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SalesforceからHubSpotへの移行ガイド|データ移行・機能マッピング・注意点を実例で解説

作成者: 今枝 拓海|1970/01/01 0:00:00

「Salesforceの運用コストが高く、もっとコスト効率の良いCRMに移行したい」「Salesforceの機能を使いこなせておらず、よりシンプルなプラットフォームを検討している」「MAとCRMを統合して運用したい」——こうした理由からSalesforceからHubSpotへの移行を検討する企業が増えています。

SalesforceからHubSpotへの移行とは、Salesforceに蓄積された顧客データ(リード・取引先・取引先責任者・商談など)をHubSpotのCRMに移し替え、営業・マーケティング・カスタマーサービスの運用基盤をHubSpotに切り替えるプロジェクトです。HubSpotにはSalesforceからのデータインポート機能やCRM移行ツールが用意されており、計画的に進めれば3ヶ月以内に移行を完了できるケースがほとんどです。

この記事では、SalesforceからHubSpotへの移行を成功させるための具体的な手順、データマッピング、リスク管理のポイントを解説します。


この記事でわかること

  • SalesforceからHubSpotに移行するメリットと判断基準
  • 移行プロジェクトの全体スケジュール
  • データ移行の具体的な手順(エクスポート・マッピング・インポート)
  • Salesforceの機能とHubSpot機能のマッピング表
  • 移行時のリスクと対策
  • 移行後の運用定着のポイント

なぜSalesforceからHubSpotに移行するのか

出典: Salesforce (salesforce.com/jp)

移行を検討する主な理由

理由 詳細
コスト削減 Salesforceの全ユーザーライセンス費用 + オプション追加費用が高い
使いやすさ Salesforceの学習コストが高く、現場に定着していない
MA統合 SalesforceのMA(Account Engagement等)は別契約。HubSpotなら一体型
シンプル化 過度にカスタマイズされたSalesforceの運用負荷を軽減したい
管理者依存の解消 Salesforce認定資格者がいないと運用・変更が難しい

移行すべきでないケース

正直にお伝えすると、以下のようなケースではSalesforceに留まる方が適切な場合もあります。

  • Salesforceの高度なカスタマイズ(Apex開発等)に深く依存している
  • 業界固有のSalesforceパッケージ(Financial Services Cloud等)を利用している
  • 大規模な組織(数千ユーザー)で複雑な権限構造を構築している
  • AppExchangeの特定アプリに業務が依存している

移行プロジェクトの全体スケジュール

一般的なSalesforceからHubSpotへの移行は、以下のフェーズで進めます。

フェーズ 内容 目安期間
Phase 1 移行計画・要件定義 2〜3週間
Phase 2 HubSpot環境構築 2〜3週間
Phase 3 データ移行(テスト・本番) 2〜4週間
Phase 4 機能再構築(ワークフロー・レポート等) 2〜4週間
Phase 5 ユーザートレーニング・切り替え 1〜2週間
Phase 6 並行稼働・検証・旧環境停止 2〜4週間

全体で2〜3ヶ月が一般的な目安です。


Phase 1: 移行計画・要件定義

移行対象データの特定

まず、Salesforceから何を移行するかを明確にします。

Salesforceオブジェクト HubSpotの対応先 移行の優先度
リード コンタクト
取引先責任者 コンタクト
取引先 会社
商談 取引
ケース チケット
キャンペーン キャンペーン
活動(タスク・行動) アクティビティ
カスタムオブジェクト カスタムオブジェクト(Enterprise) 状況による
添付ファイル 注意が必要

移行しないデータの判断

全てのデータを移行する必要はありません。以下は移行対象から除外を検討してください。

  • 古いデータ(3年以上更新のないレコード等)
  • 重複レコード
  • テストデータ
  • 使われていないカスタムフィールド

データをクレンジングしてから移行することで、HubSpotの環境をクリーンに保てます。


Phase 2: HubSpot環境構築

プロパティのマッピング設計

Salesforceのフィールドに対応するHubSpotのプロパティを設計します。ここが結構ミソになってくる工程です。

マッピングの進め方:

  1. Salesforceから全フィールドの一覧をエクスポート
  2. 各フィールドの利用状況を確認(実際に使われているか)
  3. HubSpotの標準プロパティとの対応を確認
  4. 対応する標準プロパティがない場合はカスタムプロパティを作成
  5. データ型(テキスト・数値・日付・選択肢等)の整合性を確認

注意: フィールドの棚卸しが重要

Salesforceでは長年の運用の中で使われていないカスタムフィールドが大量に存在することがあります。この機会に不要なフィールドを整理し、HubSpotには本当に必要な項目だけを移行することをお勧めします。

パイプラインの再設計

Salesforceの商談ステージをHubSpotのパイプラインにマッピングします。

Salesforce商談ステージ HubSpot取引ステージ 受注確度
見込み アポ取得 10%
提案中 提案・見積り 40%
交渉中 受注内示 70%
成立 受注 100%
不成立 失注 0%

Salesforceのステージをそのまま移行するのではなく、この機会に営業プロセスを見直し、自社に最適なパイプラインを再設計することをお勧めします。


Phase 3: データ移行

移行方法の選択

SalesforceからHubSpotへのデータ移行には、主に3つの方法があります。

方法 概要 適するケース
CSVエクスポート/インポート Salesforceからデータをエクスポートし、HubSpotにインポート シンプルなデータ構造、中小規模
HubSpotのSalesforceインポート機能 HubSpotのネイティブ機能でSalesforceレコードを直接取り込み 標準的なデータ構造
API / サードパーティツール APIまたは移行ツール(Trujay等)で自動移行 大量データ、複雑なデータ構造

