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Zoho CRMからHubSpotへの移行ガイド|プロパティ変換・ワークフロー移行の実践手順

作成者: 今枝 拓海|2026/03/11 10:31:39

「Zoho CRMを使っているが、マーケティングとの連携が弱い」「UIの使い勝手に課題を感じている」——Zoho CRMからHubSpotへの移行を検討する企業は、こうした理由が多いです。

Zoho CRMはインドのZoho Corporationが提供するCRMプラットフォームで、コストパフォーマンスの高さと機能の幅広さが特徴です。一方、HubSpotはマーケティング・営業・カスタマーサポートを一気通貫で運用できるプラットフォームとして、とくにインバウンドマーケティングとの親和性の高さが強みです。

本記事では、Zoho CRMのモジュール構造とHubSpotのオブジェクト構造の対応関係、Blueprint→ワークフローの変換方法、Zoho Analytics→HubSpotレポートの移行、Zoho独自機能の代替手段まで、実践的な移行手順を解説します。

本記事はStartLinkの「HubSpot完全ガイド」関連記事です。

この記事でわかること

  • Zoho CRMのモジュール構造とHubSpotオブジェクトの対応関係
  • 標準フィールド・カスタムフィールドの変換ルール
  • Blueprint(ビジネスプロセス管理)からHubSpotワークフローへの変換方法
  • Zoho Analytics → HubSpotレポートの移行設計
  • Zoho CRM独自機能のHubSpotでの代替手段
  • データエクスポート・インポートの具体的手順

Zoho CRMとHubSpotの構造比較

モジュールとオブジェクトの対応

Zoho CRMは「モジュール」という単位でデータを管理します。HubSpotの「オブジェクト」に対応する概念ですが、いくつかの重要な違いがあります。

Zoho CRMモジュール HubSpot対応オブジェクト 移行時の注意点
リード(Leads) コンタクト Zohoではリードと連絡先が分離。HubSpotではライフサイクルステージで管理
連絡先(Contacts) コンタクト Zohoの連絡先はHubSpotコンタクトに統合
アカウント(Accounts) 企業 ほぼ1対1で対応
商談(Deals) 取引 ステージ名の変換が必要
タスク(Tasks) タスク HubSpotのタスクにマッピング
予定(Events) ミーティング HubSpotのミーティング機能に対応
通話(Calls) 通話 HubSpotの通話ログに対応
商品(Products) 商品 商品カタログとして移行
見積書(Quotes) 見積もり HubSpotの見積もりツールに対応
受注書(Sales Orders) 取引 + 商品ライン HubSpotには受注書モジュールがないため、取引で管理
請求書(Invoices) 外部連携 HubSpotには請求書機能が限定的。freee等の会計ソフト連携を推奨
キャンペーン(Campaigns) マーケティングキャンペーン HubSpot Marketing Hubで管理

リードと連絡先の統合

Zoho CRMでは「リード」と「連絡先」が別モジュールとして管理されます。リードが商談化すると「連絡先」モジュールに変換(コンバート)される仕組みです。

HubSpotでは、リードと連絡先の区別は「ライフサイクルステージ」プロパティで管理します。すべての人物データは「コンタクト」オブジェクトに統一され、ライフサイクルステージが「リード」「MQL」「SQL」「顧客」と進行していきます。

移行時には、Zohoのリードモジュールと連絡先モジュールのデータをすべてHubSpotの「コンタクト」にインポートし、元のモジュール情報に基づいてライフサイクルステージを設定します。

Zohoでの状態 HubSpotライフサイクルステージ
リード(未対応) リード(Lead)
リード(対応済み) MQL
連絡先(商談前) SQL
連絡先(商談中) 商談(Opportunity)
連絡先(受注済み) 顧客(Customer)

