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ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?基礎から実践まで徹底解説

作成者: 今枝 拓海|2026/03/03 8:57:22

ABM(Account Based Marketing:アカウントベースドマーケティング)は、特定のターゲット企業(アカウント)を選定し、その企業に最適化されたマーケティング・営業活動を展開する戦略手法です。「数多くのリードを獲得してから絞り込む」従来のファネル型マーケティングとは逆に、「最初から狙うべき企業を決めて集中的にアプローチする」という発想で、BtoBマーケティングの潮流を大きく変えています。

欧米ではすでに主流戦略のひとつとなっており、BtoB企業の約70%がABMプログラムを導入しているという調査データもあります。日本でもエンタープライズ向けのBtoB企業を中心に導入が加速しており、「ABMを始めたい」「ABMの効果を高めたい」という声が増えています。

本記事では、ABMの基本概念から実践ステップ、成果を出すためのポイントまでを網羅的に解説します。ABMを初めて検討する方にも、すでに取り組んでいて改善したい方にも役立つ内容です。

この記事でわかること

  • ABMの定義と基本概念
  • 従来型マーケティングとABMの違い
  • ABMが特に有効な企業・ビジネスモデル
  • ABM実践の5ステップ
  • ターゲットアカウントの選定方法(ICP設計)
  • ABMの効果測定指標
  • HubSpotのABM機能を活用した実装方法

ABMとは何か

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは、「自社にとって最も価値のあるターゲット企業を特定し、その企業ごとにパーソナライズされたマーケティング施策を展開する」BtoB戦略です。

従来型マーケティングとの違い

項目 従来型(リードベース) ABM(アカウントベース)
アプローチ 広く集めて絞り込む 最初から対象を絞る
ターゲット 個人(リード) 企業(アカウント)
施策の範囲 全リードに共通の施策 アカウントごとに最適化
営業との関係 マーケ→営業の引き渡し マーケ×営業の協働
KPI リード数・MQL数 エンゲージメント・商談化率・受注率
ROI 測定しにくい 測定しやすい

ABMの3つのアプローチ

ABMはターゲットの規模と施策のパーソナライゼーション度合いに応じて3つのレベルに分かれます。

レベル 名称 ターゲット数 パーソナライズ度 工数
Tier 1 Strategic ABM 1〜10社 完全カスタマイズ
Tier 2 ABM Lite 10〜100社 セグメント別カスタマイズ
Tier 3 Programmatic ABM 100〜1,000社以上 テクノロジー活用で自動化

多くの企業はTier 2またはTier 3から始め、成果が出た企業をTier 1に引き上げていくアプローチが現実的です。

ABMが特に有効な企業の条件

ABMはすべてのBtoB企業に最適とは限りません。以下の条件に当てはまる場合、ABMの効果が特に高くなります。

ABMが向いている企業チェックリスト:

  • 平均受注単価が100万円以上
  • 商談サイクルが3ヶ月以上
  • 意思決定に複数のステークホルダーが関与
  • ターゲット企業を具体的にリストアップできる
  • 営業チームとマーケチームの連携が可能
  • CRM/MAツールを導入済み(または導入予定)

上記のうち4つ以上に当てはまる場合、ABMの導入を強く推奨します。

ABM実践の5ステップ

ステップ1: ICP(理想顧客プロファイル)を定義する

ABMの出発点は、「自社にとって最も価値のある顧客像」の明確化です。

ICP定義の項目例:

カテゴリ 項目
企業属性 業界 IT・製造・金融
企業規模(売上・従業員数) 売上50億円以上 / 300名以上
所在地 東京・大阪の本社
課題・ニーズ ビジネス課題 営業生産性の向上
テクノロジー環境 Salesforce利用中
購買特性 予算規模 年間500万円以上
意思決定構造 3名以上の承認プロセス

ICPは過去の受注データを分析して策定します。「最も利益率が高かった顧客」「最もLTVが高い顧客」の共通特徴を抽出しましょう。

ステップ2: ターゲットアカウントリストを作成する

ICPに基づいて、具体的なターゲット企業のリストを作成します。

リスト作成の情報源:

  • 自社CRMの既存データ(過去の商談・受注)
  • 業界データベース(帝国データバンク、東洋経済など)
  • インテントデータ(自社テーマに関心を持っている企業)
  • 営業チームの知見(「この企業が欲しい」という声)
  • 競合の顧客リスト(IR情報・事例ページ)

