「Salesforceの運用コストが高く、もっとコスト効率の良いCRMに移行したい」「Salesforceの機能を使いこなせておらず、よりシンプルなプラットフォームを検討している」「MAとCRMを統合して運用したい」——こうした理由からSalesforceからHubSpotへの移行を検討する企業が増えています。
SalesforceからHubSpotへの移行とは、Salesforceに蓄積された顧客データ(リード・取引先・取引先責任者・商談など)をHubSpotのCRMに移し替え、営業・マーケティング・カスタマーサービスの運用基盤をHubSpotに切り替えるプロジェクトです。HubSpotにはSalesforceからのデータインポート機能やCRM移行ツールが用意されており、計画的に進めれば3ヶ月以内に移行を完了できるケースがほとんどです。
この記事では、SalesforceからHubSpotへの移行を成功させるための具体的な手順、データマッピング、リスク管理のポイントを解説します。
出典: Salesforce (salesforce.com/jp)
| 理由 | 詳細 |
|---|---|
| コスト削減 | Salesforceの全ユーザーライセンス費用 + オプション追加費用が高い |
| 使いやすさ | Salesforceの学習コストが高く、現場に定着していない |
| MA統合 | SalesforceのMA(Account Engagement等)は別契約。HubSpotなら一体型 |
| シンプル化 | 過度にカスタマイズされたSalesforceの運用負荷を軽減したい |
| 管理者依存の解消 | Salesforce認定資格者がいないと運用・変更が難しい |
正直にお伝えすると、以下のようなケースではSalesforceに留まる方が適切な場合もあります。
一般的なSalesforceからHubSpotへの移行は、以下のフェーズで進めます。
| フェーズ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| Phase 1 | 移行計画・要件定義 | 2〜3週間 |
| Phase 2 | HubSpot環境構築 | 2〜3週間 |
| Phase 3 | データ移行(テスト・本番) | 2〜4週間 |
| Phase 4 | 機能再構築(ワークフロー・レポート等) | 2〜4週間 |
| Phase 5 | ユーザートレーニング・切り替え | 1〜2週間 |
| Phase 6 | 並行稼働・検証・旧環境停止 | 2〜4週間 |
全体で2〜3ヶ月が一般的な目安です。
まず、Salesforceから何を移行するかを明確にします。
| Salesforceオブジェクト | HubSpotの対応先 | 移行の優先度 |
|---|---|---|
| リード | コンタクト | 高 |
| 取引先責任者 | コンタクト | 高 |
| 取引先 | 会社 | 高 |
| 商談 | 取引 | 高 |
| ケース | チケット | 中 |
| キャンペーン | キャンペーン | 中 |
| 活動(タスク・行動) | アクティビティ | 中 |
| カスタムオブジェクト | カスタムオブジェクト(Enterprise) | 状況による |
| 添付ファイル | 注意が必要 | 低 |
全てのデータを移行する必要はありません。以下は移行対象から除外を検討してください。
データをクレンジングしてから移行することで、HubSpotの環境をクリーンに保てます。
Salesforceのフィールドに対応するHubSpotのプロパティを設計します。ここが結構ミソになってくる工程です。
マッピングの進め方:
注意: フィールドの棚卸しが重要
Salesforceでは長年の運用の中で使われていないカスタムフィールドが大量に存在することがあります。この機会に不要なフィールドを整理し、HubSpotには本当に必要な項目だけを移行することをお勧めします。
Salesforceの商談ステージをHubSpotのパイプラインにマッピングします。
| Salesforce商談ステージ | HubSpot取引ステージ | 受注確度 |
|---|---|---|
| 見込み | アポ取得 | 10% |
| 提案中 | 提案・見積り | 40% |
| 交渉中 | 受注内示 | 70% |
| 成立 | 受注 | 100% |
| 不成立 | 失注 | 0% |
Salesforceのステージをそのまま移行するのではなく、この機会に営業プロセスを見直し、自社に最適なパイプラインを再設計することをお勧めします。
SalesforceからHubSpotへのデータ移行には、主に3つの方法があります。
| 方法 | 概要 | 適するケース |
|---|---|---|
| CSVエクスポート/インポート | Salesforceからデータをエクスポートし、HubSpotにインポート | シンプルなデータ構造、中小規模 |
| HubSpotのSalesforceインポート機能 | HubSpotのネイティブ機能でSalesforceレコードを直接取り込み | 標準的なデータ構造 |
| API / サードパーティツール | APIまたは移行ツール(Trujay等)で自動移行 | 大量データ、複雑なデータ構造 |
少数のレコードで以下を確認:
テスト完了後、本番データをインポートします。
重要な注意点:
Salesforceのフロー・プロセスビルダーで構築した自動化は、そのまま移行することはできません。HubSpotのワークフローで再構築する必要があります。
再構築のアプローチ:
Salesforceのレポートをそのまま再現するのではなく、HubSpotのレポート機能に合わせて再設計します。
まず既存のSalesforceレポートで実際に使われているもの、経営判断に使われているものを特定し、優先度の高いレポートからHubSpotで作成しましょう。
| リスク | 対策 |
|---|---|
| データ損失 | 移行前にSalesforceの完全バックアップを取得。HubSpotにも14日以内のバックアップ復元機能あり |
| 関連付けの崩れ | SalesforceのIDを一時的なプロパティとして保持し、関連付けの検証に使用 |
| 業務停止 | 並行稼働期間を設け、完全切替までSalesforceも利用可能な状態を維持 |
| ユーザーの混乱 | 切替前に十分なトレーニングを実施。マニュアル整備 |
| カスタムオブジェクトの移行 | HubSpot Enterprise版が必要。事前にプラン確認 |
移行直後にSalesforceを完全停止するのではなく、1〜2ヶ月の並行稼働期間を設けることをお勧めします。この期間中にデータの整合性を検証し、問題がないことを確認してからSalesforceの契約を終了します。
Salesforceに慣れたユーザーへのHubSpotトレーニングでは、以下のポイントを意識します。
SalesforceからHubSpotへの移行は、計画的に進めれば2〜3ヶ月で完了できるプロジェクトです。成功のポイントは、データのクレンジング・プロパティのマッピング設計・並行稼働期間の確保の3つです。
まずはPhase 1の移行計画から始め、移行対象データの棚卸しとHubSpotのプロパティマッピングを設計してください。この機会にデータをクリーンにし、営業プロセスを見直すことで、移行後のCRM活用が一段と効果的になります。
一般的に2〜3ヶ月が目安です。シンプルなデータ構造で中小規模の場合は1〜2ヶ月、複雑なカスタマイズが多い大規模環境では3〜4ヶ月かかることもあります。
HubSpot Enterprise版ではカスタムオブジェクトを作成できるため、Salesforceのカスタムオブジェクトに対応する構造を構築できます。ただし、HubSpotのカスタムオブジェクトはEnterprise限定の機能であるため、プラン選定時にご注意ください。
レポートやダッシュボードの自動移行はできません。HubSpotのレポートビルダーで再構築する必要があります。ただし、この機会に本当に必要なレポートを見直し、HubSpotの機能に合わせて最適化することをお勧めします。
はい、並行稼働が可能です。HubSpotの公式Salesforce連携コネクターを使えば、移行期間中もデータの双方向同期が行えます。完全切替後にSalesforceの契約を終了する形が安全です。
データ量が多い場合、カスタムオブジェクトの移行が必要な場合、複雑なワークフローの再構築が必要な場合は、HubSpotパートナーに依頼することをお勧めします。シンプルなデータ構造でCSVインポートが中心であれば、自社対応も可能です。