プロパティ(フィールド)の変換

標準フィールドのマッピング

Zoho CRMの標準フィールドとHubSpotの標準プロパティは、多くが自動的に対応しますが、名称や仕様が異なるものがあります。

コンタクト(リード/連絡先)のマッピング例

Zohoフィールド HubSpotプロパティ 内部名
姓 (Last Name) lastname
名 (First Name) firstname
メール (Email) Eメール email
電話 (Phone) 電話番号 phone
携帯電話 (Mobile) 携帯電話番号 mobilephone
役職 (Title) 役職 jobtitle
部署 (Department) 部門 department(カスタム作成推奨)
リードソース (Lead Source) オリジナルソース hs_analytics_source
業界 (Industry) 業種 industry
年間売上 (Annual Revenue) 年間売上 annualrevenue

商談(Deal)のマッピング例

Zohoフィールド HubSpotプロパティ 内部名
商談名 (Deal Name) 取引名 dealname
金額 (Amount) 金額 amount
完了予定日 (Closing Date) クローズ日 closedate
ステージ (Stage) 取引ステージ dealstage
確度 (Probability) 取引の確率 hs_deal_stage_probability
商談タイプ (Type) 取引タイプ dealtype

カスタムフィールドの変換

Zoho CRMで作成したカスタムフィールドは、HubSpot側にカスタムプロパティとして事前に作成しておく必要があります。

フィールドタイプの対応表

Zohoフィールドタイプ HubSpotプロパティタイプ 変換時の注意
1行テキスト 単行テキスト そのまま移行可
複数行テキスト 複数行テキスト そのまま移行可
整数 数値 そのまま移行可
小数 数値 小数点以下の桁数設定を確認
通貨 数値 通貨記号はHubSpot側で設定
日付 日付選択 YYYY-MM-DD形式に統一
日時 日時 タイムゾーンに注意
選択リスト ドロップダウン選択 選択肢を事前作成
複数選択リスト 複数チェックボックス セミコロン区切り
チェックボックス 単一チェックボックス true/falseに変換
ルックアップ 関連付け オブジェクト間の紐づけで再現
数式 計算プロパティ HubSpotの計算プロパティで再構築
ロールアップサマリー 計算プロパティ HubSpotのロールアップ機能で再現

Blueprint → HubSpotワークフローの変換

Blueprintの概要

Zoho CRMの「Blueprint」は、ビジネスプロセスをフローチャート形式で定義し、各ステージの遷移条件やアクションを設定できる機能です。たとえば、商談の進行フローを「初回商談 → 提案 → 見積提出 → 交渉 → 受注/失注」と定義し、各遷移時に必須入力項目やアクションを設定できます。

HubSpotでの再現方法

HubSpotでBlueprintの機能を再現するには、以下の3つの機能を組み合わせます。

1. パイプラインステージの定義

取引パイプラインのステージを、Blueprintのステージと同等に設定します。

Zoho Blueprint ステージ HubSpot パイプラインステージ 確率
初回接触 初回商談 10%
ヒアリング完了 ニーズ把握 20%
提案 提案 40%
見積提出 見積中 60%
交渉 交渉 80%
受注 受注 100%
失注 失注 0%

2. ワークフローによる自動化

Blueprintで設定していた遷移時のアクション(通知、タスク作成、フィールド更新など)は、HubSpotのワークフローで再現します。

  • ステージ変更時の通知: ワークフローのトリガーを「取引ステージの変更」に設定し、通知アクションを追加
  • 必須フィールドの入力チェック: HubSpotでは「必須プロパティ」をステージごとに設定可能(Sales Hub Professional以上)
  • タスクの自動作成: ワークフローの「タスクを作成」アクションで、次のステップのタスクを自動生成
  • 承認プロセス: HubSpotの承認ワークフローで、上長の承認を必須にするフローを構築

3. 入力バリデーション

Blueprintの「遷移条件」(特定のフィールドが入力されていないと次のステージに進めない)は、HubSpotの「条件付きステージプロパティ」で再現します。各ステージに必須プロパティを設定することで、未入力のままステージを進められないようにできます。

Zoho Analytics → HubSpotレポートの移行

Zoho Analyticsの特徴

Zoho Analyticsは、Zoho CRMと連携して高度なデータ分析・可視化を行えるBIツールです。ピボットテーブル、チャート、ダッシュボードの作成が可能で、SQL風のクエリを使った複雑な集計にも対応しています。

