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HubSpot導入事例:不動産業|追客自動化と成約率改善を実現したCRM設計

作成者: 今枝 拓海|2026/03/03 15:21:38

「問い合わせがあっても、対応が遅れて他社に取られてしまう」

「追客リストが膨大で、どの見込み客に優先的にアプローチすべかわからない」

——不動産業界では、スピードと追客の仕組みが成約率を大きく左右します。

不動産業は、問い合わせから成約までのリードタイムが長く、追客(フォローアップ)の質と量が成果を決めるビジネスです。この記事では、ある不動産仲介会社がHubSpotを導入し、追客の自動化と成約率改善を実現した具体的な事例を紹介します。

この記事でわかること

  • 不動産業界のCRM課題と追客の重要性
  • HubSpotを選定した背景と判断基準
  • 物件情報と顧客情報を連携させるCRM設計
  • 追客自動化のワークフロー設計
  • 導入後の定量的な成果と成功ポイント

企業概要

項目 内容
業種 不動産仲介業(事業用不動産)
従業員数 約30名
営業部門 12名
年間取引件数 約200件
主な課題 追客の属人化、物件×顧客のマッチング効率、反響対応のスピード

導入前の課題

課題1: 反響対応のスピードが遅い

ポータルサイト(SUUMO、LIFULL HOME'S等)からの問い合わせメールを、営業事務が手動で振り分けていました。繁忙期には対応が翌日になることもあり、その間に顧客が他社に流れてしまうケースが頻発。不動産業界では最初に接触した会社に決まる確率が高いため、この遅延は致命的でした。

課題2: 追客リストがExcelで破綻

営業各自がExcelで見込み客リストを管理。「前回いつ連絡したか」「どの物件に興味があったか」を記憶と手書きメモに頼っていました。見込み客が月100件を超えると管理しきれず、フォローが漏れる案件が増加。

課題3: 物件情報と顧客データが分断

物件情報は物件管理システムにあり、顧客情報はExcelにある。「この物件に興味がある顧客は誰か」「この顧客の条件に合う物件は何か」を探すのに、営業が2つのシステムを行き来する非効率な状態でした。

HubSpot選定の理由

カスタムオブジェクトによる物件管理

HubSpotのカスタムオブジェクトで「物件」を作成し、コンタクト(顧客)と関連付けることで、物件×顧客のリレーションをCRM上で管理できます。不動産業界向けの専用CRM(いい生活、Salesforceの不動産テンプレートなど)も検討しましたが、マーケティング機能の豊富さとカスタマイズの柔軟性でHubSpotを選定しました。

導入プロセス

Phase 1(1〜2ヶ月目): CRM基盤とデータ構造

カスタムオブジェクトで「物件」を作成し、以下のプロパティを設計しました。

  • 物件名、所在地、価格帯、面積、築年数
  • 物件ステータス(募集中/商談中/成約済み/取下げ)
  • 物件カテゴリ(オフィス/店舗/倉庫/土地)

コンタクト(顧客)のカスタムプロパティ:

  • 探している物件タイプ、希望エリア、予算上限
  • 検討フェーズ(情報収集/本格検討/条件交渉中)
  • 流入チャネル(ポータルサイト/自社HP/紹介)

Phase 2(3〜4ヶ月目): 追客自動化

ここが最も効果が大きかった部分です。

反響即時対応ワークフロー:

  1. ポータルサイトから問い合わせメールを受信
  2. HubSpot受信トレイで自動取り込み
  3. エリアと物件タイプに基づいて営業担当を自動割り当て
  4. 顧客に5分以内に自動返信メール(物件資料の添付リンク付き)
  5. 担当営業にSlack即時通知

この「5分以内の初期対応」が結構ミソでした。自動返信で「担当者が確認して改めてご連絡します」ではなく、問い合わせした物件の詳細情報を即座に送ることで、顧客の興味が冷めないうちに価値を提供できます。

長期追客ナーチャリング:

