「CRMにデータは入っているが、重複や表記揺れが多くてレポートの信頼性が低い」
「複数のシステムからデータを取り込んでいるが、統合管理ができていない」
——こうした課題は、HubSpotのData Hub(データハブ)で解決できます。
HubSpotのData Hubは、データの統合・品質管理・同期・自動化を一つのプラットフォームで実現する機能群です。CRMのデータ品質を高め、レポートや営業活動の土台を盤石にするための仕組みとして、あらゆるHubSpotユーザーに関わる重要な機能です。
この記事では、Data Hubの全体像から各機能の詳細、自社に最適な活用設計まで解説します。
Data Hub(データハブ)とは、HubSpot内のデータの品質管理・統合・同期・自動化を担う機能群の総称です。以前は「Operations Hub」と呼ばれていた機能領域ですが、現在は「Data Hub」に改称されています。
Data Hubに含まれる主な機能は以下のとおりです。
CRMを導入しても、データが汚れていれば意味がありません。重複レコード、古い連絡先情報、表記揺れ(「株式会社〇〇」と「(株)〇〇」の混在)——こうしたデータ品質の問題は、レポートの信頼性を損ない、営業の判断を誤らせます。
「やっぱりCRM値がなかなか入ってなくてデータ資産化してないっていう企業さんも多い」——Data Hubは、CRMのデータを「使えるデータ」に磨き上げるための基盤です。
HubSpotの強みである「一元管理」を実現するには、データの正確性と一貫性が前提条件です。複数のシステムからデータを取り込む際に、Data Hubのデータ同期機能を使えば、データの整合性を保ちながら統合管理できます。
データ品質の問題を「入力する人の注意力」に頼るのは限界があります。Data Hubの自動化機能を使えば、データのクレンジング・標準化・重複排除をシステムとして仕組み化できます。
HubSpotのデータ品質ツールは、AIを使って重複レコードを自動検出します。
検出対象:
統合のベストプラクティス:
重複レコードの放置はレポートの数値を歪めるため、月1回程度の定期チェックを運用に組み込むのがおすすめです。
フォーマットの統一もデータ品質管理の重要な要素です。
| 項目 | よくある問題 | 標準化ルール |
|---|---|---|
| 電話番号 | 090-1234-5678 / 09012345678 / +819012345678 | +81形式に統一 |
| 会社名 | 株式会社〇〇 / (株)〇〇 / 〇〇株式会社 | 正式名称に統一 |
| 住所 | 東京都/Tokyo/TOKYO | 日本語正式表記に統一 |
| メールアドレス | ABC@example.com / abc@example.com | 小文字に統一 |
Data Hubのワークフローを使えば、新規レコード作成時やインポート時に自動的に標準化ルールを適用できます。
「よくあるSFAのあるあるで、全然使っていない項目が大量にあったりする」——Data Hubのデータ品質レポートでは、各プロパティの利用率(フィルレート)を確認できます。
例えば「請求先メール02が0.91%しか使われていない」場合、このプロパティはおそらく不要です。使われていないプロパティを整理することで、営業の入力負荷を下げ、データの視認性を向上させましょう。
Data Hubのデータ同期機能を使えば、HubSpotと外部アプリケーション間でデータをリアルタイムに双方向同期できます。
対応アプリの例:
データ同期を設計する際の重要なポイントは以下の3つです。
1. マスターデータの定義
「どちらのシステムのデータを正とするか」を明確に決めます。例えば、顧客情報はHubSpotを正、会計情報はfreeeを正とする——というルールを設定します。
2. 同期方向の設定
3. フィルターの設定
すべてのレコードを同期するのではなく、特定の条件に合致するレコードのみを同期対象にすることで、不要なデータの混入を防ぎます。
計算プロパティは、関数を使ってプロパティの値をリアルタイムに自動計算する機能です。ワークフローを使わずにデータを自動更新できるため、運用がシンプルになります。
活用例:
「毎回チェックボックスとか作ってワークフローで処理していると結構ワークフローがうまく動作しなかったりする。計算プロパティを使うことでその辺が全て自動的にリアルタイムで更新される」——ワークフローに頼りすぎない設計がここで活きてきます。
Data Hub Professional以上では、ワークフロー内でJavaScriptまたはPythonのカスタムコードを実行できます。
活用例:
レポート用のデータセットを事前定義できる機能です。複雑なレポートを作成する際に、データのフィルタリングや計算を「データセット」として保存しておくことで、レポート作成が効率化されます。
過去3年間で蓄積した5万件のコンタクトレコードのうち、15%が重複。Data Hubの重複検出機能で自動クレンジングを実施し、レポートの顧客数が正確に反映されるようになった。マーケティングコンタクトの課金最適化にもつながり、年間約30万円のコスト削減を実現。