HubSpotレポートでの代替

HubSpotのレポート機能は、カスタムレポートビルダーで柔軟にレポートを作成できます。Zoho Analyticsからの移行時は、以下の対応関係を参考にしてください。

Zoho Analytics機能 HubSpot代替 備考
ピボットテーブル カスタムレポート(テーブル形式) クロス集計に対応
棒グラフ・折れ線グラフ カスタムレポート(グラフ形式) 各種チャートタイプに対応
ダッシュボード HubSpotダッシュボード ドラッグ&ドロップで配置
SQLクエリ カスタムレポートのフィルター SQLの直接実行は不可
スケジュール配信 ダッシュボードのメール配信 定期レポートの自動送信に対応
複数データソース結合 複数オブジェクトレポート HubSpot内のデータに限定

再現が難しいレポートの対処法

Zoho AnalyticsのSQL クエリベースの高度な集計は、HubSpotのレポート機能だけでは再現できない場合があります。その場合は以下の方法を検討してください。

  • HubSpotのカスタムレポート: Professional以上のプランで利用可能な高度なレポートビルダーで、複数オブジェクトをまたいだレポートを作成
  • 外部BIツール連携: Google Looker Studio(旧Data Studio)やTableauなどの外部BIツールとHubSpotを連携し、複雑な分析を実施
  • HubSpot Data Hub: Data Hubのデータセット機能を使って、複雑なデータの計算や変換をレポートに反映

Zoho独自機能の代替手段

Zoho SalesIQ → HubSpotライブチャット

Zoho SalesIQは、Webサイト訪問者のリアルタイム追跡とライブチャット機能を提供するツールです。HubSpotでは、以下の機能で代替できます。

  • ライブチャット: HubSpotの無料ライブチャットウィジェットを設置
  • チャットボット: HubSpotのチャットフローでボットを構築
  • 訪問者トラッキング: HubSpotトラッキングコードによるWebサイト訪問者の自動追跡

Zoho Social → HubSpotソーシャルメディア

Zoho Socialは、ソーシャルメディアの投稿管理・分析ツールです。HubSpot Marketing Hub Professionalには、同等のソーシャルメディア管理機能が含まれています。

  • SNS投稿のスケジュール管理
  • エンゲージメント分析
  • SNS経由のリード獲得トラッキング

Zoho Desk → HubSpot Service Hub

Zoho Deskは、カスタマーサポート向けのヘルプデスクツールです。HubSpotのService Hubで以下の機能が代替できます。

  • チケット管理: HubSpotチケットパイプラインで対応管理
  • ナレッジベース: HubSpotのナレッジベース機能でFAQサイトを構築
  • カスタマーポータル: Service Hub Professionalで顧客向けポータルを提供
  • SLA管理: チケットのSLA設定で対応期限を管理

Zoho Forms → HubSpotフォーム

Zoho Formsは、Webフォーム作成ツールです。HubSpotのフォームビルダーで同等のフォームを作成できます。HubSpotフォームはCRMと直接連携しているため、フォーム送信がそのままコンタクト情報として自動登録されるメリットがあります。

Zia(AI機能) → Breeze(HubSpot AI)

Zoho CRMのAIアシスタント「Zia」は、リードスコアリング、売上予測、メール分析などの機能を提供します。HubSpotのAI機能「Breeze」でも同様の機能が利用可能です。

Zia機能 Breeze代替
リードスコアリング 予測リードスコアリング
売上予測 AIフォーキャスト
メール分析 メールヘルススコア
レコメンデーション Breezeのコンテンツ提案
異常検知 AIインサイト

データ移行の実践手順

Step 1: Zoho CRMからのデータエクスポート

Zoho CRMの各モジュールからデータをCSVでエクスポートします。

  1. Zoho CRMにログイン
  2. エクスポートしたいモジュール(リード、連絡先、アカウント、商談など)を開く
  3. 「設定」→「データ管理」→「エクスポート」を選択
  4. 対象モジュールを選択し、エクスポートを実行
  5. CSVファイルをダウンロード

エクスポートの順序

  1. アカウント(Accounts) → HubSpot企業
  2. 連絡先(Contacts) → HubSpotコンタクト
  3. リード(Leads) → HubSpotコンタクト(ライフサイクルステージ: リード)
  4. 商談(Deals) → HubSpot取引
  5. タスク・予定 → HubSpotアクティビティ

