客が月100件を超えると管理しきれず、フォローが漏れる案件が増加。
物件情報は物件管理システムにあり、顧客情報はExcelにある。「この物件に興味がある顧客は誰か」「この顧客の条件に合う物件は何か」を探すのに、営業が2つのシステムを行き来する非効率な状態でした。
HubSpotのカスタムオブジェクトで「物件」を作成し、コンタクト(顧客)と関連付けることで、物件×顧客のリレーションをCRM上で管理できます。不動産業界向けの専用CRM(いい生活、Salesforceの不動産テンプレートなど)も検討しましたが、マーケティング機能の豊富さとカスタマイズの柔軟性でHubSpotを選定しました。
カスタムオブジェクトで「物件」を作成し、以下のプロパティを設計しました。
コンタクト(顧客)のカスタムプロパティ:
ここが最も効果が大きかった部分です。
反響即時対応ワークフロー:
この「5分以内の初期対応」が結構ミソでした。自動返信で「担当者が確認して改めてご連絡します」ではなく、問い合わせした物件の詳細情報を即座に送ることで、顧客の興味が冷めないうちに価値を提供できます。
長期追客ナーチャリング:
すぐに成約に至らない見込み客に対して、段階的なフォローメールを自動配信。
1通目(3日後): 類似物件の紹介
2通目(10日後): エリアの市況レポート
3通目(30日後): 新着物件のまとめ
4通目(60日後): 条件変更の確認
メールの開封・クリックデータをスコアリングに反映し、反応が高い顧客を優先的に電話フォローする仕組みを構築しました。
| 指標 | 導入前 | 導入後 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 反響〜初回対応の平均時間 | 4時間 | 5分(自動返信) | -99% |
| 追客からの成約率 | 3.5% | 6.8% | +3.3pt |
| 月間成約件数 | 平均16件 | 平均22件 | +37% |
| フォロー漏れ件数 | 月15件以上 | ほぼゼロ | 大幅改善 |
| 営業1人あたりの管理見込み客数 | 30件 | 80件 | +167% |
| 広告費用対効果(ROAS) | 計測不能 | 350% | 可視化実現 |
「営業が素早く対応する」のではなく、「ワークフローが自動で初期対応する」設計にしたことで、人のスキルや勤務状況に依存しない対応品質を実現しました。
不動産業界のCRM設計で結構ミソになるのが、物件というオブジェクトの扱いです。標準の取引オブジェクトを物件に転用する方法もありますが、カスタムオブジェクトで独立させたほうが、物件×顧客のN対Nの関係を柔軟に管理できます。
不動産の検討期間は数ヶ月〜数年に及ぶことも珍しくありません。手動では追いきれない長期の見込み客を、ナーチャリングメールで自動的にフォローし続ける仕組みが、成約率向上に大きく貢献しました。
不動産業界におけるHubSpot導入は、反響対応の自動化と長期追客の仕組み化により、成約率と営業効率を同時に向上させるプロセスです。
まずはポータルサイトからの反響を自動処理するワークフローと、カスタムオブジェクトによる物件管理から始めましょう。CRMにデータが蓄積されるほど、顧客ニーズの傾向やチャネル別のROIが可視化され、データに基づいた営業戦略が立てられるようになります。
StartLinkでは、HubSpotの導入設計から運用定着まで、企業様の状況に合わせた支援を行っています。
「不動産業に合ったCRM設計を相談したい」「追客の自動化を実現したい」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
はい、メール連携やAPI連携で実現できます。最もシンプルな方法は、ポータルサイトからの通知メールをHubSpotの受信トレイに転送し、自動でコンタクトを作成する方法です。より高度な連携(物件IDの自動マッチングなど)はAPI開発が必要になります。
いい生活やノマドクラウドなどの不動産特化CRMは物件管理・契約管理に強みがありますが、マーケティング自動化(ナーチャリングメール・スコアリング・ワークフロー)やカスタムレポートの柔軟性ではHubSpotが優れています。物件管理システムとHubSpotを併用するハイブリッド運用も選択肢です。
可能です。取引オブジェクトを「案件(物件×顧客の商談)」として使い、物件情報はカスタムプロパティで管理する方法があります。Professionalプランで始められるので、まずはこの方法で運用し、物件数が増えてきたらEnterpriseでカスタムオブジェクトに移行するのが段階的なアプローチです。
HubSpotのミーティングリンク機能で来店予約・内見予約を受け付け、カレンダーに自動登録できます。予約前日のリマインドメール自動送信や、内見後のフォローアップメール自動送信もワークフローで設計可能です。
この記事は2025年3月時点の情報に基づいています。HubSpotの機能は定期的にアップデートされるため、最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。
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