既存のSalesforceとHubSpot Marketing Hubを併用。Data Hubのデータ同期機能でリード情報を双方向同期し、マーケティング活動のデータがSalesforceの商談データと連携。「SalesforceとHubSpotでリードの二重管理が発生していた」という課題が解消。
フォーム送信時の会社名表記揺れ(「株式会社」「(株)」「KK」など)をData Hubのワークフローで自動標準化。同期プロパティで会社レコードの正式名称をコンタクトに自動反映させ、メール送信時のパーソナライゼーション品質が向上。
| 機能 | Free | Starter | Professional | Enterprise |
|---|---|---|---|---|
| 重複検出 | 基本的な検出 | 基本的な検出 | AI検出+統合提案 | AI検出+自動統合 |
| データ同期 | 限定的 | 基本同期 | 双方向同期+フィルター | フル機能 |
| 計算プロパティ | 非対応 | 5個まで | 25個まで | 200個まで |
| カスタムコードWF | 非対応 | 非対応 | 対応 | 対応 |
| データセット | 非対応 | 非対応 | 対応 | 対応 |
| Snowflake連携 | 非対応 | 非対応 | 非対応 | 対応 |
Professional以上にアップグレードする判断基準として、「計算プロパティの上限」「カスタムコードワークフローの必要性」が大きなポイントになってきます。
データクレンジングは「一度やって終わり」ではなく、継続的なメンテナンスが必要です。月次で重複レコードの確認、四半期でプロパティの棚卸しを行うサイクルを運用に組み込みましょう。
外部システムとのデータ同期は、設定ミスによるデータの上書きや消失のリスクがあります。既存で使っているデータに対してアクセス・更新する場合は、サンドボックス環境でテストしてから本番に適用するのがおすすめです。
計算プロパティで代替できるものはワークフローを使わない。これがData Hub活用の基本原則です。ワークフローの数が増えすぎると管理が煩雑になり、意図しない動作の原因にもなります。
プロパティの作成権限を管理者のみに制限し、不要なプロパティの乱立を防ぎましょう。「項目が少ない方が集中できる」——この設計哲学はData Hub運用でも重要です。
HubSpotのData Hubは、データの統合・品質管理・同期・自動化を一つのプラットフォームで実現する機能群です。CRMの価値を最大化するためには、データ品質の担保が不可欠であり、Data Hubはその基盤となります。
まずはデータ品質ツールによる重複排除と計算プロパティの活用から始めて、段階的にデータ同期やカスタムコードワークフローへと拡張していくのが現実的なアプローチです。データが正確であるほど、レポートの信頼性が高まり、営業やマーケティングの意思決定が精度を増していきます。
StartLinkでは、HubSpotの導入設計から運用定着まで、企業様の状況に合わせた支援を行っています。
「自社に合ったCRMの選び方がわからない」「HubSpotを導入したが活用しきれていない」——そんなお悩みをお持ちでしたら、ぜひ一度ご相談ください。
Marketing HubやSales Hubは「何をするか」(マーケティング、営業)に特化した機能群で、Data Hubは「データをどう管理するか」に特化した機能群です。Data Hubはすべてのハブのデータ基盤として機能し、データの品質・統合・自動化を担います。
Data Hubの基本機能(重複検出、基本的なデータ同期)はHubSpotの無料プランにも含まれています。高度な機能(カスタムコードワークフロー、データセット等)を使う場合はProfessional以上のプランが必要です。
HubSpotとSalesforceのデータ同期は公式にサポートされており、多くの企業で安定稼働しています。ただし、Salesforceのカスタムオブジェクトや複雑なデータモデルの同期は設計が必要なため、導入時は専門家の支援を受けることをおすすめします。
「値の計算・分類」は計算プロパティ、「アクションの実行(メール送信、通知、レコード更新等)」はワークフローが適しています。計算プロパティはリアルタイム更新で、ワークフローはトリガーベースの実行という違いもあります。
旧Operations Hubの機能はData Hubに引き継がれています。名称変更に伴う機能の削減はなく、むしろ新機能が追加されています。既存ユーザーの設定や運用はそのまま継続可能です。
この記事は2025年3月時点の情報に基づいています。HubSpotの機能は定期的にアップデートされるため、最新情報はHubSpot公式サイトでご確認ください。
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