Step 2: CSVの加工

エクスポートしたCSVを、HubSpotのインポート形式に合わせて加工します。

  • 列名をHubSpotのプロパティ内部名に変更
  • リードと連絡先のCSVを統合(ライフサイクルステージ列を追加)
  • 日付フォーマットの統一(YYYY-MM-DD)
  • 選択肢値の確認と調整
  • 重複レコードの除去(メールアドレスベース)

Step 3: HubSpot環境の準備

データインポートの前に、HubSpot側の環境を準備します。

  • カスタムプロパティの作成(Zohoのカスタムフィールドに対応)
  • 取引パイプラインとステージの作成
  • チーム・ユーザーの設定
  • インポート用のプロパティグループの整理

Step 4: テストインポート

本番インポートの前に、少量のデータ(各モジュール10〜20件)でテストインポートを実施し、以下を確認します。

  • フィールドマッピングが正しいか
  • 選択肢プロパティの値が正しく変換されているか
  • 関連付け(コンタクト↔企業)が正しく設定されるか
  • 日付データが正しく表示されるか

Step 5: 本番インポートと検証

テストで問題がなければ、全データの本番インポートを実施します。インポート後は、Zoho CRMの各モジュールのレコード数とHubSpotのレコード数を照合し、データの欠損がないことを確認してください。

よくある質問(FAQ)

Zoho CRMのリードと連絡先はHubSpotでどう管理しますか?

HubSpotではリードと連絡先の区別を「ライフサイクルステージ」プロパティで管理します。Zohoのリードモジュールと連絡先モジュールのデータをすべてHubSpotの「コンタクト」にインポートし、元のモジュール情報に基づいてライフサイクルステージ(リード、MQL、SQL、顧客など)を設定します。

Zoho AnalyticsのSQLクエリベースのレポートはHubSpotで再現できますか?

HubSpotのレポート機能ではSQLの直接実行はできません。カスタムレポートビルダーで対応できる範囲であればHubSpot内で完結しますが、複雑な集計が必要な場合はGoogle Looker StudioやTableauなどの外部BIツールとHubSpotを連携させる方法を検討してください。

Zohoのエコシステム(SalesIQ、Desk、Forms等)を使っている場合、すべて一度に移行すべきですか?

すべてを一度に移行する必要はありません。まずCRM(コンタクト・企業・取引)の移行を先に行い、安定したらマーケティング機能(フォーム・メール)、その後カスタマーサポート(チケット・ナレッジベース)と段階的に移行するのが現実的です。

Zoho CRMの無料プランからHubSpotに移行するメリットはありますか?

HubSpotの無料CRMも機能が充実しており、コンタクト・企業・取引の管理に加え、メール連携やフォーム作成が可能です。HubSpotのメリットは、マーケティング・営業・カスタマーサポートが一つのプラットフォームに統合されている点で、ビジネスの成長に合わせてシームレスに機能を拡張できます。

CRM移行のご相談はお気軽にどうぞ

Zoho CRMからHubSpotへの移行は、モジュール構造の変換設計がプロジェクトの成否を左右します。Blueprintからワークフローへの変換、Zoho Analyticsからレポートの再設計まで、移行プロジェクトの全工程をサポートしています。

移行計画の策定やお見積もりについて、まずはお気軽にご相談ください。

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まとめ

Zoho CRMからHubSpotへの移行では、「リードと連絡先の統合」「Blueprintからワークフローへの変換」「Zoho Analyticsからレポートへの移行」が主要な検討ポイントです。

Zohoのエコシステム(SalesIQ、Social、Desk、Forms等)を幅広く活用している場合は、HubSpotの各Hubで同等の機能が提供されているため、プラットフォーム全体を統合する好機にもなります。

移行を始める際は、まず現在利用しているZohoの全モジュール・機能を洗い出し、HubSpotでの代替方法を設計するところからスタートしてください。テストインポートでデータの整合性を十分に検証したうえで、本番移行に進むことが、スムーズな移行への近道です。

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