ステップ3: アカウントごとのエンゲージメント戦略を設計する

ターゲットアカウントに対して、どのチャネルでどんなメッセージを届けるかを設計します。

チャネル 施策例 適したフェーズ
LinkedIn広告 企業名指定のターゲティング広告 認知
パーソナライズドメール 業界特化のコンテンツ配信 興味喚起
ダイレクトメール(DM) パーソナライズされた郵送物 認知・興味喚起
カスタムLP アカウント専用のランディングページ 検討促進
セミナー・ラウンドテーブル 限定イベントへの招待 関係構築
営業アウトリーチ 電話・メール・訪問 商談化

ステップ4: 営業とマーケティングの連携体制を構築する

ABMの成否を分けるのは、営業とマーケティングの連携(アライメント)です。

連携のための仕組み:

  • ターゲットアカウントリストの共同策定
  • アカウントごとの担当営業の明確化
  • 週次のアカウントレビューミーティング
  • 共通のCRM/MAプラットフォームでのデータ共有
  • アカウントエンゲージメントスコアの可視化

ステップ5: 効果測定と継続改善

ABMの効果測定は、従来のリード数中心の指標とは異なります。

ABMの主要KPI:

指標 測定内容 目標水準の目安
アカウントエンゲージメント率 ターゲットアカウントの何%がアクションしたか 30%以上
カバレッジ ターゲットアカウント内の接触人数 平均3名以上
パイプライン寄与率 ABMアカウントが商談全体に占める割合 40%以上
商談化率 ターゲットアカウントの何%が商談になったか 15%以上
受注率 ABM経由の商談の受注率 非ABM比で1.5倍以上
平均受注単価 ABM経由の受注の単価 非ABM比で1.3倍以上

HubSpotのABM機能を活用した実装

HubSpotはABMの実践をサポートする機能を標準搭載しています。

ターゲットアカウント管理

  • ターゲットアカウントの設定と一覧表示
  • アカウントごとのエンゲージメントスコアの自動計算
  • 企業プロパティ(ICP Tier、優先度)の管理

アカウントベースのレポーティング

  • ターゲットアカウントの概要ダッシュボード
  • アカウントごとの接触履歴・アクティビティ
  • パイプラインへの影響度の可視化

広告連携

  • LinkedIn広告へのターゲットアカウントリストの同期
  • アカウント単位での広告効果測定
  • ABMキャンペーンのROI分析

ワークフロー自動化

  • ターゲットアカウントのコンタクトに自動でタグ付け
  • エンゲージメントスコアに応じた営業通知
  • アカウントステージの自動更新

ABM成功のための3つの注意点

1. 小さく始めて段階的に拡大する

最初から数百社をターゲットにするのではなく、10〜20社のパイロットプログラムから始めましょう。学びを蓄積してからスケールさせるのが成功のパターンです。

2. 営業チームの巻き込みを最初から行う

ABMはマーケティング部門だけでは成功しません。計画段階から営業リーダーを巻き込み、ターゲット選定とアプローチ戦略を共同で策定してください。

3. 短期成果を求めすぎない

ABMは3〜6ヶ月で成果が見え始め、本格的なROIが確認できるのは6〜12ヶ月後です。短期的なリード数の減少に惑わされず、商談化率・受注率の改善を見守りましょう。

まとめ

ABMは「量より質」を追求するBtoBマーケティング戦略です。ポイントを整理します。

  1. ABMとは: 特定のターゲット企業に最適化されたマーケティング・営業活動を展開する戦略
  2. 従来型との違い: 「広く集めて絞る」のではなく「最初から狙って深くアプローチ」する
  3. 3つのレベル: Strategic(1-10社)、Lite(10-100社)、Programmatic(100社以上)
  4. 5ステップ: ICP定義→リスト作成→エンゲージメント設計→営業連携→効果測定
  5. 成功の鍵: 営業×マーケの連携と、CRM/MAプラットフォームによるデータ統合

HubSpotはABM機能を標準搭載しており、ターゲットアカウント管理・エンゲージメントスコアリング・LinkedIn広告連携・レポーティングまでを一つのプラットフォームで実現できます。

ABMの導入を検討されている方、すでに取り組んでいて成果を改善したい方は、StartLinkにご相談ください。貴社のビジネスモデルに最適なABM戦略の設計と、HubSpotを活用した実装をサポートいたします。

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