すぐに成約に至らない見込み客に対して、段階的なフォローメールを自動配信。

1通目(3日後): 類似物件の紹介
2通目(10日後): エリアの市況レポート
3通目(30日後): 新着物件のまとめ
4通目(60日後): 条件変更の確認

メールの開封・クリックデータをスコアリングに反映し、反応が高い顧客を優先的に電話フォローする仕組みを構築しました。

Phase 3(5〜6ヶ月目): レポートと分析

  • チャネル別の反響数・商談化率・成約率のダッシュボード
  • 営業担当別の追客状況(何件フォロー中か、最終連絡からの経過日数)
  • 物件別の問い合わせ数・内見数・成約率
  • エリア別の成約トレンド

導入後の成果(12ヶ月時点)

指標 導入前 導入後 変化
反響〜初回対応の平均時間 4時間 5分(自動返信) -99%
追客からの成約率 3.5% 6.8% +3.3pt
月間成約件数 平均16件 平均22件 +37%
フォロー漏れ件数 月15件以上 ほぼゼロ 大幅改善
営業1人あたりの管理見込み客数 30件 80件 +167%
広告費用対効果(ROAS) 計測不能 350% 可視化実現

定性的な変化

  • 「追客」が個人のスキルではなく「仕組み」になった
  • 新人営業でもベテランと同等の追客品質を実現
  • 物件と顧客のマッチングがデータベースのフィルタリングで即座に可能に
  • ポータルサイトごとの反響品質が可視化され、広告投資の最適化が実現

成功のポイント

1. 反響対応のスピードを仕組みで担保

「営業が素早く対応する」のではなく、「ワークフローが自動で初期対応する」設計にしたことで、人のスキルや勤務状況に依存しない対応品質を実現しました。

2. カスタムオブジェクトで物件管理

不動産業界のCRM設計で結構ミソになるのが、物件というオブジェクトの扱いです。標準の取引オブジェクトを物件に転用する方法もありますが、カスタムオブジェクトで独立させたほうが、物件×顧客のN対Nの関係を柔軟に管理できます。

3. 長期追客の自動化で「休眠リード」を活性化

不動産の検討期間は数ヶ月〜数年に及ぶことも珍しくありません。手動では追いきれない長期の見込み客を、ナーチャリングメールで自動的にフォローし続ける仕組みが、成約率向上に大きく貢献しました。

まとめ

不動産業界におけるHubSpot導入は、反響対応の自動化と長期追客の仕組み化により、成約率と営業効率を同時に向上させるプロセスです。

まずはポータルサイトからの反響を自動処理するワークフローと、カスタムオブジェクトによる物件管理から始めましょう。CRMにデータが蓄積されるほど、顧客ニーズの傾向やチャネル別のROIが可視化され、データに基づいた営業戦略が立てられるようになります。

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「不動産業に合ったCRM設計を相談したい」「追客の自動化を実現したい」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。

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よくある質問(FAQ)

Q1. ポータルサイトからの問い合わせをHubSpotに自動取り込みできますか?

はい、メール連携やAPI連携で実現できます。最もシンプルな方法は、ポータルサイトからの通知メールをHubSpotの受信トレイに転送し、自動でコンタクトを作成する方法です。より高度な連携(物件IDの自動マッチングなど)はAPI開発が必要になります。

Q2. 物件管理に特化した不動産CRMとの違いは何ですか?

いい生活やノマドクラウドなどの不動産特化CRMは物件管理・契約管理に強みがありますが、マーケティング自動化(ナーチャリングメール・スコアリング・ワークフロー)やカスタムレポートの柔軟性ではHubSpotが優れています。物件管理システムとHubSpotを併用するハイブリッド運用も選択肢です。

Q3. カスタムオブジェクトなしでも不動産のCRM管理はできますか?

可能です。取引オブジェクトを「案件(物件×顧客の商談)」として使い、物件情報はカスタムプロパティで管理する方法があります。Professionalプランで始められるので、まずはこの方法で運用し、物件数が増えてきたらEnterpriseでカスタムオブジェクトに移行するのが段階的なアプローチです。

Q4. 来店予約や内見予約もHubSpotで管理できますか?

HubSpotのミーティングリンク機能で来店予約・内見予約を受け付け、カレンダーに自動登録できます。予約前日のリマインドメール自動送信や、内見後のフォローアップメール自動送信もワークフローで設計可能です。

この記事は2025年3月時点の情報に基づいています。HubSpotの機能は定期的にアップデートされるため、最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。

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