CSVエクスポート/インポートの手順

ステップ1: Salesforceからデータエクスポート

  1. Salesforceのレポート機能でエクスポート対象のデータを絞り込み
  2. CSV形式でエクスポート(データローダーの使用も可)
  3. オブジェクトごとにファイルを分割(コンタクト・会社・取引を別ファイル)

ステップ2: データクレンジング

  • 重複の削除
  • 表記揺れの統一
  • 姓名の分割
  • データ型の変換(日付形式の統一等)
  • SalesforceのIDフィールドの保持(関連付けの参照用)

ステップ3: テストインポート

少数のレコードで以下を確認:

  • プロパティマッピングの正確性
  • 関連付け(コンタクトと会社、取引とコンタクト)の正確性
  • ライフサイクルステージの適切な設定

ステップ4: 本番インポート

テスト完了後、本番データをインポートします。

重要な注意点:

  • インポート前にワークフローを一時停止(意図しない自動処理の防止)
  • インポートの容量制限に注意(無料プラン20MB、有料プラン512MB)
  • 大量データの場合は分割してインポート

Phase 4: 機能再構築

自動化(ワークフロー)の再構築

Salesforceのフロー・プロセスビルダーで構築した自動化は、そのまま移行することはできません。HubSpotのワークフローで再構築する必要があります。

再構築のアプローチ:

  1. Salesforceの既存自動化の棚卸し(実際に稼働しているものを特定)
  2. 優先度の高い自動化から順にHubSpotで再構築
  3. 不要になった自動化はこの機会に廃止

レポート・ダッシュボードの再構築

Salesforceのレポートをそのまま再現するのではなく、HubSpotのレポート機能に合わせて再設計します。

まず既存のSalesforceレポートで実際に使われているもの、経営判断に使われているものを特定し、優先度の高いレポートからHubSpotで作成しましょう。


Phase 5: 移行時のリスクと対策

リスク 対策
データ損失 移行前にSalesforceの完全バックアップを取得。HubSpotにも14日以内のバックアップ復元機能あり
関連付けの崩れ SalesforceのIDを一時的なプロパティとして保持し、関連付けの検証に使用
業務停止 並行稼働期間を設け、完全切替までSalesforceも利用可能な状態を維持
ユーザーの混乱 切替前に十分なトレーニングを実施。マニュアル整備
カスタムオブジェクトの移行 HubSpot Enterprise版が必要。事前にプラン確認

並行稼働の重要性

移行直後にSalesforceを完全停止するのではなく、1〜2ヶ月の並行稼働期間を設けることをお勧めします。この期間中にデータの整合性を検証し、問題がないことを確認してからSalesforceの契約を終了します。


移行後の運用定着

ユーザートレーニング

Salesforceに慣れたユーザーへのHubSpotトレーニングでは、以下のポイントを意識します。

  • SalesforceとHubSpotの用語の対応表を提供(例: 取引先 = 会社、商談 = 取引)
  • 「Salesforceではこうだったが、HubSpotではこう操作する」という比較形式の説明
  • HubSpot Academyの無料コースの活用を推奨

定着化の工夫

  • 移行後2〜4週間は「質問受付期間」として集中サポート
  • 週次ダッシュボードレビューでHubSpotを見る習慣を作る
  • 小さな成功体験(「HubSpotの方がこれは楽」)を早期に共有

まとめ

SalesforceからHubSpotへの移行は、計画的に進めれば2〜3ヶ月で完了できるプロジェクトです。成功のポイントは、データのクレンジング・プロパティのマッピング設計・並行稼働期間の確保の3つです。

まずはPhase 1の移行計画から始め、移行対象データの棚卸しとHubSpotのプロパティマッピングを設計してください。この機会にデータをクリーンにし、営業プロセスを見直すことで、移行後のCRM活用が一段と効果的になります。


よくある質問(FAQ)

Q1. SalesforceからHubSpotへの移行にかかる期間は?

一般的に2〜3ヶ月が目安です。シンプルなデータ構造で中小規模の場合は1〜2ヶ月、複雑なカスタマイズが多い大規模環境では3〜4ヶ月かかることもあります。

Q2. Salesforceのカスタムオブジェクトは移行できますか?

HubSpot Enterprise版ではカスタムオブジェクトを作成できるため、Salesforceのカスタムオブジェクトに対応する構造を構築できます。ただし、HubSpotのカスタムオブジェクトはEnterprise限定の機能であるため、プラン選定時にご注意ください。

Q3. Salesforceのレポートやダッシュボードはそのまま移行できますか?

レポートやダッシュボードの自動移行はできません。HubSpotのレポートビルダーで再構築する必要があります。ただし、この機会に本当に必要なレポートを見直し、HubSpotの機能に合わせて最適化することをお勧めします。

Q4. 移行中にSalesforceとHubSpotを同時に使うことはできますか?

はい、並行稼働が可能です。HubSpotの公式Salesforce連携コネクターを使えば、移行期間中もデータの双方向同期が行えます。完全切替後にSalesforceの契約を終了する形が安全です。

Q5. 移行はパートナーに依頼すべきですか?

データ量が多い場合、カスタムオブジェクトの移行が必要な場合、複雑なワークフローの再構築が必要な場合は、HubSpotパートナーに依頼することをお勧めします。シンプルなデータ構造でCSVインポートが中心であれば、自社対応も可能です。